7月29日、予定よりもやや遅れて夜7時過ぎから、「安倍元総理殺害をきっかけに統一教会問題が再燃! 韓国最大の反日カルトと自民党とがズブズブの関係の不可解!!『多国籍企業』のような宗教組織の正体とは!? 岩上安身による北海道大学大学院文学研究科・文学部 櫻井義秀教授インタビュー」を、北海道の櫻井教授とIWJ事務所をZoomでつなぎ、フルオープンで中継した。
まず、岩上安身がインタビュータイトル「韓国最大の反日カルトと自民党とがズブズブの関係の不可解」について、以下のように述べた。
「おかしな話なんですよね。自民党といえば保守本流、愛国者の党と思われていると思うんです。保守、右を惹きつけてきた。中道の人も入っているでしょう。しかし、『反日カルト』である統一教会とずっと密接な関係が何代にもわたって続いてきたということは」。
岩上は、自民党と統一教会の不可解な関係について、圧力もあったが、メディアもアカデミズムの世界も、「できれば触れないでおこうとしてきた」と指摘した。
そんな中で、唯一、学術的なアプローチで統一教会の全体像に迫ったのが、櫻井義秀教授・中西尋子氏の共著による『統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福』(北海道大学出版、2010)であった。
岩上は、かつて(70年代)大学などで統一教会の原理運動が問題になったが、「珍味」や「壺」をマイクロバスで売り歩くなど、「ちゃちな零細企業のようなイメージがあった」が、櫻井教授らの研究が、グローバルなコングロマリット企業のような宗教組織になってることを正面から示したと評した。
岩上は安倍元総理銃撃事件をきっかけに再燃した統一教会問題のメディアなどによる扱いについて、櫻井教授にうかがった。
岩上「安倍元総理銃撃・殺害事件をきっかけに統一教会問題が再燃しました。先生、これをお聞きになってどう思われましたか?」
櫻井教授「非常に驚きました。背景はどういうふうになっているんだろうということですね。
翌週の日曜くらいに『ニューヨーク・タイムズ』からインタビューの依頼がありました。これが最初なんですね。日本のメディアからは全然なかったんですが、『ニューヨーク・タイムズ』とか『フィガロ』から、私にインタビューをしてきて、統一教会と安倍元首相とどういうつながりがあるんだと。
要するに、統一教会の『コリアン・ナショナリズム』と、安倍元首相の日本会議的な発想と全然違うじゃないか、どう結びついたんだと。アメリカとかヨーロッパからの視線はこういう扱い方だったんですね」
岩上「日本人だって当然そう思わなきゃいけないのに、なぜか、日本の中ではそこを曖昧にしてしまうんですよね。
不思議ですよね。いまだに解けないところがあるんですけれども。彼らはそこにズバリと切り込んできて。先生は、どんなふうにご説明されたんでしょうか?」
櫻井教授「(日本では)統一教会の霊感商法とか正体を隠したままの勧誘とか、そういった社会問題化するところは見るんですけれども、統一教会の本体・本質はなんなんだというふうには言わないんですよね。コングロマリットとか、これは言うんですが。
要するに(統一教会が)何をしたいのかっていうこと。その核として、やっぱり『コリアン・ナショナリズム』、植民地支配に対する恨みをはらすということなんですが。
これを、(植民地支配の)道義的責任を(日本が)負うにしても、『(統一教会のやり方は)これはやりすぎだろう』って、統一教会に言わなきゃいけない。でもメディアが言い切らないんです」
岩上「そうですよね。政治家も有識者も皆、言い切らないんですよね。政治家も、よく、北朝鮮には毅然としてモノを言うとか、中国には毅然としてモノを言うとか、言いながら、統一教会はこれだけの悪事を働いているのに、その手段のところは警察マターでしょう、とか。根本のところ、教義は知りませんねえ、などと政治家は言い訳をするんですね。
メディアも、扱うときにものすごく及び腰です。こういうところが一番問題だと思います。今、すごく報道されているように感じられるんですけれども(一番大事なことには触れていない)。
先生がおっしゃられた根幹は『コリアン・ナショナリズム』と、曖昧模糊とした日本の『ジャパン・ナショナリズム』、その象徴であるような安倍元総理とか自民党が、持ちつ持たれつしてきた。下手をすれば、統一教会の方からこの政策をやれと言ったのを丸コピーして、改憲でも、緊急事態条項でもやろうとしている。
そういうことをなぜ問題にしないのか、そこが一番大事なところですよね」。
現行犯逮捕された山上徹也容疑者は、統一教会に恨みを持っており、「絶対に成敗しなければならない」と思っていた、と供述したと報じられている。
