岸田文雄総理が衆議院を解散した10月14日の夜、総理会見が行われた。岩上安身は、会見に参加し、手を上げ続けたが、指名されず、同日14日の夜、質問2問をメールで官邸に送った。岩上安身の質問に対して、10月22日、岸田総理からの回答が官邸より送られてきた。
官邸報道室は、岩上安身が14日夜に送った質問に対し、
岩上安身は会見終了後、官邸広報官に、
ところが官邸側は「『いいですよ』とは言っていない。ですので、
岩上安身は「質問2つというのを、従来の慣例通り『一つに絞れ』
岩上安身が官邸に送った質問は、以下である。
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岸田総理に、総選挙の争点に関する質問をさせていただきます。現役の財務事務次官である矢野康治氏が、月刊「文藝春秋」11月号に、「このままでは国家財政は破綻する」と題した論文を寄稿し、衆議院選挙に向けて、与野党の掲げる大規模財政出動を「バラマキ合戦」と批判しました。高市政調会長の示す財政出動の方向なのか。
鈴木財務大臣、矢野財務事務次官、経済同友会の桜田代表幹事らが支持する財政規律を守る方向なのか。財政についてどちらの方向を向いていくべきなのか、岸田総理御自身の御判断による大方針を、明確にお示しください。
また、会見中に産経新聞の記者が改憲について質問されました。岸田総理は、恒久的な内閣独裁を可能にし、国会を空洞化させてしまう現在の自民党改憲案「緊急事態対応」にそのまま賛成なのでしょうか。他方、総理御自身が他日の記者会見でこの問題への質問に答えて、「国会の機能の維持をはかる」と発言されています。
つまりこれは、緊急事態宣言の後も「国会の機能の維持」をはかり、緊急事態宣言発出の前に国会で事前同意することや政令発出前に国会での事前の承認を必要とすること、また、緊急事態が一時的な措置で終わるように、解除の手続きと、国会に立法権を速やかに戻すなどの条件を織り込む、徹底した制限を加えた、先進国並みの「国家緊急権」へと手直しをするおつもりなのか。岸田総理の本音はどちらにあるのか、お聞かせ願いたいと思います。【岩上安身氏】
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岸田総理からの回答は以下である。
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財政は国の信頼の礎であり、財政健全化の旗は絶対降ろしてはならないと考えています。
しかしながら、経済あっての財政であり、順番を間違ってはいけません。今は新型コロナという危機のさなかにあり、必要な財政支出は躊躇なく行ってまいります。
経済をしっかり立て直します。そして、財政健全化に向けて取り組んでまいります。
また、憲法改正については、国会が発議し、最終的には、国民投票により、主権者である国民の皆様が決めるものです。
憲法改正の具体的な内容等について、内閣総理大臣としてお答えすることは差し控えたいと思いますが、自民党が提示した改憲項目は、たたき台であると承知しております。
新型コロナへの対応を受けて、緊急事態への備えに対する関心が高まる中、まずは、憲法審査会において、与野党の枠を超えて、様々な論点について建設的な議論を行い、国民的な議論につなげていただきたいと思います。
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岩上安身の質問への岸田総理の回答は、財政の方向は玉虫色、憲法改正の内容については明言しなかった。
なお、岩上安身の質問と岸田総理の回答は、首相官邸のホームページにも掲載されている。