9月22日、黒田総裁の会見中に1ドル=146円近くになった円。日銀が24年ぶりの為替介入に踏み切っても、たった2日で元どおり!
(前略)
岩上「マクロ経済の話なんていうのは、一部の人を除いては、なかなか話題に上がらないんですけれども、今、日本の経済というのは大変な状況にあるということを、緊急的にお伝えするインタビューを、前回、エコノミストの田代秀敏さんをお招きして、お話をうかがいました。
しかし、それではなお、終わらず、今日、お忙しいところをご無理言いまして、第2弾ということで、その後編をさせていただきます。ということで、田代さん、よろしくお願いいたします」
田代秀敏氏(田代氏)「よろしくお願いします」
(中略)
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<ここから特別公開中>

▲黒田日銀総裁は金融緩和維持を明言 一時、1ドル=146円へ!
岩上「黒田日銀総裁は、アベノミクスは、『クロダノミクス』とも言われましたけれども、安倍さんによって重用された方です(※1)。今も(日gン総裁の座に)残ってらっしゃいます。
『金融緩和維持を明言』。これこそ、アベノミクスそのものですけれども、『一時、1ドル=146円』まで上がった。『9月21日、FRBは、3回連続となる0.75%の利上げを決定』。(米国は)すごい利上げを、連続してやってるわけですね。
『9月22日、黒田日銀総裁は会見で、政策金利について「当面引き上げることはない」と』、日本の金利は引き上げないと、『金融緩和継続を明言』。そうすると、『日米金利差から、円売りが進み、黒田総裁の会見中に一時、1ドル=146円に迫る24年ぶりの円安となった』と」
(中略)
田代氏「この時、黒田総裁が非常に、まず、元気なかったんですよね」
岩上「元気なかった」
田代氏「あと、黒田総裁を見てると、うつむいて、想定問答集を追ってるんですよね。つまり、すでに日銀の官僚が書いてくれたノートに目を落としているから、うーん、ちょっとこれは、と思って見たわけですよ。
結局、質問があって。『当面の間』っていう風にね(黒田総裁が言ったので)、『当面』っていつまでですか? って聞かれたわけですよ。適当にごまかせばいいものを、『2~3年』って言っちゃったんです。それは、びっくりで。そういう期限切っちゃったから、本人が。
あと、もうひとつは、そう言ったってことは、だって、来年任期切れるのに、それを超えた期間について言及したんだから、もう1期やるつもりかな、という風に考えますよね。そしたら、これはもう、『円は売りだ』となりますよね。だから、一気に146円まで行っちゃったわけですよね」
岩上「岸田さんは、この人をもう1期、使う気があるんですか?」
田代氏「わからないけどね」
岩上「居座る気かなぁ、この人」
田代氏「おそらく、よく見てると、『当面』っていつですか? って言われた時に、黒田総裁、ずいぶん想定問答集を、多分、下に目を落として、ずーっと(見ていた)。だから、探したと思うんですよ。書いてなかったんですよ、おそらく。書いてないから、2~3年って言っちゃったと思うんですね」
岩上「深い意味はなく、ですか? 深い意味を込めて『私がやるかもよ』っていう意味ではなく?」
田代氏「なくて、おそらくね。だけど、字面だけ見ると、おそらく、それが英文化されてニューヨークに届いた時には、そうは思われなかったかもしれない。で、そういうニュアンスが落ちてしまってね。だから、その結果として、こういう風に(円売りに)振れたと。何が言いたいかというと、もうとにかく、何か理由をつけて、円を売りたいわけですよ」
岩上「なるほど」
田代氏「でも、そういう事態がわかっているのに、今回の記者会見は、あまりにも不用心だったなって感じですよね」
岩上「なるほど。22日が、これ木曜日だったんですかね。9月ですね。『休日にかけて』という風にさっきおっしゃいましたが、木曜日でした」

▲政府日銀は24年ぶりに為替介入に踏み切る!
