【第590号-第593号】岩上安身のIWJ特報!急速な円安は「アベノミクス」の経済的帰結!?世界最悪の財政危機に見舞われ、岸田政権のもと増税による軍拡に走る日本はこれからどうなるのか?岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー(その4) 2023.4.1

記事公開日:2023.4.2 テキスト独自
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(文・IWJ編集部)

 2022年10月10日、岩上安身が行ったエコノミストの田代秀敏氏のインタビュー第3弾の続きである。

 2013年3月から2期連続で日本銀行総裁を務める黒田東彦(はるひこ)氏が、2023年4月8日で退任する。

 第2次安倍政権のアベノミクスのもと、「異次元の金融緩和」「黒田バズーカ」などと呼ばれた大規模な金融緩和策を実施し、株価を押し上げる一方で、国債の大量買入れによる財政規律の低下、市場の機能低下なども招いた黒田総裁の後任には、経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏が決定している。


▲エコノミスト・田代秀敏氏(IWJ撮影、2022年10月10日)

 植田氏は2023年2月24日、衆議院で日銀総裁候補として所信表明を行い、「今の金融緩和政策は適切だ」と述べて、黒田総裁の方針を継続する姿勢を示した。

 「アベノミクス」の提唱者である安倍晋三元総理が死去したことで、大規模な金融緩和政策の修正を始める可能性も想定されたが、植田氏はそれを否定したのである。

 一方、2022年10月7日付け『共同通信』が、中国の2022年GDPが成長目標を割り込むことを報じた。5.5%前後の目標が達成できないのだという。それが、中国だと世界的なニュースになるのであり、GDPの成長率がよくて1%台とされる日本とは、まったくレベルが異なる。

 しかし、「世界最大のマーケット」である中国経済の減速は、「5.5%前後」の成長を前提に、事業計画を立てている日本と世界中の企業に多大な影響を与えると田代氏は指摘する。IMFは世界経済全体の見通しを下方修正した。

 日本経済において、かつてアベノミクスの「プラス」の副産物として歓迎された「株価上昇」「インバウンド」は今や見る影もなく、日本の通貨、株式、債券がすべて売られる「トリプル安」状態である。

 日本の株価は、2万8000円の付近をぐるぐると回る「鉄火場相場」の様相を呈していると田代氏は評する。それは、もはや成長性の低い日本株には、専門のファンドマネージャーがいなくなり、AIがマネーゲームをやっている状態だというのだ。

 日銀の政策に関して、田代氏は日銀のイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)について、「通常は、短期の金利を操作して、間接的に長期金利に影響を及ぼそうとするんだけど、日本銀行は直接に長期金利に手を出している」と話す。

 岩上安身が、「できるんですか、そのイールドカーブ・コントロールというのは」と尋ねると、田代氏は、「その帰結がどうなるかは、これからわかる」と答えて、自由主義経済の市場はアダム・スミスの言う「神の見えざる手」が働くものだが、日本銀行は「見える手」を突っ込んで金利を押さえ込んでいるのだと説明した。

 「そのために、日本国債の、発行されて満期が来てないもの全体の、半分以上は日本銀行が単独で保有しているわけですよ。これも前代未聞」

 そして、国債のエキスパートで、ミスターJGB(日本国債)の異名を持つ財務省の斎藤通雄理財局長が、「金融緩和の出口を見据え、日銀にかわる(国債の)引き受け手の開拓が急務」だと語っていることに、田代氏は危機感を表明した。

 いずれにしても、(日本経済が)中国にかなり依存していたことを考えると、中国の成長率が下がってくるというのは、大変なことではないかなとは思うんですけど。ここをちょっと、ご解説ください」

▲中国では、GDP成長目標割れが確実に! 指導部はコロナ対策を優先し、目標未達を容認

田代秀敏氏(以下、田代氏)「おっしゃる通り、5.5%前後の成長目標が、多分、つまり達成できないだろうと。問題はそれが、4.5%なのか4%なのか3.5%かってこと、議論してるんですね。だから、日本とは全然レベルが違う話なんですよ」

岩上「そうですね」

田代氏「だけど、日本のメディアとすると、そういう時の見出しにはですね、『中国経済崩壊』と打つと視聴者が増えるっていうので、そうやるんだけど、言ってることはそうじゃないんですね。問題は、その5.5%%前後っていうのを、今年、冒頭でぶち上げてしまったから、これを前提に、世界中の企業が……」

岩上「投資とか」

田代氏「計画しちゃったわけですね」

岩上「なるほどね。中国を相手にして」

田代氏「そう。ところが、それができないってことになると、簡単に言えば、企業からすれば、想定した売り上げが中国で達成できないかもしれないと」

岩上「なるほど」

田代氏「現状ですね、多くの産業品目に関して、中国は世界最大のマーケットなんですよ」

岩上「そうですね」

田代氏「あと、日本企業だけじゃなくて、世界中の企業も、台湾の企業も含めて、大きく中国に依存してる。中国の成長に依存してるわけですよ。それが目論見よりも下がるってことは、これは大変な事態なんですね」

岩上「なるほど。特に大企業ですよね。グローバル企業」

田代氏「うん。たとえばトヨタも、すでに販売台数の国別で言うと、1位がアメリカで、2位が中国なんです。で、3位が日本なんです、ようやく」

岩上「まだ、1位はアメリカなんですか?」

田代氏「アメリカにたくさん工場つくったから」

岩上「そうか、そこで現地生産しろと」

田代氏「現地生産のトヨタがいっぱいあるわけです」

岩上「圧力がありますからね、アメリカのね」

田代氏「うん。圧力もあったし、あとやっぱり、自動車産業は非常に競争厳しいから、現地生産しない会社ってのは非常に苦しいんですよね」

岩上「なるほど」

田代氏「それもあって、アメリカで生産してるんだけど、中国の市場の伸びがすごくて、もうとうに日本での販売台数は上回ってますね。

 そういう企業はたくさんあります。中国市場がなかったら、そもそも会社が存立できなくなってるという。台湾の企業もそうです。なのに、政府が公約したね、成長目標を下回るとなると、これはですね、大変な事態になっちゃうね」

岩上「なるほど」

田代氏「世界経済全体にとって」

岩上「グローバル企業にとっては、特にね」

田代氏「うん。グローバル企業じゃなくても、経済は全部連鎖してますから」

岩上「そうですよね。その下部にあって支えてる企業も」

田代氏「中国に、たとえば製品や部品を供給してる会社の下請けとか、あるいはそこの従業員が通っているような食堂とかね。そういうの考えると、やはり経済全体にすごく大きな影響があるわけですね」

岩上「なるほど。そうするとこれは、日本の企業、あるいは日本人の生活にとってはマイナスの影響が、負の影響が出てくるということですよね」

田代氏「うん。だから、昔から私が不思議でたまらないのは、なぜ、中国経済崩壊論っていうのが」

岩上「歓迎されるのかと」

田代氏「歓迎されるのかわからない。それって……」

岩上「自分のところ、どうなっちゃうかって」

田代氏「それはもう、日本経済崩壊を意味してるんだから」

岩上「(転落する中国に、日本が)取って代われるとでも思ってんですよ。ちょっとおかしいんですけどね。相手にしてもしょうがない、その人たち」

田代氏「そうですね。これは大変なことで、7日付けのロイターの話の通り」

▲世界経済の見通しが「暗転」! IMFが2023年の世界成長予想を下方修正

岩上「『世界経済の見通しが「暗転」!』してます。『IMFが2023年の世界成長予想を下方修正』した。同じく10月7日付けのロイターなんですけど、『「世界経済見通し『暗転』、23年予想を下方修正へ=IMF専務理事」と報じた。IMFのゲオルギエワ専務理事は「6日、景気後退と金融不安のリスクが高まっているとして、現在2.9%としている2023年の世界成長率見通しを、来週にも下方修正する」』と。

 だから、5.5%っていうのは、中国は(日本などと比べれば)非常に高かったわけですよね」

田代氏「うん」

岩上「世界全体で、ならしても2.9%。日本は、それよりも低い状態にあるわけですけれども。この、世界全体の成長率ってことになると、本当に日本も、全面的にここに依存してるわけですから、影響が出るわけですよね」

(中略)

記事目次

中国でGDP成長目標割れ! 世界最大マーケットの中国経済の低迷は、日本経済の低迷も意味している!

岩上安身(以下、岩上)「さて、共同通信の10月7日付のものなんですけれども、『中国では、GDP成長目標割れが確実に! 指導部はコロナ対策を優先し、目標未達を容認』するということなんですけど。

 これね、いつも中国を扱う時に、中国もダメだなんていうことを簡単に言う人いますが、日本のレベルじゃないですからね。『「5.5%前後」を割り込む』ってことですから。

 日本は成長するかしないか、下手するとマイナス成長になりかねないっていうギリギリ(のところで推移している)。海を泳いでることに例えるとしたら、頭が出るか出ないかぐらいの水没ギリギリぐらいのところにいる国ですよ。それが、5.5%前後で『中国ももうダメだ』と言ってるのは、ちょっとどうかなとは思いますけど。

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<ここから特別公開中>

アベノミクスの「プラス」の副産物とされた「株価上昇」「インバウンド」は今や見る影もなく、日本の通貨、株式、債券がすべて売られる「トリプル安」に!

岩上「長期的にエネルギー資源というものが高止まりでいく中ですね、『円安、株安、国債売りの「トリプル安」が日本を襲う!』という状態」

▲円安、株安、国債売りの「トリプル安」が日本を襲う!

岩上「1回目、2回目の復習になるかもしれないんですけれども、お話、ちょっとさせていってもらいます。

 9月7日に、ちょっと戻ります。1ヶ月半ぐらい前ですけれども。『1998年8月以来、約24年ぶり』、四半世紀ぶりですよね。『1ドル=144円台に円が下落。日銀が超低金利政策を続ける一方、米欧はインフレ抑制のため利上げを進め、金利差拡大によって、円売りドル買いが加速。日経平均株価、国債価格も下落し、「日本売り」、トリプル安となった』」

▲円安、株安、国債売りでトリプル安!

田代氏「ここ、みんな、メディアはこう書くけれど、実は金利差拡大によって円売りドル買いが、いつも(必ず)起きるわけではないんです」

岩上「そうなんですか?」

田代氏「うん。長い期間でとると、ほとんど相関はないんですね、金利差と為替レートは」

岩上「そうなんですか!?」

田代氏「ただ、去年の暮れから、ほとんど為替市場が、金利差だけで説明できるようになったんですね」

岩上「それは、なぜ?」

田代氏「それはね、基本的に外国為替市場において、貿易決済のために外国為替を取引するというのは、全体の1%か2%ぐらい。あとは全部、投機です」

岩上「投機ばっかりになっちゃったんですね!?」

田代氏「ある為替レートを安く買って、高くなったら売り抜けるということを狙った業者がひしめき合ってるわけですね。だから、彼らからすると、相場を作る理屈が欲しいんですね。で、今は、この金利差」

岩上「なるほど」

田代氏「たとえば、北朝鮮のミサイルが飛んでも(※1)、円高になることもある。それは、要するに理由じゃないわけですよ」

岩上「(北朝鮮のミサイルは)慣れてしまってる?」

田代氏「日本の安全保障なんてことは、別に眼中にないと。今は、金利差だけが目に入ってるという。だから、目に入るのは、いろいろ時期によって違ってくるので。それを考えると、非常に何十年という長期をとると、金利差によって為替レートは説明できないんです」

岩上「そうなんですね!?」

田代氏「ただ、現状は金利差だけで説明できるようになってる」

岩上「なってしまったと」

田代氏「ここはね、皆さん、間違えないでください。だから、いつでも、金利差だけで為替レートが決まってるわけじゃないんです。今は、たまたまそういう風に、ほぼ因果関係が成立するくらい密接な関係が、たまたま成立してる時期に入ってるという」

岩上「で、トリプル安になってるという状態ですね」

田代氏「はい。で、これはなかなか意外で、円安なんだから、わりとこう、アベノミクスの経験則でね、株価が上昇するかと思ったら、しないんですね」

岩上「日本株、安いっていうことで、買いが入るかと思ったら」

田代氏「ドルベースで、ドル高で表示した時の、日本の株価が下落しますよね、円安になれば。だから、先ほども言ったように、投機筋は安くなったら買って、高くなったら売るんですよ、もう自動的に。だから、今までは円安になれば日本株は上昇したんだけど、今、円安がどんなに進んでも、日本の株価は上昇しないどころか下落してる」

岩上「これは、アベノミクスが狙っていた狙いを、完全に外すようになったってことですよね」

田代氏「副産物だけど、それはね、アベノミクスの。でも、それも消えてしまったと。

 いわゆるアベノミクスの成功事例は少ないんだけど、ひとつは株価が上昇したと。もうひとつはインバウンド。特に中国からの観光客によって、衰退の極みだった地方の観光地が息を吹き返した。

 (アベノミクスのメリットは)この二点だけど、後者は今もう(コロナの)パンデミックになって、それは消えてしまった。で、ほら、前者も消えてしまったんですね。

 だから、いわゆるアベノミクスの功績が全部消えちゃった、ということになっているわけですね。これは深刻で、要するに、通貨も、株式も、債権も、みんな売られてると」

岩上「これは、なぜ、株価が上がらなくなったんですか。何か理由があるんですか?」

田代氏「何度も言うように、自動的に、円安になれば株価が上昇するわけじゃないわけですよ。さっき言ったように、ある局面ではそうなっていただけで。今となっては、つまり、もう日本に関するものは、みんな売りたいわけですよ」

岩上「それは、先がないなと見られていると?」

田代氏「もっと言えば、今は要するに、日本の円という通貨も、日本の株式も、日本の債権、その代表格である国債も、みんな売りたい。売る口実がほしい」

岩上「売りたいというのは、将来性がないって、もうこれから先、下がるだろうなという風に予測されているということですよね?」

田代氏「売って、別のものを買いたいということなんですね。で、それが恐ろしいことに全部来ちゃったと。通常、この3つは、(同時には)いかないんです。どれかひとつは上がりそうなもんなんだけど。特に株式と債券ってのは相反関係にあって、株が上がる時には債券価格が下落するということがあったんだけど。それもなくなっちゃってて、みんな下がってるわけですよね」


※1)北朝鮮のミサイルが飛んでも:
 北朝鮮によるミサイル発射実験は、金正恩朝鮮労働党総書記の父親、金正日の治世下で始まり、1998年から2011年までに16回行われた。

 金正日が死去し、金正恩が指導者になるとミサイル発射実験は2012年に2回、2014年に11回、米国大統領選挙があった2016年には23回と増加。トランプ大統領就任後の2017年にも17回実施され、トランプ大統領が金正恩総書記を「ロケットマン」と呼んで揶揄したこともある。

 北朝鮮がミサイル発射実験を繰り返す理由として、米国への牽制や挑発、米韓合同軍事演習や日米韓の共同訓練への抗議、国際社会への存在感の誇示があるとされるが、近年では日本の排他的経済水域(EEZ)に及ばなければ、さほど驚かれない状況にもなっている。
 2022年10月4日、中距離弾道ミサイルとみられるものが約5年ぶりに日本列島上空を通過。11月3日と18日には米国全土が射程に含まれるICBM(大陸間弾道ミサイル)級が発射されている。

 さらに12月31日午前、北朝鮮は短距離弾道ミサイル3発を日本海に向けて発射。最高高度約100キロで約350キロ飛行し、日本の排他的経済水域(EEZ)外の朝鮮半島東岸付近に落下したとみられる。
 防衛省の発表では2022年の北朝鮮によるミサイル発射は、巡航ミサイルなどを含めて37回、少なくとも73発で、いずれも過去最多である。

参照:
・北朝鮮ミサイル、日本海に発射 22年は過去最多の73発(毎日新聞、2022年12月31日)
【URL】http://bit.ly/3kOSfQq

・北朝鮮ミサイル発射 過去最多 年末年始も警戒 防衛相(NHK政治マガジン、2022年12月27日)
【URL】http://bit.ly/3wzO1ih

・北朝鮮「ミサイル実験」に日本が慣れきる恐ろしさ(東洋経済ONLINE、2022年11月19日)
【URL】http://bit.ly/404M6zP

AIによって株価が激しく変動する「鉄火場相場」の出現! 日本の株式市場はサイコロを振って「丁、半」とやるようなマネーゲームに!

