【IWJ号外】米国とイランが2週間の暫定停戦に合意! 仲介国のパキスタンが「レバノンを含む」と停戦合意したにもかかわらず、イスラエルは「レバノンは含まれない」として、レバノンへの攻撃を継続! 2026.4.11

記事公開日:2026.4.11 テキスト
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(文・IWJ編集部)

特集 中東

 『日刊IWJガイド』4月8日号でお伝えした通り、パキスタンの仲介で、米国とイランが、中東全域における2週間の暫定停戦に合意しました。イスラエルも停戦に合意しましたが、レバノンでの戦闘は除外すると主張しています。事実上の、停戦破りです。

 パキスタンが、4月11日に、米国とイランの代表を招待し、「イスラマバード会議」が開催され、停戦合意の2週間の間に、和平の条件について交渉が進められる予定です。

 問題は、この暫定的な「停戦合意」が本物なのかどうかです。米国とイスラエルは、過去に2度、イランとの外交交渉中に奇襲攻撃をかけて、イランを騙しました。今回もまた、イランを騙すための3度目の「罠」なのではないのでしょうか?

 「弾切れ」が指摘されている米・イスラエル側が、ミサイルを補充し、戦闘体勢を再編・再構築する時間を稼ぐために、一時的な停戦を求めているだけであり、イランが求める恒久的な平和を構築するための協議ではないとする見方もあります。

 暫定停戦が発表された後も、イランのラバン島石油精製所とシリ島原油輸出施設が「敵の攻撃(攻撃主体は不明)」を受けました。イランは、報復として、サウジアラビア、UAE、クウェート、カタール、バーレーンなどの湾岸アラブ諸国へのミサイル攻撃とドローン攻撃を実施しました。

 イスラエルは、レバノンは停戦合意には含まれていないと言い張り、レバノン南部を攻撃する「永遠の闇作戦」を継続しています。

 4月8日付『アルジャジーラ』によると、イスラエル軍は、レバノンのティルス地方の南部都市スリファを爆撃しました。

 イラン側は、「レバノンに対する侵略が直ちに終結しなければ」、イスラエルを攻撃すると述べ、ホルムズ海峡の通航を一時停止しました。

 「暫定停戦合意」は、滑り出しから守られず、事実上、破綻しています。

 2月28日に、米国とイスラエルが、イランに対する侵略戦争を始めて以来、イランは報復としてホルムズ海峡を事実上、封鎖しました。5週間が経っても、米国とイスラエルは、ホルムズ海峡を開放することはできず、イランによる海峡の「実効支配」と「選択的封鎖」は続いています。むしろ、イランに「実効支配」を招いてしまった原因は、米国とイスラエルによる侵略にこそある、というべきです。

 「暫定停戦合意」に至るまで、トランプ大統領の発言は揺れに揺れてきました。

 以下、停戦合意に至るまでの経緯を、トランプ大統領の揺れ動いた発言を軸に、米国東部時間で振り返ります。

 3月21日、トランプ大統領は、「イランが48時間以内にホルムズ海峡を完全に開放しなければ、イランの発電所を攻撃する」と、トゥルース・ソーシャルに投稿しました。

 「もしイランが、今この瞬間から48時間以内に、脅威を与えることなく、ホルムズ海峡を完全に開放しなければ、アメリカ合衆国はイランの様々な発電所を攻撃し、破壊するだろう。まずは最大の発電所から攻撃を開始する!」。

 イラン最大の発電所は、テヘラン郊外のベサト火力発電所(出力約2400MW規模)であり、カスピ海沿岸のネカ発電所(出力約2200MW規模)、そしてブーシェフル原子力発電所(出力約1000MW規模)が続きます。

 民間人の生命維持に関わるインフラを攻撃することは、ジュネーブ条約(国際人道法)に違反する攻撃であり、戦争犯罪の可能性が高いとの指摘があります。

 イラン側は、トランプ大統領の「48時間以内にホルムズ海峡を完全に開放しろ」というメッセージに対して、全面的に拒否し、「完全にホルムズ海峡を閉鎖する」と強い姿勢を示しました。

 さらにイランは、これ以上の侵略攻撃を受けるならば、「死なばもろとも」と、身を捨てて、刺し違える覚悟を示しました。

 イランは、「イランの発電所やインフラが攻撃の標的になった場合、報復として米軍基地や湾岸諸国のエネルギー施設や海水淡水化施設を攻撃する」と表明しました。

 湾岸諸国における淡水化プラントは、文字通り、砂漠の国土に住む湾岸諸国の人々にとって、生命線となるインフラです。

 湾岸諸国内の米軍基地も、水の供給がなくなれば、湾岸諸国内での任務が不可能となります。

 また、湾岸諸国の石油関連施設が破壊された場合、仮にホルムズ海峡が開放されても、イランだけでなく、湾岸諸国から輸出できる石油もなくなります。

 そうなれば、全世界が破滅的なエネルギー危機に陥ることになるでしょう。この『日刊IWJガイド』でも、指摘してきました。

 「48時間以内」の期限を迎えた3月23日、トランプ大統領は、「イランと生産的な話し合いが行われた」として、「発電所攻撃を5日間延期する」と、トゥルース・ソーシャルで発表しました。