岩上「で、『政府・日銀は24年ぶりに為替介入に踏み切る!』と。『9月22日、政府・日銀』、これは要するに、両者一体になって動いたっていうことですけど、『1ドル=145円を超える円安となったことを受け、1998年6月以来、約24年ぶりとなる円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った。円は一時1ドル=142円まで上昇した。鈴木俊一財務大臣「投機による過度な変動が繰り返されることは決して見過ごすことができない」』」

▲日本政府・日銀、24年ぶりの円買い・ドル売りの為替介入へ踏み切るが、急変した!
岩上「見過ごせないんだったら、『投機による過度な変動』の度に行動するという風に聞こえるんですけれども、どうなったかといえば、『翌日23日には円安に転じ、24日0時には143.31円に』戻ってしまった。23日っていうのが金曜日ですね。そして24日、だからもう、金曜日の終わりですよ。その土曜日には戻っちゃった。週末のオペレーションは元へ戻った。何にも起こらなかった週末、という。
で、日経は23日、『世界的な金融引き締めの流れのなかで日本は金融緩和を貫き、短期金利がマイナス水準に「水没」する主要国で唯一の国』という風に書いたんですけれどもね。
でも、日経って、金融緩和をずーっと言ってきたんじゃないんですか?日経って、金融緩和、アベノミクスを持ち上げてきたんじゃなかったんですか? 何かちょっと、解せないなーって気もしますけれどもね。時代遅れですねって、今頃になって言われてるような気がしますけど」
田代氏「安倍晋三氏がもう亡くなったし、いいかな、ってところじゃないかな」
岩上「地獄の釜の蓋が開いた、みたいな。パンドラの箱が開けられた。いろんな、五輪汚職も急にね、捜査進展してますもんね」

▲本日のドル/円レートは144円台!
岩上「で、これ、『本日のドル/円レートは144円台!』ということなんですけれども、こんなような状況でいくと」

▲「ドル一強」に苦しむのは日本だけではないが、強調行動の兆しは見られないと米経済紙!
岩上「『ドル一強』状態にあると。『苦しむのは日本だけではない』と。『協調行動の兆しは見られないと』。これは、アメリカの経済紙が言ってます。ブルームバーグは23日、『各国はドル高に対する通貨防衛を単独で行うことを余儀なくされおり、協調行動に向けた積極的な姿勢は見られない』。
だから、単独介入をした翌日の記事ですから、その前の日に書いてあるわけですね。『現在の為替市場の問題は多くの点で1980年代を想起させるが、当時のような解決策の可能性は低い。世界の経済大国は1985年のプラザ合意で、ドル高是正に共同で取り組むことで一致した。しかし今回は、そうした合意に近づいている兆しはほとんど見られない』」
田代氏「うん」
岩上「なぜ、見られないのでしょう? ひとつはG7のような国が、非常に特別に世界経済の中で力を持っており、少ないメンバーが話し合えば協調行動ができた、そして、大きな影響を与えられた、ということを指してるんでしょうか?
