明日19日、第49回衆院選が公示されます。10月31日が投開票日ですから、前日30日の夜まで、12日間の選挙運動が繰り広げられます。
現在の衆議院選挙は小選挙区比例代表並立制です。全国289の小選挙区から1人ずつ選出、全国11ブロックの比例代表選挙区からそれぞれの選挙区ごとの定数の合計176人が選ばれ、465人の衆議院議員が選出されます。
- 選挙の種類(総務省)
今回の衆院選では、立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党の4野党が市民連合の提案した共通政策に合意し、289の小選挙区中、220の選挙区で候補者を1本化しました。
- 衆議院の解散、総選挙にあたって(市民連合、2021年10月16日)
岸田文雄総理は、衆議院を解散した14日の記者会見で、勝敗ラインについて「与党で過半数の確保」と表明しています。過半数は233議席です。
- 令和3年10月14日 岸田内閣総理大臣記者会見(首相官邸)
解散時の議席数は、自民275、公明29で、与党で304議席でした。
一方、野党は、立憲民主110、共産12、社民1、れいわ0で合計123議席でした。
このほか、国民民主8、維新10、N国1、無所属が15、欠員が4でした。
共同通信が16日と17日に行った、衆院選に対する全国電話世論調査「トレンド調査」では、比例代表の投票先として、自民党が29.6%、立憲民主党が9.7%、共産党が4.8%、公明党が4.7%、日本維新の会が3.9%、国民民主党が0.7%、れいわ新選組が0.5%、社民党が0.5%、NHKと裁判してる党が0.1%という結果が出ました。
一方で「まだ決めていない」は、最も多い39.4%もいて、情勢は流動的とも言えます。
こうした状況の中、IWJが独自に入手し、今回オープンにする自民党の調査報告書には、「マル秘」とのハンコが押され、A4で51頁のペーパーには、選挙間近の各選挙区ごとの有力候補者の優劣が記されています。選挙の行方を占う上で、非常に貴重な報告書です!
選挙区によっては、調査時点で野党候補者共闘の統一がまだ未決定のところがあります。この時点の調査報告での予想は絶対的なものではありません。最終調査日の10月10日から、明日(19日)の公示日までに野党がどれだけ候補者を統一できたかによって、選挙の行方は大きく左右すると思います。
- 比例投票は自民29%、立民9%「安倍・菅路線」転換68%(共同通信、2021年10月17日)
IWJは自民党が行った、全国の小選挙区の調査報告書を独自に入手しました! 調査は、今年4月、8月と、衆院解散前の10月7日から10日までの3回行われたものです。自民党の「マル秘」報告書は、それぞれの選挙区の候補予定者ごとに支持率を表にしています。
自民党の候補者には、それぞれ対抗候補者とのポイント差に応じてAからDまで10段階のランク付け評価がつけられています。自民党の候補者が勝つ可能性が高いとAにより近く、低いとDにより近くなります。
相手候補と15ポイント以上の差をつけていればA。10ポイント以上15ポイント未満がA-、8ポイント以上10ポイント未満がB+、5ポイント以上8ポイント未満がB、0ポイント以上5ポイント未満が B-です。
逆に相手候補より支持率が低い場合は、その差が-5ポイント以上0ポイント未満がC+、-8ポイント以上-5ポイント未満がC、-10ポイント以上-8ポイント未満がC-、-15ポイント以上-10ポイント未満がD+、-15ポイント未満がDです。
例えば、NTTからの接待疑惑が『週刊文春』に報じられ、デジタル大臣を10月4日に辞任した平井卓也前デジタル相と、映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」で話題となった立憲民主党の小川淳也氏が激突する香川1区では、4月時点では平井氏51%、小川氏34%と大差で自民の平井氏が有利でしたが、8月には平井氏38.4%、小川氏37.2%と拮抗し、10月には平井氏35.4%、小川氏44.0%と逆転しています。
これに伴い、平井前デジタル相の評価はAからB-、C-へとどんどん下がっています。
一方、野党統一候補の調整が遅れたことで、分析ができていない選挙区もあります。
例えば、れいわ新選組の山本太郎代表が立候補を表明して一時混乱した東京8区は、10月の調査で自民・石原伸晃氏が33.2%、維新・笠谷圭司氏が10.3%、れいわ・山本太郎氏が19.7%、ファーストの会が候補者を立てると見込んで4.1%となっていますが、実際には立憲・吉田晴美氏が野党統一候補として出馬することになり、ファーストの会は出馬を見送りました。
※この報告書には、10月15日に国政選挙の撤退を表明した「ファーストの会」の候補者が入っています。
それでは、各地区ごとに、注目の選挙区をみていきます。数字はすべて10月の支持率です。