岩上安身は2026年3月3日、緊迫するイラン情勢について、放送大学名誉教授の高橋和夫氏に緊急インタビューを敢行した。
このインタビューを前後編に分け、3月5日に後編を初配信した。
米国とイスラエルによる攻撃初日の爆撃で殺害されたハメネイ師について、高橋教授は、「イランのメディアを見ていたら、ハメネイさんは、しょっちゅう人前に出てきて演説していたりしていて、逃げも隠れもしていない」と述べ、以下のように続けた。
「周りの人が、最高指導者(ハメネイ師)に『防空壕に隠れましょう』と提案したら、『いや、イラン国民9200万人が、みんな防空壕に入れるのだったら、9200万プラス1番目で入ります』と。
国民が危ないのだったら、自分も危ない目にあうと、そういう姿勢で、おそらく、殉教を覚悟していたんだと思います。
ハメネイさんは、もう86歳でしたから、殉教者として、アッラーに迎えられたいという気持ちは、それなりにあったと思います」。
さらに高橋教授は、昨年、イランが米国とイスラエルによる奇襲攻撃を受けた際は、反撃まで20時間かかったが、今回はすぐに反撃したことを指摘し、「最高指導者や幹部が殺害されることを想定して、その次のことが決まっていた。(前編で)ご紹介したように、モザイク=分権型防衛体制。各地の司令官に権限が与えられていて、『こういう状況になったら、この目標に撃つ』というのが、決まっていたんでしょうね」との見方を示した。
岩上安身は、イランが極超音速ミサイルを保有していることを指摘し、「米軍の空母対イランの極超音速ミサイルという、21世紀の軍事的な雌雄を決する重要な事態にまで行くことはあるんでしょうか?」と質問すると、高橋教授は、次のように答えた。
「それを懸念する人と、期待する人と、両方いると思うんですけど、今のイランの体制が、いよいよ追い詰められて、持っているミサイルの数も限られてきて、それが次々に爆撃で破壊されるという状況になったら、『破壊される前に、撃ってしまおう』という気になりますよね。
アメリカの航空母艦に、集中的にICBM、大陸間弾道弾を撃った時に、防ぎ切れるのか、というのがあります。
1941年6月のミッドウェー海戦に勝って以来、アメリカの空母が、基本的に世界を支配していたのだけれど、もしそれが、比較的値段の安いミサイルで破壊できる、ということになったら、真珠湾によって、『もう、戦艦の時代じゃない』と、我々が悟ったように、新しい時代が明けたことを告げるかもしれないですね。
アメリカの一極覇権を支えた空母の時代の終わり、ということになる。
戦争は、いろんな教訓を残すのですけど、中東では常に最新兵器が使われますから、何か、世界的な転換点になるのかもしれない」。
また、岩上安身が「周辺のスンニ派湾岸諸国は、アメリカと一体となって、イラン攻撃に向かうのか? 政情は、どうなるんでしょうか?」と質問すると、高橋教授は、以下のように解説した。
「イランの核問題がずっとあって、オバマさんの時には、サウジアラビアとかはみんな、『イランを潰してくれ。それで問題解決だ』と言っていたんですね。
ところが、最近の核交渉に関しては、『戦争はしないでくれ』と。『戦争をしたら、不安定になって、自分達の経済発展に資さない』という議論をしていた。
だから、『自分達は、イランを救おうとしていたのに、(イランから報復攻撃をされるのは)ひどいじゃないか』というのが、表向きの対応なんです。
しかし、『ワシントン・ポスト』が書いているところによると、サウジアラビアは、表向きは『戦争をしないで、外交でやってくれ』と言いつつ、(ムハンマド・ビン・サルマン)皇太子は、イスラエルと一緒に、アメリカに、『イランを片づけてくれ』と言っていたというので、イランにしてみれば、『お前ら、撃たれて当たり前だろう』という感じですよね。
ちょっと考えると不思議なんですけど、アラブ首長国連邦にしても、サウジにしても、イランのすぐ隣でしょう。アメリカとイランが戦争をしたら、とばっちりが来るに決まっているのに、これまでは、何となく、アメリカがイランを片付けてくれたら、それで終わりだという気持ちだったんですね。
今、イランが発しているメッセージは、ホルムズ海峡を封鎖して、サウジとかUAEの油田地帯に手を出して、石油の価格を上げて、間接的にトランプの中間選挙の邪魔をしようというところがあるわけですよね。
ここで次の展開は、イランにだって、石油精製施設があるわけです。これを潰そうと、イスラエルは、ずっと言っていたわけです。そうすることによって、イランの経済の屋台骨を壊す。イランは、立ち上がれなくなると。
ですから、ある意味、イランの石油生産地帯の関連施設と、アラブ側のガスとか石油施設は、相互核抑止ならぬ相互脆弱性抑止みたいなもので、相手側に手を出したら、自分がやられる。
ということで、イランはよほど追い詰められない限り、やらないと思っていたら、最初にやり始めたんですね。
だから、恐らく今回の戦争は、体制が生き残るか死ぬかの闘争であって、『もう手加減なんかしていられない。先手を打とう』ということだったと思うんですね。
だから、次の展開は、イランの油田地帯をどうするかということで、今心配するのは、ペルシャ湾の石油とか天然ガスが、(ホルムズ海峡から外に)出ないということを心配しているんですけど、実際に双方が攻撃して潰しちゃったら、(ホルムズ海峡から出てこないのではなく、そもそも)地面から(石油やガスが)出てこなくなる。
そういう問題で、問題がさらに長期化すると」。





