または、現在はその利害というものがバラッバラで、あっちを向いて誰かが買いや売りに出れば、反対の方向に進むと。逆にね、得をする人もいるというような状態になってる、ということを言ってるのか」
(※1)黒田日銀総裁は、アベノミクスは、『クロダノミクス』とも言われましたけれども、安倍さんによって重用された方です:
黒田東彦(くろだ はるひこ)。第31代日本銀行総裁。元財務官僚。
1944年、福岡生まれ。1967年、東京大学法学部を卒業して大蔵省に入省。1999年から2003年まで財務官。財務官を最後に退官し、一橋大学大学院教授、アジア開発銀行総裁を経て、2013年から現職。
日銀総裁を2期連続で務めるのは1961年に再任した山際正道氏以来、57年ぶり。今の任期は2023年4月8日までで、任期満了まで務めた場合の在任期間は一万田尚登総裁(1946~1954年)を超えて歴代最長となる。
2013年3月、安倍政権下で日本銀行総裁となり、「異次元の金融緩和」に着手したが、目標に掲げた消費者物価の前年比上昇率は2%に達しておらず、日銀は目標時期を2019年度ごろに先送りしている。
クロダノミクスとはアベノミクスの金融政策のことで、黒田総裁の名前とエコノミクスを合わせたもの。アベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の3つを基本方針として「3本の矢」としているが、この内の第1の矢(大胆な金融政策)がクロダノミクスに当たる。実質的にアベノミクスの中心的な政策。クロダノミクスとされている金融政策は、無制限の量的緩和による、2%のインフレ目標が主たる目的である。
参照:
・クロダノミクス(imidas)
【URL】http://bit.ly/3XClTXZ
・黒田ノミクス、遠いインフレ目標(REUTERS GRAPHICS)
【URL】http://bit.ly/403gxGE
・総裁:黒田東彦(くろだはるひこ)(日本銀行)
【URL】http://bit.ly/3Hydbo0
・黒田日銀総裁を再任 国会、副総裁に雨宮・若田部氏(日本経済新聞、2018年3月16日)
【URL】http://bit.ly/3JfDxMy
・日本外国特派員協会主催 黒田東彦 日本銀行総裁 記者会見 2015.3.20(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3wAIkRr
・日銀の黒田東彦総裁が、GDP成長率がマイナスになった可能性があると発言!! この重大なニュースを報じているのはIWJをのぞけば、共同通信、中日新聞、日刊ゲンダイのみで、大手マスコミは沈黙!! エコノミスト・田代秀敏氏がこの現状に警鐘を鳴らす!! 2020.1.25(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3wEb3ol
・【第409-413号】岩上安身のIWJ特報!スクープ!日銀が発表した英語論文の謎 アベノミクス・黒田バズーカによる副作用の責任を逃れようと裏で金融緩和の出口を模索!? 岩上安身によるエコノミスト 田代秀敏氏インタビュー(前編) 2019.2.27(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3kINwQi
・【第414-419号】岩上安身のIWJ特報!スクープ!日銀が発表した英語論文の謎 アベノミクス・黒田バズーカによる副作用の責任を逃れようと裏で金融緩和の出口を模索!? 岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー(中編) 2019.3.31(IWJ)
【URL】http://bit.ly/3Y4rvtJ
・【第420号-426号】岩上安身のIWJ特報!スクープ! 日銀が発表した英語論文の謎 アベノミクス・黒田バズーカによる副作用の責任を逃れようと裏で金融緩和の出口を模索!? 岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー2018.7.1(後編) 2019.6.30(IWJ)
【URL】http://bit.ly/3Jp4fm0
・【第427-435号】岩上安身のIWJ特報!スクープ!日銀が発表した英語論文の謎 アベノミクス・黒田バズーカによる副作用の責任を逃れようと裏で金融緩和の出口模索!? 岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー 2018.7.1(後編) 2019.9.1(IWJ)
【URL】http://bit.ly/3HFOtSq
1985年のプラザ合意は秘密の合意! 本当の中身はわからないが、ベトナム戦争で消耗した米国はドル高の是正に必死だった!
