「殉教する覚悟だったハメネイ師! イランは米・イスラエルの攻撃を予測し、『モザイク分権型防衛体制』を敷いて応戦準備をしていた!」~岩上安身によるインタビュー 第1213回 ゲスト 放送大学名誉教授・高橋和夫氏(前編) 2026.3.3

記事公開日:2026.3.5取材地: テキスト動画独自
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(文・IWJ編集部)

特集 中東
※3/7テキスト追加

 2026年3月4日、「岩上安身によるインタビュー第1213回 放送大学名誉教授・高橋和夫氏」を初配信した。

 この緊急インタビューは、米国とイスラエルの奇襲攻撃、それによってイランのハメネイ師が爆殺されるという衝撃的な事件が起こって4日目となる3月3日に敢行された。

 冒頭、岩上安身が、「米国とイスラエルが、まず最初に、イランの最高指導者であるアリ・ハメネイ師を爆殺したという第1報を聞いた時の気持ちはどんなものだったでしょう」と質問すると、高橋教授は、「予測をしていたので『やっぱり…』という受け止めだった」と述べた。

 「(米・イスラエルはイランを)攻撃するだろうと。今度は、ハメネイさんの殺害を狙ってくるだろうというのは、予想していましたから、『やっぱり来たか』という感じでしたね。

 昨年(2025年)の6月に、イスラエルとアメリカがイランを爆撃しましたが、イスラエル側の感情、認識は『十分ではなかった』と。核開発を完全に止めていないし、イランのミサイルが、予想外の脅威であるということが認識されて、イスラエルとしては、仕事を完了したいという気持ちがあって、ずっとアメリカの説得工作を続けたわけです。

 だから、『いつやるんだろうな』という気持ちで見ていました。

 そうしたら昨年末12月から今年の1月にかけて、イランで大きな抗議行動があって、『体制は内側から揺らいでいるぞ』、『これはチャンスじゃないか』ということで、トランプが『助けに行くぞ』ということを言ったわけです。

 そこで、ネタニヤフさん、イスラエル側が、『ちょっと待て』と。介入するのはいいんだけれども、今、介入したら、イランがイスラエルに弾道ミサイルを撃ってくる。しかし、イスラエルを守るための体制は、十分ではない、と。

 だから、『ちょっと待ってくれ』ということで、そこから、2ヶ月かけて、(米国の)航空母艦を2隻、(イランの周辺海域に)派遣するという準備が進むんですね。

 で、最後に2隻目の航空母艦(ジェラルド・R・フォード級航空母艦)が、ギリシャの沖からイスラエルの沖に移った時(2月27日)に、これでOK(準備が整った)と。

 次の瞬間、奇襲が始まった、ということなんです」。

 高橋教授は、「米国とイスラエルが、イラン攻撃の準備を進める間も、ずっと核交渉は続いていたが、イラン側が米国の出す条件を受け入れて、『合意は間近だ』と言っているのに、米国は何も言わないという、奇妙な交渉だった」と、振り返った。

 「交渉があるたびに、イラン側は大きな進捗があったという発表をして、仲介をしたオマーンの外務大臣も、いつも、もしかしたら合意に達することができるんじゃないかという楽観的なことでした。

 でも、アメリカは、(協議が)終わったら、何にも言わない。記者会見も何もしなくて、すぐ帰っちゃう。

 『何なんだろう、これは』と思っていたんですね。『もしかしたら、ただ単に時間稼ぎのための交渉、括弧付きの「交渉」だったのかな』と思っていました」。

 米国とイランの核交渉が続く中、インドのモディ首相が、2月25~26日イスラエルを訪問し、マルコ・ルビオ米国務長官がイスラエルを訪問するという情報が流れた。

 しかし、モディ首相が26日にインドに帰国し、米国の原子力空母フォードが27日に現地に到着すると、その翌日、米国とイスラエルによるイラン奇襲攻撃が始まりまった。

 高橋教授は、「結果を見れば、核交渉は壮大な偽装工作だった」と振り返った。

 岩上安身は、「このイラン奇襲攻撃は、タイミングを考えると、エプスタイン事件隠しだったのではないか」と質問した。

 高橋教授は、「トランプ大統領の選挙資金の多くをユダヤ系が提供していること、イスラエルを支持する福音派が票を持っていることが大きい」と指摘した上で、「エプスタイン関連の未公開資料に含まれるトランプ大統領の情報をイスラエルが持っていて、トランプ大統領に圧力をかけているのではないか」という可能性について、言及した。

