【第539-541号】岩上安身のIWJ特報!現役の矢野康治財務事務次官が与野党「バラマキ」批判!「このままでは国家財政破綻」と訴えた「矢野論文」の真価とは!?「不都合な真実直視」を言うなら、なぜ累進課税強化を言わない!?岩上安身による宇都宮健児弁護士、エコノミスト・田代秀敏氏インタビュー「矢野康治財務事務次官による積極財政批判論文」検証編 2022.2.1

記事公開日:2022.2.1 テキスト独自
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(文・IWJ編集部)

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 第49回衆議院議員総選挙(2021年10月31日)を約3週間後に控えた10月8日、月刊『文藝春秋』11月号が発売されると霞が関に衝撃が走った。

 財務省の現役事務次官である矢野康治氏による、国の財政政策に異を唱える論文(以下、矢野論文)が掲載されていたのだ。タイトルは「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」である。

▲宇都宮健児弁護士(左)とエコノミスト・田代秀敏氏(IWJ撮影)

 矢野論文は、『最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いていて、やむにやまれぬ大和魂か、もうじっと黙っているわけにはいかない、ここで言うべきことを言わねば卑怯でさえあると思います』という書き出しから始まり、日本の国家財政を霧の中で氷山に衝突寸前のタイタニック号にたとえて、政府の財政出動策を批判。自らを「心あるモノ言う犬」として、「一部の楽観論をお諫めしなくてはならない」と訴えている。

 この、財務官僚からの「意見具申」に対して、自民党の高市早苗政調会長は、国会議員は全国を歩いて国民の声を聞いているとし、「主権者の代表である国会議員に対して失礼だ」と不快感を示した。

 一方、鈴木俊一財務大臣は、「政府の基本方針に反するものではない」として、矢野事務次官を擁護する姿勢を見せている。

 「公正な税制を求める市民連絡会」代表の宇都宮健児弁護士は、2021年10月28日、東京都内で行われた岩上安身のインタビューで矢野論文への所感を尋ねられると、「言うべきことを言わねば卑怯だと思うのなら、森友学園問題で公文書を改竄した時、なぜ、はっきり反対しなかったのか」と口調を強め、さらに、このように指摘した。

 「1989年に消費税が3%導入されて、1997年に5%、それから2014年に8%、2019年は10%に。その度に法人税と所得税を下げてきている。法人税は一番高い時は43.5%、それが今は23.2%ですね。所得税の累進課税が一番高い時は最高税率は75%、(今は)45%。

 結局、消費税で税収は上がってるんだけど、法人税とか所得税の減収分を穴埋めしているに過ぎない。全然、国家財政の改善にはつながってないので、それだけ大和魂があるなら、何であの時、抵抗しなかったのか」

 財務省の役人が法人税や所得税を下げることに抵抗したという話は聞いたことがなく、宇都宮弁護士は、矢野氏の印象を「ちょっと食わせ者だな」と評した。

 岩上安身も、この「大和魂」という言葉に違和感を表明し、「『やむにやまれぬ大和魂』というように、大和魂という言葉は、切羽詰まった事態に至るまで、それまで何の努力もしなかった奴が、最後の居直りで言う、あるいは言わせられる、腹を切らされる、そういうために使う言葉。大和魂という言葉を使っていること自体、信用できない」と語った。

記事目次

  • 日本を「沈没寸前のタイタニック」と憂える財務事務次官。政治家に嫌われたくない官僚心理を「猛省」?
  • 自分たちの仲間が自殺までした公文書改竄問題はスルーしながら、今だけ「大和魂」でモノ申す不可思議!
  • 一度開いた「ワニのくち」は閉まらない!? 歳入は増えず、歳出だけが上向き状態。富裕層や法人優遇の税制を変えるには政権交代しかない!
  • 財務省作成のグラフにトリック? 決算額と予算額が混在! 「そうなればいいなって予定しているだけ」
  • 特例法による赤字国債発行の仕組みを第2次安倍政権が変更! 借金返済のために借金する負のループが続く!
  • 「アベノミクスで絶好調」のはずが財政は赤字、と矢野論文。だが、米国の課税強化方針だけを紹介するのは不公平!
  • 矢野論文の厳しい指摘!「財源のあてもなく公助を膨らませようとしているのは日本だけ」は自民党への牽制球か?
  • 家計も企業もかつてない「金余り」? 低所得層を含むすべての階層で貯蓄増加と説く矢野論文。「われわれ、実感がまったくない」
  • 矢野論文には財務省が使わない「内部留保」というスラングも! だが、その「金余り」とは不安の象徴ではないのか?
  • 財務次官の「GDPギャップは埋まらない」発言、自民党がやってきたことを完全否定!「これは評価すべき」と田代氏
  • コロナ禍も2年、消費者の「リベンジ消費」が外食や旅行へ!? 高級旅館は予約で埋まり、ネット通販やウーバーイーツも拡大中!
  • 「公助」とは一時のバラマキではなく、教育や医療、年金などのベーシックサービスを整備、国民が安心して暮らせること!

日本を「沈没寸前のタイタニック」と憂える財務事務次官。政治家に嫌われたくない官僚心理を「猛省」?

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