イラン・イスラム革命防衛隊は、4月3日、米空軍戦闘機を撃墜したとして、残骸の写真を発表しました。
4月3日付『CNN』は、「イランメディアはF-35ステルス戦闘機の破片だと主張しているが、残骸の写真は米空軍のF-15戦闘機(実際にはF-15Eストライク・イーグル)のものとみられる」と報じています。
撃墜されたのが、F-35か、F-15か、その違いは決して小さなものではありません。
F-15は、第4世代ジェット戦闘機で、米軍を含め、西側各国の空軍の主力戦闘機として、今なお広く使われていますが、レーダーに映らないステルス性能は備えていません。
それに対して、F-35は、多目的に使える統合打撃戦闘機計画(JSF)にもとづいて開発された、最新鋭の第5世代ジェット戦闘機であり、ステルス性能を備えています。F-35は、訓練中の事故は除いて、実戦投入されてから、一度も戦場で撃墜された記録がありません。
そのような、レーダーに映らないステルス性能の機体を、どうやって捕捉・撃墜することができるのかといえば、赤外線(熱源)を探知することによって可能となります。
ジェット機は機体の最後尾から高温の排気ガスを出しますし、高速のため、機体が摩擦熱を起こします。こうした高温ばかりは、ステルス性能を持つ戦闘機でも、隠せません。
ですので、迎撃する戦闘機に、赤外線捜索追尾システム(IRST)を備えたり、赤外線誘導ミサイルなどによって探知して追尾し、撃墜することが可能となるのです。あくまで、理論上では、です。
しかし、F-35は、先述したように、実戦で撃墜された記録がありません。赤外線探知システムを用いても、超音速で飛ぶF-35を捕捉・撃墜することは容易ではないのでしょう。
それだけに、イラン側の発表の通りだとしたら、軍事史上に特筆される出来事となり、米軍と西側同盟諸国の空軍、および開発したロッキード・マーティン社にとっては、大打撃ということになります。大騒ぎになっているのは、もっともなことです。
※イラン、撃墜したF35戦闘機の残骸と主張する写真公開 専門家の見解ではF15か(CNN、2026年4月3日)
https://www.cnn.co.jp/usa/35246039.html
なお、米国でも、イランでもない、第3国のインドのメディアである『タイムズ・オブ・インディア』は、4月4日付で、撃墜される戦闘機の映像とともに、「米国またはイスラエルのF-16かF-35戦闘機が撃墜された。F-16の可能性が高い」と報じています。このF-35(F-16の可能性が高い)が、3日に撃墜されたというF-35(F-15と見られる)と同じ機体なのか、別の機体なのか、情報が錯綜しています。
- ON CAM: Iran Shoots Down Israeli F-16 Fighter Aircraft After Hitting 4 American Jets, Choppers?(Times of India、2026年4月4日)
F-16は、F-15と同じく、ステルス性能を持たない、第4.5世代に分類される多用途ジェット戦闘機です。
F-15か、F-16か、はたまたF-35かは、ともかく、米国製のジェット戦闘機が撃墜されたのと同じ4月3日、A-10サンダーボルト2攻撃機が、ホルムズ海峡付近で、イランの革命防衛隊に撃墜されました。
このA-10は、近接航空支援戦闘機であり、先に撃墜された戦闘機の乗員を捜索・救助するために出動していましたが、捜索中にイラン側の攻撃を受け、クウェート領空まで退避した後に、パイロットが無事に脱出し、機体は墜落したと報じられています。
米国が撃墜されたことを認めている先のジェット戦闘機の乗員は2名で、これまでに1人が救出され、2人目が行方不明であり、捜索活動が続けられています。
また、イラン側からの攻撃で被弾したA-10の乗員は、機体の墜落前に脱出し、無事、救出されました。
『タイムズ・オブ・インディア』は、「イランは捜索活動中の米軍ヘリUH-60ブラックホーク2機も撃墜したと主張しているが、この報道は未確認だ」と報じています。
米国政府は、「F-15Eが撃墜された」と発表していますが、救出作戦や、F-15E以外の戦闘機やヘリが被弾・撃墜されたことについては、コメントしていません。こうしたことも、憶測を呼ぶ原因となっていると思われます。
『タイムズ・オブ・インディア』によると、イラン・イスラム革命防衛隊は、米軍の戦闘機9機を撃墜したと主張しています。
その内訳は、F-15が4機(うち3機はクエートの防空システムによる誤射)、F-16が2機、F-18が1機、F-35が2機となっています。
これら、イラン側の発表が、間違っていたり、誇張されている可能性は、もちろん排除できません。
米中央軍は、「米軍の戦闘機の所在は、すべて確認済だ」と、詳細は明らかにしないものの、イラン側の主張を否定しています。
どちらの主張が真実なのかは、現時点ではまだ、わかりませんが、重要なことは、機種はともかく、イランの領空内で、米軍の戦闘機が撃墜された事実です。
米軍も、イスラエル軍も、イランの領域外から、ミサイルを発射するなどして攻撃してきたと言われています。
しかし、今回は、領空内に侵入して、撃墜された、ということです。
トランプ大統領は、4月1日の演説で、イランの軍事力を壊滅させた、と胸を張って戦果を誇りました。
- 【大ボラを吹き続けているトランプ大統領!!「トランプは、自分の誤りを認めない。彼は、負けているにもかかわらず、賭け続ける下手なギャンブラーのようだ」(元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏)!】(日刊IWJガイド、2026年4月3日号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20260403#idx-5
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55524#idx-5
もし、トランプ大統領が主張したように、米軍がイランの軍事力を壊滅させ、防空システムも完全に破壊したならば、イラン上空は、米・イスラエル側が制空権を握っているはずです。米軍の戦闘機が、撃墜された事実と矛盾します。
深く考え込まずとも、答えは明らかです。
イラン側は、今なお、自国の領空の制空権、または航空優勢を保持しており、トランプ大統領の演説は、虚偽である、ということです。
