岩上「85年のプラザ合意(※2)で、ドル高是正のために、一気に円高にされたわけじゃないですか。(円高是正に奔走した)宮沢(喜一)さん、忘れられませんけれども。あの事が、なぜできないと言ってるんでしょ?」
田代氏「プラザ合意っていうのは、まったくの秘密協定だったんですよね」
岩上「秘密協定なんですか? あんなに報じられて。プラザホテルで」
田代氏「うん。まず、あれは、いわゆる大蔵省、財務省が仕切ったわけですね。5ヵ国の財務大臣がニューヨークに密かに集まった。実際、日本でも竹下(=竹下登氏)が大蔵大臣でしたけど、彼は、ゴルフに出かけますって言って、本当にゴルフウェア着て、ゴルフバッグを担いで車に乗って、その足でニューヨークに向かったんですよね」
岩上「へえー。じゃあ、華々しく、プラザホテルでプラザ合意がっていうのは、結果ですか?」
田代氏「あれは合意がなされて、日本とアメリカで同時にドル売り・円買いの協調介入を始めた時に、出したわけですね」
岩上「そうだったんだ」
田代氏「で、華々しく写真が出て」
岩上「そうですね」
田代氏「もちろん当然、船橋洋一さんとか、日本経済新聞の田村秀男さんとか、当時、第一線の記者たちが、ニューヨークで走り回って取材したんだけど(※3)、ついに、たとえば、竹下登氏がどこに宿泊してるかもわかんなかった」
岩上「プラザホテルじゃないんですか?」
田代氏「ないです。別のホテルに泊まってたんだけど、それもわからなかったと。
結局、もちろんアメリカの各紙も、フィナンシャル・タイムズも、皆追ったんですけど、わかんなくて。確か第一報は、朝日新聞の船橋洋一のスクープだったんですよね。そういった合意がなされてる、ってこと。で、何が言いたいかというと、今もって、多くの部分が秘密なんです」
岩上「え!? この内容が?」
田代氏「はい。で、アメリカは、これ徹底していて。これは、実際にプラザ合意のその場にいた、参加した、当時、現職の大蔵官僚だった方にお聞きしても、アメリカ側は配った資料を全部回収したって言うんですね。しかも、その資料にはちゃんと番号と名前を書いてあると、渡す相手の。要するに、それをこっそり持ち出せないわけですよね。だから、ペーパーを配るんだけど、全部回収するノーペーパーシステムだから、記録が残らないんですよ、本当は何があったか。
だから、それを船橋洋一さんなどが、いろんな関係者にずーっと取材を続けて、こういう会議だったという風にお書きになってるのが『通貨烈烈』ですけど、これは間接資料しかないでしょ、あくまで」
岩上「そうですね」
田代氏「だから、本当のところはよくわからない。だけど、言えるのは、とにかくアメリカが必死だったわけです。
というのは、あの時も、ものすごいインフレーションを収めるための、ものすごい超高金利政策やった結果、とんでもないドル高になったわけですよね。で、その結果、何が起きたかと言うと、アメリカの輸出産業は、ほぼ崩壊したわけですね」
岩上「今のドル高と同じような状況だった」
田代氏「逆に、たとえば、テレビなどは、完全に日本製に席巻されちゃったんですね」
岩上「そうですね。日本が第二の高度成長、バブル経済が爛熟してきて、そして、アメリカに輸出攻勢をかけるっていうことと、アメリカがそれに非常に怒り狂いながらというシーンが、セットで語られましたよね、この当時っていうのはね。『マネー戦争』とも言われました」
田代氏「だけど、ただ、それで必死になって、アメリカが音頭をとって、協調介入して、ドル高是正を目指したんですね。
今、アメリカにまったくその気はない。ていうのは、順序が逆で、さっきのように。80年代に何が起きたかというと、先にインフレーションが起きたんです、70年代終わりから。これを鎮めようということで、超高金利政策をとる。その結果として、ドル高が起きたわけですね。そのドル高が大変な弊害をもたらしてると。
もうひとつは、レーガンの政権の下で、アメリカは世界最大の債権国から世界最大の債務国に転落しちゃったんですね。この状態を保ってると、大変なことになっちゃうと。つまり、アメリカ国債が暴落するっていうのが現実味を帯びちゃうわけですよ。
そのためにはドル高を是正して、何とかアメリカの産業、立ち直らせなきゃダメだと。ということで、アメリカ以外の国々も、渋々と、その取り組みに参加したんであって。
今、起きてるのは、そうじゃないでしょ。今、目の前で、インフレーションが起きてるわけですよ。この時は、すでにインフレーションを抑えた後だから」
