「アメリカと共に戦争のできる国づくりが、安倍政権の最終目標だ」 ~宇都宮健児×海渡雄一×岩上安身が2013年を振り返る(IWJ年末特番より) 2013.12.31

記事公開日:2014.1.15取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・関根)

 「都民の暮らしを考えたら、東京都として、TPPに反対する方向を打ち出さなくてはならない」「都知事になったら、柏崎刈羽原発の再稼働中止で、泉田新潟県知事とタッグを組む」──。

 東京都知事選に立候補を表明した宇都宮健児氏は、このように意欲を示した。また、「どうしても国民は、憲法、原発、TPPなど、日本の将来を決定するような問題を議論するより、当座の雇用や景気に関心がいってしまう。それをうまく捉えたのが、アベノミクス。しかし、安倍政権の命は経済回復。来年4月の消費税増税でどうなるか」と語った。

 2013年12月31日に行われた「IWJ年末特番 宇都宮健児×海渡雄一×岩上安身」の後半。岩上安身が、宇都宮氏と海渡雄一氏とともに、1年間の出来事を振り返った。

記事目次

■2部イントロ

※ 1部の動画記事はこちら→【東京都知事選】宇都宮健児氏、安倍政権に打撃を与える「都政」を語る ~「五輪は、ゼネコンでなく国民が喜ぶかたちで行う」(IWJ年末特番より) 2013.12.31

安倍政権のゴールは、アメリカと一緒に戦争できる国づくり

 宇都宮氏と海渡氏、岩上の3人は、自民党が294議席で圧勝した、2012年12月16日の衆議院総選挙(東京都知事選も同日投票)から、その後1年間の動きを振り返った。

 宇都宮氏は「安倍政権になり、夏の参院選での勝利も合わせ、一気に軍事的、国家主義的になった。原発再稼働と輸出、改憲、集団的自衛権行使の容認、生活保護切り下げ、社会保障改悪、特定秘密保護法案可決へと突き進んだ」と、この1年の動きを総括。

 「国家戦略特区にみるように、安倍政権は、世界で企業が一番活動しやすい国づくりを謳い、総選挙で反対を表明したにもかかわらず、TPP参加へと暴走する」と述べ、「アメリカと共に戦争のできる国づくりが、最終目標だ」と指摘した。

 「しかし、東京オリンピック招致に成功した猪瀬東京都知事の失脚にみるように、政治家は、盤石に見えてもいったん崩れ始めると、とても脆い。安倍政権にも盲点があるのではないか」とも話した。

 海渡氏は「原発再稼働反対は、国民の過半数以上が、特定秘密保護法案は8割近い国民が、反対している。安倍政権は、民主主義的政権ではない。非常に危険だ」と補足した。

ヘイトスピーチと人種差別撤廃条約、そしてツワネ原則

 岩上は「1月は、アルジェリアの天然ガス精製プラントで、日本人人質事件が発生、邦人社員も射殺された。日本政府は、イスラム原理主義者のテロを強調し、そこに、特定秘密保護法を絡めて論じる」と述べた。

 1月から2月にかけて過激化した、ヘイトスピーチ排外デモに話題を移した岩上は、「排外デモを、マスコミはまったく報じなかったが、それに対する抗議行動も大きくなった」と説明。宇都宮氏は「市民も反撃するというのは、健全な社会の動きだ。また、在日の人たちが商売しているところを、デモコースとして認めるのはおかしい」と述べ、日本は国連の人種差別撤廃条約を批准していることを指摘した。

 海渡氏は、ツワネ原則に言及し、「特定秘密保護法案に関して、国連人権高等弁務官や国連特別報告者が懸念を示すと、安倍首相は『誤解を解く。法案を修正して理解を得た』と発言したが、実際にどういう対応があったのか、明らかにすべき」と主張。

 その国連関係者を招聘したシンポジウム開催を計画中だという海渡氏は、「国連機関の懸念に、日本政府がいかに対応したのか。当事者の証言を聞いて、安倍氏の言動を検証したい。もし、内容が違っていたら、総理は即刻辞任するべきだ」とも語った。

 宇都宮氏は「日本は今まで、社会権、自由権規約、人種差別撤廃条項に関し、再三勧告を受けているが、まったくマスコミは報道しない。しかし、在特会の朝鮮人学校への街宣活動に対し、京都地裁は1200万円の損害賠償を、人種差別撤廃条約に基づいて判決を下した」と述べ、その傾向の変化に、少し安堵の色を浮かべた。