岩上「これはやっぱり、いろんな理由はあるのかもしれませんけれども、長期的に見てね、日本の財政が非常に厳しい財政になっているとか、あるいは少子高齢化が進んでて、人口減少進んでて、未来はないと言われてる(※2)。

 日本では、そのことは、いつも言われてることだから耳塞いでおこうっていう風になりがちなんですけれども。だから、手を打たないんですけど。人口減少に関してもですね、それから財政の問題もそうですけれども。

 こういうことが積もり積もって、日本って実際のところ、何とか長期的な未来に向けて変えていこうとしないんだな、っていう風に見られてるってことですかね?」

田代氏「でもないと思う」

岩上「そうでもないんですか?」

田代氏「今、実際にマーケットで通貨、外国為替を売ったり買ったり、株式を売ったり買ったり、債権を売ったり買ったりするということは、人間じゃなくて人工知能がやってるわけです」

岩上「人工知能に、そういう超長期の要因ってのは組み込まれてないんですか?」

田代氏「うん。単に過去のデータを見て、直近まで。で、どうするか、とやってるわけですよね」

岩上「なるほどね。それが正しいかどうかも、わからないですけれどもね。

 世界で株安が連鎖しました。『14日の日経平均は一時800円安』。この株価ね、ある時点でのことだけを伝えてもしょうがないんですけど、一応、14日付の取り上げてみますと、『日経平均株価が一時前日比800円超安と急落』。『8月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが強く』、言い換えるならアメリカのインフレが強くて、『米連邦準備理事会(FRB)が物価の伸び鈍化とともに利上げを緩めるとの楽観論が後退』した。

 これも、わかりづらい言い方ですけれども、インフレが思ったよりもすごく強いので、利上げをより促進しないと駄目だという判断を(FRBが)したということですね。で、『6月に続く「CPIショック」が再び発生し、世界で株安が連鎖』したっていうことなんですね」

▲世界で株安連鎖! 14日の日経平均は一時800円安

岩上「で、『過去1年の日経平均株価の推移』ってのは、こんな風になっています。何か言えること、ありますでしょうか?」

▲過去1年の日経平均株価の推移

田代氏「もうほとんど、こうでしょ? このラインを(2万8000円あたりを指し)、周りをぐるぐる回ってますよね。こういうのを古い相場用語で言うと、これ『鉄火場相場(※3)』って言うんですよね」

岩上「そうなんですか?」

田代氏「サイコロってランダムに、こう、たとえば偶数が出たり、奇数が出たりするわけでしょ」

岩上「そうですね」

田代氏「それでワーワーって、みんなやるじゃないですか、鉄火場ってのは。そんなもんですよね、これ」

岩上「上がったり、下がったりが激しい」

田代氏「あるラインからすれば、それよりも株価が上がったり下がったりってのが、ランダムに起きてる状態ですよね。これ、サイコロ振ってるようなもんだから、だから『鉄火場』。要するに『丁! 半!』ってね」

岩上「博打打ちの相場っていう感じですね」

田代氏「うん。ていうね。だから、こういうの鉄火場相場ですよ。

 今までは日本の証券会社の人たちは、特に外国の株式市場がこういう風になると、鉄火場相場だと言って蔑んでたんだけど、今、日本がそうなってますよね」

岩上「そうなんだ。蔑んでたんですね」

田代氏「これはもう、要するに本当にマネーゲームの世界ですよ。つまり、安い時に買って、高くなったら売り抜けるということを」

岩上「繰り返してる」

田代氏「うん。繰り返して、しかも、それをAIがやってるわけね。

 何でかっていうと、元々、もうすでに日本経済の衰退に伴って、かつてはたくさんいた日本株担当のファンドマネージャーが、ほとんどいないんです、今」

岩上「世界中の金融機関で、っていう話でね。投資会社とか」

田代氏「世界の大手の資産運用会社、あるいはヘッジファンド(※4)の中で、投資家から集めた何千億円、あるいは何兆円ていうね、金を動かしていく人たちがファンドマネージャーですよね。

 もちろん、そんな大きな金、1人ではできないから、それを分割していってやるんだけど、その中に、日本株担当のファンドマネージャーってのが昔はいたけど、もういなくなって。

 今はね、簡単に言えば、時間帯が近いところ、オーストラリア株とか中国株とかの担当者が、ついでに日本株を担当してる」

岩上「何で、そんなことになっちゃってんでしょ?」

田代氏「やっぱり面白くないからですね」

岩上「面白みがない」

田代氏「簡単に言えば、ファンドマネージャーっていうのは大変な高給取りなんですよ。年棒たるや、日本の普通のサラリーマンの生涯所得を超えるぐらいもらってるわけですよね。その人たちを使って、要するに、成長性がね、株価が上昇する見込みが薄れてしまった日本株を担当させること、できないじゃないですか」

岩上「なるほど」

田代氏「そうなると、こういう鉄火場相場になったら、これはもう、ある意味では面白いかもしれない。安い時に買って、高くなったら売るということを繰り返せば。これはもう、だから人間じゃなくて、それはAIがやってる」

岩上「ボラティリティ(※5)が高い、ということも言えるわけですよね?」

田代氏「ボラティリティは、そんな高くないけどね、これはね」

岩上「そうなんですか!?」

田代氏「ただ、だから小刻みにやっていくと儲かるかもしれない」

岩上「なるほど。そんな大きな相場ではないんだ」

田代氏「うん」


※2)少子高齢化が進んでて、人口減少進んでて、未来はないと言われてる:
 厚生労働省が2023年2月28日に公表した22年の人口動態統計(速報)によれば、2022年1月から12月の出生数は、79万9728人で過去最少となった。対前年4万3169人減少、5.1%減である。

 これに対して、2017年に国立社会保障・人口問題研究所が発表した2022年の出生数の中位推計は87万1000人だった。したがって、実際に生まれた子供の数は、推計より7万人も少ない。
 実際の出生数が統計・予測をはるかに下回っており、少子化の速度が予想以上に速まっていることが明らかである。

 同じ推計で、2022年に実際に生まれた79万9728人に最も近いのは、2033年の79万7000人だった。したがって、予想より11年も早く少子化が進んでいることになる。

参照:
・人口動態統計速報(令和4年12月分)(厚生労働省、2023年2月28日)
【URL】http://bit.ly/41vm2yE

・「日本の将来推計人口(平成29年推計)報告書」表4-8 出生,死亡及び自然増加の実数ならびに率(総人口):出生中位(死亡高位)推計(国立社会保障・人口問題研究所、2017(平成29)年7月31日)
【URL】https://bit.ly/3KDncCe

※3)鉄火場相場:
 鉄火場(てっかば)とは、賭博を行う場所(賭場)の通称。鉄火場相場は主に株式相場で使われる用語で、博打場のような勝ち負けの激しい相場を指す。

 投機家が短期の勝負事として仕掛ける売買が中心で、理論や実態を逸失した投資行動(マネーゲーム)となり、相場が激しく乱高下することが多い。
 なお、マグロを巻いた鮨を「鉄火巻」と呼ぶのは、鉄火場で博打を打ちながら食べられる簡易食として始まったからと言われている。

参照:
・鉄火場相場(iFinance)
【URL】http://bit.ly/3wvika5

・鉄火場(コトバンク)
【URL】http://bit.ly/3WCmZSd

※4)ヘッジファンド:
 ヘッジファンド(Hedge fund)は、金融派生商品など複数の金融商品に分散化させて、高い運用収益を得ようとする代替投資の一つ。欧米の大手金融機関、機関投資家の1つとされる。

 21世紀のはじめ、ヘッジファンドは世界中で人気を集め、2008年にはヘッジファンドの運用資産総計が1.93兆米ドルに上った。
 しかし、2008年の金融危機(リーマン危機)では多くのヘッジファンドが解約を制限した結果、その人気も運用資産も減退した。

 しかし、運用資産の総額は後に上昇に転じ、2011年4月には2兆米ドル近くになったと概算された。
 また2011年2月時点では、ヘッジファンドへの投資のうちの61% は、機関投資家によるものであり、2008年末時点の45% と比べて大幅に上昇していた。

 日本経済新聞は、(日本と同じく各国の金融緩和によって)世界的な「カネ余り」で資産規模が膨れあがったために運用が困難となっているのに加え、英国による欧州連合(EU)離脱や米大統領選などの政治状況に市場が振り回されて、2016年の運用成績が大幅下落したことを受け、ヘッジファンドの影響力が世界的に「徐々に縮小していく可能性」があると報じている。
 また、大手投資家はヘッジファンドから資金を引き揚げ、より低コストな投資商品に資金が流出していると報じられている。

参照:
・ヘッジファンド(Wikipedia)
【URL】http://bit.ly/3SvIofi

※5)ボラティリティ:
 ボラティリティ(Volatility)とは、一般的に価格変動の度合いを示す言葉で、「ボラティリティが大きい」という場合は、その商品の価格変動が大きいことを意味し、「ボラティリティが小さい」という場合は、その商品の価格変動が小さいことを意味する。

 現代ポートフォリオ理論などでは、このボラティリティを標準偏差で数値化し、それをその商品のリスクの度合いとして捉えるのが一般的。そのため、ボラティリティーが大きい商品はリスクが高く、ボラティリティが小さい商品はリスクが低いと判断されるのが通常。

 標準偏差で算出したボラティリティが大きい場合、実際のリターンと期待収益率(予想されるリターンの加重平均値)とのブレが大きくなる可能性が高いことを意味する。そのような価格変動のブレの大きい商品は、多くの人が避けることから、一般にリスクが高いと判断される。

参照:
・ボラティリティー(SMBC日興証券 初めてでもわかりやすい用語集)

【URL】http://bit.ly/3ye8YAt

日本国債の半分以上を保有する日銀は、もう限界!「日銀に代わる引き受け手」を財務省の斎藤理財局長が模索! しかしどこに引き受け手がいるのか!?

岩上「『10年国債の利回りが上昇し 現在日銀が「上限」とする水準に到達!』した。9月14日です。『日本経済新聞「14日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇(債券価格は下落)し、一時0.250%と日銀が現在の金融政策で『上限』とする水準に達した」。「上限到達は6月17日以来」とのこと』なんですが、これはですね、どういう風に見て解釈したらいいんでしょうか?」

▲10年国債の利回りが上昇し 現在日銀が「上限」とする水準に到達!

田代氏「日本銀行は、世界の金融の歴史の中でも、初めてのことをやってるんですね。通常は、たとえばアメリカのFRBもそうですけど、短期の金利を操作して間接的に長期金利に影響を及ぼそうとするんだけど、日本銀行は直接に長期金利に手出してる」

岩上「それは、なぜ?」

田代氏「なぜかというより、まずね、やってることというのは、とにかく、長期金利がマックス0.250%に釘打ちしておくと。で、短期金利はマイナス圏に置いておくというですね、これを『イールドカーブ・コントロール(※6)』って言ってるんだけど。

 『イールドカーブ』っていうのは、いろんな機関の国債の利回りを並べて、利回りのこと英語で『イールド』って言うので、それを並べた曲線なんですけど、そのイールドカーブそのものをね、コントロールするっていうね、これは前代未聞、まさにですね、これは日本という国が続く限り、歴史に残る快挙です」

岩上「快挙ですか。できるんですか、その『イールドカーブ・コントロール』というのは」

田代氏「今んとこやってるんだけど、その帰結がどうなるかってのは、これからわかる」

岩上「米国も欧州も、やったことがないんですね?」

田代氏「そんな、神をも恐れぬことはやらないような気がするけど。つまり、マーケットってのは『見えざる手』が動いてるっていうのが、アダム・スミス以来の発見(※7)ですよね。そうじゃなくて、そこにね、本当に日本銀行の『見える手』が、突っ込んで、金利を押さえ込んでるわけですよ」

▲18世紀英国の哲学者、倫理学者、経済学者、アダム・スミス。(Wikipedia、Etching created by Cadell and Davies (1811), John Horsburgh (1828) or R.C. Bell (1872).

岩上「万能感あるのかな」

田代氏「それのために、どうなったかというと、現状、日本国債の、発行されて満期が来てないもの全体の、半分以上は日本銀行が単独で保有してるわけですよ。これもですね、もう前代未聞」

岩上「直接引き受けではない、ワンクッション置いてるとはいっても、事実上、引き受けてる」

田代氏「いや、違います。引き受けと、市場で買うってのは全然違うことで」

岩上「違うことですか?」

田代氏「うん。これもですね、日本のメディアの人たちが、やたらとそれを同一視したがるんだけどね。それは全然違う」

岩上「結果として、だけれども、日銀が持ってるっていうのは、どういうことなんでしょう?」

田代氏「日本銀行が直接引き受けるってことは、それはマーケットを介さないんです、まったく。だから、簡単に言えば、今はもうデジタルにしてるから、それは比喩だけど、財務省が印刷した国債が、そのままトラックに乗って日本銀行の倉庫に入ってるってことですね。

 現状はそうじゃなくて、一応、財務省が発行した国債は、比喩ですよ、今はデジタル化してるから比喩だけど、それからマーケットに行って、売り買いしてるんだけど、そこに日本銀行が行って、『俺、買います! 俺、買います!』って言ってですね、買いまくってるって、そういうかたちなんですよ。これは全然違うんですよね」

岩上「で、その日銀が、買ってきたんだけれども。その日銀が買うということで、引き受け手になってきたということが、ひとつ大きかったんでしょうけれども、『日銀にかわる国債の引き受け手の開拓が急務!?』だと。日経のね、14日付の記事がですね、『財務省の斎藤通雄(※8)』、サイトウミチオさんって言うんでしょうかね?」

▲日銀にかわる国債の引き受け手の開拓が急務!?

田代氏「はい」

岩上「理財局長のインタビューを掲載したんです」

田代氏「理財局長っていうのは、財務省で国債の発行を担当する部局です」

岩上「非常に重要なキーパーソンですよね」

田代氏「はい」

岩上「で、この『金融緩和の出口を見据え、日銀にかわる(国債の)引き受け手の開拓が急務』、つまり、今、田代さんがおっしゃったように、結果として日銀はかなり引き受けてきたわけですね。直接引き受けではないということではありますけれども、市場に行って買ってきた。

 しかし、それでは金融緩和の出口っていうのは、いつまでたってもやってこないんで、日銀にかわる引き受け手の開拓が必要だというんで、そのインタビューを掲載したものを、ちょっと、これは重要なお話なのかなと思いまして、切り取ってきたんです。

 『斎藤理財局長「低金利で保有を減らしてきた地方銀行や信用金庫など」』、こういうような人たちに期待をしてるということですね。あれ? 地銀とか信用金庫とかって、今もう本当、苦しいんじゃないかなと思うんですけど。

 『「利ざやを稼ぐ裁定取引や高頻度取引の投資家、ヘッジファンドなど」』にもお願いしたいと。ここも、そんな甘いところじゃないんじゃないかなと思うんですね。

 それから今度、『「(個人向け国債)家計の保有比率は高められる余地がある」』。『余地がある』って言われても困るんだけど。これは、自由に任せてほしいんですけれどね。『今でも個人向け国債の利回りは銀行預金に比べて高い(という魅力がある)』でしょって、こういう風におっしゃってるんです。

 こういうようなのが、次の日銀にかわる引き受け手になってくれないか、ということなんですね。引き受け手を見つけなければ、今のようなかたちは維持できないって話なんでしょうけど、これ、いかがでですか。どういう風に評価しますか?」

▲Q 「日銀が国債を買わなくなったとき、誰が次の引き受け手になる?」

田代氏「これは、恐るべきことを言ってるんですよ」

岩上「恐るべきこと?」

田代氏「だって、ちょっと、ひとつ前に戻してくださいね、スライド」

岩上「はい」

▲日銀にかわる国債の引き受け手の開拓が急務!?

田代氏「はっきり言ってるように、『金融緩和の出口』っていうのは、要するに、日本銀行が今のように指値、つまり、もう見境なしに国債をね、大量に買っていくということを止めるという時が、いつかは来ると。

 その時に、さっきも申し上げたように、もう日本国債は、今、発行されているものの半分以上は日本銀行が単独で持ってるんですよ。それが、もう日本銀行、それ以上買わないと。そうすると、債権っていうのは原則としてみんな満期がありますよね。満期が来ると、それは現金化されていって債権消えてくわけですよ」

岩上「そうですね」

田代氏「ということは、次第に日本銀行の保有残高、減ってきますよね。その時でも日本の財政が黒字化してるという展望はないから、なお、国債を発行し続けてなきゃいけないと。それを、誰が引き受けてくれますかというと、これは真剣に考えなきゃいけないですよ。

 つまり、日本銀行が買わなくなった分を、誰がかわりに買ってくれるんですかと。ということを言ってるってことは、もう完全に財務省は、日本銀行が限界にきてることを、見据えてるんですよ」

岩上「ということと同時に、今、パッとおっしゃった、ここの部分から割愛されてることですけれども、日本の経済の先の見通しで、国債を発行しないでですね、経済が黒字化するとかね、そういうような楽観的な見通しはないと。経済はずっとキツいままで、国債発行して、もたしていかなきゃいけないだろうという見通しを持ってる、ってことですね」

田代氏「もっと言えば、プライマリーバランスの達成すらない(※9)、ということを見てるわけでしょ。だから、ずーっと赤字国債を発行しなきゃいけないと」

岩上「しかも、どんどん増えていくっていうことですよね」

田代氏「うん。ですよね。しかも、それは高齢化に伴って、医療費と年金がどんどん増えていくと。そこを、もう資金をどうするかというと、最終的に国債になっちゃうわけですよね。で、そうなると、その時、でも日本銀行が買わないんだったら……」

岩上「どうすんのって」

田代氏「誰が買ってくれるんですかってね、ということを言ってるわけですよね。

 だから、財務省の理財局ってのは、国債を潤滑に発行するための部局で、国債も金融商品だから」

岩上「買ってくれなきゃね」

田代氏「ただ作っただけで、あんな巨額なものが買われるわけじゃないわけですよ。だから実は、理財局長は大手の金融機関を走り回って、お話しするんです」

岩上「お願いします、と」

田代氏「いや、お願いしますじゃない。『いくらだったら買ってくれますか』と、こっそり聞いてくるわけですよ」

岩上「なるほど」

田代氏「それで売り出しの価格を決めるんです。もっと言えば、裏返して言うと、売り出しの時の利回り、金利を決めてるわけ。

 これは慎重にやらないと、前にこの番組で紹介したように、取引が成立しなくて、日経新聞で」

岩上「『未達』ってのがあったんですね」

田代氏「長期金利、つまり10年満期国債の利回りが、記入されてない時があるでしょ。あんな恐ろしいことが起きるわけですよ。それが起きないようにするのが、この理財局長の仕事。これはもう、だから、財務省の中でも、とにかく優秀な人が担当に就きますね」

岩上「斎藤さんの肩にかかってるんですね。頑張ってください。この方ね(写真を指す)」


※6)イールドカーブ・コントロール:
 中央銀行の金融政策において、短期金利と長期金利を国債の買い入れを通じて誘導しようとする政策。英語でYield Curve Control、略してYCC。
 イールドカーブは「利回り曲線」と訳され、短期から長期へ金利をつないだ曲線のこと。短期金利と長期金利を誘導することで、この利回り曲線(イールドカーブ)を誘導(コントロール)する。長短金利操作ともいう。

 2016年9月の日銀金融政策決定会合で、日銀が新たに導入した政策枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の柱のひとつ。2016年1月から始めた短期金利のマイナス金利政策に加え、10年物国債の金利が0%程度で推移するよう買入れを行うことで、短期から長期までの金利全体の動きをコントロールする。
 金利を誘導する方法として、長期金利は国債買い入れオペレーション(公開市場操作)、短期金利は当座預金への付利調整などがある。

 具体的には、短期金利は日銀当座預金のうち、政策金利の残高にマイナス金利を適用、長期金利は10年物国債の金利が0%程度で推移するように長期国債の買い入れを行う、といったことを指す。

参照: ・イールドカーブ・コントロールをわかりやすく解説、日銀はなぜ長短金利を操作するのか(FinTech Journal、2021年1月5日)
【URL】http://bit.ly/3Z5BtMk

・イールドカーブ・コントロール(野村證券 証券用語解説集)
【URL】http://bit.ly/3Y0NmBR

※7)マーケットってのは『見えざる手』が動いてるっていうのが、アダム・スミス以来の発見:
 アダム・スミスは18世紀後半のイギリスの経済学者、思想家。『諸国民の富』(=『国富論』)の著者。
 産業革命が進展しているイギリスで1776年に同書を発表し、「労働が富の源泉であり、自由な経済活動こそが国家の経済を発展させる」という新たな経済理論を打ち出した。資本主義経済を理論づける自由主義経済理論を体系化した「古典派経済学」の父といわれる。

 アダム・スミスは、貨幣=金銀を富と考えて国家による保護関税や産業保護などの経済政策を主張する重商主義を否定し、富の源泉は農業や商工業での労働そのものにあるとして、労働価値説を説いた。
 労働価値説の考えでは、労働価値を高めるためには設備投資や資本の蓄積が必要であり、市場において自由競争をすることによって生産性が高まり、社会全体が進歩するとした。これは、自由主義経済思想ともいわれる。

 市場における競争が経済秩序を破壊する恐れがあるという批判には、需要と供給の関係で価格が自動的に決まる市場原理により、価格はおのずと調整されると考えた。
 この「市場経済において、各個人が自己の利益を追求すれば、結果として社会全体において適切な資源配分が達成される」とする考え方は、「神の見えざる手」と呼ばれている。