岩上「なるほど」
田代氏「だから、今、アメリカにとって、インフレーション抑えるってことは、もう最大のテーマなんですよ。その時に、インフレーションを抑えるのに役立ってるドル高を、是正するという発想はどこにもないわけですね」
岩上「なるほど。ひとつ質問いいですか? 85年までに、アメリカが追い込まれてったという背景に、第一次、第二次の石油危機っていうのが大きかったんじゃないかなと思うんですけれども。
それを日本は必死の省エネでね、官民あげての努力で乗り越えていったと、よく言われます。他方で、アメリカはそれを乗り越えるのに失敗して、70年代から80年代初頭にかけては、日本は79年の第二次オイルショックもありましたけれども、何年か、ちょっと苦しい思いをしながら抜けていくわけですね、80年代頭にね。
ちょうど、その端境期が、私、大学を出る時期だったんで、1年違うんで、もう大企業の募集があるかないかのギリギリ、まったく人生が変わってしまうような、そういう境目の年だったんですけれども。
アメリカは、そこでうまくいかないと。そういうことが、ドル高を是正せざるを得ないという話になっていった、ということになるんですか?」
田代氏「第一次、第二次の石油危機というのも非常に大きいファクターだけど、この1985年を考える時には、その10年前の1975年に、サイゴンが陥落しますよね(※4)」
岩上「ベトナム戦争ですね」
田代氏「つまり、アメリカがベトナムで敗北するわけですよね。あれほど未曾有の大戦争を仕掛けて、取るものがなかったわけですよね」
岩上「ひたすら消耗ですもんね」
田代氏「で、その結果、アメリカは、ものすごいインフレーションが発生するわけですよね。だから、何が起きてるかというと」
岩上「戦争によって、インフレーションが起こる」
田代氏「今、ロシアがウクライナでやってることの、何倍もの規模の大戦争を行って。あれほどたくさんのアメリカ兵も投入して。で、すべて敗北しました、と」
岩上「戦争とインフレって、パッと頭にはね、平時においては忘れがちなんですけど、結びつくわけですね。日本も、そうであったように」
田代氏「うん、そう。日本も敗戦直後に。日本は戦争中から、もうすでにインフレーションが起きるわけですけど。アメリカは、あれほどの未曾有の大戦争ですよね。だって、ベトナム一国に、アメリカ軍が投下した砲弾、弾薬の量っていうのは、第二次世界大戦ですべての交戦国が使った弾丸、砲弾の量を超えるんですよ」
岩上「ひどい話ですけどね」
田代氏「それで、なおかつ、何も得られなかったというね」
岩上「莫大な消耗。その時に、防衛産業といいますか、戦争産業はね、儲かったでしょうけれども。それだけね、弾薬作って、どんどんどんどん消耗していくわけですから」
田代氏「というね、それの後遺症をずっと引っ張って。で、ものすごいインフレーションが起きて、それを鎮めるための超高金利政策をやって、その結果としてのドル高が起きたと。そのドル高を止めないと、アメリカは、もはや産業もなくなっちゃうという時代になったわけですよね。それを何とかしなきゃいけない、って言ってるわけだから、今とは違う。今は、目の前でインフレーションが起きてるわけですよ」
岩上「なるほど」
田代氏「すでにインフレーションを抑えた後だから、これができたんですね。だから、もし協調介入して、ドル高を是正するということになるっていうのは、それはアメリカのインフレーションが収束した後ですよね。
でも、現状は、これはパウエルFRB議長の言い方にしても、これ、こっちこそ、本当に2~3年かかるんですよね」
岩上「なるほど。それに、こういうようなことを、思い切り、力でね、各国を協調させて。そして、そのような秘密のね、会議で、こういうこと一方的に取り決めていくっていうのは、こんな荒業は、覇権国しかできないわけですよね。日本ができるわけないわけじゃないですか、こんな『協調』とか言ったって」
田代氏「ただ、プラザ合意も、実際には日本だけですよね、動いたのは」
岩上「そうですね」
田代氏「結局、ドイツもフランスもイタリアも、積極的に介入したという動きがないんですよね」
岩上「あれは円を、っていうか、日本を標的にしたものだったんじゃないんですか?」
田代氏「そこはよくわからない。さっき言ったように、何も資料が残ってないから」
岩上「なるほど」
