国立霞ヶ丘陸上競技場とりこわし工事に関する説明会が、9月12日、日本青年館で行なわれた。しかし、工事事業者が会場に姿を見せなかったことから、参加者から不満の声があがり、場内は紛糾した。
(IWJ・松井信篤)
特集 新国立競技場問題
※記事本文に一部誤りがありましたので、速やかに訂正し、再アップいたしました。第三者委員会の調査の結果、「談合が認められないと判断」とするところを、「談合が認められた」と記載していました。謹んでお詫び申し上げます。(2014.9.18更新)
国立霞ヶ丘陸上競技場とりこわし工事に関する説明会が、9月12日、日本青年館で行なわれた。しかし、工事事業者が会場に姿を見せなかったことから、参加者から不満の声があがり、場内は紛糾した。
※中継不可のため、ペン取材のみとなります。
冒頭、入札に関してJSC(日本スポーツ振興センター)から報告があった。JSCによると、取り壊し工事の入札に談合の疑いが持たれており、そのため、公正取引委員会・文部科学省に通報したという。
JSCは、この件について、弁護士や会計士から構成される第三者委員会を設置して調査を実施。その結果、談合の事実はないと判断。その後、再び入札に関する調査をして8月28日に北工区、南工区共に関東建設工業株式会社と契約締結をしたと発表された。
工事をめぐって、有識者で構成する内閣府政府調達苦情検討委員会に対して本入札に対する苦情申し立てがあり、同委員会の要請で契約執行を停止している。以上のような理由から、当初は工事事業者を説明会に同席させる予定だったが、JSC側から同席させることができないと説明があった。
【入札結果等一覧表】国立霞ヶ丘陸上競技場等とりこわし工事 ・北工区
・南工区
参加者からは、工事事業者の不在に対して不満の声が上がり、会場は紛糾した。JSC側は「説明会を中止したほうがよろしいか?」などと提案。「中止しろ」という反対側の抗議に対して、「参加したくない人はどうぞお帰り下さい」とアナウンスがあり、退席する人々もいたが、説明会は続行される運びとなった。
工事工程表によると、国立競技場は2014年9月から取り壊しが始まり、2015年10月中旬に整地になる。また、JSCは、防音、防塵対策として高さ3Mの鋼板で囲い、十分な散水で粉塵対策をして、競技場の外側を防音パネルで囲い込むと説明。他にも、アスベスト除去に関して飛散性のある建材はないと述べた。
参加者からは、これまでのJSCの対応について、質問や公開を求めても誠意のある対応とは言いがたいものがあったとの意見が複数あった。また、近隣の住民からは、工事車両の運行経路について、トラックが1日400台ほど国立競技場周辺に訪れることに対し、騒音・振動や渋滞、交通に対する配慮など心配の声が多く聞かれた。
実際に問題が発生した際の保障などについて、JSCは、「明らかにこの工事に起因するのであれば検討する。原因をそちら(住民側)の方で特定していただけるんであれば」と回答した。しかし、住民の意見は、はたして本当にJSC側へ届いているのだろうか。