参照:
・アダム=スミス(世界史の窓)
【URL】http://bit.ly/3xU3Npa

・第3回アダム・スミスという人のお話し(神戸大学、現代の経済、現代と経済)
【URL】http://bit.ly/3xUkQHy

※8)財務省の斎藤通雄:
 財務省理財局長の斎藤通雄(さいとう みちお)氏。ミスターJGB(日本国債)と呼ばれている。
 1963年1月生まれ。東京都出身。東京大学法学部第3類(政治コース)を卒業、1987年に大蔵省(当時)入省。2005年8月から2007年7月まで財務省大臣官房総合政策課政策調整室長として、日本銀行の金融政策について内閣府や総理官邸の秘書官などと調整しながら企画立案した。

 2010年に理財局国債業務課長。2011年、理財局国債企画課長。以後、金融庁総務企画局参事官(監督局担当)、産業革新投資機構(2018年9月25日までは産業革新機構)CFO(最高財務責任者)、東海財務局長などを歴任し、2022年6月24日、理財局長に。国債管理政策を担う国債企画課長を経験した理財局長の就任は21年ぶりとなる。

 ミスターJGBと呼ばれる理由は、国債課長補佐時代に大蔵省資金運用部の買い入れ停止を機に長期金利が急騰した「運用部ショック」の沈静化に努め、国債管理政策の基礎を作ったためだ。10年に偏っていた国債年限の多様化、物価連動国債の発行にも尽力した。
 現在、大規模緩和が長期化する中で国債市場の構造も変化しているとの認識を示す斎藤氏は、市場参加者の意識や体制が「動かないマーケット」が前提であることに危機感を持ち、「日銀が日本国債の主たる買い手でなくなる時がいずれ来る」と強調している。

参照:
・ミスターJGBが国債市場の流動性向上策を検討、日銀出口見据え(ブルームバーグ、2022年8月4日)
【URL】http://bit.ly/3EDztCO

・齋藤通雄(ウィキペディア)
【URL】http://bit.ly/3EFAdaF

※9)プライマリーバランスの達成すらない:
 プライマリーバランス(Primary Balance)とは、国や地方自治体などの基礎的な財政収支のこと。PBと表記される。
 一般会計において、歳入総額から国債等の発行(借金)による収入を差し引いた金額と、歳出総額から国債費等を差し引いた金額のバランスであり、社会保障や公共事業などさまざまな行政サービスのための経費(政策的経費)を税収等で賄えているかを示す指標となる。

 PBがプラスということは、国債の発行に頼らず、その年の国民の税負担などで国民生活に必要な支出が賄えている状態であり、PBがマイナスだと、国債等を発行しないと支出を賄えられないということである。
 現在、日本のPBは赤字であり、政策的経費を借金で賄っている状況。2022年度の一般会計予算(当初予算ベース)でみると、政策的経費は歳出総額から国債費の一部を除いた83.7兆円。税収等は歳入総額から公債金を除いた70.7兆円であり、 PBは13兆円の赤字である。

 本文中の「プライマリーバランスの達成すらない」とは、政府が掲げる「2025年度の黒字化」の実現が、すでに困難な状況となっていることを指す。

参照:
・プライマリーバランスとは何か(財務省)
【URL】http://bit.ly/3ZjtFX0

・プライマリーバランス(SMBC日興証券)
【URL】http://bit.ly/3XWBYXK

かつて国民が買わされた戦時国債が紙くずになった「黒歴史」がある日本! 政府は国債の新しい引き受け手に国民を想定!?

岩上安身(以下、岩上)「で、(日銀にかわる国債の買い手として)本当に地銀とか、信用金庫とか、ヘッジファンドとか、あと家計とか、どれも相当、頼りなく感じるんですけど、これはいかがですか?」

田代秀敏氏(以下、田代氏)「なぜ、地銀や信金が国債を買わなくなったか。もっと言えば、どんどん売ってるかっていうと、それはあまりにも低金利だから、儲からないからですよ」

岩上「そうですよね」

田代氏「裏返して言うと、つまり債券の利回りである金利と、債券の価格というのは逆行関係にあるわけです。金利が下がってるってことは、価格が高いんですよ。そしたら当然、金融商品だから、高い時に売り抜けるのが原則ですよね」

岩上「なるほどね」

田代氏「そうなると、日本銀行が頑張って低金利政策を進めれば進めるほど、それは」

岩上「売られちゃう」

田代氏「国債の保有者は、それを売り抜けようというインセンティブが高まるに決まってますよね。実際、それを行ってるわけですよ」

岩上「ここではっきり書いてますもんね。『低金利で保有を減らしてきた』と、書いてるわけですから」

田代氏「ここ(地銀や信金などの金融機関)に買わせるっていうのは、それは金利を上げる。つまり、価格を下げない限り、それは買ってくれないわけですよね」

岩上「そうですね」

田代氏「それは、どうするのかなっていうのは、つぶやいてないからわからないけど。

 次に今度は、投資家、特に機関投資家で、特にヘッジファンドですよね。『裁定取引』とは、要するに、安く買って高く売ると。で、『高頻度取引』っていうのは、さっき申し上げたように、AIがやってるんだけど。これは、たとえば、1秒間に何百万回という取引やってるんです」

岩上「すごい」

田代氏「だから要するに、人間はできないですよ」

岩上「なるほど。そうですね」

田代氏「だから、それに伴って、取引所の能力もどんどん高めていってるわけですね。本当に、まばたきする間に何百万回の取引が行われてるんです、ワーッてね」

岩上「なるほど」

田代氏「だから、ちょっとしたことで、あっという間に為替レートは動くでしょ」

岩上「なるほど」

田代氏「それは、そういう風にものすごい取引が集積されて、結果として、もう瞬間的に為替レートがグンと何円も動くわけですよね。それが高頻度取引です。『高頻度』って言っても、これ、人間の及ぶ話じゃないわけですね。

 そういうことをやってるヘッジファンド、ここにも買ってもらいたいと。これ、結構、考えて言ってますよ。これって国債の価格が乱高下することがない限り、彼らは手を出さないですよ」

岩上「そうですね。さっき言った、こういう」

田代氏「で、しかも、彼らは皆3ヵ月で、1クォーターで結果出さなきゃいけないんだから。3ヵ月の間に、十分に価格が乱高下するってのが大事なんですよ」

岩上「すっごく不安定な(金融商品)、ということですよね」

田代氏「(もともとは安定した金融商品とされていた日本国債が)そうなっても、仕方ないですよね。

 次に、今度は個人向け国債。これは結構、不気味で、前もご紹介したけど、戦時中の日本なんかそうですよね(※10)、給料の半分ぐらいは、もう天引きされてるんですよね。国債価格になってるわけですよ」

岩上「え、そうなんですか?」

田代氏「うん。で、税金も高いんだから、ほとんど手取りないですよね。でも、それは日本だけじゃなくて、たとえば、ソビエト連邦の財政もそうです。給与の2割から3割は天引きされていて、国債を購入させられてます」

岩上「かつてのソ連の話ですよね? 今のロシアではなくて」

田代氏「うん、そう。それは皆、だから、営々と個人向け国債を貯蓄してたんだけど、それはソ連崩壊によって全部、紙くずになったわけ(※11)」

岩上「そうですよね。特に、ハイパーインフレ(※12)によって」

田代氏「でも日本も、戦時中はそういう風に、どんどん戦時国債を自動的に買わせて、それが全部、紙切れになったわけ」

▲第二次世界大戦中に発行された日本の戦時国債(戦争国債)。戦後のインフレによりほぼ無価値となった。(Wikipedia

岩上「ですよね」

田代氏「で、そこを(斎藤理財局長は)『保有比率は高められる余地がある』と(※13)」

岩上「どういうこと?」

田代氏「なんとなく、怖いこと言うなと思うんだけど」

岩上「(個人に買わせるということなのか)怖いですよね」

田代氏「でも、それは確かに、このままいくと日本の財政が破綻するから」

岩上「個人から、むしり取るしかない?」

田代氏「日本銀行にかわって、全体として膨大な国債を、日々、購入してくれるっていう相手を探さなきゃいけない。っていうところに来てることを、理財局長が自らの言葉で言ってるという。これ、歴史的証言です」

岩上「そうですね。これ、権力によってですね、強制できるっていうの、ここ(投資家、ヘッジファンドなど)はできませんよね? できるところって、ここ(個人向け)だけじゃないですか。

 すると、また戦前・戦中そうであったように、家計にしわ寄せする、個人にしわ寄せする。税と同じような負担を課すということに、やっぱりなっていくんですかね? それで、後で紙切れ化する。勘弁してほしいんですけど」

田代氏「現状はね、資産所得倍増計画っていうので、その前からNISAってありますよね、エヌ・アイ・エス・エーっていう」

岩上「はい、NISA」

▲「資産づくりの第一歩に」と呼びかける、金融庁のNISA特設ウェブサイト

田代氏「個人投資家向けのね、優遇税制の。この枠までだったら、非常に、証券投資による利益に対する課税額が無課税になりますよ、っていうね。なんだけど、あれ、じゃあ、使って、日本の個人投資家が何買ってるか。日本株、買ってないですよ」

岩上「そうなんですか?」

田代氏「アメリカ株、買ってますよ」

岩上「それはそうですね」

田代氏「別に、行く相手のところは特定してないから。そうすると、非課税枠せっかく作っても、個人の投資家たちはアメリカ株式を買ってるわけ。アメリカ株式は確かに配当が大きいし、あと、何と言っても円安だから、ドル表示されてる価格がどんどん上がっていきますよね、円建て考えれば」

岩上「そうですね。(円安が続くうちに)早く買っておかないと、という風に(焦りを覚えるような気分に)なりますよね」

田代氏「それを日本国債に向けさせると。これは大変ですね。だって、こんな低利回りで、どうやって、そこに向けさせるかっていうね」

岩上「だから、強制性がないとできないんじゃないですか?」

田代氏「強制性は多分、やっても、今のように金融が国際化されてると、今のNISAのことでわかるように、強制すればするほど出て行っちゃうわけですね。キャピタルフライトが起きちゃうから、よほどの得点付けなきゃいけない」

岩上「戦中にやったようなことっていうのは、ないっていうことですか?」

田代氏「あれは、だって、(英米等の経済制裁によって)外国との取引はもう完全にできなくなってるわけだから。それで、日本もドイツも戦時中は、国民の資産を全部国債に向けさせたわけですよ、総動員して」

岩上「(国債の売り先が国内で)閉じてるわけですね」

田代氏「それ(国債)で戦費を賄ってきたわけですね。でも、もう日本は、理財局長自身がこう言ってるってことは、これは大変」

岩上「大変ですよ。何か、そういう総動員体制でも敷くのかなって、怖いことを考えちゃいますよ。そうではないんだとしたら、どういうインセンティブを付けるんですか? そのインセンティブって可能なんですか? 財源あるんですか? って気になるんですけど」

田代氏「国債を持ってる分だけ、総合的な課税率が下がるとかね、そうやって金持ちにも買ってもらうとか」

岩上「でもNISAって、非課税枠って、たいした額じゃない(一般NISAは年間120万、ジュニアNISAは年間80万円、つみたてNISAは年間40万円)」

田代氏「たいしたことないでしょ」

岩上「でしょ? だから、あんまり、おいしくないんじゃないですか、あれ」


※10)今度は個人向け国債。これは結構、不気味で、前もご紹介したけど、戦時中の日本なんかそうですよね:
 日本の戦争財政を研究する関野満夫中央大学教授は、論文『日本の戦費調達と国債』の中で、「日中戦争・アジア太平洋戦争期での日本の戦争財政の財源の7割強は,国債いわゆる戦時国債によって賄われていた」と述べている。

 関野教授によれば、この戦時国債の約7割は日銀の直接引受(その後、市中売却)が、3割強は大蔵省預金部引受と郵便局売出が占めた。
 戦時期全体を通じた国債の新規発行額は1282億円、その内訳は日銀引受65.9%、大蔵省預金部引受29.6%、郵便局売出4.4%である。

 そして、日銀の直接引受後の金融機関への市中売却、郵便貯金が主な資金源である大蔵省預金部引受、郵便局売出の国民による購入のいずれにしても、それらの資金確保のために、国民貯蓄が奨励された。
 政府・大蔵省は貯蓄増強を実現するために、1938年4月に貯蓄政策の中心機関として「国民貯蓄奨励局(大蔵省外局)」を設置し、戦時期を通じて「国民貯蓄奨励運動」を展開した。

 一方、国債(少額国債)の郵便局売出は1937年11月に開始されている。その際、戦時下の国民に対して一般的な貯蓄奨励ではなく、国債の直接的購入を訴えるにあたって、その独自の必要性やメリットを強調していた。

 内閣情報局発行の国民向け広報誌『週報』第56号(1937年11月10日)において、大蔵省理財局は「国債の郵便局売出し」という表題で訴えた。
 そこでは、「国債でせめて銃後の御奉公」「国債は手軽に局の窓口で」「国債は買って確実有利な貯蓄」等として、国債購入が国民の義務であるとするともに、郵便貯金や銀行貯蓄預金に比べての国債購入の有利性も強調している。

 これは、戦時国債購入促進のための「プロパガンダ」に他ならないが、政府による戦争遂行のための「プロパガンダ」は、他にも枚挙に暇がない。
 『大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争』の著者で、近現代史研究者の辻田真佐憲氏への岩上安身によるインタビューでは、「プロパガンダの究極形態」とも言うべき、大本営発表の知られざる実態が詳細に語られている。

 日米の戦局が完全に逆転した1942年6月のミッドウェー海戦を機に、大本営発表のデタラメさは加速度を増してゆく。そして最終的には、敵空母の撃沈数では73隻(約7.6倍)、敵戦艦の撃沈数では39隻(約10.75倍)もの水増し発表が行われた。
 1943年5月12日、アリューシャン列島にあるアッツ島の日本軍2,600人が、上陸してきたアメリカ軍に突撃を行い、全滅した。大本営発表は、この悲惨な全滅を「玉砕」と言い換え、まるで美談であるかのように喧伝したのである。

 辻田氏によれば、アッツ島の全滅は、増援や補給の不足という、陸軍指導部の作戦上の失敗によるものであった。しかしこうした事実は、「皇軍の神髄を発揮」した「玉砕」などという大本営発表により、「美談」にすり替えられてしまったのだという。
 さらに、岩上安身による辻田氏への別のインタビューでは、辻田氏の著書『たのしいプロパガンダ』を踏まえて、戦前の日本では、演劇や浪花節、落語、浪曲、講談、琵琶、ポップスなど、様々なエンターテイメントの中に戦意を高揚させるような要素がまぎれ込ませてあったことも詳細に論じられている。

 また、『「愛国」の技法』『神国日本のトンデモ決戦生活』『「日本スゴイ」のディストピア』などの著書がある早川タダノリ氏への岩上安身によるインタビューでは、戦前・戦中の書籍や広告を参照しつつ、大日本帝国が展開した「戦争プロパガンダ」の実態が示されている。
 例えば、戦前、多くの家庭で読まれていた婦人雑誌『主婦之友』は戦争末期の1944年12月、「これが敵だ!野獣民族アメリカ」という特集を組み、「アメリカ人をぶち殺せ!」「アメリカ人を生かしておくな!」など、敵国であるアメリカへの敵愾(てきがい)心を煽るスローガンを数多く掲載したのである。

参照:
・日本の戦費調達と国債(関野満夫、経済学論纂(中央大学)第60巻第2号(2019年10月))
【URL】https://bit.ly/3ICvt6B

・「撤退」は「転進」に、「全滅」は「玉砕」に――嘘とデタラメと捏造の限りを尽くした「大本営発表」、その知られざる実態とは? 岩上安身が近現代史研究者の辻田真佐憲氏に訊く!~岩上安身によるインタビュー 第690回 ゲスト 辻田真佐憲氏 後編 2016.11.25
【URL】https://bit.ly/3xVC5Is

・歌劇、講談、浪花節・・・そして「萌えミリ」から『シン・ゴジラ』まで!? 日本軍が注目した「たのしいプロパガンダ」、その実態とは? 岩上安身によるインタビュー 第681回ゲスト 近現代史研究者 辻田真佐憲氏(前編) 2016.10.27
【URL】https://bit.ly/3ZJ7IRB

・『主婦の友』が「アメリカ人をぶち殺せ!」――大日本帝国の過激で珍妙な「戦争プロパガンダ」~現在に至る「自画自賛」の系譜を岩上安身が『神国日本のトンデモ決戦生活』著者・早川タダノリ氏に訊く! 岩上安身によるインタビュー 第678回 ゲスト 早川タダノリ氏 前編 2016.10.18
【URL】https://bit.ly/3kyy21M

※11)営々と個人向け国債を貯蓄してたんだけど、それはソ連崩壊によって全部、紙くずになったわけ:
 1991年12月にソ連が崩壊、それまでの計画経済体制から資本主義体制へ移行したロシアは、ソ連から莫大な債務を引き継いだことによるロシア・ルーブルの信用低下、生産設備を払い下げられた一部の民間人(オリガルヒ=新興財閥)による価格の吊り上げ、物資不足などによって、激しいインフレーションと「破局」とも評されるほどに深刻な生産水準、GDP、実質賃金の低下に見舞われた。

 すなわち、GDPデフレーター(物価動向を把握する指数の一つで、GDP算出時に物価変動の影響を取り除く。これが上昇すればインフレ圧力が高く、下落すればデフレ圧力が強い)は、各々前年度比で1992年に16倍、1993年10倍、1994年4倍、1995年3倍、1996年に1.5倍となり、物価水準は数年で3000倍にも上昇。政府や財界には不正が横行し、人々の生活はみるみる悪化していったのである。
 こうした社会不安は人心を荒ませ、アルコール依存による疾患と死亡、自殺、殺人が急増。財政難を背景に年金や医療といった各種社会保障制度も崩壊したため、年金暮らしの高齢者や病気を抱える国民が大量に死に、平均寿命が瞬く間に短くなった。

 特に男性の平均寿命の短縮化が顕著で、ゴルバチョフ時代に65歳近くだったそれは、体制移行2年目の1993年に58.91歳、翌94年には57.59歳へと急落。一時期60歳以上に回復したものの、1998年8月の金融危機をきっかけに起こったインフレ高進と所得格差の拡大によって、再び60歳以下へ低下したのである。

参照:
・【第427-435号】岩上安身のIWJ特報!スクープ!日銀が発表した英語論文の謎 アベノミクス・黒田バズーカによる副作用の責任を逃れようと裏で金融緩和の出口模索!? 岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー 2018.7.1(後編) 2019.9.1
【URL】https://bit.ly/3EK0IvD

・佐藤芳行「ロシアにおけるインフレーション――「改革」後の価格調整は何をもたらしたか――」『経済論集』第90号、新潟大学、2010年
【URL pdf】https://bit.ly/2K1FEVP

