次々と明るみになる新国立競技場建設の問題点、結論ありきで進めようとする行政に有識者らが警鐘 2014.8.22

記事公開日:2014.8.28取材地: テキスト動画
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(IWJ・松井信篤)

 新国立競技場の建設問題をめぐり、前回、7月30日の中間報告で発表した新国立競技場計画における情報公開と参加調査に関して、調査結果の報告を8月22日に千葉商科大学・丸の内サテライトキャンパスで行った。

■ハイライト

  • 新国立競技場計画の手続き過程 原科幸彦氏(千葉商科大学政策情報学部学部長、東京工業大学名誉教授)
  • 情報公開と参加に関する調査結果 桑原洋一氏(千葉商科大学大学院政策研究科)
  • パネル討論「公共空間での議論とは」
    パネリスト 古市徹雄氏(建築家)/日置雅晴氏(弁護士)/西島和氏(弁護士)/桑原洋一氏
    司会 原科幸彦氏

近隣住民が詳細な説明を希望

 千葉商科大学博士課程の桑原洋一氏は、行政の意思決定に関する情報公開、周知、参加の実態を近隣住民にアンケートを実施して調査した。

 新競技場への建替えについて、近隣住民がその事実を知ったのは、行政の意思決定から200日が経ってからのことだった。

 他方、周辺道路への影響、交通負荷、解体による環境負荷、ヒートアイランドなど環境アセスメントが進められている途中であることについては、行政の意思決定より600日を超えても、近隣住民の周知が3割にも満たない結果となっている。

 一方で、行政からの詳細な説明を求める住民の声に関しては、現競技場の解体と建替えについてを求める回答が5割を超えた。高さ制限の緩和や環境アセスメントの説明についても、4割の住民が説明を希望している結果となった。

遅れている日本の環境アセスメント

 東京工業大学名誉教授の原科幸彦氏は、環境アセスメントの仕組みが日本より韓国、中国で進んでいると指摘する。情報公開をして住民の意見を求める仕組みが、日本で例外的にできていないという。韓国が毎年、何千件もの環境アセスメントをしていることに対して、日本はたった20件しか行われていない。

設計図なしで入札へ向かう可能性

 建築エコノミストの森山高至氏は、競技場の運営主体であるJSC(日本スポーツ振興センター)が、実施設計(工事用図面)ができる前に工事業者を募集し、設計図ができていない段階で工事会社を決めようという前代未聞の事態になっていることを指摘した。

 基本設計(設計図面、役所確認など) すらできあがっていないため、実施設計(工事用図面)ができないと森山氏は推測している。今後、予算がどんどん膨れ上がり、建つかどうかもわからないものに、予算だけつけるという第二段階の危険な状態になることを示唆した。

50年後、650億円を国民が負担する!?

(…会員ページにつづく)

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