2025年2月7日午前9時20分頃より、東京都千代田区の厚生労働省にて、福岡資麿厚生労働大臣の定例会見が開催された。
質疑応答において、IWJ記者は、トランプ米大統領が、WHOから脱退する大統領令に署名したことによる日本への影響について、以下の通り質問した。
IWJ記者「『新型コロナ感染症への対応を誤った』ことなどを理由に、トランプ米大統領がWHOから脱退する大統領令に署名したことを受け、CDC(米国疾病対策センター)の職員がWHOとの連絡を絶つように指示されているとの報道があります。
昨年、東京の米国大使館内にCDCの地域事務局が開設されましたが、この事務局はCDCが世界的な公衆衛生の問題に対応することを見据え、東アジアと太平洋地域でより強い協力関係を築き、より迅速な対応を可能にするために設置されたものです。
WHOに加盟したままの我が国としては、この事務局との連携が絶たれるということになるのでしょうか。
また、『日本版CDC』とも呼ばれる国立健康危機管理研究機構(JIHS)が、この4月に発足予定ですが、今後の感染症対策において、日本は、WHOを脱退した米国とどのような関係性を維持していくのでしょうか。
米国のWHO脱退が、JIHSの今後の役割に及ぼす影響について、ご教示ください」
この質問に対して、福岡大臣は次のように答弁した。
福岡大臣「米国がWHOを脱退することによる影響については、米国の今後の動向が不透明である現時点におきましては、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
これまでも申し上げています通り、我が国といたしましては、WHOが引き続き、国際保健の専門機関として科学的知見にもとづき、先般の新型コロナ感染症のような地球規模の国際保健上の危機対応を先導することを期待しています。
また、米国は国際保健の重要な貢献者であり、我が国としては、引き続き米国を含む各国と連携し、国際保健の諸課題に取り組んでいく必要があると考えております。
我が国と米国、及び、CDC東アジア太平洋地域オフィスとは、これまでも感染症対策に関して情報共有等を行ってきたところでございまして、米国の状況については注視しながら引き続き連携をしていきたいと考えています」
IWJ記者は、「日本版CDC」について、次のように質問を重ねた。
IWJ記者「『日本版CDC』について、追加の質問ですけれども、2025年1月5日付の公明党のニュースサイトで、公明党の医療制度委員長で参議院議員の秋野公造氏が、日本版CDCの創設された背景について問われて、以下のように答えています。
『医療提供体制の整備や治療薬・ワクチンの確保などの初動が遅れた教訓を踏まえたもの』というのが、日本版CDC創設の背景だということです。
これは、ワクチン接種前の状況に対する教訓であると思うのですけれども、また、ここでは甚大な健康被害、ワクチン接種がもたらした甚大な健康被害についての問いがそっくり抜け落ちていると思うのですけれども、そのことについて、大臣のご意見をお聞かせください」
- 感染症に備える日本版CDC(公明党、2025年1月5日)
福岡大臣「ちょっとそこは、秋野議員が、どのような状況で、どのような趣旨でご発言をされたかということについては、私もその場にいなかったものですから、そういうニュアンスも含めて承知していないことについてのコメントは、差し控えさせていただきたいと思います」
IWJ記者は、さらにもう一点、質問した。
IWJ記者「甚大な健康被害についての問いというのは、まだ教訓にもなっておらず、これから教訓化させていかなければいけないと思うんですけれども、mRNAワクチンの施策全体についての教訓化、そういうことについて、大臣ご見解をお聞かせください」
福岡大臣「さまざまな制度がそうでありますが、そのあり方については常に検証しながら、そのあり方については、それが本当に正しいものかどうかの検証というのは、不断に続けていく必要はあると思います」
福岡大臣の回答は、万事、米国次第、と聞こえるようなものであった。仮に米国次第だとしても、前政権に近い方向なのか、現在のトランプ政権の方向性にあわせるのか、それもわからないという、主体性のなさで、日本国民も、日本の医療関係者もとまどいを覚えざるを得ない。
会見の詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。