・久保庭眞彰・田畑伸一郎「ロシアにおける1990年代の人口・年金危機――移行経済の世代間利害調整に関する予備的考察――」『経済研究』第53号、一橋大学、2002年
【URL pdf】https://bit.ly/2JCPM84

・みんなの介護「お金のはなし 第11話財政破綻した旧ソ連はインフレで社会保障が崩壊… 日本も同じ末路をたどる?」2017年11月16日
【URL】https://bit.ly/30JOnlx

※12)ハイパーインフレ:
 ハイパーインフレーションのこと。強度のインフレーションで、物価が急速に過度に上がりすぎる状態を指す。
 国の財政悪化や、通貨の過剰供給などが原因で、お金の価値が下がり、ひとつのモノを買うために必要なお金の量が加速度的に増えてしまうこと。

 モノの値段が上がっていく状態はインフレ(インフレーション)で、賃金上昇が伴えばインフレ自体は悪いものではなく、日本政府も毎年2%のインフレを目標にしている。
 しかし、ハイパーインフレになると「インフレ率が数億%」になることもあり、市民は普段の買い物に大量の札束を持たねばならず、経済は大混乱となる。

 米国の経済学者のフィリップ・D・ケーガンは、ハイパーインフレを「インフレ率が毎月50%を超えること」と定義している。毎月のインフレ率50%が継続すると、1年後に物価は129.75倍に上昇することになり、インフレ率は1万2875%となる。
 一方、国際会計基準の定めでは「3年間で累積100%以上の物価上昇」をハイパーインフレの定義としている。

 ハイパーインフレは、戦争や革命など、国の存続が危ぶまれるほど社会が混乱状態に陥った時に起きやすく、一度発生してしまうと国や中央銀行がコントロールしきれない状況となる。

 日本では、第二次世界大戦の敗戦直後にハイパーインフレが起きて(1945年10月から1949年4月までの間に消費者物価指数は約100倍に。敗戦後のインフレは年率59%、1947年のインフレ率は125%)、新円切替(タンス預金でお金を隠し持っていても、切り替え後は使えなくなるので、国民は皆、銀行に紙幣を預ける)、預金封鎖(自分の預金でも、最低限度の金額しか引き下ろせなくなる。この間に政府は各国民の資産を捕捉する)、財産税(現金、預金、株式、不動産などの金融資産に高額の課税。最高税率90%)などの強硬手段が、明治憲法下にあった国家緊急権(緊急勅令)を用いられ、有無を言わさずに取られた。

 現代の日本でハイパーインフレが起こる可能性は低いとされてきていたが、新型コロナウイルス対策などで財政出動が増え、増税による防衛費の大幅増額も決定した。国の財政が急激に悪化して日本の信用力が急低下し、日本円の価値が下がり続けていく可能性も懸念される。また、自民党の改憲4項目の中には、緊急事態条項が入っているが、これは現在の日本国憲法に、再び、国家緊急権を書き入れることであり、戦後直後の預金封鎖や財産税の課税のような、強硬手段をとることが可能となる。

参照:
・新型コロナの影響?日本もなるかもしれない「ハイパーインフレ」に備える方(三菱UFJ銀行、2020年9月11日)
【URL】http://bit.ly/3Y3i7G8

・ハイパーインフレーション(ウィキペディア)
【URL】http://bit.ly/3Zp9eI2

・改憲で緊急事態条項が通れば「国民に『お前らの財産没収します!』なんてこともできます!」と明石順平弁護士が危惧!~岩上安身によるインタビュー 第937回 ゲスト 『データが語る日本財政の未来』著者 明石順平弁護士 第3弾 2019.4.26
【URL】https://bit.ly/3kCP0fl

・【第487-495号】岩上安身のIWJ特報!自民党が強く求める「敵基地攻撃能力」が「抑止力」と思い込むのは、日本を破滅に導く妄想である!岩上安身による早稲田大学教授 水島朝穂氏インタビュー 前編 2021.1.31
【URL】https://bit.ly/3kCP0fl

・国民投票法「改悪」案、5月6日にも衆院採決か!?  国民投票法の次はナチスばりの緊急事態条項を含む自民党改憲へなだれ込むリスクが! 「不要不急」の改憲の目的はナチスばりの戦時独裁体制の樹立!~岩上安身によるインタビュー 第1040回 ゲスト 立憲民主党・小西洋之参議院議員 2021.4.30
【URL】https://bit.ly/3Y9myQ2

・<衆院選にむけての緊急インタビュー5!>争点は改憲・緊急事態条項と財政・税制! 岩上安身によるインタビュー第1058回 ゲスト 宇都宮健児弁護士、エコノミスト・田代秀敏氏 2021.10.28
【URL】https://bit.ly/3zkPXMt

・コロナ禍を口実に改憲による緊急事態条項の導入は不要! 政府による人災に苦しめられたコロナ禍を検証!~岩上安身によるインタビュー 第1062回 ゲスト 弁護士 永井幸寿氏 2021.12.20
【URL】https://bit.ly/3YamEa1

・コロナ禍を口実に改憲による緊急事態条項の導入は不要!(続編)日本海溝巨大地震で原発リスクは想定せず!? ~岩上安身によるインタビュー第1063回 ゲスト 弁護士 永井幸寿氏 2021.12.23
【URL】https://bit.ly/3meQ2OV

・コロナ禍を口実に改憲による緊急事態条項の導入は不要!(続々編)日本列島は「中国軍のミサイル吸収ホイホイ」!? ~岩上安身によるインタビュー第1064回 ゲスト 弁護士 永井幸寿氏 2021.12.27
【URL】http://bit.ly/3meQ2OV

※13)(斎藤理財局長は)『保有比率は高められる余地がある』と:
 日本経済新聞が、国債管理政策の経験が豊富で「ミスターJGB(日本国債)」の異名をとる斎藤通雄財務省理財局長に、金融緩和の出口を見据え、日銀にかわる引き受け手の開拓に関する展望を取材した。

 斎藤局長は、日銀が国債を買わなくなった時の、次の引き受け手として、地方銀行や信用金庫、利ざやを稼ぐ裁定取引や高頻度取引の投資家、ヘッジファンドなどを上げた。
 さらに、記者の「個人向け国債が伸び悩んでいる」との問いかけに対して、斎藤局長は、「家計の保有比率は高められる余地がある。今でも個人向け国債の利回りは銀行預金に比べて高い。魅力があるのに需要を掘り起こせていない。局内でよく調査して対策を考えたい」と答えている。

参照:
・財務省理財局長・斎藤通雄氏「国債、地銀・個人に期待」 日銀の大量吸収後めぐり(日本経済新聞2022年9月13日

「前代未聞の金融緩和」の結果が今。日銀が国債購入をやめるなら「前代未聞の何か」をしなければならない! しかし、それが何であるかは、自民党の政治家はもちろん、財務省の「プロ」の官僚も「わからない」と答えるだろう!

田代氏「だから、それを拡大した分は、日本国債を買うんだったら非課税ですとかね、あるいは日本国債を買えば、その買った金額の、たとえば何倍の分の資産に関して、それが非課税枠になるとかね。でも、それって矛盾してるでしょ。そうすると、税収、減っていくから」

岩上「そうですね」

田代氏「ますます日本、財政逼迫しますよね。だから、これは難しいところに入ったなっていうのが、わかりますよね。でも、理財局長っていう方は、とにかくもう、財務省の中でも、最も頭のいい人が担当するような部署ですから、その方がこう言っちゃってるってことは、すごいことですね」

岩上「でも、税収が減っていく分を、また国債頼みでやっていこうと。そして、国債がやっぱり償還されなかったら、どうしようもないんだから、そこの利点を、非課税を大きくしていこうとか、そんな方向に流れていくっていう可能性はないんですか? 

 あんまりにも小さかったら、やっぱり個人で、ある程度の小金持ち、本当に小金持ちですよ。ちょっとした銀行預金はあるんだけれど、だからといって大きなことはできないし、みんな忙しく働いてるんだから、プロのような取引なんかが考えられないと。ほとんどそうだと思うんです、多くの人が。

 だけど、ちょっと頑張って働いてるから、ちょっと所得がいいというような人たち、(たとえば)歯医者さんでも弁護士でも誰でもいいです。

 そういう、少し所得がいいという人、だからといって、専門的な金融知識を持ってるわけではない人が、お任せでやっても、まあまあ確実に金利は、確かに銀行金利よりも良くて、かつ、非課税になるからその分はいいわねと言って持つ、というくらいのね、何かメリットがないと、これ、増えませんよね」

田代氏「うん。だから、何かやればやるほど、深みにはまるような気がするんだけど。それくらい難しいところに来てることは、はっきりしてるわけ。

 だから、それは何度も申し上げたように、中央銀行が単独で国債の発行残高の半分以上をね、保有してしまってる、っていう」

岩上「そうですね」

田代氏「もう、資本主義の歴史上ですね、前代未聞の異常事態を引き起こしてしまったことのツケですよね」

岩上「そこから出口を探そうとしてるわけですけど、出口が見つからなかったら、どうなるんだろうっていう」

田代氏「ひとつは、この番組に則した言い方をすればね、ロシアに非常に安いエネルギー資源を依存することによって、西ヨーロッパ諸国は経済成長を遂げてるわけですよね」

岩上「そうですね」

田代氏「それを急にやめるとかね、言ってみたら、途端にね」

岩上「いやもう、欧州は大変ですよ」

田代氏「そうですね。エネルギー危機が起きちゃったでしょ。日本もそうで、結局、日本銀行にどんどん国債を買わせるということを、それは、最初は2年だけやるというお話だったですよね。それがもう、10年になろうするわけですよ」

岩上「そうですよね。やっぱり覚醒剤みたいなもんじゃないかって。依存性が高すぎるんじゃないか」

田代氏「その結果、それから出口を考えようとすれば、それは、積み上がってしまったそういったものが、あるんだから、もう、これは前代未聞の何かをしない限り、対処できないはずですよね」

岩上「前代未聞の、何をすればいい?」

田代氏「前代未聞の金融緩和やりましたね、帰結が現状でしょ。これを、もう日本銀行が『これ以上、国債買わない』という時が来た時、どうするかって考えた時には、何か前代未聞のことをしないと。これ、過去の資本主義の歴史で、どこにもないようなことをしなきゃいけない」

岩上「ええー、何をするかわかりませんけれども、その結果が、一体何をもたらすのか。たとえば、金融緩和の前。だから、民主党政権の時にね、散々、安倍元総理が罵ってきた民主党政権の時、確かに株価低迷してました。

 (その後、安倍政権下で)株価は非常に上がりました。だから、株を買うような人が喜んだ部分が(アベノミクスには)あったと思うんですけれども、あの(アベノミクス以前の)水準まで、たとえば株価が下がってしまうっていうようなことが起きるのか。それが清算っていうことなのか。どうなんでしょう?

 あるいは、国債の金利がかなり高くなって、低金利というのは事実上できなくなる。そうすると、庶民にとっては、やっぱり住宅ローンっていうのが一番でかい、生涯に一度のローンでの買い物ですからね。

 それに、もうひとつ、今だと奨学金なんかも重要なローンになってますけど、そうした、人々の暮らしに直結するところで住宅ローン(や教育ローン)の金利が上がるとか。そうすると、これまでのような低金利のローンでは物件が買えない。すると(アベノミクス以降、不動産価格が上昇して)今のような、新築マンションでも中古マンションでも高値というのが一気に崩れることになるのか、そういうこと(高値がついていた不動産価格の暴落)が起きるのかなとか、何かしら現実に起きることを想定しないといけないんですよね。

 何をするべきかわからないとはおっしゃった、田代さんはね。オペレーションとして何をすべきかわからないと、それは前代未聞の(出来事だから)。でも、前代未聞の何かオペレーションをして、とんでもないことやっちゃった分だけ、とんでもないことを清算しようとしたら、結果、何が起きるんですか、っていうところを知りたいですね」

田代氏「それは多分ね、理財局長も『わからない』と言うと思う」

岩上「(笑)」

田代氏「だって、前代未聞のことやるんだから」

岩上「えー!?」

田代氏「それは9年前にね、『量的質的金融緩和』、俗に『異次元の金融緩和』というものをやったのも、そうですよ、あんなものを。

 さらに、その途中で、さっき申し上げたイールドカーブ・コントロール、長期金利を直接にね、コントロールするってことをやり出した。あるいは、マイナス金利を導入した時。こういうのっていうのは、全部、前代未聞だから。実はその時だって、何が帰結するかっていうのは見えなかったはず」

岩上「教科書には載ってないわけですもんね」

田代氏「でも、これは日本人がやりがちなことなんだね。だって、戦前を考えれば、中国大陸でね、最大時ね、百万人を超える軍隊を派遣するという大戦争を仕掛けたわけでしょ。にっちもさっちもいかなくなったら、今度はアメリカと戦争しますと」

岩上「だから、(軍拡と戦線の拡大は勝てる見込みのない戦争を拡大していくという)バカの連鎖みたいで、前に設定した道はもう変えられないと。先輩方が……」

田代氏「いや、自分たちでやってんですよ」

岩上「そうなんですけれども、建前としては、そう言うじゃないですか。だから、『血であがなった(犠牲をともなった)、手に入れたものなんだから、そんな撤退なんかできない』ということを言って、どんどん拡大していったわけじゃないですか。だから、この心理の果てにあるものを、また繰り返すとなると、じゃあ、一体何が起きるんだろうと」

田代氏「あまり、どうなるのかってことは考えてない。

 というのは、何度も言うように、戦前の日本陸軍の将軍たちってのはエリートなんです。大変なエリートなんです。みんな、陸軍大学校を優秀な成績で卒業した上に、将来、総理大臣になる可能性があるわけだから。実は、東京帝国大学の法学部の憲法学の授業に行って、そこで『優』を取らなきゃいけないんですよ」

岩上「『優』取らなきゃいけなかった」

田代氏「丸山(眞男)さん(※14)なんか書いてますね、彼は学生の時に、軍服姿の若い将校たちがいて、憲法学の講義だから、当然ですね、講義の中で『天皇』って言葉出ますよね。そしたらもう、彼らは条件反射で、『天』と言った瞬間、直立不動で起立してるわけですよ。しかも、踵をバチーンと合わせて、ものすごい音するわけね、その度に。そうやって、彼らは鍛えられたエリートなわけですよね、ものすごい。

 でも、杉山元(※15)が天皇に『今度、アメリカと戦争することにしまーす』ってね。そしたら昭和天皇が『それ、勝てるの?』って。『はーい』ってわけね。『何年かかって勝てるの?』って言ったら、『2年もあれば』と。『杉山、お前、中国と戦争を始める時に、半年もあれば片付くと言わなかったっけ』と。そしたら、杉山が『中国はいささか広うございます』と言ったら、昭和天皇が『太平洋は中国よりも広い』と言われて。もう答えられなかったと、杉山は自分の日記に書いてるわけですよ。でも、それくらいの、要するに(無責任な)展望で、彼らは」

岩上「やるんですよ」

▲杉山元陸軍大将(Wikipedia、Alchetron

▲昭和天皇御前の大本営会議の様子(1943年(昭和18年)4月29日 朝日新聞掲載)(Wikipedia、著作権保護期間満了

▲「大東亜は逞しくおほらかに」と題された大東亜の地図(写真週報 300号 昭和18年12月8日号(Wikipedia)

▲大日本帝国の1870年から1942年までの軍事勢力版図(ロシア出兵、南洋諸島等を含まず 概観図) 勢力範囲は1938年時点で 1,984,000平方キロメートルとする研究がある。(Wikipedia、Kokiriさん, modifications by Huhsunqu and Markalexander100.

田代氏「中国での大戦争の上に、それをも終結しないまま、アメリカとの大戦争を始めるんだけど、別に、将来どうなるかってことはあまり考えてない。だから、(こうした戦争拡大は)日本の秀才が(しばしば)陥るところじゃないかと思う」

岩上「日本の秀才が、先を考えてないとしてもですね、日本の秀才が弥縫(びほう=取り繕う)的にやっていく道筋で、これだけ膨らませたもの、前代未聞に膨らませたものを、(破綻しないように縮小してゆくのではなく、戦線の拡大と同じように)前に向かって突進するんだって感じの方向性で、やる節があるじゃないですか。

 それで自分たちはポストを交代して、後、次の世代がバトンタッチ、そのケツを次世代に回せばいいと思いがちなわけですから。すると、どういうことがあり得るのかと。

 『斎藤理財局長「黒田東彦・日銀総裁による金融緩和前の13年の利回り水準に戻れば買いたい金融機関は多数ある。当時の長期金利は今より高いが、ゼロ%台だった。金利が少し上がれば買い手はあらわれる」』。

 これは、要するに、金融緩和前、株価が低迷してたような時代に戻れば、ということの話ですよね。『1998~99年の『運用部ショック』では長期金利が0.6%台から2.4%台に』なったことがあると。これ、何を考えてるんですかね?」

▲Q 「金融緩和の出口で国債金利はどれだけ上がる?」

田代氏「ゼロ金利では誰も買わないわね、金融機関はね。だけど、金利がちょっとでも上がれば、今言ったように、量的質的金融緩和、いわゆる異次元の金融緩和、やる直前の状態であればね、金融機関はね、借りたいと思うでしょ、と。結構あるでしょ、って。多数あると思う、という風に、ここはね。

 これは要するに、何度も言うように、理財局長は金融機関を毎日のようにぐるぐる営業で回ってるんですよ、本当に。今は、もしかするとリモートかもしれないけど、前は本当に車に乗って、大手町や丸の内をぐるぐる回って」

岩上「なるほど」

田代氏「で、意見を聞いて、説得してってことを、やってたんですよ。だから、実は非常に、多分、日本でもっとも国債市場の中身を知ってる人ですよ」

岩上「肌感でね、実際にはどのぐらい買い手が、どんな温度なのかということを、わかってるわけですね」

田代氏「しかもね、『日経新聞』の記者さんとかね、あるいは証券会社のアナリストとかいっても、本当のこと、みんな言わないと思うけど、一応、そんな理財局長が来た時に、あまり嘘は言わないですよね。黙ってることもあるかもしれないけど。

 ちゃんと彼は、以前だったらね、それは国債買いますよって言ってもらったと思う。でも今、そんな金利、付けられないわけですよ。だって、日本銀行が猛然と買ってるから。

 でも、ほら、『金利が少し上がれば』って、逆に言うと、国債価格が『少し下がれば』買うっていう人が出てくるはずだと。ということ言ってるわけで、非常にわかりやすい。

 これ、すごいです、『金利が上がれば』でしょ。金利が上がるってことは、国債の利払いも増えるんですよ」

岩上「そうですよね」

田代氏「そのためには、また、国債発行しなきゃいけない」

岩上「そうですよね」

田代氏「これ、なかなか難しいこと言ってんですよ。ここは微妙なのね」

岩上「微妙ですよね。そしたら買ってくれる。そしたら同じような状態が続けられる。日銀がやってたような負担をね、他のところが買ってくれるだろうと。しかしそうすると、財政が大変なことになってくるということですね」