櫻井教授「山上容疑者にとって、安倍元総理は手段だったわけですよね。真の目的は統一教会批判だと。そのために安倍元総理を殺害した、と。
そのやり方はテロなんですよね。この事件はテロ事件として、非常に大きく問題を扱うべきなんですけど、これは私憤である、私的な恨みをはらしたんだっていう形で、問題を縮小しているんですね」
岩上「どうにか矮小化しようとしているんですね。
9.11だって、ツインタワーに突っ込んで行ったのは、あのビルに恨みがあったのではなくて、それが象徴する『アメリカ帝国』に対してアタックをかけたんだと。(後略)
安倍元総理という日本の政治と、コリアンナショナリズムが根っこにあるくせに日本にたかっていく統一教会、そういう統一教会になぜか、唯々諾々としたがっていく自民党、お金を乱暴な形で集めることを警察は見逃し、自民党が当選してく集票マシンに統一教会がなったり、秘書を送り込んだりしていくといった協力関係がゆえに、とぼけてきた。
(山上容疑者は)ズドンとその心臓部を狙ったわけじゃないですか」。
岩上は統一教会によって、破産に追い込まれ、家庭を破壊された人は決して少なくない、放置していい問題ではなかったと述べた。
櫻井教授「これをテロだとしたときに、この問題の大きさからして、背景にあった統一教会、あるいは統一教会の関連を、徹底的に明るみに出して解明し、分析し、問題として対処しないといけないんですね。
しかし、今の政治家たちの弁明は『関係はあったかもしれないけど、何でもないんだ』っていう言い方、これはまったくおかしいですね」。
櫻井教授は、山上容疑者は、統一教会が日本で活動をスタートした時から、岸信介氏が深く関与し、国際勝共連合とも関係があったということ、自民党保守派の清和会と統一教会はずっと関係があるということを、山上容疑者は「ある意味でよく理解していた」と思うと述べた。
この後、インタビューは、統一教会の教義にも踏み込んでいきました。櫻井教授に、「キリストの再臨」を自称する文鮮明総統のキリスト教政界における異端性などについてご説明いただいた。
櫻井教授から統一教会では、実費で見れば3万円もしないであろう文鮮明氏の『聖本』を信者に3000万円で売っていたというお話がありました。岩上は「『ふざけるな』と言うべきことを統一教会はやっている」と強く批判した。
岩上「本当に『ふざけるなばか野郎』なことをしてるんですよ、統一教会は。『それは詐欺じゃないんじゃないかな』とかすっとぼけるのはやめて、詐欺で立件するべきなんで。(中略)
いや、でも、ひどいですね。3000万。しかも1冊じゃなくて何冊も買わされる場合があると」
櫻井教授「6冊買ったという人もいます」
岩上「しかし、その売る方もですね。売ってる奴は、セールスマンみたいな奴でしょうけど。私の本は3000万の価値があるんだから、それで売りつけろって考えついていうのは、一番初めは、やっぱりトップダウンでしょうから。
文鮮明という人間の『ド厚かましさ』っていったらハンパじゃないですよね」
櫻井教授「『神様』ですから」
岩上「いやいや、人間でしょう。神様と自称できる厚かましさと、そうやって自分で自分の本は3000万円だとか、どこまで図々しいのかっていう話ですよね。
ひとりの人間に、まず、引き摺り下ろして。『メシア』でもなんでもない奴で。ひとりの人間として見たときには、ものすごいクズだなって思いますよ。
あの、本当に文句ある人、言ってきてください。
卑劣極まりないというか、ここまで酷い、なんというか、大手を振って歩いている詐欺師っていないんじゃないかなと、僕は思いますね」。
岩上安身の、エセ「メシア」文鮮明氏への怒りは続いた。
また、櫻井教授によると、統一教会の核心には「(先祖の)怨みを解く」というがあるが、それは日本の「先祖供養」とはまったく異質な朝鮮半島のシャーマニズムであること、多くの日本人信者が日本の先祖供養の宗教文化と区別がつかずに被害にあっている実態などをお話しいただいた。
櫻井教授は、「間接的には日本国自体が被害者なんです。自民党政治家等が開き直ることで被害が拡大している」と指摘している。
詳しくはぜひ、全編動画で御覧ください。
櫻井教授は、多くのテレビ番組などでコメントを求められるが、非常に短い時間しかなく、発言内容も役割分担で制約されており、大事なことはほとんど話せないと嘆いた。
その分、言わなければならないのに、テレビ等でいえなかった部分を、IWJでは洗いざらい語っていただくことに! 岩上安身は、この後も、続けて櫻井教授にお話をうかがう予定である!
岩上安身は2018年にも櫻井教授にインタビューしています。こちらもぜひ、御覧ください。