2022年11月11日、午後4時35分より、東京・外務省本省にて、林芳正 外務大臣の定例会見が行われた。
冒頭、林大臣より、3つの施策についての報告があった。詳細については、以下のとおり、外務省の報道発表(すべて11/11)を参照頂きたい。
- 林外務大臣の長崎県訪問(「地方を世界へ」プロジェクト)
大臣からの報告後、各社記者との質疑応答となった。
IWJ記者は、質問を準備して会見に臨んだが、残念ながら指名されず、質問をすることはできなかった。
毎日新聞の記者から、ウクライナで邦人が死亡した件について、次のような質問があった。
毎日新聞記者「長官会見でも出ましたが、ロシア軍と戦闘に参加していた20代の邦人男性が9日に死亡したことが、現地時間の10日にウクライナ当局から確認されたとのことでしたが、外務省として確認されている情報やご家族への対応、御遺体の帰国。また、今後のウクライナへの渡航に対して、どのように注意喚起していくか、お願いします」
林大臣「在ウクライナ日本国大使館からですね、ウクライナ当局に対して確認を行いましたところ、ウクライナにおいてロシア軍との戦闘に参加していた20代の邦人男性が現地時間11月9日に亡くなられたことが、現地時間10日に確認をされました。
現在、在ウクライナ大使館において邦人保護の観点から御家族との連絡やご遺体を管理しているウクライナ政府との調整等必要な支援を行っているところでございます。
また、今後の対応と致しましたといたしましては、既にウクライナ全土には退避勧告を出しておりまして、どのような目的であれ、同国への渡航はやめていただきたいと繰り返し申し上げたいと思います。
また、既に滞在されておられる方はですね、安全を確保した上で、直ちに退避をしていただきたい。このことも申し上げておきたいと思います」
この邦人男性の死亡についての受けとめを求められ、林大臣は次のように述べた。
林大臣「はい。この今般のロシアによる侵略、これは国際秩序の根幹を脅かすものであり、政府としてはロシアに対し即時に侵略を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう強く求めてきております。
そのような中で、ウクライナにおいて邦人が亡くなられたということはまことに遺憾であるというふうに思っております」
2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵略以来、約9カ月が経過するが、戦争の終結、あるいは停戦の目途は依然として立っていない。ウクライナ情勢が膠着する中、今後の日本の外交・安全保障に大きな影響を及ぼすであろう事態が進行している。
11月6日付けの『フィナンシャル・タイムズ』は「台湾有事に備え、12月に、日本と英国が軍事協力強化のための協定に署名する予定であり、英国防省の報道官は『協議は前向きに進んでいる』と発言した」と報じた。
また、11月8日には共同通信が「北朝鮮が核実験を行えば、米軍は日本海に原子力空母を展開、日・米・韓の『統合抑止力』を誇示する」と報じている。
このような主権国家の根幹に関わる安全保障体制の問題について、ウクライナ問題の場合と違い、国会、あるいは国民間での議論は行われていない。
安倍政権以降、「台湾・朝鮮半島有事の際、日本は参戦する」という方針が継続されているが、実際の戦闘で矢面に立たされるのは米英ではなく、日本だ。しっかりとした国民的議論が必要ではないかと思うが、次の会見で質問をしたいと考えている。
記者会見の詳細は是非、全編動画をご視聴ください。
以上、ご確認のほどよろしくお願いします。