田代氏「いや、もうすでに大変なんだけど」


※14)丸山さん:
 政治学者、思想史家の丸山眞男(まるやま まさお)のこと。
 東京大学名誉教授、日本学士院会員。専門は日本政治思想史。その学問分野は「丸山政治学」「丸山思想史学」と呼ばれる。

 1914年3月22日、大阪生まれ。父はジャーナリストの丸山幹治。東京帝国大学法学部政治学科を卒業後、同大で南原繁の研究室助手となり、日本政治思想史の研究を開始した。
 1944年7月に陸軍二等兵として教育召集を受け、朝鮮半島へ送られたが脚気のため除隊。1945年、再召集で広島市の陸軍船舶司令部に配属され、8月6日の原爆投下で被爆している。

 1946年2月、東京帝国大学憲法研究委員会の委員となり、憲法改正の手続きについてまとめた第一次報告書を執筆。日本軍の精神的特質をえぐりだした「超国家主義の論理と心理」を岩波書店の『世界』1946年5月号に発表。以後、戦後民主主義思想の展開において指導的役割を果たす。1950年6月、東京大学法学部教授に就任。
 初期の代表作は『日本政治思想史研究』(1952年)。西欧思想と東洋古典の素養を兼ね備えた学識を持って後進を指導。「丸山学派」と称される研究者を多数輩出し、日本政治学界に大きく貢献した。

 1960年代の安保闘争でも重要な役割りを果たしたが、1960年代後半になると急進化した全共闘から批判されるようになり、1971年には病気も重なって東大を早期退職する。
 その後も日本政治思想を研究し続け、1995年の地下鉄サリン事件を見て、オウム真理教と戦前の日本との間にある類似性を指摘した。1996年8月15日没。

参照:
・【丸山眞男とは】代表的な論文から丸山の思想をわかりやすく解説(リベラルアーツガイド、2021年2月8日)
【URL】http://bit.ly/3IviOT2

・丸山眞男(ウィキペディア)
【URL】http://bit.ly/3krgioZ

※15)杉山元:
 杉山元(すぎやま はじめ)。大日本帝国陸軍軍人。元帥陸軍大将。太平洋戦争開戦時の参謀総長。
 参謀総長時代に会議(御前会議・大本営政府連絡会議)の内容などを記したメモの写しが、戦後『杉山メモ』として公刊され、当時の軍・政府上層部の動向を知る貴重な資料となっている。

 1880年1月、福岡生まれ。陸軍士官学校卒業後、日露戦争出征。1910年、陸軍大学校卒業。1930年に陸軍次官、1936年に大将、1937年から1938年には林内閣・第1次近衛内閣で陸軍大臣。その後、参謀総長、元帥、教育総監を歴任し、小磯内閣でも陸軍大臣となる。1945年4月、第1総軍司令官。敗戦後の1945年9月12日、夫人とともに自決した。

 宮内庁書陵部編修課により編纂され、2014年8月に24年5ヵ月かけて完成した昭和天皇の伝記(実録)『昭和天皇実録』によれば、1941年9月5日、帝国国策遂行要領決定に際して、杉山と首相の近衛文麿、海軍軍令部総長の永野修身が昭和天皇に状況を説明した際、南方作戦の成算について問われた杉山は「約五箇月で終了の見込み」と返答。天皇は納得せず、支那事変の勃発当時、陸軍大臣だった杉山が「速戦即決」と述べながら、今なお戦闘が継続している点を指摘した。

 杉山が「支那の奥地が広大」という説明をしたところ、天皇は「太平洋はさらに広し、作戦終了の見込みを約五箇月とする根拠如何」と「強き言葉を以て」杉山を叱責した、と記載されている。

参照:
・杉山元関係文書(リサーチ・ナビ 国会図書館、憲政資料室、2022年5月6日更新)
【URL】http://bit.ly/3lVYcf1

・杉山元(ウィキペディア)
【URL】http://bit.ly/3KDFzqw

雪だるま式に膨らんできた日本の政府債務は先進国の中でもダントツ! これは「黒田日銀」の大罪!?

岩上「(日本の財政が)大変。ちょっと、それを出します。

 『2021年の日本の政府債務残高は対GDP比257%!』。これ、『戦略的FX投資』っていうの書いてる今市さんっていう人のメルマガの中から、ちょっと引用したんですけれどもね。

 『(日本は)先進国の中ではダントツの債務状況であり何と対GDP費では257%という人類史上前人未到の世界に入り込んでいる。ゼロ金利を無理やり定着させる金融抑圧のもとでいとも簡単に安倍政権に金融ファイナンスを続けてきた黒田日銀の大罪といわざるを得ない状況』だと。

▲2021年の日本の政府債務残高は対GDP比257%!

 雪だるま式に、これが膨らんできた政府債務、これジャパンなんですよ。よーく見ると、これがジャパンで。これ、いろんな国がこう取り巻いているんですよね」

田代氏「これ、日本はGDPの257%にあたる水準の政府債務、国の借金がありますと。でも、各国借金あるんだけど、たとえば、スーダンが212%。これはUS、アメリカ合衆国ね、133%と書いてますよね。で、これイタリア、悪名高きね。イタリアでも157%なんですよ」

岩上「そうなんですよね」

田代氏「そうすると、こういった政府債務、あと、この緑のところは、これはすごい低いわけね、ほとんどないようなところですよね。ここ(日本、スーダン、ギリシャなど)が一番真っ赤で。真っ赤、真っ赤、真っ赤で、だんだん、こうピンクになってるんですね。というかたちで、要するに、見てください。日本は世界の中心で『政府債務がこんなにあるぞ!』と叫んでるんですよ」

岩上「本当に(笑)」

田代氏「もうね、ネトウヨの人たち、これ見たらですね、目が熱くなって涙が止まらないんじゃないかと思う」

岩上「だから、いつも必ず出てくるのは、そのネトウヨの精神安定剤のために、『いや、この政府債務は全然嘘なんだ』と高橋洋一(第587号※6参照)みたいなことを言う人が出てくるわけですよ。嘘っていうよりは、こんなの借金じゃないんだと。(国債の買い手である国民の資産であり)いくらでも(国債発行は)できるんだ、というようなことを言うわけですよね。

田代氏「あれ? でも、高橋洋一先生、最近は財政を健全化しろとおっしゃってないですか?」

岩上「本当ですか!? 変わったんですか? じゃあ、宗主替えした?」

田代氏「『週刊現代』の『ドクターZ』(第587号※12参照)か、何とかかんとかっていうコーナー、あれ、(高橋)先生の。あれ匿名ですよね。それ見ると、財政を健全化しなきゃ大変だとかね」

岩上「でも、ご本人は言ってますよ。ご本人は相変わらず、大丈夫だって」

田代氏「じゃあ、覆面被った時は、まともなこと言って」

岩上「そういうことなんですか」

田代氏「覆面脱いだ時は、違うこと言うと。難しい人格」

岩上「だって、ユーチューブなんかで、堂々、出してるじゃないですか」

▲YouTubeの『高橋洋一チャンネル』「財務省の罪」という再生リスト

田代氏「確かに、財務官僚だった人がね、風呂屋でね、他人の財布持っていくんだから、相当、不思議な人だろうと思うから、ちょっと、私にはもう……」

岩上「財布じゃなくて、時計ね」

田代氏「いや、財布持ってったんですよ」

岩上「財布もそうでした?」

田代氏「当時の新聞記事見ると」

岩上「本人に、聞きましたけどね」

田代氏「でもね、言いたいのは」

岩上「置き引きしちゃうんですよ」

田代氏「やっぱりちょっと、私のようなね、凡人にはわからない精神構造の方だから、もうそこへは立ち入らないけど」

日本政府の債務残高は対GDP比256.2%! マネー戦争の「敗戦処理」は緊急事態条項で銀行封鎖を行い、国民全員から財産を根こそぎにする財産税を再び強行すること!?

田代氏「元へ戻すと、つまりこういう風に、本当に日本は今、本当、世界中で政府債務が積み上がってるわけです。それはそうですよね、こんなコロナ対策で、どんどんお金使っちゃったわけですからね」

岩上「そうですよね」

田代氏「ところが、日本はすごいですね、その中で抜きん出てるんですよ。本当にこれは、しかもこんな、歴史上もないです、ここまで行ったってのは」

岩上「日本は、戦前以上ですからね」

田代氏「戦前っていうか、敗戦直前の段階を超えてますね」

岩上「敗戦直前の段階を、超えてしまったって、自己記録更新ですから」

田代氏「うん。これは、なぜ、これができたかというと、国といえども借金の利払いは迫られるわけですよ。利払いができなくなると、デフォルト(債務不履行)なんですね」

岩上「そうですね」

田代氏「元本、返す前以前に。だから、ゼロ金利にすれば、金利の返済いらないからってね」

岩上「返さなくても。あとは塩漬けっていうことですよね」

田代氏「それで、今の話だけど、(今市氏の記事内容の間違いを指摘、『金融ファイナンス』ではなく『財政ファイナンス』)財政赤字を、ファイナンスを、つまり埋めてあげるって言うかね。これ、財政ファイナンスを続けた結果、だということですね」

▲財務省では利上げを想定して国債費がどれだけ増えるのかについて詳細の試算を行なっている

岩上「なるほど。

 そして、これですね。『今年度の国債費つまり国債発行にともなう金利等の負担は23.4兆円でゼロ金利を維持していてもこれだけの負担を強いられています』。

 だから、ゼロ金利でも23.4兆円ってのは、『ゼロ金利』と言ったって金利は出してるわけですよね。国債発行に、まったくの金利が付かないっていうわけはないわけだ」

田代氏「ないですよ」

岩上「すごい。それでも23.4兆円。『もし国内の金利が1%でも上昇した場合(中略)翌年から国債費は確実に増えていく」、「1年後で即1兆円、2年後には2兆円、3年後には3.8兆円といった具合で増えていく」』だろうと」

田代氏「これは、いろんな試算があるんですけれど、実際やってみなきゃわからないけど、これ、かなり楽観的な予測で、こんな感じ。でも、やってみなきゃわからなくて、もっとすごいかもしれない」

岩上「ゼロ金利で何とか止まっているのを、金利上げたら、こういう風に、財政が破綻してしまうわけですよね」

田代氏「うん」

▲債務残高の対GDP比は終戦直前に酷似

岩上「『債務残高の対GDP比は終戦直前に酷似』という。『酷似』なんですけど、『酷似』と言うより、抜いちゃったんじゃないかと。『2021年現在、日本の政府債務残高はGDP比256.2%』」

田代氏「本当に世界最悪で、価値判断を入れなければ世界最大、あるいは世界最高です。これ本当にね、私も探したけど、ないんですよね、先進国では。だいたい、一部の人が大好きな言葉で言うと『債務の罠に陥ってる国』。発展途上国で起きる現象ですけどね」

岩上「じゃあ、その、まさに『債務の罠に陥ってる』発展途上国なんですね。衰退途上国なんだけど」

田代氏「『債務の罠』っていうのも、結構、そういった文学的表現っていうのは、新聞の見出しに使いやすいから言うんだろうけど、定義してみろって言うと、定義はないから、あまり使わない方がいいと思う。それは『地政学』と一緒ですよね」

岩上「『世界近現代史の中では、第二次大戦直前の敗戦国日本(国民所得比で267%)のみ』」

(中略)

▲戦前からの債務残高対GDP比の推移

岩上「これが一応、こういう数字ですね(図表「戦前からの債務残高対GDP比の推移」を提示)」

田代氏「(図表の50%あたりを指して)これが1947年かな? ぐらいですよね。(200%を指して)これが1944年なんですよ。1945年は統計がないんで、分母がないからわからないけど、多分、(300%を超える高い位置を指す)ものすごいことになってたんだろう」

岩上「そうですよね」

田代氏「この水準(終戦直前)は、ほら、200%超えてるでしょ」

岩上「はい」

田代氏「こういうことです。これ(現在の政府債務残高)は、だから、敗戦直前の水準」

岩上「はぁーっ(溜息)。本当にね、戦争って、とんでもなくやっぱりお金をね、使っていくんですよね」

田代氏「もうひとつは、ここ(1948~49年頃を指す)ですね。それをね、一気にここ(25%)まで下げた。もう、これはね、渋沢敬三(※16)の天才的な業績ですよね」

岩上「それは、財産税ってことですか?」

田代氏「財産税と、預金封鎖と、円通貨の切り替えっていうですね、3点セットによって、日本の破綻を回避したわけですよ。これはすごい」

岩上「でも、その渋沢敬三がやろうとしたことを、もう1回やるってなると、あの時、緊急勅令でやってるわけですから、それは今度、緊急事態条項を導入するということがなければ、日本の憲法上できないですよね。

 緊急事態条項を入れて、財産税やるってのは、もしかしたら、戦争をやるよりも(前に)、もう敗戦処理しなきゃいけない段階に、マネー敗戦ですけどね、日本は、(さしかかって)いるんじゃないかっていう気がしますけれども」

(中略)

田代氏「前、申し上げたように、日本は財政法によって赤字国債を禁止した(第585号参照)はずなんですよね、それは、禁止しました。ところが1965年に、1964年の東京オリンピックの反動不況の時に、苦し紛れに特例法ってかたちで、いったん赤字国債、出しました。でも、さすがにね、これはまずいと。このままだと国が滅びると考えて、もう一回やめたんだけど、次に75年に、74年のですね、この」

岩上「オイルショックですね」

田代氏「こう、不況を乗り切るということで、赤字国債の封印を再び解いたら、それ以降は止まらない。赤字国債の発行がね、こう来ちゃってるわけですよ」

岩上「ここで、コロナ禍の後に長期不況、インフレ、(財政危機)、それに加えて戦争なんていうことになったら、もうパンクで。この時点で、戦争をやり出す頃、このぐらいだったのに、戦争がそこに加わって、『台湾有事』だっていったら、どうするんですかね?」

田代氏「現実にはね、日本の財政って、ほとんど余地がなくって、何か、本当に大掛かりに、ある項目を増やそうと思ったら、別の項目のどれを削るか、っていう問題になっちゃうわけですね」

岩上「じゃあ、ミサイルを1000機、用意するから、年金バッサリ、医療費バッサリ、皆保険制度バッサリ切る、みたいなことでもやるっていうことですかね?」(※17

田代氏「たとえば、すでに起きてるのは教育費。特に、国立大学への運営費…」

岩上「でも、小さいでしょ、教育費」

田代氏「…の支給を、ずーっと減らして、毎年1%ずつ削っていきますよ、って言ってますよね(※18)。で、あれは多分、テストケースなんだろうと思う」

岩上「そうだと思います」

田代氏「反対が少ないところで実験してみて。そうすると、今後、たとえば年金とか医療を、少しずつ、こう…」

岩上「そうですね。そこ(年金)は、項目的にお金が一番大きいですから」

田代氏「そう。一番大きいから、ここを何とか減らしていくというのが、出て来ないはずがないわけ。でも、それって本当かな、と思う。だって絶対、選挙で負けるけど」

岩上「選挙、なくすんですよ、緊急事態条項で」(※19

田代氏「それか、選挙の時にはそうは言わないけど、選挙済んだら、言うのか知らないけど。

 でも、とにかく日本の財政は、ほとんどまったくね、動かす余地はないわけ、今」

(中略)


※16)渋沢敬三:
 実業家、政治家、民俗学者。第16代日本銀行総裁。第49代大蔵大臣(幣原喜重郎内閣)。「日本の資本主義の父」と称された渋沢栄一の孫。

 第二次世界大戦後の混乱が続く1946年、蔵相としてインフレ対策と戦時中に膨らんだ国家債務の整理のため、旧憲法下にまだあったので、緊急勅令を用いて預金封鎖、新円切り替え、高税率の財産税の導入を行った。自民党が改憲で最も躍起になって導入しようとしているのが、この緊急勅令に相当する国家緊急権である緊急事態条項である。

 1896年8月25日、東京に生まれる。父の篤二(栄一の次男)が放蕩癖によって廃嫡となったため渋沢家の跡継ぎとなり、18歳で澁澤同族株式会社の初代社長に就任。
 1921年、東京帝国大学経済学部を卒業して横浜正金銀行に入行。5年後に退職し、栄一が創設者の第一銀行で取締役となる。澁澤倉庫取締役、第一銀行副頭取などを経て、1942年に日本銀行副総裁、1944年3月に日本銀行総裁に就任した。終戦直後の1945年10月、姻戚関係にあった幣原喜重郎首相の要請で大蔵大臣に就任。

 1946年2月17日、政府は緊急勅令を用いて金融緊急措置令および日本銀行券預入令を公布した。これは、5円以上の日本銀行券(旧円)を強制的に金融機関に預入させて預金を封鎖し、生活費や事業費などに限って新銀行券(新円)による払出しを制限付きで認めるというもの。旧円は3月3日から使用停止と発表され、国民は3日までに旧円を銀行に預け入れた。
 その上で、3月3日午前0時における個人の財産全額を対象に課税する財産税が実施された。預金封鎖(出金制限)と新円切り替えは、政府が国民の預金残高を把握する(財産を隠されない)ための予防措置であった。預金封鎖は1948年6月まで続き、財産税の対象は銀行預金だけでなく、株式、不動産、貴金属等も含まれていた。

 渋沢家はGHQの財閥解体の対象となり、財産税のために東京・三田の渋沢邸を物納、敬三自身も公職追放の指定を受けたが、1951年の指定解除後は経済団体連合会相談役、国際電信電話(KDD=現KDDI)の初代社長、文化放送の初代会長などを歴任した。
 一方で、敬三は若き日の柳田國男との交流から民俗学に傾倒。自宅屋根裏に民具や郷土玩具等を収集し、それらの標本はのちに国立民族学博物館の母体になるほどの内容であった。自らも全国を歩いて資料を集め、論文を執筆し、多くの自然・社会・人文科学者を支援した。1963年10月25日没。

参照:
・渋沢敬三アーカイブ(公式サイト)
【URL】https://bit.ly/3Zo3wGI

・第16代総裁:渋澤敬三(しぶさわけいぞう)(日本銀行)
【URL】https://bit.ly/3kxjtLW

・渋沢敬三(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/2WVwihA

・「新円切り替え」とは何ですか?(日本銀行)
【URL】https://bit.ly/3Zoxbzi

・戦時と戦後をつなぐ税 ―戦時補償特別税―(国税庁)
【URL】https://bit.ly/3Zp0Fgn

・【第524-526号】岩上安身のIWJ特報! 日米首脳会談で対中強硬姿勢が加速! 日本は「原発を抱いたまま米国の戦争に自動参戦する国」に! 岩上安身による立憲民主党・小西洋之参議院議員インタビュー 外交安全保障編 2021.8.31(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3Zu6VDA