 「アメリカ合衆国とイランが、過去2日間にわたり、中東における両国の敵対関係の完全かつ全面的な解決に向けて、非常に良好で生産的な協議を行ったことをご報告できることを嬉しく思う。

 今週も継続される、これらの深く詳細かつ建設的な協議の雰囲気と調子にもとづき、私は国防総省に対し、進行中の会合と協議の成功を条件として、イランの発電所およびエネルギー施設に対するあらゆる軍事攻撃を5日間延期するよう指示した」。

 しかし、イランは、このトランプ大統領の発言を、正面から否定します。

 同日、イラン側は、「米国との交渉を行った事実はない」と、トランプ大統領の「生産的な協議を行った」とする発言を否定しました。トランプ大統領は、嘘をついていると批判したのです。

 3月23日付『ロイター』によると、イスラーム協議会(イランの国会)のモハンマド・バゲル・ガリバフ議長は、「米国との交渉は行われておらず、フェイクニュースは、金融・石油市場を操作し、米国とイスラエルが陥っている泥沼から脱出するために利用されている」と、X(旧ツイッター)に投稿しました。

 このイラン側の指摘には、「金融・石油市場を操作」という、重要な事実が含まれています。

 トランプ大統領がイラン側との和平交渉に進展があった、とSNSにポストする直前に、原油先物市場で、不自然な巨額取引が起きており、インサイダー取引の疑惑がもたれているのです。

 この3月23日のポストの直前、わずか1分間に約5億8000万ドル(約920億円)相当の原油先物が取引され、トランプ大統領のポスト内容と投稿するタイミングを知りえる大統領周辺の人物からの情報で、一部の投資家が巨額の利益を得た可能性が疑われています。

 ホワイトハウスは、こうしたインサイダー取引を否定しているものの、現実に市場が不自然な値動きをしているのは事実です。

 イランへの国際法違反の侵略戦争と、同じく国際法違反のインフラ攻撃の脅迫すら、金儲けの道具にしてしまう強欲な連中がいる、と言う現実には、驚かされます。同時に、イラン側は、その点について、冷静に指摘しているわけです。

 3月26日、トランプ大統領は、トゥルース・ソーシャルで「発電所攻撃を10日間延期する」と発表しました。2度目の延期です。

 トランプ大統領は、この延期を「イラン政府の要請にもとづくもの」と説明しました。

 「イラン政府の要請にもとづき、この声明をもってエネルギー施設の破壊を10日間延期し、2026年4月6日(月)米東部時間午後8時までとすることを表明する。

 現在、協議は継続中であり、フェイクニュース・メディアやその他の一部による誤報報道とは裏腹に、協議は極めて順調に進んでいる」。

 「イランとの協議が進んでいる」と、トランプ大統領は強調しています。

 しかし、ロンドンに拠点を置く『イラン・インターナショナル』によると、ガリバフ議長は、「米国は、交渉を装った降伏条件を追求している」と反発、「米国がイランの降伏を求める限り、我々の答えは明確だ。我々は屈服しない」と述べています。

 3月31日、トランプ大統領は、今度は、ホワイトハウスの大統領執務室で記者団に、「米国は、イランに対する軍事作戦を2〜3週間以内に終結させ、撤退する」と述べました。

 トランプ大統領は、「彼ら(イラン)が長期間にわたって石器時代に逆戻りし、もはや核兵器を開発できないと確信できた時、我々は撤退する」と述べています。

※Trump Says U.S. Military Campaign to Wind Down and Plans National Address(The New York Times、2026年3月31日)
https://www.nytimes.com/live/2026/03/31/world/iran-war-oil-trump/54d6d0c0-3f7c-5751-983c-7117e17f0390

 4月1日、トランプ大統領は、またしても「イラン側が停戦を求めている」と述べ、イラン側は即座に反発、イラン外務省報道官は「その主張は虚偽で、根拠がない」と強く否定しました。

 さらに4月3日、米国のF-15Eストライクイーグル戦闘機が迎撃され、乗員が1名、イラン領内に取り残されるという事件が起こりました。同乗員は、4月5日に救出されたと発表されています。

 この事件によって、イランの制空権を、米軍が握ったわけでもなく、航空優勢を確保したわけでもないという事実が発覚しました。

 イラン側が「懸命に」停線を求めているという、トランプ大統領の一連の発言に疑いがもたれるようになりました。

 事実、この間もイランはミサイルとドローン攻撃を強め、奇襲攻撃を受けた直後の反撃で、湾岸諸国の中の米軍のレーダー13基を破壊し、イスラエルと米軍基地への着弾数を増やしています。

 しかし、トランプ大統領は、イラン側に航空能力があることよりも、この救出作戦の成功の方にフォーカスし、「これは大きな勝利だ」「我々は彼を救出し、イランは我々の行動を阻止できなかった」と自慢気に言い張りました。

 この救出作戦(CSAR)が、あまりにも大規模であったため、1人のパイロットを救出するための作戦などではなく、イラン領内における、別の目的の侵攻作戦を始めていたのではないか、という推測が出ています。

(…会員ページにつづく)

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