西村大臣の報告は、APEC閣僚会議とIPEF閣僚会議、生成AIについて。記者質問は大阪・関西万博、中国の核兵器開発機関による西側先端技術転用など。IWJ記者は質問かなわず~11.17 西村康稔 経済産業大臣 定例記者会見 2023.11.17

記事公開日:2023.11.19取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2023年11月14日午前10時20分頃より、西村康稔経済産業大臣の定例記者会見が、東京都千代田区の経済産業省にて開催された。

 冒頭、西村大臣から2つの報告があった。

 1つは、アメリカ・サンフランシスコで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)閣僚会議、及び、IPEF(インド太平洋経済枠組み)閣僚会議(11月12日~16日)について。西村大臣は以下の通り報告した。

西村大臣「IPEF閣僚会議の結果ですけれども、各国が閣僚間で議論した内容、そして成果をそれぞれ各国首脳に報告をいたしました。

 その結果、首脳会議を待たずに『クリーン経済』分野と『公正な経済』分野については、実質妥結ということになりました。私自身も岸田総理に報告をし、ご理解をいただいたところでございます。

 その中でも、特に『クリーン経済』については、『ネットゼロ(温室効果ガスの排出量を正味ゼロにすること)』に向けた多様な道筋を追求し、経済成長と両立する形で、公正で持続可能な移行の実現を目指す我が国にとって、大きな意義のある合意となりました」。

 2つ目の報告は、「生成AI」について。西村大臣の報告は以下の通り。

西村大臣「生成AI。まさにこれからの経済社会のあり方、そして働き方を大きく変える日本経済の今後の成長を左右する大変重要な技術として認識をしております。

 経産省におきましては、2020年度からNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトとして、ヒトとともに進化する次世代人工知能に関する技術開発事業を実施をしてまいりました。

 これまで約114億円を措置し、実社会のデータを用いて、人々の生活やビジネスをサポートするAIの研究開発支援を実施してまいりましたが、その事業の中の一つとして、本年6月から生成AIを活用して、手塚治虫氏の『ブラック・ジャック』の新作を制作するプロジェクト『TEZUKA2023』が手塚プロダクション等によって実施をされてきました。

 11月22日にその成果が『週刊少年チャンピオン』に掲載されます。この新作においては、シナリオラインやキャラクターデザイン等を構想する際に、生成AIが活用されています。

 また、生成AIに的確に指示を与えるためのツールが開発され、一連の制作過程・工程において、AIがクリエイターの創造性をサポートすることで作業を効率化するといった、人とAIが共存したものとなっております。(中略)

 引き続き、様々な産業分野において、このAIの適切な利用を促進することで、作業の効率化、生産性向上などを目指して実現をし、経済成長につなげていければというふうに考えております」。

 大臣からの報告に続いて、西村大臣と各社記者との質疑応答となった。

 IWJ記者は、11月2日に、米国が、ロシア北極圏でのLNGプロジェクト「アークティック2」を制裁対象としたことについて、エネルギー資源の少ない日本が、米国に従って制裁に加担すれば、国が破綻しかねないこと。また、軍事上の安全保障における米国への依存に加え、エネルギー安全保障においてまで、米国に追随することの危うさについて、西村大臣に問い質すべく質問を準備して臨んだが、指名されず、質問はかなわなかった。

 他社の記者からは、「大阪・関西万博への各国の参加状況」、「万博会場に設置される(推定費用350億円の)『木造リング(大屋根)』の必要性」、「中国の核兵器開発機関が日米欧の先端技術を転用していたとされる問題」、「世界貿易機関(WTO)衛生植物検疫(SPS)委員会での、処理水海洋放出を受けた中国などによる日本産水産物の輸入停止措置に対する日本政府の即時撤廃要求」、そして、「高レベル放射性廃棄物の最終処分場候補の北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で実施されている『文献調査』」などについて質問があった。

 記者会見の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2023年11月17日(金)9:40~
  • 場所 経産省内 記者会見室(東京都千代田区)

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