・【第566-567号】岩上安身のIWJ特報!「長期化するウクライナ紛争~米国の代理戦争の代償」「米ドルの黄昏とアテナイ覇権喪失の教訓」(第4回前半)岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー 2022.9.1(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3kCcP75

※17)年金バッサリ、医療費バッサリ、皆保険制度バッサリ切る、みたいなことでもやるっていうことですかね?:

 『ニューヨークタイムズ』が2023年2月12日、イエール大学助教授である成田悠輔氏による「高齢者の集団自決」発言を一面で報じた。成田氏は高齢者ヘイト発言を繰り返していた。

 IWJ調べで「日本版ダボス会議」を名乗る「G1サミット2019」の分科会での発言が、公開された記録が残る最も初期の高齢者ヘイト発言であった。

 成田氏と一緒に登壇した自民党の古川俊治議員は、成田氏の発言を擁護。事実上の「高齢者や社会的・身体的弱者の見殺し」を世論として形成できるかどうか、成田氏の発言は「観測気球」として機能してきたといえる。

・イエール大学経済学部助教授・成田悠輔氏の「高齢者の集団自決」発言が『ニューヨークタイムズ』の一面で取り上げられ、炎上!〜(日刊IWJガイド、2023年2月26日)

【非会員版 URL】https://bit.ly/3xZm4kW

【会員版 URL】https://bit.ly/3Z6BO1o

・半年で20万部のベストセラー『下流老人』著者・藤田孝典氏に岩上安身が訊く!〜拡大する日本社会の「貧困」の実態と予防策 岩上安身によるインタビュー 第711回 ゲスト『下流老人』著者・藤田孝典氏 2017.1.26(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3Sz8Swq

・緊迫する中東・朝鮮半島情勢!国会では厚労委で「介護保険法改正案」を強行採決!足元に押し寄せる「貧困の波」~岩上安身によるインタビュー 第738回 ゲスト 『下流老人』著者・藤田孝典氏インタビュー第2弾! 2017.4.13(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3EKzDbH

・憲法25条生存権の侵害! 一億総「貧困」社会を生き抜くサバイブ術を訊く!~岩上安身によるインタビュー 第753回 ゲスト 『下流老人』著者・藤田孝典氏インタビュー第3弾 2017.5.24(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3kCJA3Z

・「奴隷の群衆」「牛馬豚犬」…”元祖ヘイトスピーカー”としての福沢諭吉を徹底検証~岩上安身によるインタビュー 第455回 ゲスト 名古屋大学名誉教授・安川寿之輔氏 2014.9.3(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3Y83KQY

・「天は人の下に人を造る」 元祖「ヘイトスピーカー」で元祖「新自由主義者」の福沢諭吉の実像に迫る ~岩上安身によるインタビュー 第521回 ゲスト 帯広畜産大学教授・杉田聡氏 2015.3.29(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3EIMACL

・「万端を差図せられた事実がある」 朝鮮国内のクーデターを実際に支援していた福沢諭吉~岩上安身によるインタビュー 第545回 ゲスト 帯広畜産大学教授・杉田聡氏インタビュー第2弾 2015.5.23(IWJ)
【URL】https://bit.ly/41ziFqg

・【第204-213】岩上安身のIWJ特報!知られざる福沢諭吉 侵略の肯定、そしてヘイトスピーチ~名古屋大学名誉教授・安川寿之輔氏インタビュー 2015.7.2(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3ZOimWB

・【IWJブログ】生活保護世帯の子どもは「根が腐る」!? 札幌市長選の自民党候補が過去にヘイト発言連発 2015.4.11(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3Gu7R3X

・【第241-245号】岩上安身のIWJ特報!社会全体が「山谷」化している現代日本 ~山谷争議団事件と新宿西口バス放火事件から、差別と搾取の構造を問う 安田好弘弁護士インタビュー 2016.1.31(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3YfJr4s

・最悪の「ヘイトクライム」発生!相模原の知的障害者施設で19人殺害——容疑者は衆院議長公邸に「障害者は安楽死」求める手紙を持参した過去も 2016.7.27(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3Z8UKMP

・ナチスドイツの「T4作戦」を連想させる、相模原障害者施設殺傷事件! 安倍総理はこの事件を強く批判して、障害者と家族を安心させるメッセージを出すべきでは? 2016.8.10(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3SCfavk

・「『特異な事件』では片づけられない」相模原殺傷事件の「温床」となった現代日本とナチス・ドイツの不穏な共通点とは 〜日本障害者協議会代表・藤井克徳氏インタビュー(聞き手・IWJ佐々木隼也記者) 2016.8.22(IWJ)
【URL】https://bit.ly/41wjiB2

・「津久井やまゆり園」での事件に関して最首悟・和光大学名誉教授へインタビュー 2016.8.26(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3SyvXzs

・【相模原殺傷事件】「私たちは『障害者はなくしてしまえ』という優生思想と闘います」1000人の障害者が声をあげる 当事者の「声」を聞こうとしない日本社会に問題提起 2016.9.21(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3KIVnZ1

・許されざる弱者への「殺人教唆」!元フジテレビアナウンサー・長谷川豊氏が人工透析患者をターゲットに「殺せ」と暴論を展開したブログをBLOGOSが転載後、謝罪し削除! 2016.9.25(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3Z6JgJX

・「殺せ!」ブログの長谷川豊氏 次々テレビ降板後に「あまりにも遅すぎる」形式的謝罪!東京MXは「続投」決定!ところが番組中に長谷川氏が「殺せ!」発言していたことが発覚!MXの責任は!? 2016.10.5(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3J0dGHZ

・【IWJ検証レポート】「土人差別暴言」擁護の松井一郎府知事と実刑判決を受けたレイシストの認識との共通点!鶴保庸介沖縄担当相も傍観——上海紙が「シナ人」発言を伝える! 2016.10.28
【URL】https://bit.ly/3mgoCbt

※18)国立大学への運営費の支給を、ずーっと減らして、毎年1%ずつ削っていきますよ、って言ってますよね:
 政府は2016年度予算案で国立大学の財政基盤である運営費交付金を16年度と同額の1兆945億円とし、17年度以降は毎年削減することを決めた。

 削減額は約1%にあたる約1億円。
 しかし、国立大の運営費交付金は、2004年の法人化以降、2015年までに既に1470億円(11.8%)が削減されている。

参照:
・国立大「財政基盤」の危機!(旺文社教育情報センター、2016年1月5日)
【URL】https://bit.ly/3ycsJZb

・国立大学の運営費交付金 17年度以降は毎年削減(しんぶん赤旗、2016年1月12日)
【URL】https://bit.ly/3IVppYo

・「科学研究のカネ」を巡る、行政VS国立大学の攻防 「10兆円ファンド」が日本の科学技術力を左右(東洋経済オンライン、2022年3月17日)
【URL】https://bit.ly/3Sv1SR8

・国立大学の能力低下、法人化は失敗だったのか? NFIからの提言(10)「法人化」を言い訳にする残念な人々(JBpress、2020年7月21日)
【URL】https://bit.ly/3IzeTED

※19)選挙、なくすんですよ、緊急事態条項で:
 緊急事態条項が発令されたら、選挙は半永久的に行われなくなる。永井幸寿弁護士は、2018年5月21日に行われた岩上安身によるインタビューで、自民党会見4項目のうちのひとつ「緊急事態条項」の危険性に言及し、「いつでも、いつまでも独裁が可能になる」と指摘した。

 2021年5月21日のインタビューで、永井弁護士は、緊急事態条項の導入で、終戦直後と同じように、日本政府が預金封鎖と財産税を実施することも「実行可能になりますね」と岩上に同意した。
 明石順平弁護士は、岩上安身による2019年4月26日のインタビューで改憲で緊急事態条項が通れば「国民に『お前らの財産没収します!』なんてこともできます」と述べている。

・(再掲載)いつでも独裁が可能!? いつまでも独裁が可能!? 憲法で堂々と独裁を肯定!? より危険性が高まった自民党新改憲の緊急事態条項!~5.21 岩上安身によるインタビュー 第872回 ゲスト 永井幸寿弁護士 2018.5.21
【URL】https://bit.ly/3ZMV5UV

・コロナ禍を口実に改憲による緊急事態条項の導入は不要!(続々編)日本列島は「中国軍のミサイル吸収ホイホイ」!? ~岩上安身によるインタビュー第1064回 ゲスト 弁護士 永井幸寿氏 2021.12.27
【URL】https://bit.ly/3kqIRTD

・永井幸寿弁護士関連のIWJコンテンツ
【URL】https://bit.ly/3Y42pLe

・緊急事態条項関連のIWJコンテンツ
【URL】https://bit.ly/3KIqYua

・(再掲)改憲で緊急事態条項が通れば「国民に『お前らの財産没収します!』なんてこともできます!」と明石順平弁護士が危惧!~岩上安身によるインタビュー 第937回 ゲスト 『データが語る日本財政の未来』著者 明石順平弁護士 第3弾 2019.4.26
【URL】https://bit.ly/3Z4PNVp

・明石順平弁護士関連のIWJコンテンツ
【URL】https://bit.ly/3Z3TZEJ

「ドル一強」で米国では産業の空洞化も? グーグルは「安い通貨の日本」で「安い労働者」を集めて「安いデータセンター」を新設!

▲円安の背景に「ドル一強」! それがもたらす歪みは!?

▲米政策金利は、来年4%超へ?

岩上「『円安の背景に「ドル一強」! それがもたらす歪みは!?』ってことなんですけど、『米政策金利は、来年4%超へ? 8月の米消費者物価指数』、先ほどから何回も出した『(CPI)の上昇により、来年序盤に米政策金利が4.3%まで上昇すると市場は織り込んだ』と、ブルームバーグが9月14日に言ってます。

 で、『ガソリン価格が下落する一方で、幅広い品目で物価が大きく値上がりしており、専門家は「これはまさにFRBが懸念していた点だ。需要が減退する中でもインフレが持続している」、FRBは来週0.75ポイントではなく、1ポイントの利上げに踏み切ることもありうる』と。

 ちょっと古いニュースですが。『ガソリン価格が下落する一方で』っていうのは、ちょっと古いと思いますけれどもね、そういう局面もあったんでしょう。今、そうじゃなくて、上がってますけれども。

 とにかく、ここで言いたいのは、来年には4%ぐらいになると。これが持つ意味ってのは、どうなんでしょう?」

田代氏「これは、あくまで政策金利が4.3%ですから、長期金利はもっと高い水準」

岩上「これに上乗せされる」

田代氏「はるかに上乗せされますからね。で、そうなると、特に大企業がお金借りる時ってのは、10年っていうのを単位にして考えてきますよね。そうなると、もうこれは、ちょっと金借りるのはどうしようかな、って感じですよね。だって、金利を上回る利益率がある事業じゃなければ…」

岩上「そうですね、利回りがないと」

田代氏「…探さなきゃいけないんだけど、それはすごく難しいですよね。ていうことで、不況が来るのは確かなわけですよ。

 ところが、ここで言ってるように、じゃ、不況が来れば価格が下がるかというと、どうも違うと。ガソリン価格は今、下落してるんだけど、他の品目は相変わらず上がってるんですよね、どんどん。バターとか、さっき言ったように、卵とか。

 で、需要は減退しても、インフレは持続するという事態になってるわけですよ。だからもう、インフレがインフレを呼んでるわけですよね。これを断ち切るには、よほどのショック療法が必要で、だからもう、0.75じゃなくて『1』っていうね、1.00っていうことをやるんじゃないかと、みんな」

岩上「しかし」

田代氏「さすがに、これやると、これ、電撃的作用があるから、ビビッて0.75でやっちゃったんだけど、結局、言えるのは、非常に頻繁に0.75、すでにこれ、3回連続でやってますよね(※20)。3回連続でやってるってことは、2.25ポイント上がってるわけですよね。これも歴史的にはなかったことです。こんなに早く、政策金利を引き上げるってこと自体が。

 これが相当ですね、続くだろうと。下手したら、このインフレーションを抑え込むのに数年がかりなんだけど、もしかしたら10年、これ、かかるかもしれない。

 ていうのは、70年代の経験を見ても結構大変ですよ、これ、抑え込むの。で、いったん抑え込んだと思ったら、また再燃するかもしれない、70年代のように。だから、いったんインフレーション起こしちゃうと大変なんですよ(※21)」

岩上「そうですね」

田代氏「だから、あの『トランジタリー』っていうね、『一過性だ、一過性だ』と能天気なこと言ってたジャネット・イエレンとジェローム・パウエル(※22)ね、この2人の責任は大きいですよね」

▲ジャネット・イエレン米財務長官(Wikipediaより

▲ジェローム・パウエルFRB議長(Wikipediaより

(中略)

▲FRBの大幅利上げ継続、景気悪化懸念でNYダウは2年3ヶ月ぶりの急落!

岩上「『FRBの大幅利上げ継続、景気悪化懸念でNYダウは2年3ヶ月ぶりの急落!』。これも、ちょっとパワポ古いんですけど、『9月13日の米株式市場で、ダウ工業株30種平均は5日ぶりに急反落し、終値は前日比1276ドル(3.9%)安の3万1104ドルだった。1日の下げ幅としては2020年6月以来2年3ヵ月ぶりの大きさを記録。CPI上昇、FRBの大幅利上げ継続、景気悪化への懸念からリスク回避の株売りが膨らんだ』と。これはしかし、続いているわけですね、このプロセスはね」

田代氏「うん」

岩上「『大幅利上げを受け、米国株は大幅安!』になってるんですけれども、『ドル指数は高値、米国債利回りは高水準。9月21日、連邦公開市場委員会(FOMC)の0.75%利上げ決定を受けて、米国株は大幅安、S&P総合500種は1.8%安となった。ドル指数は一時111.63と、20年ぶりの高値を更新』」

田代氏「これは『ドル指数』ってのは、ドルの為替レート。ほとんどの為替レートっていうのは、『円/ドル』とか『ユーロ/ドル』っていう風に、ドルを基準にするでしょう。だから、ドルを基準にしてドルの指数とると、いつも『1』になっちゃうじゃないですか」

岩上「なるほど」

田代氏「そこで、これはアメリカの主な貿易相手国でウエイトをとって、それぞれの通貨との為替レートを集計した値なんですね」

岩上「なるほど」

田代氏「もちろん、一番大きい比重を占めてるのは中国」

岩上「なるほど」

田代氏「だから、ドルと人民幣との為替レートが、まずあって、それを中国のウエイトで割ってあげると。という風にやって、それを足し合わせた値が、これなのね」

岩上「なるほど」

田代氏「これが20年ぶりの高値ってことは、いかにドル高、つまり、ドルがほとんどの通貨に対して上昇しているかということを意味してるわけですね」

岩上「嬉しい話じゃないですか。円安の、わが日本から見れば、羨ましいような気がする。米国は強いんじゃないか、そういう誤解を持つ人も多いと思うんですよ。

 でも、先ほど言ったように、いや、それは、かつても起きたことで、アメリカがドル一強になって、ドル高になって、製造業はガタガタになってしまった。その二の舞になる可能性があるってことですかね?」

田代氏「うん。結局、アメリカで投資するよりも…」

岩上「そうですよね」

田代氏「だって、ドルがそんなに強いんだったら、外国で投資した方がいいじゃないですか。だからほら、グーグルが突然ね、グーグルのCEOが日本に来て、岸田総理に会って、『1000億円、日本に投資します』(※23)って言ったじゃないですか。で、データセンター作りますとかね。これは(日本は)、バカ安の通貨の国でしょ。そしたら、ドルを持ち込めば、それ、日本円にしてバーッと増えるじゃないですか」

▲グーグルCEO スンダー・ピチャイ氏(Wikipediaより

岩上「そうですね」

田代氏「そしたら、日本でバカ安のデータセンター作って、バカ安労働者を集めて働かせれば…」

岩上「利益が高いと」

田代氏「すごくデータ処理による利益が高くなる。だから、日本に投資すると。ていうことは、逆に言えば、それは、もしかしたらカリフォルニアのどっかで作るはずのデータセンターが、ひとつ計画が消えて…」

岩上「でも、トランプみたいなのが、また出てきたら、ふざけるなって言って怒りそうな話ですよね」

▲ドナルド・トランプ前米大統領(Wikipediaより

田代氏「うん。だけど、それは前、申し上げたように、トランプの政権の時にね、あんまりトランプがうるさいから、アップルがMacBook、ラップトップのね、アップルの機械の一番最上級の製品の生産ラインを、中国からアメリカに移したわけ。あんまり、トランプがギャンギャンギャンギャン言うから。

 (そして)1年も経たないうちに、また中国に戻したわけ。アメリカでやったら、もう作れば作るだけ赤字が膨らむわけ。つまり、めちゃくちゃアメリカで作ったらハイコストなんですね。それを価格に転嫁したら、だって、やっぱりね、いくらアップルの機械だと言っても、たかがパソコンだから。他にいっぱいあるわけですよ、中国製や韓国製や台湾製がね。そっちに取られちゃうから」

岩上「そうですね」

田代氏「だから結局、価格転嫁できなかったら、このままだと赤字が膨らむばかりで、CEOがね、自分がクビになっちゃうからって言って、またそれを、(生産)ラインをトランプの政権中に中国に戻したわけ。もう、トランプが何言おうと。

 今、だから、アメリカは半導体の工場をアメリカに作らせるために、兆円単位の補助金出してるでしょ。そうでなければ、誰も作らないですよ、台湾のメーカーだろうと何だろうと。それは、アメリカで生産して儲かるはずがないわけです。だから、台湾や韓国に半導体の製造は集約されちゃったわけですよね」

岩上「日本は円安になってんだったら、日本にも投資してほしいですね。韓国よりも、今、日本の方が人件費も下回ってしまってるから。1人当たりのGDPは上回ってますから、韓国は」

田代氏「だから、TSMCが、古いタイプのローテクの半導体の生産は熊本でやる(※24)って言ってる。今、工場作らせてるじゃないですか」

岩上「なるほど」

田代氏「そういう現象が、それは起きるわけですよ。てことは、今、申し上げたように、ドル高が続く限り、それはどんどん」

岩上「空洞化していくから」

田代氏「アメリカで作られるはずの工場が、実は外国に作られたと。それを無理やりアメリカに作ろうと思ったら、兆円単位の補助金を付けなければやってくれないと。それって、経済全体で考えたら大赤字ですよね」

(中略)


※20)非常に頻繁に0.75、すでにこれ、3回連続でやってますよね:
 米連邦準備制度理事会(FRB)は、2022年6月14、15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.75ポイント引き上げて、1.5~1.75%にすることを決定した。

 7月26、27日のFOMCでも、FF金利の誘導目標をさらに0.75ポイント引き上げ、2.25~2.5%とすることを決定した。
 そして9月20、21日のFOMCでも、FF金利の誘導目標を0.75ポイント引き上げ、3.0~3.25%とすることを決定した。

