IWJ代表の岩上安身です。
米国の独立ジャーナリストである、エヴァン・リーフ氏(※IWJでは、いくつかの記事で「エヴァン・ライフ」と表記してきましたが、以後は「リーフ」と表記を統一します)が、『サブスタック』の「DD地政学研究所」のアカウントで、「権力の無作法な誇示――シオニストの絶滅戦争」とする記事を12月18日に発表しました。
- A Vulgar Display of Power ―― The Zionist war of extermination(EVAN REIF、2023年12月18日)
こちらの記事の一部は、『日刊IWJガイド』1月5日号で引用して紹介しましたが、反響も大きく、シオニストの本性に迫る鋭い内容の全文もお読みいただきたく、IWJでその全文の仮訳を試みました。
・【第1弾! イスラエルの極右政党「宗教シオニスト党」の党首であり、連立政権の財務大臣をつとめるベツァレル・スモトリッチ氏が、ユダヤ人にガザ地区への再入植を呼びかける!】パレスチナ人を虐殺し追放した土地に、イスラエルの不動産会社が「海辺のドリームハウス」を計画!? シオニストは、どこまで無神経なのか!?(AFP、1日ほか)
会員版:(日刊IWJガイド1月5日号)
非会員版:(日刊IWJガイド1月5日号)
『カバート・アクション・マガジン』によると、リーフ氏のプロフィールは以下のように紹介されています。
「エヴァン・リーフは、米国サウスダコタ州西部の小さな鉱山町で、鉱山労働者と図書館員の息子として生まれた。
労働組合の組織者としての父親の闘いと、産業空洞化に対する地域社会の闘いが、エヴァンの左翼政治への深い関心を育んだ。これは、彼の歴史への愛と相まって、彼を断固たる反ファシストに育てた。
執筆、研究、仕事以外の時間は、エヴァンは釣り、射撃、中華料理を楽しんでいる」。
- Evan Reif(Covert Action Magazine)
リーフ氏は、イスラエル占領軍(IOF、※IWJ注)による、12月15日に起きた自国民である人質を3人射殺した事件と、12月16日に起きたガザにあるカトリック教会への攻撃で、避難していた民間人を殺害した事件をとりあげ、IOFがその本性をむき出しにして、残虐さを過激にエスカレートしていると警告しています。
(※IWJ注)リーフ氏は、イスラエル政府が用いる「イスラエル国防軍(IDF、Israel Defense Forces)」ではなく、パレスチナ側から見た「イスラエル占領軍(IOF、Israeli Occupation Forces)」という呼称を用いている。国連人道問題調整事務(OCHA)やパレスチナ人権センターも「IOF」を用いている。
IWJも、イスラエル軍による自国民人質射殺事件を取り上げました。
・【第2弾! ガザ北部シェジャイヤ地区で、イスラエル国防軍がイスラエル人の人質男性3人を殺害! 殺害された3人の男性たちは上半身裸で白旗を掲げていた!】イスラエル国防軍の無差別殺戮が導いた「悲劇」はこれからも起こりうる! 人質家族は「平和のうちに人質が解放されること」を望むと表明!(『タイムズ・オブ・イスラエル』、2023年12月15日ほか)
会員版:(日刊IWJガイド、2023.12.18日号)
非会員版:(日刊IWJガイド、2023.12.18日号)
リーフ氏は、「IOFはガザで動くものすべてを無差別に銃撃している」と指摘、「ファシストに人間性があると思い込むことは、多くの人々が犯す最後の過ち」だと警告しています。
「IOFがガザに入ったのは、人質を救うためでも、ハマスの殲滅のためでも、10月7日の復讐のためでもない。ガザの人々を絶滅させ、入植のために土地を奪取するためなのだ」とリーフ氏は、明言しています。
IWJも10月7日の開戦以来、イスラエルの民族浄化作戦について指摘してきました。
・「ヨム・キプール」戦争から50年、イスラエルの安全保障に衝撃! パレスチナを実効支配するハマスが「アル・アクサの嵐作戦」を展開、イスラエルに奇襲! イスラエルはハマスに宣戦布告、「鉄の剣作戦」を展開! ネタニヤフ首相は「我々は今戦争中だ」と国民に檄! ハマスの、3500発以上のロケット弾をイスラエルに打ち込むと同時に陸上部隊をイスラエル南部に侵攻させるという複合作戦について、「背景にいるのはイラン」だとイスラエル側は非難! イランから支援を受けるヒズボラも参戦! 中国は即時停戦を主張! 中東における米国の存在感の低下が露呈!
