【東京都知事選】宇都宮健児氏、安倍政権に打撃を与える「都政」を語る ~「五輪は、ゼネコンでなく国民が喜ぶかたちで行う」(IWJ年末特番より) 2013.12.31

記事公開日:2014.1.20取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・富田)

 2013年も残すところ4時間となる中、東京・港区のIWJスタジオで「IWJ年末特番 宇都宮健児×海渡雄一×岩上安身」が行われた。

 主役は、来年2月の東京都知事選への出馬を表明した、日弁連の前会長、宇都宮健児氏。前回の都知事選では、次点ながらも97万票という得票数で、当選した猪瀬直樹氏の434万票には遠く及ばなかったが、この日の宇都宮氏の表情はきわめて明るい。市民運動からの候補者ならではの強みを強調し、「今度の選挙には、前回にはなかった『都政でもって、安倍政権の暴走にストップをかける』との新たな目標がある」と意気込んだ。

 当面、国政選挙がないだけに、今回の都知事選の結果を、安倍政権が気にしないはずがない。その意味では、安倍政権の方向を、真っ向から批判する候補者の存在は貴重であり、宇都宮氏が、その代表格になる可能性は十二分にあるとの声もあがっている。

 宇都宮氏の選挙対策本部で、副本部長を務めることになる海渡雄一氏(弁護士)は、今回の宇都宮氏の出馬表明について、こう述べている。「つい先日、猪瀬氏が、例の5000万円の件で突然、都知事を辞職した。都知事選という国政選挙並みの好機が、天から降ってきた形だ。これを、天下分け目の決戦にしない手はない。私は、宇都宮先生が適任者だと判断した」

記事目次

■1部イントロ

 宇都宮氏が都知事選への出馬を表明したのは、12月28日のこと。この年末特番の時点では、出馬の可能性が取沙汰されている舛添要一氏(元厚労大臣)や細川護熙氏(元首相)らは、いずれも出馬表明をしていない。岩上が「早い表明となったが、決意のほどは」と当人に水を向けた。

 IWJは、宇都宮氏の出馬表明の様子を中継している。準備された出馬会見ではなく、以前から企画されていた12月28日の講演会で、いきなり「出馬」を表明したのである。

 宇都宮氏は、その時を振り返りながら、「猪瀬氏は、12月24日に都知事を辞職した。来年1月23日が告示で、2月9日が投票という日程も決まった。その流れの中で、(出馬への)覚悟が固まっていった」と説明し、一方で、「自分が出馬しない可能性もあった」と明かした。

 「いろいろな市民団体の中に、候補者を探そうと思い、少し待っていた。だが、選挙戦で戦うには、それ相応の準備が必要。年明けでは遅いと思った。28日の講演会には、前回の都知事選で、私と一緒に戦ってくれた市民有志が集まってくれていた。私は、この人たちの前で、出馬表明すべきだと考えた」。

市民運動出身の候補者が持つ「継続性」

 宇都宮氏は、知名度のある候補者を探し出し、擁立し、(あえて出馬を遅らせてインパクトを狙う)後出しジャンケン的な戦い方をする気はさらさらなかった、と強調する。「早めに自分たちの政策を示して、政策論争を起こすことが重要」。自身が、新聞やテレビに注目されにくい存在であることも認め、「選挙戦は、人海戦術で戦うほかなく、その体制づくりを急がねばならないという事情もあった」と話した。

 ただし、「今後、私以上の適任者が現れる可能性は、まだゼロではない」とも発言しており、岩上に「似た政策を掲げる候補者が登場した場合は、候補者を1人に絞ることもあり得るか」と尋ねられると、宇都宮氏は「あり得る」とした。そして、逆説的に、美濃部都政が終幕してから40年間近く「リベラルな都政」が実現していないのは、「有名人偏重で、候補者が立てられてきたことが響いている」と指摘するのだった。

 宇都宮氏は、有名人候補者には概して「落選したら、それで終わり」とのふしがあるが、市民運動グループからの候補者は、たとえ落選しても、その運動を続けることになり、その後も連帯が広がっていく可能性が十分にある、という。その上で、「市民運動派の立候補者ならではの『継続性』が、非常に重要」と訴えた。

韓国「参与連帯」という成功モデル

 続いて、宇都宮氏は、韓国ソウルの今の市長、朴元淳(パク・ウォンスン)氏が、市民運動のリーダーであることを紹介した。

 朴氏は、韓国の代表的市民運動グループ「参与連帯」の、1994年の創設にかかわった人物だ。「つまり、参与連帯は、自分たちの市民運動のリーダーを『スター』に押し上げ、ソウル市長に当選させているのだ」。日本の市民運動グループは、これに範をとればいい、と宇都宮氏は力説する。選挙の場合、市民運動系の立候補者も、当然のことながら、当選を目指すわけだが、その選挙戦に全力で取り組めば、自分のライフワークである「市民運動」の輪が広がる、とのことだ。

