2022年11月25日、午後12時30分より、東京都千代田区の外務省にて、林芳正外務大臣の定例会見が行われた。
冒頭、林大臣から報告事項はなく、大臣と各社記者との質疑応答となった。IWJ記者は質問を準備して臨んだが、会見時間は10分にも満たず、指名される前に終了となり、残念ながら質問できなかった。
他社記者からは、「北朝鮮が7回目の核実験などを行った場合、日本政府も追加の制裁を科すのか?」、「日韓両政府による『元徴用工問題』の早期解決に向けた協議の現状や見通し」、「開発協力大綱の改定への外務省としての対応」、「明治の産業革命遺産」、「外務省人事」などについて、質問があった。
- 日韓局長協議の開催(結果)(外務省、2022年11月24日)
- 開発協力大綱の改定(外務省、2022年9月9日)
ラジオ・フランスの記者は、サッカーワールドカップが行われているカタールの人権問題について、次のように質問した。
「カタールについての質問をさせていただきます。
ワールドカップの競技競場の建設現場などで、移民労働者の労働環境や生活環境をめぐって、欧米を中心に、海外メディアやNGOが、人権侵害を含めて、多くの問題が指摘されています。その状況について、その指摘について、日本の政府のスタンスを教えてください」
この質問に対し、林大臣は次のように答えた。
「国際人権団体等からさまざまな指摘がなされていることは承知をしております。
その上で近年、カタール政府は労働改革等に取り組んでいると承知をしておりまして、引き続き、カタール政府がこうした取り組みを、継続をすることを、期待をしております」
11月24日、サッカーのワールドカップ カタール大会で、日本がドイツに2対1で逆転勝利を果たした。
多くの日本の国民が歓喜に沸き立ち、各メディアは大きく報じた。
しかし、11月19日付け『オルタナ』の記事によると、その逆転勝利が演じられたスタジアムの建設現場や周辺インフラ設備工事において、猛暑の中での過酷な労働により、多くの命が失われている。移住労働者の死亡者数は6500人を超えるといわれ、賃金の未払いも後を絶たないとのことである。
- カタールW杯会場建設で6千人が死亡、NGOの非難高まる(alterna 2022/11/19)
FIFAに救済基金の設立を求める動きもあるようだが、日本政府の反応は鈍い。林大臣は答弁の中で、『カタール政府の労働改革の継続に期待する』としているが、これはカタール一国が改革に取りくめば済む問題ではなく、ワールドカップに参加し、競技場を利用しているすべてのチーム、すべての参加国が考えなければならない国際的な人権問題であるはずだ。
会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。