会員版:(日刊IWJガイド、2023年10月10日号)
非会員版:(日刊IWJガイド、2023年10月10日号)
その一つの証拠として、リーフ氏は、イスラエルの不動産会社が公開している、パレスチナ人を追放した後に開発する「夢の海辺の家」のポップな広告を紹介しています。パレスチナ人の血と涙の上に建つ、シオニストの「夢の家」のグロテスクさには言葉を失います。
詳しくは、IWJが全文仮訳・粗訳した、以下のリーフ氏の記事をお読みください。
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- 権力の無作法な誇示――シオニストの絶滅戦争(エヴァン・リーフ 2023年12月18日)
「ジョー・バイデンの犯罪政権から最新の弾薬供給[原注1]と保証を受けとったシオニストの占領軍は、ガザで自由に仮面を脱ぐことができるようになった。彼らはもはや、自分たちの正体を偽る気など微塵もない。つまり、『原住民の土地から人口を減らすためにやって来た絶滅実行者』以外の何者かとして行動したい、という願望をまったく持っていない[図注1] 。
[原注1] :Blinken defends rare move of bypassing Congress to send ammunition to Israel(The Hill、2023年12月10日)
[図注1] :<真実が明らかになる>「イスラエルはガザをアウシュヴィッツ博物館のように見せるべきだ、議会議長――メトゥーラ評議会(※メトゥーラはイスラエル北部地区の町)の議長であるデイビッド・アズライ氏は、すべてのガザ人をレバノンの難民キャンプに送り、ストリップ(※ガザ地区)全体を平らにしてアウシュヴィッツのような空の博物館にすることを提案した」。
出典:Israel should make Gaza look like Auschwitz museum – council head(The Jerusalem Post、2023年12月17日)
バイデン政権による鉄壁の保証と無条件の武器によって、シオニストの計画は『最終的解決』に向かって突き進んでいる。ただし、そこには問題があるかもしれない。
シオニスト軍は、あまりにも多くの、個々人の人間を殺してしまったのではないか。そして今になって、シオニスト達は、今度は、自らが血と泥に取り憑かれつつあるのではないかと気にしているようだ。
ここ数日、シオニストの殺人者達の、(※倫理的なレベルが)低い基準から見ても、衝撃的な紛争の激化が見られる。イスラエル占領軍(IOF)による残虐行為の大部分は、意図的な現場のジャーナリストの殺害と、厳格な情報管理政策によって公表されていないが、IOFはもはや無視できないほど、厚かましく大胆に犯罪を行うようになっている。
12月16日、IOFの狙撃兵が、ガザのカトリック教会である聖家族教会に避難していた群衆に発砲した[原注2]。
[原注2]: Pope speaks out after IDF sniper kills two women inside Gaza church, per Catholic authorities(CNN、2023年12月18日)
女性は娘を安全な場所へ運んでいるところを、白昼堂々、職員の目の前で、2人ともIOFの狙撃兵に処刑された。IOF軍は教会への発砲を続け、多くの負傷者を出し、最初の銃弾が単なる過ちではなかったことを証明した。
IOFは何の警告も与えず、何の正当な理由も示さなかった。
IOFは、すべての銃弾がどこに飛ぶか把握していることを常に自慢している[原注3]のだから、彼らに(※間違えて撃ったのではないかという)擁護の利益を与えてはならない。
[原注3]: Israel admits, then deletes, responsibility for Gaza killings(The Electronic Intifada、2018年3月31日)
10月以来、約500人のパレスチナ人のキリスト教徒がこの教会に避難している。IOFの無差別爆撃によって自宅が破壊された後、教会の職員は地域社会に保護と避難所を提供するために、教会の扉を開けた。
この取り組みは、教会の上層部でも注目され、承認された。ローマ法王フランシスコ[原注4]でさえ、毎日電話で彼らの取り組みを直接個人的にチェックしていた。
この集団には、地元のキリスト教徒とその家族だけでなく、IOFがガザのすべての病院や介護施設を意図的に破壊した後、(※破壊された施設から教会に避難した)教会付属の修道院の修道女に世話を受けている約50人の障害者も含まれている。
[原注4]:A daily call from Pope Francis gives hope to Catholics sheltering in Gaza church(MENA、2023年10月20日)
再三の度重なる脅迫にもかかわらず、人々はIOFの人間性を信頼して、彼らを攻撃しなかった。いつものことだが、ファシストに人間性があると思い込むことは、多くの人々が犯す最後の過ちである」。
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