 また、このインタビュー後の11月1、2日のFOMCでもさらに、FF金利の誘導目標を0.75ポイント引き上げ、3.75~4.00%とすることを決定した。

 0.75ポイントの引き上げは4回連続となった。

参照:
・米FRB、政策金利を0.75ポイント引き上げ、2022年末までに3.4%まで引き上げの見通し(日本貿易振興機構JETRO、2022年6月16日)
【URL】https://bit.ly/3Z5Xhrk

・米FRB、政策金利を2会合連続で0.75ポイント引き上げ、中立金利の2.5%到達(日本貿易振興機構JETRO、2022年7月28日)
【URL】https://bit.ly/3IU0hRF

・米FRB、政策金利を3会合連続で0.75ポイント引き上げ、年末までに4%台半ばまで利上げの見通し(日本貿易振興機構JETRO、2022年9月22日)
【URL】https://bit.ly/3Z3jFBk

・米FRB、政策金利を4会合連続で0.75ポイント引き上げ、金融引き締めの長期化を示唆(日本貿易振興機構JETRO、2022年11月4日)
【URL】https://bit.ly/3kr69sg

※21)いったん抑え込んだと思ったら、また再燃するかもしれない、70年代のように。だから、いったんインフレーション起こしちゃうと大変なんですよ:
 米国では1960年代末、ベトナム戦争やジョンソン大統領の福祉拡大政策、FRBの失策などにより、急速にインフレが進んだ。

 消費者物価指数から食料品やエネルギー費を除いたコアCPIは6%を超え、1970年代前半にピークに達したあと、1972年にはCPIが3%を下回るまでに落ち着いた。
 ところがその後も食料品価格は高騰を続け、1973年に第4次中東戦争が起きると、オイルショックによってエネルギー価格も高騰した。

 1970年代の食料品価格高騰の原因は、ソ連の食料不作と米国の農地規制と言われている。
 経済企画庁(現内閣府)の昭和54年「年次世界経済報告」は、70年代の米国のインフレを次のように分析している。

 「1969年には物価安定を目標に財政金融面からの引締め政策がとられた。その結果景気は後退したがインフレは思ったようには収まらなかった。
 そこで71年8月にとられたのがニクソン大統領による平時はじめての賃金物価統制であった。これは72年中は一応物価の安定(消費者物価上昇率3.3%)と景気拡大(成長率5.7%,失業率71年の5.9%から5.6%へ)を両立させることに成功した。

 しかし,統制が資源配分の歪みと所得分配の不公正を拡大するにつれ、73年にはそれを緩和せざるを得なかった。74年春に法律上の行政権限(1970年経済安定法)が期限切れになるのと同時に統制が解除された時は、超過需要、ドル切下げ、世界的農産物不作、第一次石油危機等各種物価急騰要因と重なって、インフレは爆発した。
 74年の消費者物価上昇は12.2%(年間上昇率とくに断らない限り、以下同じ)と戦後はじめての二桁となった。

 その後につづく戦後最大の大不況の中で、食料価格の安定にも助けられて、76年には消費者物価上昇率は4.8%にまで鈍化した。
 しかしその後インフレは77年6.8%,78年9.0%と再び悪化の一途をたどり、79年は9月までで実に13.2%(年率)と、第一次石油危機当時を上回る急騰となったのである」。

 2022年の米国のインフレ率は1月7.5%から上昇、6月に9.1%に達したあとは沈静化に向かい、2023年1月は6.4%である。

参照:
・昭和54年 年次世界経済報告 経済企画庁(内閣府)
【URL】https://bit.ly/3IUq24x

・ニーアル・ファーガソンが警告「インフレに楽観的なFRBは大惨事を引き起こしかねない」(Courrier JAPON、2022年7月10日)
【URL】https://bit.ly/3Z3ZWl5

・ニーアル・ファーガソン「米FRBは、インフレを止められなかった1970年代の大失策を繰り返そうとしている」(Courrier JAPON、2022年7月10日)
【URL】https://bit.ly/3m6vbxk

・米国インフレ率(Trading Economics)
【URL】https://bit.ly/3m5A3ml

※22)ジャネット・イエレンとジェローム・パウエル:
 ジャネット・イエレンは米国の政治家、経済学者。
 1946年、ニューヨーク生まれ。2014年2月から2018年2月まで、女性として初めて連邦準備制度理事会(FRB)の議長を務めた。2020年11月30日、バイデン次期大統領より財務長官に指名され、2021年1月より第78代財務長官。

 ジェローム・パウエルは米国の銀行家、弁護士。
 1953年、ワシントンD.C.生まれ。ジョージ・H・W・ブッシュ政権で財務次官補(国内金融担当)、財務次官を務めた。2012年にFRBの理事に就任。2018年2月、第16代FRB議長となる。前任者はジャネット・イエレン。

 2021年3月、バイデン政権は新型コロナ対策とパンデミックで疲弊した経済再建のため、1兆9000億ドル規模の米国救済計画(ARP)を打ち出した。同年4月、米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で4.2%上昇。2009年以来の大きな伸び率でインフレ進行が懸念されたが、イエレン財務長官は「これは一時的な要因による」と述べ、コロナが終息すればインフレも鎮静化するとの見通しを示した。

 同時期、パウエルFRB議長も「米国の高インフレは一過性だ」とし、両者は歩調を合わせるようにその主張を続けた。
 米国のインフレ率は、2020年1.25%、2021年4.69%と、2022年は8.05%(2022年10月予想)へと高騰した。1980年の13.5%、81年の10.38%に次ぐ数字である。

 だが、2021年11月30日、パウエル議長は上院銀行委員会で「物価上昇が広範囲に拡大、インフレ高進のリスクが高まった」との見解を語り、インフレの高まりが「一過性」という表現について、現在の高インフレ率する上で正確ではないとした。
 2022年2月、イエレン長官もまた、バイデン政権の包括的な景気刺激策について擁護する一方、物価上昇を「一過性」と表現したのは誤りだったと認めた。

 さらに同年6月、イエレン長官は上院財政委員会の公聴会で、2021年に高インフレは長期化しないと予想したのは、自分もパウエル議長も間違っていた、と改めて語った。

参照:
・イエレン氏、最近の物価上昇は一過性と指摘-雇用回復には長い道のり(ブルームバーグ、2021年6月6日)
【URL】https://bit.ly/3lXwaQk

・6%ショック後、初の要人発言 やはり「一過性」(日本経済新聞、2021年11月15日)
【URL】https://s.nikkei.com/3ISjtiS

・インフレリスク高まった、「一過性」の文言削除の時期=FRB議長(朝日新聞DIGITAL、2021年12月1日)
【URL】https://bit.ly/3Zp0TUL

・イエレン長官、インフレの主因はバイデン政権の景気刺激策にあらず(ブルームバーグ、2022年2月3日)
【URL】https://bit.ly/41urPnW

・イエレン長官、インフレ高止まりを警告-「一過性」は誤りだと再認識(ブルームバーグ、2022年6月8日)
【URL】https://bit.ly/3ZqVJrD

・ジャネット・イエレン(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/2GPiVeQ

・ジェローム・パウエル(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/3xQDH6e

・アメリカのインフレ率の推移(世界経済のネタ帳、2022年10月)
【URL】https://bit.ly/3IDFlgs

・市場の混乱、原油価格の下落! 米FRBが新型肺炎による中国の深刻な機能不全は「景気見通しへの新たなリスク」と報告! 2020.2.10(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3kCemKs

・【第582号】岩上安身のIWJ特報!急速な円安は「アベノミクス」の経済的帰結!?日本はこれからどうなるのか?岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー(その1) 2023.1.1(IWJ)
【URL】https://bit.ly/41y0Ckn

・【第583号-585号】岩上安身のIWJ特報!急速な円安は「アベノミクス」の経済的帰結!?日本はこれからどうなるのか? 岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー(その2) 2023.2.1(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3EI5mtU

※23)グーグルのCEOが日本に来て、岸田総理に会って、『1000億円、日本に投資します』:
 2022年10月7日、米国のIT大手、グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が岸田首相と面会し、日本で2024年までに1000億円の投資を行う計画を明らかにした。

 ピチャイ氏は、同日、東京都内で行われたグーグル初のスマートウオッチ「グーグル・ピクセル・ウオッチ」の発表会に登場した後、首相官邸を訪問した。
 2023年に日本で初めてのグーグルのデータセンターを千葉県印西市に開設し、カナダのバンクーバーから茨城県および三重県につながる海底ケーブル網「Topaz」を接続する。

 このデジタル関連インフラの強化と、社会人の学び直し(リスキリング)など人材育成への投資を通して、日本のデジタル化を後押しするという。
 グーグルは世界各地で、7億3000万ドルをデータセンターに投資する方針を打ち出しており、千葉県のデータセンターもその一環となる。

参照:
・グーグル、日本に1000億円投資…ピチャイCEO「長期的なパートナーでありたい」(読売新聞オンライン、2022年10月7日)
【URL】https://bit.ly/3KMiRwm

・米グーグルCEO独占取材 日本に1,000億円投資 その狙いは(テレ東BIZ、2022年10月7日)
【URL】https://bit.ly/3Y1vBCu

※24)TSMCが、古いタイプのローテクの半導体の生産は熊本でやる:

 TSMCは、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.)の略称。

 1987年にモリス・チャン(張忠謀)よって設立された世界最大の半導体受託製造企業(ファウンドリ)で、台湾の新竹市の新竹サイエンスパークに本社を置く。

 1931年に中国で生まれたモリス・チャンは、戦乱を逃れて1948年に家族と香港に移住し、1949年に米国のハーバード大学に入学。1958年以降はテキサス・インスルツメンツでIBMのコンピュータ部品の製造にあたった。

 1985年に台湾政府に招聘されたモリス・チャンは、工業技術研究院の院長に就任。当時の台湾には半導体を設計できる技術がなかったため、他社が設計した半導体を受託生産するビジネスモデルを考え出した。現在では、世界の半導体受託生産の半分以上をTSMCが占め、同社の時価総額(約63兆円)はインテルやサムスン電子よりも上位である。
 2021年10月14日、TSMCは日本で初となる工場を2022年から建設し、2024年末に半導体の量産を始めると発表した。コロナ禍で世界的な半導体不足が長期化する中、岸田総理は経済安全保障上の観点からこれを歓迎するとし、約8000億円の投資規模の半分にあたる4000億円程度を国が出資することを決めた。工場の建設予定地は熊本県菊池郡菊陽町。

 この工場で作る半導体は、最新のiPhoneなどに使われる「5nmプロセス」ではなく、何世代も前の「22~28nmプロセス」で、主に自動車産業で求められている。
 TSMCの新工場設置で半導体の専門人材のニーズが高まると予想され、熊本大学は2022年4月1日、大学院先端科学研究部に「半導体教育研究センター」を新設。産学官共同研究や国内外の研究機関・企業との連携強化に取り組み、半導体分野の教育を受けた実践的な高度人材を輩出するとしている。

 2023年1月12日、TSMCは日本で2番目となる半導体工場の建設を検討していることも明らかにした。

参照:
・台湾TSMC、日本初の工場を正式発表 2024年に量産開始(日本経済新聞、2021年10月14日)
【URL】https://s.nikkei.com/3Z4xAHr

・台湾の“化け物” TSMC 知られざる強者の実力(日経ビジネス、2021年12月10日)
【URL】https://bit.ly/3KDM0tG

・日本に「最新でない半導体工場」を作る理由。TSMC新工場(Impress Watch、2021年10月18日)
【URL】https://bit.ly/3SxEF0P

・先端科学研究部附属半導体研究教育センターが設置されました(熊本大学大学院先端科学研究部)
【URL】https://bit.ly/3Z3tDCK

・台湾TSMC、日本に2番目の工場建設を検討(日本経済新聞、2023年1月12日)
【URL】https://s.nikkei.com/3Y0UcY3

・台湾積体電路製造(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/3IzpqQb

・電機産業は崩壊!? 凋落する日本のものづくり!~岩上安身によるインタビュー 第949回 ゲスト『「空洞化」と「属国化」 ― 日本経済グローバル化の顛末』著者 名古屋経済大学・坂本雅子名誉教授 2019.6.17
【URL】https://bit.ly/3IHGEv8

・坂本雅子名誉教授のIWJ関連コンテンツ
【URL】https://bit.ly/3xXdbbt

米国はコロナ・パンデミックで未曾有の財政出動を実施。米国債の利回りは急上昇、同時にMMT理論は下火に! 日本の通貨・円は世界中の通貨の中で一人負け! これが円安の現実!

岩上安身(以下、岩上)「これは田代さんの資料なんですけれども。これ、わぁ、すごいですね」

▲円、人民弊、米ドルの実質実効為替レート

田代秀敏氏(以下、田代氏)「『実質実効為替レート』を見ると…前も申し上げたように、『実質実効為替レート』っていうのは、物価水準の変動を加味するって意味で『実質』。『実効』っていうのは、貿易相手国がどんどん比重が変わってきますよね。かつて日本にとってアメリカが最大の貿易相手国だったけど、今は中国ですよね。

 そういう変動を加味して計算した為替レートで、値が大きければ大きいほど、購買力が強い。値が小さければ小さいほど、購買力は低い。そうすると、日本はピークの時からすると、ここまで(半分以下に)下がる」

岩上「落ちた」

田代氏「一方、(中国の)人民幣の実質実効為替レートは、こういう風に(日本を逆転して)上がってるわけ」

岩上「すごい違いだな」

田代氏「だから中国の人たちが日本に観光に来て、あれも安い、これも安い、何でも安いって言って…」

岩上「爆買いしてくれるわけですね」

田代氏「でも、あれ2019年の話だね。もう、今来たら、あんなもんじゃないですよ」

岩上「小売りやってる人、いろんなサービス業の方々、早くコロナ禍を何とかしてほしいなぁと思ってるでしょうね。みんな、思ってることだと思いますけれども」

▲多くの通貨が対ドルで下落! 円の下落は最悪!

田代氏「で、こういう風に(円が対ドルで約20%も下落)」

岩上「円が一番ひどいんですよ」

田代氏「よくあるのは、『すべての通貨がドルに対して減価してるから、円安はたいしたことない』と(いう意見)。実は、こういう風に、今年の1月1日を起点として測ってみても、円が一番、下落してますよね。

 これ人民幣、中国の通貨もここまで(10%程度の下落)ですよね。実は、(オーストラリアドル、ユーロとも比較して)突出して今、円が下がっていて」

岩上「これやっぱり、金利の差ですか、一番大きいのは」

田代氏「何度も言うように、今は金利の差が効いてるけど、いつも効いてるわけじゃない。これは皆さんもね、将来、たとえば外国通貨などに投資する時に考えてほしいんだけど、常に『テーマ』は変わっていくんですね。

 だから今、金利差だけですべてが決まるというような言い方する人がいるけれど、それは、この足元ではそう見えてるっていうだけなんです」

岩上「なるほど。かといって、国力を(ストレートに)表してるわけでもないですよね。そうしたらドルはすごく強いって、つまり、アメリカはすごい国力を持ってるっていう風に」

田代氏「それは、かつて1995年前後に、日本円は突出して増価して、世界最強通貨と言われたわけですよ。『え!?』と思いますよね(笑)」

岩上「『え!?』ですよね」

田代氏「だって、すでに日本は1990年にバブル崩壊が始まってしまって、もう相当に不況が深刻になってて。

 その後1997年になると、山一証券が吹き飛ぶ。北海道拓殖銀行が吹き飛ぶ。その翌年には、長期信用銀行が吹き飛ぶ、日本債券銀行が吹き飛ぶ、という風になっていくわけですから。

 別に、通貨が強いってことは、国力が増すとか何でもない。『単に、通貨が強いというだけ』なんです」

岩上「なるほどね。で、『米国債金利の推移』。米国債、利回りがいいんですね」

▲米国債金利の推移(2018~2022年)

田代氏「(グラフの赤いラインを)見てわかるように、いつも良いわけじゃないですよ。こういう風に(2020年にかけて)、ずーっと下がってきたわけね。で、パンデミックで、ずっとこうやって(2020年の間は、ゼロ付近を推移して)きたんだけど。2021年になってくると、2年満期の国債の利回りが、こうギューッと上がってきてますよね。

 その前から10年国債なんかは、もうこの辺(2020年)から上がってきてますよね。で、だいたいこの辺(2021年の中頃)からよく言われ出したのは、『やっぱり、MMTってインチキだよね(※25)』ってわけ」

岩上「その心は?(笑)」

田代氏「パンデミックが起きて、未曾有の財政出動やるんで、どんどん国債発行して。最初は、『ほら、(金利が)ほとんどゼロでしょう』なんて言ってたのが、2022年に入ってくると、ずーっと上がってくるわけですよね。ちなみに、MMTの理論みたいなものに言わせると、こういう時には増税しろって書いてますよね」

岩上「そうですね」

田代氏「やってみたら? って感じですね」

岩上「(MMTを信奉する人たちは)もう『何やっても大丈夫。だって、国家が徴税能力あれば大丈夫なんだもん』って言う」

田代氏「今、アメリカで増税したら、それこそ革命起きますよね。何億丁というね、銃が、ついに火を吹きますよね」

岩上「(米国の場合は)そこか(笑)。そうですね、(出回っている銃の潜在的な暴発力には)それだけの力ありますね」

田代氏「もう現状はこういう風に、ゼロ金利っていう時代はとうに終わったってことが、これで示されてる」

岩上「日本は米国債、すごく持ってるじゃないですか。相対的に日本が円安になったりしてる時に、この資産は高まってる、もしくは金利も上昇してるから、入るインカムも増えてる、ということはないんですか?」

田代氏「利回りは増えてるけど、債券の利回りが上昇してるっていう時は、債券の価格は下落してるんです。だから、日本が膨大に外貨準備して保有してるアメリカ国債の価格は下がってます。ただ、利回りは増えてると」

岩上「なるほど。だから、利回りは入ってくるかもしれないけれども、それが、何か価格下落に見合うようなものではないんですか?」

田代氏「元本の価格は下がってるわけですよね。だから、外貨準備の評価すると、増えてないってのはそこですよね」

岩上「なるほどね。ありがたくないな」


※25)やっぱり、MMTってインチキだよね:
 MMTはModern Monetary Theoryの略称。現代貨幣理論。

 2018年の米下院議員選挙で、若者の貧困救済などを訴えて史上最年少(当時29歳)の女性下院議員となったアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員(民主党)が、従来型の経済学にもとづく財政破綻懸念論への反論としてMMTに言及し、脚光を浴びるようになった。
 MMTの代表的な主張は「通貨発行権を持つ国家は、債務返済に充てる貨幣を自在に創出できるため、財政赤字が拡大してもデフォルト(債務不履行)に陥ることはない。インフレの兆候がない限り、国債増発(自国通貨での借金)を行い、積極的に財政出動すれば国民は豊かになる」というもの。