安倍首相、オバマ大統領に相手にされず。そして、TPP交渉参加

 岩上は、2月22日、訪米した安倍首相がオバマ大統領と会談したものの、共同記者会見も晩餐会もなかった冷待遇を説明した。さらに、安倍首相がワシントンのCSIS(戦略国際問題研究所)で行なった演説で、いわゆるジャパン・ハンドラーであるマイケル・グリーン氏やリチャード・アーミテージ氏に感謝を述べたことを取り上げ、「韓国の朴槿恵大統領の訪米では、オバマ会談のほかに、米議会で演説をした。中国の習近平主席の場合は、首脳会談が2日間にわたった。安倍首相とは扱いが違う」と指摘。宇都宮氏も「日本のマスコミは、それらを報道しない」と応じた。

 3月15日、安倍首相はTPPへの正式参加を表明。「試算の結果、経済全体にはプラス」との安倍発言について、宇都宮氏は、ISD条項の危険性や、非関税障壁の撤廃による食、医療、雇用、環境の崩壊などを訴えた。

 「米・カナダ・メキシコで締結したNAFTAでは、アメリカが、ISD条項で負けたことはない。司法の崩壊も招く」と警鐘を鳴らし、「都民の暮らしを考えたら、東京都として『TPP反対』の方向を打ち出さざるを得ない」とも明かした。

 岩上は「日本の軍事属国化、TPPで経済植民地化というのはセットだ」と指摘。宇都宮氏は「米韓FTAでは、韓国では180ぐらいの国内法や規制を変えざる得なくなった。しかし、アメリカ側の変更はゼロだ」と補足する。そして、4月12日に開催した日米事前協議で、保険、自動車、牛肉の3分野を、先に決着させられた。

主権回復の日は「インチキ・ナショナリズム」を隠すため

 4月30日に行われた、主権回復の日の式典について、海渡氏は「(4月12日の日米事前協議で)主権を放棄した後にね」と皮肉をはさみ、宇都宮氏は「天皇と皇后が退席される時、出席者の1人が『天皇陛下、万歳』と叫んだら、会場の全員から大合唱が起こったというが、問題ではないか」と述べ、安倍政権の皇室利用を非難した。

 岩上は「日本は、自らをアメリカの属国だと決めたので、主権回復の日は、インチキ・ナショナリズムを隠すため」と揶揄。続けて、5月13日の橋下大阪市長の「慰安婦は必要だった」との発言を取り上げた。さらに、米軍幹部に風俗を勧めた失言や、橋下氏自身が(大阪の色街である)飛田新地で顧問弁護士を務めた問題にも言及した。

 4月25日に開催された、世界436都市で200万人が参加した、反モンサント世界同時多発デモ。岩上は「(ベトナム戦争の)枯れ葉剤を作った軍事企業が、枯葉剤でも枯れない遺伝子を作っている。全世界で同時アクションが行われたが、日本の既存メディアはまったく報じない」と述べ、海渡氏は「遺伝子組み換え作物は、放射能と同じで、安全性が確認できていない」と危惧した。

スノーデン事件と柏崎刈羽再稼働。そして参院選

 6月5日、元NSA、CIA職員のスノーデン氏により、アメリカのPRISM計画が暴露される。岩上は「アングロサクソン5ヵ国(UKUSAーアメリカ、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)+ イスラエルが、世界中の個人、企業、自治体、政府の情報を盗んで共有している。日本大使館への盗聴も明らかになったが、小野寺防衛大臣は『抗議はしない』と発言した」と、日本政府の危機感のなさに憤り、海渡氏は「ブラジルは、これに抗議してボーイング社から飛行機を買うのをやめた」と話した。

 7月5日は、柏崎刈羽原発を抱える新潟県の泉田知事と、東電の広瀬社長の会談があり、泉田知事は席上、東電に強い不快感を表す。岩上が、泉田知事から「僕は絶対に自殺しないからね」と言われたことを話すと、宇都宮氏は「影の交渉は危ない。できるだけオープンにして、公の場で争っていくことが必要だ」と真摯に語り、「都知事になったら、柏崎刈羽原発の再稼働中止で、泉田氏とタッグを組む」と声を弾ませた。

 次に、岩上は「7月21日参院選投票。自民党、公明党が圧勝したが、全国4万8777ヵ所の投票所のうち1万6958ヵ所、実に34.8%で、終了時刻の繰り上げや開始時刻の繰り下げが行われた」と述べた。

 宇都宮氏は投票率の低さを嘆き、「どうしても国民は、憲法、原発、TPPなど、日本の将来を決定するような問題を議論するより、当座の雇用や景気に関心がいってしまう。それをうまく捉えたのが、アベノミクス。しかし、安倍政権の命は経済回復。来年4月の消費税増税でどうなるか」と持論を展開した。

 それに対し、岩上は「投資家の間で言われているのは、バブルにすぎない。雇用は減って、所得も増えない」とし、海渡氏も「安倍政権は、経済に目を向けさせ、衆・参議院で多数を握り、本当にやりたいことを始めた。騙しの政治だ」と糾弾した。

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