田代氏「いろんな人たちの、彼らの取材からね、あるいは、当事者の方が断片的に語ることからしか想像できないけれど、あまり、そういったよりは、本当に切羽詰まってたってのがわかる。緊急の事態で、このままどうしようかと。あまり、そういった陰謀論的な問題ではなかったような気がする」

▲サマーズ元米財務長官、日銀の為替介入は「正しいアプローチではない」
岩上「なるほど。で、サマーズさん。サマーズ元米財務長官がおっしゃってます。日銀の為替介入は『正しいアプローチではない』。あっさりと、こんなこと言われてるわけですね。黒田さん、何てご返事してるんでしょうかね。
『サマーズ元米財務長官は、日銀の為替介入について「正しいアプローチではない」とした。「トレンドに逆らって介入する場合、金融政策の方向性に逆らって介入する場合には、その通貨の軌道変更に有効になる可能性と短期筋にとっての好機になる可能性とが同じくらいだ。日本はまさにこのケースだ」』と。
投機に訴える、それからもっと、軌道変更が長期的に見て有効な場合と、そのふたつがあるんだということなんですけれども、ちょっとわかりにくいんで、これ、ご説明いただければありがたいんですが」
田代氏「これ、何言ってるかというと、1985年は成功しましたよ、って言ってるわけ。プラザ合意によって、確かにドル高は是正されて、その裏返しで急速な円高が起きたわけですけど。つまり、こういったような軌道変更は有効だったわけですよね。
でも、実際、あの時の関わった人たちの証言を聞く限り、今回の為替介入のやつは規模が違うわけですね。あと、もう決意が違う」
岩上「今回は、小規模すぎるということですね」
田代氏「もあるけど、当時の大蔵省の、実際にその為替介入を行なった人などの(回想)を読むと、とにかく本当にね、ここでもう、これではやっぱり駄目だと、市場に押し返されると思う瞬間は何度かあった、と。
その時にさらに、兆円単位のお金を投入して、それを切り抜けていくという場面が何度もあったってわけですね。だから、それくらい、ものすごい不退転の覚悟でやったっていうのが成功したんだろうけど、今回は、そんな気はなかったし。
そうなると後者になるね、『短期筋にとっての好機』。つまり、それはそうですね、マーケットのトレンドは、とにかく円を売って、ドルを買う、でしょ。その時に日本の財務省と日本銀行が手をあげて、円買いますと言ってるんだから、それはみんな売り浴びせますよね、面白がって。いくらでも買ってくれるんだから。そうするともう、短期の投機筋にとっては、もう本当に、鴨がネギじゃなくて、黄金背負ってやってきた、という事態ですよね」
岩上「濡れ手に粟ですね」
田代氏「というね。結局、後者になってしまったから、同じくらいだと言うけれど、それは嘘ですよね。とても同じとは言えなくて、状況は、日本にとっては後者が圧倒的に強かったと、実際にはなったわけですね」
岩上「それがまた、バブルにもすごく影響してくるわけですよね、バブル形成ということに」
田代氏「それはね、ちょっと短絡的で、日本のバブル形成を、プラザ合意にすべて原因を持っていくというのは、わかりやすい説明だけど、あまり正しくはないと思う」
岩上「前川レポート(※5)のようなものがあったじゃないですか。つまり、日本の内需を拡大せよと。その内需を拡大せよと言う一方でね、こういうことが行われて。で、ドーンと円が強くなったのが、また(海外に)乗り出していくっていうことになっていったら、しょうがないんで、日本のジャパンマネーを国内で乱費させた、と言いますかね。で、行きつく先が金融商品と、何といっても不動産だった。あと、株」
田代氏「当時、それよりは、ものすごいオフィスビルの需要が発生するってことを、日本政府自身が言ったわけですよね。確か、当時の言い方で、池袋のサンシャインビルがあと500棟必要だ、とかね。そういうレポートが出たわけですよね、国土省から。そっちの方がバブル形成には、はるかに影響したはずですよね。
だから、ちょっとプラザ合意にすべてを、プラザ合意があったから、日本でバブルが起きて、それが崩壊したんだと(いうのは)、わかりやすいけれど的を得てないと思う。そういう言い方はね」
岩上「両方ある、ということではないんですかね」
(中略)
(※2)あの85年のプラザ合意:
