神宮外苑の緑豊かな一帯に、総工費2500億円をかけて「ホワイトエレファント(無用の長物)」ができようとしている。「ザハ案」を踏襲した新国立競技場の現行案は、専門家から「競技場としてもホールとしても理想的ではない」「巨大な二流の建物」と酷評されている代物だ。特に、75mの高さに400mにも及ぶ2本のアーチをかけて造られる流線型屋根については、設置が技術的に困難なことや、維持管理費の高騰が懸念されている。
しかし2016年6月23日、文科省はこのアーチ構造を残す現行案のまま、7月に業者への発注を開始し、10月に着工する方針で最終調整に入った。19年春に完成予定で、2500億円の税金を投入する。
6月20日、岩上安身のインタビューの応えた作家の森まゆみ氏(「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」共同代表)は、「維持費も非常に高くかかる。前の国立競技場は5億円で済んだが、新国立競技場は35億円かかると言われている。さらに20年たったら、改修費が1000億円かかる。2050年には東京の人口が半減すると言われていますから、負担が大変」と、国民負担の増大を指摘した。
世界初の開閉式屋根が計画された1976年のモントリオール五輪では、当時にして1兆円の費用がかかり、屋根ができたのは五輪の12年後だった。そしてその借金は30年にわたってモントリオール市民が払い続けたという。維持費やコストの面から無用の長物となってしまったこうした巨大な公共建築物は、「ホワイトエレファント」と呼ばれる。
森氏は他にも、戦後守られてきた神宮外苑の自然や景観が、新国立競技場計画に乗じて規制緩和されたことを問題視。「神宮外苑周辺の再開発の突破口になるのでは」と警鐘を鳴らした。
この森氏へのインタビューを、25日(木)20時よりCh1にフルオープンで緊急再配信する。景気悪化にあえぐ日本で、膨大な血税を投入してまで建設する必要があるのか。ぜひインタビューをご覧になり、見極めていただきたい。Ch1はこちらから!
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