 「昨年の5月、交渉がうまくいっていると言われていた時期に、アメリカはイランによるウラン濃縮を、低濃度なら認める、という雰囲気で交渉していた。しかし、交渉が進んでいくと、突然、『一切、濃縮は認めないよ』ということを言い始めるんですよね。

 何が、トランプさんの心を変えたのかというのは、わからないです。

 今回も、もちろん、イランがイスラエルに対する脅威だという議論は、それなりの重みのある議論だと思うんですけど、アメリカに対する脅威ではないですよね。

 なぜ、アメリカがイスラエルに付きあったのか、ということです。トランプさんの選挙資金のかなりの部分を、ユダヤ系の人、イスラエル支持者が出しているというのは、大きいんじゃないでしょうか?

 それから、『福音派』と呼ばれている、『イスラエルは、神の奇跡によって生き返った国だ』と信じている人達が、イスラエルのために尽くすのはいいことだと思っている。その人達が、票を持ってくる。

 ただ、それだけかなと思って。

 私の想像なんですけど、エプスタイン・ファイルは、すべてが公開されているわけでなくて、未公開の部分もありますよね。そこに、トランプさんの若い頃の『勇姿』が出てくるのかなと。

 イスラエルは、それを持っていて、『公開するかもしれない』とほのめかして、トランプさんを動かしているという推測は、それなりの説得力があるんじゃないかなと、私は思っているんですね」。

 高橋教授は、一方で、ギャラップの世論調査で、イスラエルよりパレスチナ人に同情的だという人達が、米国内で初めて上回ったこと、ニューヨーク市長選挙で、イスラエルを批判したマムダニ氏が勝ったことなど、「米国内でイスラエル支持が下落しているという現実が、ネタニヤフ首相を焦らせたのではないか」と指摘した。

 「ネタニヤフさんにしてみれば、トランプというのは、イスラエルのために頑張ってくれる、最大のサービスをしてくれる、最大にして最後の大統領になるわけですから、アメリカの力を使ってイランを叩くとなると、『もう、ここしかない』という気持ちは強かったんじゃないかなというふうに思います」。

 岩上安身は、「ハメネイ師を爆殺されたことで、イラン側は、むしろ、核武装に向かうのではないか。その点への懸念というのは、どういうふうに思われますか」と質問した。

 高橋教授は、「その懸念は、ある」と答えた。

 「いや、それはもう、あるわけで。

 亡くなったハメネイ師は、『大量破壊兵器というのは、イスラムに反している』というので、核兵器の開発を許さなかったんですね。

 で、(米国とイスラエルに攻撃されるという)こんな経験をイランがして、ハメネイさんも亡くなる。

 次の政権を担う人は、『じゃあ急いで(核武装を)やったら』という誘惑が、強くなるでしょうね」。

 最高指導者ハメネイ師の後継問題について、高橋教授は、「後継が誰かということがわかれば、命を狙われるリスクがあるので、これまで公にはされていない」と前置きし、「ハメネイ師の息子、ホメイニ師の孫などが、候補になっているのではないか」と推測した。

 岩上安身は、「トランプ側は、イラン国内の不満分子を扇動して、イランの体制転覆を試みているようだが、そんなに簡単にいくのだろうか」と、疑問を投げかけた。

 高橋教授は、「イラン側は、昨年の『12日間戦争』の経験から、奇襲攻撃に備えていた」と述べた。

 「もう昨年、(イランは)奇襲攻撃を受けましたから、今度も奇襲でくる(とわかっていた)。

 昨年は、イスラエルが攻撃をして、だいたい20~21時間後ぐらいに、(イランが)反撃をしたんですね(反撃までにかなり時間がかかった)。

 ですから、指揮系統が揺れて、なかなか立ち上がらなかったんですが、今回は、もう1時間以内ぐらいで(反撃に)動いているんですね。

 明らかに、事前に、権限がそれぞれの部隊に移譲してあって、こういうことがあったら、『あなたはすぐに、戦いをはじめなさい』と、『指示を待たなくても』という(準備できていた)。

 アラグチ外相が、『モザイク戦略』というようなことを言ったんですが、まさにそうなんですね。

 だから、イラン側も、それを数年で学んできている、というところかと思います」。

 インタビュー後編では、イランの「モザイク戦略」「モザイク分権型防衛体制」についてお話しいただいた。ぜひ、前編とともに、後編も御覧いただきたい。

■全編動画 【前編】

  • 日時 2026年3月3日(火)21:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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