澤藤氏の批判に答弁する

 話題は変わり、岩上がこう語った。「今日の、宇都宮さんへのインタビューが決まった時点で、私がツイッターでそれを発表したところ、『前回の都知事選で、宇都宮氏の選挙対策本部に問題があった、という告発がある。岩上は、その件をスルーしてインタビューを行うつもりか』といった調子で、かなりの人が、私に迫ってきた」。

 宇都宮氏に対する批判を、自身のブログの中で展開しているのは、澤藤統一郎(弁護士)氏である。

 澤藤氏といえば、12月22日に都内で開かれたIWJのイベント「饗宴IV」に登壇するなど、岩上とは所縁も深い。「批判者が澤藤さんであることを知って、驚いている。そして、澤藤さんが、宇都宮さんと司法修習の同期であることも知って、さらに驚いた」という岩上は、こう続けた。「澤藤さんのブログを読んだところ、いくつか指摘があって、まず、澤藤さんの息子さんが、前回の都知事選で、宇都宮さんの随行をやった時に問題があったとされている」。

 これに応じたのは、前回の都知事選でも、選挙対策本部で宇都宮氏を応援した海渡氏。「今、こういう形で、澤藤先生から批判的なことを言われるのは非常に残念」とした海渡氏は、「息子さんは、確かにわれわれの選挙活動を手伝ってくれた。宇都宮先生への随行を務めることになったのだが、ほかのメンバーとの意思疎通が上手くいかず、選挙対策本部との間でも言い争いが絶えなかった、と聞いた。それで、私が息子さんに『任務を一時的に離れてほしい』と伝えたところ、それが『解任』と受け取られたようだ」と説明した。

前回の収支報告書は訂正へ

 選挙対策本部のスタッフに、有給を取れるはずがない出版社の社員がいて、その社員が、選挙対策本部でフルに働いていたのは問題ではないか、との指摘については、「聞いている範囲では、(本部内で)自分の仕事も一部やりながらの協力だった。また、編集者ならではの裁量労働制を活用した面もあったようだ。夜中に会社に戻って働くこともあったらしい。有給休暇については、実際はだいぶ使っているようだ」と答えた。

 さらに、岩上が「本来、ボランティアで仕事をしなければならない、上原さんという選挙対策本部長に、お金が支払われていた、という指摘もある」とぶつけると、海渡氏は「この人は完全に選挙に張り付いていたため、期間中の交通費や携帯電話代を、本部が実費で補填したと聞いている。金額にして10万円。実際に使った額を下回っているはずだ」と述べ、「問題は、あくまでも収支報告への記述上のもので、この点に関しては、年明け早々に、当時の会計担当者にお願いして、収支報告書の訂正をすることになっている」とした。宇都宮氏は「公選法専門の弁護士チームに検討してもらっている最中だ。1月6日の、都庁記者クラブでの記者会見で、正式な見解を発表したい」と補足した。

宇都宮氏の5つの基本政策

 その後、宇都宮氏は、やはり1月6日に発表される政策のうち、現時点で固まっている基本部分を発表した。具体的には、1. 世界一住みやすく暮らしやすいまち・東京をつくる、2. 大型開発の東京から、環境重視のまちへ、3. 原発再稼動、原発輸出を認めない、4. 競争と統制の教育改革に反対する、5. 安倍政権の暴走をストップさせる──の5つだ。

 このうちの1. について、宇都宮氏は「石原都政13年7ヵ月と、そのあとの猪瀬都政で、東京の福祉はどんどん削減されている」とし、社会の高齢化が進む中で、高齢者福祉予算を減らしたのは全国で東京だけである、と指摘した。

 「石原氏も猪瀬氏も『経済』で世界と戦える東京を作りたかったように思える」とした宇都宮氏は、「それは、弱肉強食の新自由主義の台頭を意味する。東京は、ほかの都道府県に比べて貧困や収入格差の広がりが顕著だ」と懸念を表明した。

弱者を救うべき役所が、弱者を叩き出している!

 そして、年収200万円未満の低所得層を食い物にする悪徳ビジネスが、都内に横行していることを指摘し、賃貸住宅の「ゼロゼロ物件」の実態を紹介した。「保証人も敷金も礼金も、すべてゼロなのだが、家賃の支払いが1日でも遅れると、ドアの鍵が勝手に取り替えられてしまい、違約金を払わないと新しい鍵がもらえない」。

 それで追い出された人たちは、ホームレスにならざるを得ないわけだが、ここで岩上が、東京には、実際に行政がホームレスを痛めつけている現実があることを報告した。「数日前の夜のこと。渋谷区が、この寒い季節にわざわざ出動し、ホームレスの人たちを、宮下公園から追い出しにかかった。1月3日まで公園に鍵をかけるという。叩き出されたホームレスの人たちの行き先を、区役所は確保していない。血も涙もない行為としか言いようがない」と怒りをあらわにした。

 これに対し、宇都宮氏は「そのような、立場がきわめて弱い人たちを支援するのは、本来、行政の役割なのだが」と、行政批判を展開した。

「東京が国を変えられる」は本当か

 その後、宇都宮氏は、今度の都知事選には「安倍政権の暴走をストップさせる」という新たな目標がある、と強調した。

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