【第583号-585号】岩上安身のIWJ特報!急速な円安は「アベノミクス」の経済的帰結!?日本はこれからどうなるのか? 岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー(その2) 2023.2.1

記事公開日:2023.2.2 テキスト独自
このエントリーをはてなブックマークに追加

(文・IWJ編集部)

特集 ロシア、ウクライナ侵攻!!
※全編は会員登録すると御覧いただけます。サポート会員の方は無期限で御覧いただけます!→ご登録はこちらから

 ロシアによるウクライナ侵攻の長期化の影響は、世界中のさまざまな局面で予想外の変動をもたらし、それがまた別の局面へと玉突きのように連鎖が続く。

 米国はインフレを抑えるために金融引き締めに舵を切り、2022年始めに1ドル=115円台だった円相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)の急速な利上げの影響を受けて円安が進行した。9月には1ドル=140円台前半まで下落。日本の社会には衝撃が走った。

 この急激な円安を受けて、岩上安身は2022年9月16日、東京都内のIWJ事務所でエコノミストの田代秀敏氏への緊急インタビューを実施した。(その1)に引き続きお送りする。


▲エコノミスト田代秀敏氏(IWJ撮影)

 田代氏は、日本のGDP(国内総生産)成長率が年率3.5パーセントに上方修正と報じられながら、GDI(国民総所得)が0パーセント(厳密にはマイナス0.03パーセント)であることを報じないのは「大本営発表だ」と批判した。

 円安に関しては、これまでは「円安になると株価が反発して値上がりする」という公式があったが、今回はそれが効かず、日経平均株価は下がっている。

 その理由を岩上安身が尋ねると、田代氏は、「今の日本の金融市場では、株式も国債も最大取引主体は外国の金融機関。彼らは株価をドル換算する。円安が進めば、ドル換算の株価は安くなるが、『死に体』だと思われている日本の株を買いに来ない」と話した。

  日経平均などが下がる「株安」、円が売られる「円安」、債券が売られて金利が上がる「債券安」の3つが同時に起きる「トリプル安」を警戒すべき事態だが、政治家たちは静観の姿勢。田代氏は「彼らは気付いていないのかもしれない」と言う。

 責任者である財務省の神田真人財務官は9月8日、最近の円安進行について「明らかに過度な変動」と危機感を表明しているが、翌9日の岸田総理の発言は、「急激な変化は好ましくない」とマイルドな表現に終始している。

 しかし、「24年ぶりの安値」と言われている円の価値は、実際には24年前と同じではない。日本やアメリカの物価変動を考慮しなくてはならず、現在の主な貿易相手国である中国の人民元と円との為替レートも含めて考える必要がある。

 「それらを勘案した実質実効為替レートをみると、現状、円は1970年代の前半。1ドル360円時代の実力しかないんです」と田代氏が説明すると、岩上安身は「360円! 固定相場時代に戻っている」とため息をついた。

 田代氏は、これから日本が稼ぐ道を冷静に考えなくてはいけないと説き、「中国は(日本の)生産拠点だという考え方を変えること。完全に頭を切り替えない限り、日本はこの蟻地獄から抜け出せない」と指摘した。

記事目次

  • 国民生活に直結するGDI(国民総所得)はマイナス。しかし「GDP成長率3.5パーセント」「コロナ前に回復」だけを報じる記者クラブメディア!
  • もはや通貨危機レベルの円安! アメリカで食べるビックマックは日本価格の3倍に相当!「ジャンクフードなんて言える金額じゃない」
  • 急激に進む円安で投資のプロは「日本は死に体」と判断、売りに走る! これこそ緊急事態なのに政治家は気付いていない!?
  • 9月14日に日銀がやったレートチェックは口先だけで相手を牽制する典型的「チープトーク」だった!
  • 短期金利が高くなった米国債。目先の利益を追いかけ、設備投資や研究開発投資など長期的な視点が欠ける懸念も!
  • 「20数年ぶりの円安」どころか今の円の実力は「1ドル360円時代」。海外旅行がニュースになった半世紀前に戻ってしまった!
  • インフレと円安で「行きはよいよい、帰りは怖い」。これはアベノミクス初期にわかっていたこと。引き返す道は通り過ぎた?
  • 物価高で仕入れ値も高騰! 商品に価格転嫁できなければ、売れてる店でも突然閉店。大倒産時代がやって来る!?
  • 「中国は生産基地」という古い頭を切り替えて、最高に付加価値の高いものを、最大貿易相手国の中国に売る。これが日本の稼ぐ道!
  • 景気縮小と物価上昇が重なるクライシス! このままだと「岸田スタグフレーション」に突入か!?
  • 「日本円は最強」という過去のイメージは捨て、ドル、ユーロ、中国人民元、インドのルピーなど複数の外貨で資産形成を!

国民生活に直結するGDI(国民総所得)はマイナス。しかし「GDP成長率3.5パーセント」「コロナ前に回復」だけを報じる記者クラブメディア!

岩上安身(以下、岩上)「実は『大本営発表』してる、『統計偽装』してるという話があるんですね。『「GDP速報」に問題があると指摘!』してるんですが、これは、さっきのGDIの話とかなり被りますか?」

▲田代氏が指摘する「大本営発表」「統計偽装」とは?

▲田代氏が、日本の「GDP速報」に問題があると指摘!

第538-585号は、「まぐまぐ」にてご購読も可能です。

[※「まぐまぐ」はこちら ]

(…サポート会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページより御覧になれます。

サポート会員 新規会員登録

関連記事