2024年1月30日午前11時頃より、東京都千代田区の外務省にて、上川陽子外務大臣の定例記者会見が開催された。
冒頭、上川大臣より、外務省内での横断的な連携を目的とした、女性・平和・安全保障(WPS)タスクフォースの設置について、報告があった。
- 女性・平和・安全保障(WPS)タスクフォースの立上げ(外務省、2024年1月29日)
この新しいタスクフォース(WPS)は、女性や女児の保護や救済に加え、女性自身が指導的な立場に立って、紛争の予防や復興・平和構築に参画することで、より持続可能な平和に近づくことができるというコンセプトを基本にしている。
上川大臣は、「国際社会の平和と安定に貢献する前向きなアジェンダとして、WPSを政策から現場まで、さまざまな局面で推進をしていく決意であります」と述べた。
大臣からの報告に続いて、大臣と各社記者との質疑応答となった。
IWJ記者は残念ながら指名されず、質問できなかった。
他社記者からは、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金供給停止について、次のような質問があった。
・【第1弾! 国際司法裁判所がイスラエルに命令を出した同じ日、イスラエルが10月7日のハマスによる攻撃に国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員が関与していたと告発! 調査も待たずに即日、米国初め西側諸国がUNRWAへの資金提供を凍結!日本もただちに追随して資金拠出を当面停止!】これはただの「偶然」か!? イスラエル系米国人ジャーナリストが「ガザでの大量虐殺に関するICJ判決から目をそらすための試みであるように思われる」と指摘!(『AP』、2024年1月28日ほか)
会員版:(日刊IWJガイド、2024年1月30日)
非会員版:(日刊IWJガイド、2024年1月30日)
「UNRWAへの資金拠出停止についてうかがいます。
UNRWAの職員が、昨年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲に関与した疑いが浮上したことを受け、政府は資金拠出を一時停止すると発表しました。
迅速かつ完全な調査の実施と、ガバナンス強化を含めた適切な対応をUNRWA側に求めていますが、具体的にどのような対応があれば、資金拠出再開を検討するお考えでしょうか?
人道状況が悪化する現在のガザ地区におけるUNRWAの役割の重要性について、大臣のお考えを改めてお聞かせください」。
この質問に対して、上川大臣は以下の通り答えた。
「まず、UNRWAへの資金拠出再開について、ということでおたずねがございました。
我が国は、今般のUNRWA職員への疑惑を極めて憂慮をしております。本件に関しましては、国連による調査が行われ、対応策が検討されるため、当面の間、UNRWAへの追加的な資金拠出を一時停止するとともに、UNRWA内のガバナンスの強化を含め、適切な対応がとられることを強く求めております。
本件調査は開始されたばかりであります。今後の対応につきましては、予断することができませんが、国連や、またUNRWA関係国とも緊密にコミュニケーションをとりながら、今後の対応につきましても検討してまいりたいと考えております。
続きまして、UNRWAの役割の重要性についてのおたずねがございました。
UNRWAは、数百万人ものパレスチナ難民を対象に、保健や医療、また教育や福祉などの、こうした不可欠なサービスを提供しておりまして、重要な役割を果たしてきました。
そして、昨年11月に私自身、UNRWAの本部を訪問をいたしたところでありますが、人道状況が深刻の一途をたどっているガザ地区におきまして、UNRWAが住民一人ひとりに必要な人道支援、これを届けるという、大変不可欠な役割を担っているということについては、実感をしたところであります。
一方、UNRWAが、こうした本来の役割を果たす上でも、この同機関のガバナンスが信頼あるものであるということが前提であるというふうに考えております。
UNRWAが、その役割を十全に果たすことができるよう、我が国として、適切な対応を強く求めております。
同時に、引き続き他の国際機関への支援等を通じまして、ガザ地区の人道状況の改善、その事態の早期沈静化に向けました外交努力を粘り強く、そして積極的に続けていく考えであります」。
上川大臣の冒頭発言、及び、各社記者の質疑内容など、会見の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。