 世界各国は、2020年からコロナ対策で膨大な財政支出を行なった。日本でも2020年度に175兆円、2021年度には142兆円という巨額財政支出が行われ、全国民を対象とした総額約12兆9000億円の特別定額給付金、事業者らへの持続化給付金、雇用調整助成金、家賃補助など、さまざまな施策が実施された。その支出の大部分が国債で賄われている。

 米国では、コロナの収束が視野に入って経済活動が再開されてくると、人手不足や物流停滞といった要因でモノ不足が起き、約40年半ぶりに高インフレが起きた。そして、インフレ抑制のために米国が利上げを段階的に行ったことで、金利を低く抑えている日本との間で円安ドル高が進んだ。

 日本が金利を上げると日銀当座預金に対する利子の支払いが増え、日銀の収支が悪化する。日銀は膨大な量の国債購入で当座預金を増やしたために、円安をコントロールできなくなっている。
 また、日本でもウクライナ紛争や円安などの要因によって原油価格や小麦価格などが上がりインフレが進んでいるが、賃金上昇は追いつかず、人々の購買力は減少している。

 MMTは「インフレが水準を超えたら財政支出を縮小し、増税して調整する」と説くが、現在の日本の経済状況でそれを実行することは難しい。

参照:
・「MMT論者は歴史的事実を無視している」! 松尾匡・立命館大学教授らが主張するMMTの難点を明石順平氏が明快に指摘!~岩上安身によるインタビュー 第941回 ゲスト 『データが語る日本財政の未来』著者・明石順平弁護士 2019.5.29
【URL】https://bit.ly/3Z8cQPd

・【IWJ検証レポート】「不況」を「デフレ」とすり換えるMMTでは日本経済は再生できない!MMT再考〜ステファニー・ケルトン教授講演録から読み解く「現代貨幣理論」の本質 2020.6.5
【URL】https://bit.ly/3SDoHT0

・「次の日銀総裁になるということは、火を噴いている船の船長になれということ」「今や日本は『衰退途上国』」~岩上安身によるインタビュー第1110回 ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 2023.2.17
【URL】https://bit.ly/3xZm4Bc

・コロナ禍で“盛況”だった「MMT」はやはりインフレで破綻した(DIAMOND online、2022年8月11日)
【URL】https://bit.ly/3Y4lRHI

・MMT(現代貨幣理論):その読解と批判(富士通総研、2019年7月1日)
【URL】https://bit.ly/2JfRVnr

・【IWJ検証レポート】「不況」を「デフレ」とすり換えるMMTでは日本経済は再生できない!MMT再考~ステファニー・ケルトン教授講演録から読み解く「現代貨幣理論」の本質 2020.6.5
【URL】https://bit.ly/3xWTmB7

・MMT(コトバンク、知恵蔵) 【URL】https://bit.ly/3Y4KBiO

戦後日本の「交易条件の推移」を知らないと、日本の貿易収支の構造的変化がわからない!! この経済状況をウクライナ危機と絡めるのは「地政学的妄想」! かつてない金融緩和をズルズル続けた上にパンデミックが起きた結果が今!

岩上「(次は)『交易条件の推移』です」

▲交易条件の推移(1960年1月~2022年8月)

田代氏「『交易条件』っていうのは、輸出物価を輸入物価で割って100倍した値です。簡単に言えば、国全体で輸入する時に支払った金に対して、輸出して受け取る金が何倍かと。だからこの交易条件、つまり『輸出物価÷輸入物価』、これが大きければ大きいほど、貿易すれば儲かるわけですよね。

 かつての日本、250ってことは、2.5倍あった。だから1960年代は、ソニーもホンダも、とにかくガンガン作って輸出すると」

岩上「本当にね、高度成長期ですよね」

田代氏「これが第1次石油危機の後、輸入物価が増えるわけですね。だって、石油価格がどんどん上がっていくわけですから。それによって、『輸出物価÷輸入物価』だから、分母(輸入物価)が大きくなって交易条件は急速に下がっていきます(約150まで下落)」

岩上「悪くなる」

田代氏「で、第2次石油危機で、また(同じ事が起きた。交易条件が180程度まで)少し戻ってきたと思ったら、またここ(100付近)まで下がったと」

岩上「わかります、わかります。(第2次石油危機は)僕らが大学へ入るぐらいの年なんですよ。そこからこの落ち込みが回復するどうか、(卒業する年が)1年か2年の差で、就職条件がまったく違ったんですね」

田代氏「これ(交易条件がほぼ100になっている箇所を指して)100ってことは、輸出物価と輸入物価がほぼ等しいってことですよね。てことは、輸入して加工して輸出するっていうパターンですよね。利益がゼロってことですよね」

岩上「そうですよね」

田代氏「この状況を突破したのが、実は『プラザ合意』(※26)なんです」

▲1985年、米ニューヨークにあるプラザホテルで主要5ヵ国(日米英独仏)の財務相・中央銀行総裁会議が開催された(Wikipedia

田代氏「プラザ合意によって、円ドル為替レートが、わずか1年で2倍増加するわけですよね。てことは、劇的に輸入物価が下がったんです。

 (プラザ合意のあった1985年を指して)こういう風にドカーンとね。その結果、交易条件がはっきり上がって」

岩上「円高になって。今の円安とは逆の状況ですね」

田代氏「ここから日本は、貿易すればするほどウハウハで儲かっちゃうという事態になったわけですね。で、バブルが起きたんだけど、バブル崩壊しても、あまり変わらない。で、これ(その後の交易条件)がだんだん下がってくるのは、輸出物価が下がっていく(から)」

岩上「そんなに高く売れないっていうことですか?」

田代氏「ていうか、世界経済が冷え込んでいったから。世界市場がだんだん沈滞してるわけですよね」

岩上「なるほど」

田代氏「ほら、この(バブル崩壊後の)輸入物価、あんまり変わってないでしょ、円高のおかげで。だけど、輸出物価が下がってるのね。だから、交易条件がだんだん悪化していって、世界金融危機(2007年)で、これが100割ってますよね。ガクッと下がってるわけ」

岩上「相当、痛手だったんですね」

田代氏「もちろん産業によっては儲かるところもあるから、貿易は続くんだけど、トータルで見ると貿易の利益が大きく損なわれたので、貿易量が激減しましたよね」

岩上「でもこの辺り、ここから助かるかどうかっていうのは、(台頭してきた)中国に売れたかどうか。日本はある程度、中国に売ることによって、回復、リカバリーしてきたんじゃないかと思ってたんですけどね」

田代氏「貿易の利益という点では、あまり儲からなくなっちゃった、日本は」

岩上「そうなんだ」

田代氏「つまり、かつて日本は貿易で儲けた国なんだけど、今は、そんなに貿易で儲ける国じゃない。バカみたいに儲かるって国じゃないんですよね。だから、企業はアメリカや中国に工場を作るわけですよ」

岩上「出て行っちゃうもんね」

田代氏「わざわざ日本で作って持って行くよりも、現地で作った方がコストが安いと踏んだわけですよね。

 この構図がですね、3.11(東日本大震災)で決定的に悪くなっちゃうわけ。で、これがなんとか回復しかかった時に起きたのが、(コロナ)パンデミック。これでまた、ガクンときて。ウクライナ危機は、この最後のところですよ。だから、ウクライナ危機でこれ(交易条件の激しい落ち込み)が起きてるというのは、何か地政学的妄想で…」

岩上「地政学的妄想っていうのではなくても、このウクライナ危機の後に来る対ロ制裁で、資源価格が…」

田代氏「ほんのちょっとですよ、その作用は」

岩上「そうですか?」

田代氏「決定的なのは、このパンデミックです。100年に一度のパンデミック、これはすごいですよ。ほとんど、2020年の4月の緊急事態宣言の時、渋谷の交差点から人が消えた。経済活動、止めたんだから。それは、こうなっちゃうわけですよ」

(中略)

岩上「円安っていうことも、もちろん加わってますよね」

田代氏「もちろん。だから、(交易条件の著しい下落とは逆に)『輸入物価指数』の方が突き出て上がってるでしょう。この状況を考えると、輸入して輸出しても、『えー、儲からない』ってなっちゃっいますね」

岩上「まったく儲からないですよね。はー(溜息)。これちょっと、本当にきついことが重なってますよね」

田代氏「でも、何度も申し上げるように、輸入物価指数が輸出物価指数を上回って上昇してるのは、ウクライナ危機じゃなくてパンデミックの後に起きてるんです」

岩上「でも、そこにアベノミクスも重なってるわけじゃないですか。その帰結ということ」

田代氏「もちろん、アベノミクスは、ここ(第二次安倍政権後の2013年)からずーっとやってますからね。要するに、アベノミクスっていうのは、日本をほぼゾンビ状態として延命させてきたわけですよね、(低い水準で、わずかに上下を繰り返すだけの交易条件を指して)こういう風に。交易条件が良くなることは、してないですよ。その構図が壊れたのが、パンデミック」

▲2013年6月、安倍総理(当時)はロンドンでの講演で経済政策について語った(Wikipedia

岩上「この壊れ方で、あと、どうなるんですかね? パンデミックは、どっかでそろそろ終止符が打たれるんじゃないかっていう期待感があるわけじゃないですか。『(終わりは)まだなのか?』というのもありますけれども。

 そこで、円安っていうものが起きてて。こんな急激な円安だったら、この(輸入物価)指数は崩れますよね、どう考えたって。輸入する資源とか、エネルギーとか(高くなるから)」

田代氏「それは、この輸入物価指数を輸出物価指数に転嫁して、こっち(輸出物価指数)の方が先に上がるようにしないと、貿易すればするほど、損しちゃいますよね」

岩上「どうすればいいのか?」

田代氏「それは、前に言ったように価格転嫁ですよ。つまり、国内でインフレーション起こすことです」

岩上「そういうことになりますよね」

田代氏「金利引き上げ、嫌だったらね。ただ、金利を引き上げれば財政破綻しますよ」

岩上「そうですね」

田代氏「あと、日本の多くの中小企業は、たちまち存立不可能になりますよね」

岩上「(ため息)」

田代氏「それ(この状況を招いた理由)は、何度も言うように、人類史上かつてない金融緩和を…2年だと限定したはずなのに」

岩上「10年やってるからだ」

田代氏「ズルズルズルズルやって。9年やって、もうすぐ10年になろうとしてるんだから」

岩上「そうそう」

田代氏「それは、それくらいのこと起きるわけですよ」

岩上「どうしたらいいんですかね?」

田代氏「まだ、そういうことをやってる政権を、ずーっと選挙で勝たせてきたんだから、日本国民は」


※26)プラザ合意:
 第586号注(※2)参照。

 米国は1985年に新しい経済政策のプログラムを提示。同年9月に米ニューヨークのプラザホテルで開催された主要5ヵ国(日米英独仏)の財務相・中央銀行総裁会議で、為替レート安定化に向けて主要通貨に対して米ドルを切り下げる合意が形成された。
 これにより、ドル円レートは1985年2月の1ドル=260円から、1987年12月の1ドル120円へと大幅な円高ドル安となった。

 このプラザ合意こそ、日本のバブル生成起点になった事象と言われる。

参照:
・植草一秀氏『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)
【URL】https://amzn.to/3lYkexI

日本が貿易立国だった時代は、すでにはるか昔の話! 企業物価指数は戦後5番目の急上昇。コスト高に耐えきれない企業が、今後、価格転嫁して、消費者物価が急上昇したら、年率20%近いインフレに! 財政も危機的で、パンデミックにインフレ、交易条件も悪い、こんな最悪な条件がそろっている日本で戦争をするというのは、「台風が直撃する時にピクニックをやろう」というよなもの!

田代氏「こういう風な状況になってるから、簡単に言えば、日本が貿易立国であったという時代は、それははるか昔であって」

岩上「これは不利な話ですよね。どうしようもないな、本当」

田代氏「岸信介氏が統一協会を日本に引き入れたのが1966年。その時代の話なんですよ」

▲渋谷区松濤の統一教会(世界平和統一家庭連合)日本本部(Wikipedia

岩上「それから、ずーっと(自民党は統一教会に)依存してきたんですよ」

田代氏「だけど、もう貿易立国であるという時代は、とうに終わってる」

岩上「いやぁ、これ痛いな。3つ重なってますもんね。ウクライナ危機はたいしたことないんだっておっしゃるけども、でも」

田代氏「たいしたことないんじゃなくて、何度も言うように、これは起きたばっかりであって」

岩上「そうそう。これから先を考えると、さっき冒頭でやったように、この先、落としどころも何もないような状態になっていく可能性があるわけじゃないですか。

 台湾で同じことを(ウクライナ危機と同様の)モデルでやろうなんていう馬鹿なこと考えてるわけですから、アメリカの一部はね。そうすると、本当に破滅ですよね」

田代氏「うん。一番馬鹿なのは、パンデミックが起きてるこの状況の下で、そういうことやるのは、びっくり」

岩上「国家の財政も破綻しかけてるという状態でね」

田代氏「台風が直撃してる時に、ピクニックやろうという感じですよね」

岩上「いやぁ、きっついな。どれか緩和されないと、どうにもならないですよね」

田代氏「やっぱり、何度も申し上げるんですけど、パンデミックの経済的な影響っていうのを、あまりにも過小評価してる。これ、直接に経済活動止めちゃいましたからね」

(中略)

岩上「もうひとつ、続きをいきます。『企業物価指数』」

▲企業物価指数/戦前基準指数(1900年~現在)

田代氏「これは日本の経済統計で唯一、戦前から戦中を通して現在に至るまで、一貫して作られてる経済統計なんです」

岩上「唯一の統計」

田代氏「これしか僕は見たことないです。他にあるかもしれないけど、僕が見たのはこれだけですね。これは、日本銀行がちゃんと毎月測って、見れます。これはなんと、1934~1936年の平均を1として作ってるわけですね。で、そのうちですね、各月の1年前との上昇率(『前年同月比』)を測ったのが、この赤い線。

 敗戦直後の、このインフレーションっていうのは、圧倒していて、他はみんな小さく見えるぐらいですね」

岩上「すごい。すさまじい」

田代氏「だけど、よく見てみると、ここ(急激なインフレの始まりを示す上り坂)は1945年ですよね。今、起きてるこれ(2022年からの企業物価の上昇も)、ここ(1945年と同じ形状)でしょ。

 戦後起きたインフレーションのうち(グラフの中で物価の急上昇を示す赤色の山を数えながら)5番目に大きな企業物価の上昇が(今)起きてるんです、すでに」

岩上「なるほど」

田代氏「これがもう、20%近いんですね。なのに、消費者物価がそんなに上がってないのは、さっきから何度も申し上げてるように、企業がこのコストの上昇を、販売価格に転嫁しきれないでいるからなんです」

岩上「わかります。痛いほどわかります」

田代氏「もし転嫁したら、アメリカのように(その)瞬間に、年率20%近いインフレーションが起きるわけですよ。

 本当に、戦後めったにないぐらい、片手で数えられるぐらいの規模のインフレーションは、もうすでに潜在的には起きてる。これを、企業が転嫁せずに耐え忍ぶ限り、企業の赤字はものすごいことになっていく。

 多くの企業は一過的だと思ってるんです。トランジタリー(transitory、一時的で長続きしないこと)だろうと。過去のこのように。それで、何とか耐え忍ぼうとしてるかもしれないけれど、この被害は相当に大きい」

岩上「(1970年代の)オイルショックの経験も、企業が努力してね、省エネ体質にするっていうことで切り抜けた、みたいなところあるじゃないですか」

田代氏「ちょっと次、出してください」(ここでパワーポイントの画面が切り替わる)

▲企業物価指数/戦前基準指数(1950年~現在)

田代氏「あまりにもここ(1945年)が大きいから、1950年で(グラフを)切ってみたんですね。こうやると、何とかわかりやすいと思うんだけど。いかに今、ものすごい企業物価の上昇がきてるかってわかりますよね」

岩上「なるほど。1970年代のオイルショック2回、これが突出してるということですよね」

田代氏「ちなみに、この一番(約マイナス15%まで)下がったところ、これが米国発世界金融危機の時ですね。2007年からの。その時に、ここまでドーンと来てるわけですよね。企業物価が下がったわけですよ」

岩上「下がっちゃった」

田代氏「それくらい企業の活動が落ちたわけですよね」

岩上「(マイナスまで)下がっても苦しいわけですね。なるほど、不況っていうことになっちゃうんですね」

田代氏「どんどん従業員を解雇して、仕入れも減らしてっていうことやった時ですよね。

 で、これを何とかしようというので、ものすごい金融緩和をやってきたのが、ここ(アベノミクスが始まった2013年以降)ですよね。そこで、さっき申し上げた問題点が積み上がってしまっていて、そこに、これ(2022年からの急激な企業物価の上昇)が来てるわけですよ。これは、えらいことですね」

岩上「えらいことですよ。何重に重なってんだって話ですよね」

田代氏「あと、もうひとつ(と、青いラインの企業物価指数を指す)。2019年の終わりにパンデミックが始まって、それが、いよいよ2020年に入ってからロケットのようになって(現在にかけて急上昇して)ますよね。それは、供給があれだけ制約されたんですもん。工場は止まってる、お店が開いてない」

岩上「(しばらく沈黙したあと)困ったな…」

 このあとさらにインタビューは続き、西側諸国による対ロ制裁等の影響について触れたあと、インタビューはエンディングを迎えた。

岩上「ということで、3回にもまたがりましたけれども」

田代氏「テーマが、ちょっと大き過ぎましたね」

岩上「大きいんですよね。たとえば、出していただいたグラフで、輸入物価指数と輸出物価指数の差っていうのは、いくつもの要因が重なって(こういうひどい状況に)なってるじゃないですか。タイミングが本当に悪い、日本にとっては悪いなと思うんですけれども。

 どうしようもないものは、受け入れなきゃいけないけれども、いやいや、政策的な変更でどうにかなるでしょっていうものは、変更するべきだと思うんですね。

 それで財政赤字を溜め込んできちゃったのも、一朝一夕に変えられないですよ。そのヤバいところにいるよ、っていう認識が必要ですよね。

 それに対して、(この悪い状況にある日本が)対露制裁に加わるなんていうのはやめろって、そんなのはやめるべきだってことは、日本で主張する人いないですから、(だからこそ)僕(のような人間)は主張しなくちゃいけないのかなっていう風に、逆に思います。

 言う人、本当に少なすぎると思いますね。アメリカがやるんだったら、自動的に『はい、言われた通り』って。いや、そんなことやってたら自分たちが潰れちゃいますよ。もっと独自外交、インドのようにしたたかに、という風に思いますね」

田代氏「うん」

岩上「ということで、本当に、どうもありがとうございました。田代さんにお話をうかがいました。皆さま、長時間のご視聴ありがとうございました」

田代氏「ありがとうございました」

(了)

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