【第542-545号】岩上安身のIWJ特報! 現役の矢野康治財務事務次官が与野党「バラマキ」批判! 「このままでは国家財政破綻」と訴えた「矢野論文」の真価とは!? 「不都合な真実直視」を言うなら、なぜ累進課税強化を言わない!? 岩上安身による宇都宮健児弁護士、エコノミスト・田代秀敏氏インタビュー 「矢野康治財務事務次官による積極財政批判論文」検証編 2022.3.1

記事公開日:2022.3.1 テキスト独自
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(IWJ編集部)

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 2021年10月、財務省事務次官の矢野康治氏が『文藝春秋』11月号に寄稿した「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」と題した論文(以下、矢野論文)は、自民党政権が長く続けてきた経済政策への現役官僚からの異例の「ダメ出し」であり、多くの議論を呼んでいる。

▲宇都宮健児弁護士(左)とエコノミスト・田代秀敏氏(IWJ撮影)

 今は金利が事実上ゼロの超低金利なのだから、国債を大量発行して有意な財政出動でGDPを増やせば、「国債残高/GDP」の分母が拡大して財政も健全化するという考え方がある。だが、矢野論文は「これはとんでもない間違い」と断じている。

 岩上安身は、2021年10月28日に東京都内のIWJ事務所で行われたインタビューで、エコノミストの田代秀敏氏に矢野論文の受け止めを聞いた。

 田代氏は、マクロ経済学における財政安定化の条件(ドーマー条件)について説明した。これは、経済成長率が利子率を上回っていれば、国債残高が増えるよりGDPが増える方が速いため、「国債残高/GDP」の値はだんだん小さくなり、財政は安定化するというもの。矢野次官は、そのドーマー条件は日本には当てはまらないと主張している。これに、田代氏は驚いたという。

 「今、日本の財政が黒字も赤字もない状態か、あるいは黒字財政ならば、今の不況を乗り越えるために一時的に赤字にしても、GDPがうんと増えて財政は安定化する、というのは本当かもしれない。けれど、これだけ赤字の山を作った上でやれば、GDPが増えても国債なんかもっと増えて、事態がもっと悪化すると。これを経済学者じゃなくて、財務事務次官が言ったところが、びっくりですね」

 さらに田代氏は、「深く読めば、もう日本の財政は『国債残高/GDP』の値が、今、発散(※1)している方向に向かっているということ」と続け、GDPが5年間で4割弱も縮小して深刻な経済危機に見舞われたベネズエラのようになる可能性も示唆した。

 また、このように経済学の知識がないと理解しにくいことは、解説できる専門家を呼んで、国民にわかりやすく伝えるべきなのに、大手メディアはどこもやっていないとし、「(矢野論文に)賛成ですか、反対ですかって。子ども新聞のレベルだ」と批判した。

記事目次

  • 矢野論文は財政安定化の「ドーマー条件」が今の日本に当てはまらないと指摘!「これは経済学の歴史に残るような発言」
  • 「この赤字で国債発行すれば事態がもっと悪化する」と財務事務次官が警鐘! 日本はベネズエラ並みの財政危機に!?
  • 人類史上に残る超低金利!? 「近代社会では長期金利が2%を下回ったら社会は崩壊するはず。それを、ずーっとやっている」
  • 国が財政悪化に目をつぶると国際的に誤解を招き、日本国債の格付けがダウン! 日本企業の社債も低評価に!
  • 国債を含めて債権取引は非常に難しいが、素人には安定的に見えてしまう!? そんな政治家の代表が高市早苗議員!
  • 「消費税は社会保障制度を維持する重要な切り札、引き下げは絵に描いた餅」と矢野論文。だが、累進課税の強化には触れず?
  • 日本は富裕層や大企業の税負担を低所得層と中間層にシフト。これが貧困や格差社会の要因に!
  • 増税を言ったら選挙に負ける? 政治家は政策と財源をセットで提示し、国民的な議論を喚起すべき!
  • 日本の官僚育成システムは発展途上国レベル!? 深い知識は不要、過去の成功体験だけを大事に引きずっている
  • 矢野論文が「不都合な真実を直視せよ」と言うなら、所得税や法人税の取り方についても直視すべきでは?
  • かつて、日本の10年国債の金利は8%! 満期には元金が倍に! 金利ゼロに近い今は「資本主義の終焉」!?
  • 第二次世界大戦中、アメリカは大量の国債発行で戦費を調達。それができたのはドルが基軸通貨だから!
  • 財務省課長がお願いに回っても、日本国債を金融機関に買ってもらえないこともある。「取引成立せず」!

矢野論文は財政安定化の「ドーマー条件」が今の日本に当てはまらないと指摘!「これは経済学の歴史に残るような発言」

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