3月24日、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)が、ペイン公共政策研究所(米コロラド州にある、エネルギー・安全保障・資源・地政学を専門とする機関)の推計をもとに、衝撃的な分析を発表しました。
この分析は、「イラン戦争の最初の16日間で1万1000発以上の弾薬が消費された──戦争の持続力を決めるのは、『再補充能力』である」という報告書の中で行っています。
- Over 11,000 munitions in 16 Days of the Iran War: ‘Command of the Reload’ Governs Endurance(英王立防衛安全保障研究所、2026年3月24日)
このRUSIの分析は、対イラン侵略戦争では、米軍とイスラエル軍が、高度な防空迎撃ミサイル(サード、SM-3、アロー、パトリオットなど)を、相当数消費していること、さらに、勝敗を決定つけるのは、目前の戦局において優勢かどうかよりも、重要な軍事的備蓄を補充する産業能力の方が重要であるという分析なのです。
RUSIの報告書は、このまま持久戦が続けば、米国・イスラエル軍の敗北は、時間の問題だと指摘しています。
同報告書は、「いくつかの兵器は、依然として豊富で拡張可能な在庫を有している一方で、他のもの、とりわけ長距離迎撃ミサイルや、精密打撃兵器は、枯渇に近づいている」と警戒を発しています。
しかも、トランプ政権は、兵器の増産発注さえ行っていないばかりか、ホルムズ海峡の封鎖によって、硫黄のような重要資材が入ってこないようになったと、RUSIの報告書は指摘しています。
「この産業的脆弱性は、政策上の惰性と、地政学的現実の双方によって、さらに悪化している。
トランプ政権が3月6日に防衛産業の幹部と会合を行った後でさえ、我々が防衛企業と行った議論によれば、資金の裏付けを持つ発注がなされていないため、生産の急増は起きていない。
業界の指導者達は、資金提供の約束が実現しなかったという過去に『痛い目に遭って』いるため、確固たるコミットメントなしに増産することに消極的である。
さらにこれに加えて、高性能爆薬を生産する米国唯一の工場であるホルストン陸軍弾薬工場も、生産増加のための発注を受けていない。
産業基盤の生産は、ホルムズ海峡の封鎖によってさらに悪化しており、これは硫黄のような重要資材の上流供給網を脅かしている」。
- Over 11,000 munitions in 16 Days of the Iran War: ‘Command of the Reload’ Governs Endurance(英王立防衛安全保障研究所、2026年3月24日)
トランプ大統領に対する、こうした批判を目の当たりにすると、彼が民間の不動産業者出身で、徴兵を5回も免れ、行政経験も、軍事についての知識や経験も乏しく、国家の戦争指導者としての資質がないのではないか、と思わずにいれられません。
RUSIが、報告書の中で示したペイン研究による、イスラエル軍・米軍の迎撃・攻撃用ミサイルの在庫切れの期限の推計は衝撃的です。
ペイン研究所は、アメリカ・コロラド州の理工系大学である、コロラド・スクール・オブ・マインズに所属する研究機関で、戦場ではなく「工場と資源」で戦争を分析する研究機関です。
米軍の地上攻撃用ミサイルであるエイタクムス(ATACMS)は、4月12日で在庫切れに、サード終末高高度迎撃ミサイルは、4月17日に在庫切れになると推計されています。
さらに、イスラエルの弾道ミサイル迎撃用の迎撃ミサイルのアロー2とアロー3は、3月27日に在庫切れになると予測されています。
この推計が正しければ、イスラエル軍はすでに、アロー2とアロー3の迎撃ミサイルは、現在、一発も使用できない状況にあります。
なぜ、イランのミサイルがイスラエルに着弾し、被害が拡大しているのか、その理由がよくわかります。
イスラエル軍の攻撃用のブルー・スパロー空中発射弾道ミサイルも、4月5日には在庫切れになります。
イスラエル軍のダビデの投石器スタナー迎撃ミサイルも、4月6日にはなくなります。
イスラエル軍のランページ超音速ミサイルも、4月9日には在庫切れとなります。
イスラエル軍の操作するサード迎撃ミサイルも、4月11日には在庫が切れます。
イスラエル軍の巡航ミサイル『ポパイ・ターボ』/『クリスタル・メイズII』も、4月17日には、在庫が底を尽きます。
レバノンへの侵略にしばしば用いられてきた、イスラエル軍の攻撃用のデリラ巡航ミサイルも、4月27日には在庫切れとなります。
- Over 11,000 munitions in 16 Days of the Iran War: ‘Command of the Reload’ Governs Endurance(英王立防衛安全保障研究所、2026年3月24日)
つまり、イスラエル軍も、米軍も、主だった迎撃ミサイル・攻撃ミサイルともに、4月中には、ほぼ在庫切れになるのです。
しかも、米国のミサイル生産のスピードは、まったく追いつきません。
3月24日に発表された『RUSI』の報告書は、この点を、以下のように、説明しています。
「(米国と同盟国の)防衛産業基盤は現在、これらの弾薬の大半を生産しているものの、それらは極めて複雑であり、生産を急増させることは困難である。
このため、すでに戦争で発射された500発以上のトマホーク巡航ミサイルを補充するには、少なくとも5年はかかる可能性が高い。
さらに悪いことに、兵器や弾薬を製造するために必要な重要防衛鉱物、レアアース、および各種材料の調達は、中国によって複雑化している。
中国は、世界のガリウムおよびゲルマニウムの大半を支配しており、北京は2023年以降、米国およびその同盟国が、防衛産業基盤に必要なこれらの投入物を取得するのを阻止するため、多数の鉱物輸出規制を課している」。
- Over 11,000 munitions in 16 Days of the Iran War: ‘Command of the Reload’ Governs Endurance(英王立防衛安全保障研究所、2026年3月24日)
4月1日の米国の保守系メディア『OAN』のインタビューの中で、4月1日のトランプ大統領の演説を踏まえて、司会者が「イランと何らかの取引合意が成立する可能性はあるか」と聞かれ、元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏は、「ない」と断言し、以下のように述べています。































