日・ウクライナ共同声明と中ロ共同声明で明確になった日中両国の考えの違いが日中外交へのもたらす影響について「昨年11月の日中首脳会談で得られた前向きなモメンタムを維持しつつ、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めていく」と林大臣~3.24林芳正 外務大臣 定例会見 2023.3.24

記事公開日:2023.3.25取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2023年3月24日、午後4時55分より、東京・外務省にて、林芳正 外務大臣の定例会見が行われた。

 冒頭、林大臣より、3月27日から、パスポート、ビザ、各種証明のオンライン申請が始まり、これらの手数料をクレジットカードによってオンラインで支払できるサービスも一部先行して開始される旨の報告があった(※)。


 続いて、各社記者と林大臣との質疑応答となった。

 質問は、3月21日、岸田首相がウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領との会談後に行った共同記者会見、および、そこで発出した共同声明(※)の内容について集中した。

 毎日新聞記者から、次のような質問があった。

毎日新聞記者「岸田首相がキーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した同時期に、中国の習近平国家主席がモスクワを訪問し、中ロ首脳会談を行いました。欧米メディアでは、この2つの動きを並べて報じるなど、ロシアによるウクライナ侵略に対する日中両国の考えの違いが鮮明になったと思います。

 そのことをどのように受けとめてますでしょうか。また、中国から招請を受けている大臣の訪中を含め、日中両国の外交への影響について、どのようにお考えか教えてください」。

 この質問に、林外務大臣は次のような答弁を行なった。

林大臣「岸田総理のウクライナ訪問では、ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、ウクライナはもちろん、世界のいかなる場所においても、力による一方的な現状変更、これを許してはならないということを、改めて世界に発信することができたというふうに考えております。

 一方、習近平国家主席の訪露では、共同記者会見・共同記者発表などの場において、中露首脳から、ロシアのウクライナ領土からの即時撤兵等についての言及はなかったというふうに承知をしております。

 ロシアはウクライナに対する攻撃、これを現在も続けているほか、プーチン大統領も併合したウクライナの一部地域は交渉の対象ではない旨述べるなど、和平に向けて歩み寄ろうとする兆しが一切見られないわけでございます。

 そもそも国際法違反の侵略を行っているのは、ロシアでありまして、いかなる解決策もこの前提を踏まえなければならないと考えます。

 我が国として、ウクライナ情勢をめぐるものを含むロシアと中国の動向を引き続き注視をしております。同時に、中国に対しては、さまざまな機会を通じて引き続き、責任ある対応を強く求めてまいります。

 そして、私の訪中についてでございますが、そもそも日中関係については、日中両国さまざまな可能性とともに、数多くの課題や懸案に直面をしております。

 同時に、国際社会の情勢の変化の中で、日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有しておるわけでございます。

 中国との間では、昨年11月の日中首脳会談で得られた前向きなモメンタム、これを維持しながら、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含めて首脳間を初めとする対話をしっかりと重ねて、共通の課題については協力を考えていく。建設的かつ安定的な関係を、日中双方の努力で構築していくということが重要であると考えております。

 私の訪中について、秦剛部長、及び王毅主任から改めて招待があったところでございます。引き続き、さまざまな状況を踏まえつつ、具体的な実施時期を調整をしてまいります」。

 IWJ記者も、日・ウクライナ共同声明と中ロ共同声明の内容に関する質問を準備して会見に臨んだが、残念ながら指名されず、質問はかなわなかった。

会見の詳細はぜひ全編動画をご視聴ください。

■全編動画

  • 日時 2023年3月24 日(金)16:55~
  • 場所 外務省本省 会見室(東京都千代田区)

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