1985年9月22日、米ニューヨークのプラザホテルでのG5=先進5ヵ国(アメリカ・フランス・イギリス・西ドイツ・日本)の蔵相・中央銀行総裁会議において、レーガン政権下のアメリカ経済の苦境を救済するため、ドル高を是正することに合意した。開催場所となったプラザホテルにちなんで、プラザ合意と呼ばれている。
この合意にもとづき、各国金融当局が協調介入に乗りだし、1ドル=240円台であったものが1ドル=200円に一気にドル安・円高状況となり、アメリカの輸出の増大をもたらした。
当時のアメリカは、レーガン大統領が新自由主義の経済政策を進めていた。「小さな政府」を掲げて減税による景気浮揚をはかり、国の社会福祉関係予算を大幅削減するレーガノミクスを進めたが、国防費は削減しなかったので財政赤字が膨らんだ。
また、日本や西ドイツの経済力が向上したため、工業製品の輸出も減少。1914年から続いた債権国(債権が債務を上まわる、輸出が輸入を上まわる状態)から債務国に転落してしまった。それは財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」といわれ、アメリカ経済の凋落の象徴となった。
アメリカの購買力が低下することは、日本や西ドイツにとっても歓迎すべき事ではないので、資本主義先進国首脳は共倒れを防ぐためにアメリカ支援の必要があると考えた。
この合意は「ドル高が続いてアメリカ経済が悪化することは、世界経済全体に悪影響を及ぼす」という大国間の利害の一致から、協力してドル価格を下げ、アメリカ製品の輸出を増やして、その経済を救おうということだった。
こうして「ドル安」時代が始まり、同時にプラザ合意は、主要国が政策協調を行い、各国が為替相場に介入する経済調整の始まりとなった。
参照:
・プラザ合意(世界史の窓)
【URL】http://bit.ly/40hfbsb
・プラザ合意(三井住友DSアセットマネジメント)
【URL】http://bit.ly/3j5iaTw
(※3)船橋洋一さんとか、日本経済新聞の田村秀男さんとか、当時、第一線の記者たちが、ニューヨークで走り回って取材したんだけど:
船橋洋一氏は1944年、北京生まれ。東京大学教養学部を卒業後、1968年に朝日新聞社に入社。北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007年から2010年まで朝日新聞社主筆を務める。
アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長。評論家。2016年、世界のもっとも優れたアジア報道に対して与えられる米スタンフォード大アジア太平洋研究所(APARC)のショレンスタイン・ジャーナリズム賞を日本人として初めて受賞した。
著書『通貨烈烈』(1988年、朝日新聞社刊)は、1985年のプラザ合意から1987年のルーブル合意に至る国際金融の政治学について、当事者インタビューを含む綿密な取材を行ったノンフィクション。
田村秀男氏は1946年、高知県生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、1970年に日本経済新聞社に入社。岡山支局、東京本社産業部、経済部、ワシントン特派員、米国アジア財団(サンフランシスコ)上級客員研究員、香港支局長、東京本社編集委員。
2006年10月付で日経新聞社を退社。同年12月、産経新聞社に移籍、特別記者・編集委員となる。2008年から論説委員も兼務。
ワシントン特派員だった1985年9月、偶然ニューヨークに出張していてプラザ合意発表の記者会見場に駆けつける。日本経済の運命を暗転させたのがプラザ合意であり、このような対米追随型経済政策が日本の15年デフレや「失われた20年」を招いてきたとして、財政金融政策の対米自立を主張している。
参照:
・研究者紹介 船橋 洋一(アジア・パシフィック・イニシアティブ)
【URL】https://bit.ly/3XWkLy3
・船橋 洋一(東洋経済オンライン、2021年6月7日)
【URL】https://bit.ly/4029uhr
・船橋洋一(ウィキペディア)
【URL】http://bit.ly/3DfRAhB
・(連載1)プラザ合意30年、対米協調の名のもと沈む日本経済(e-論壇 百家争鳴、2015年10月16日)
・田村秀男(ウィキペディア)
【URL】http://bit.ly/3WCTcsr
(※4)サイゴンが陥落しますよね:
ベトナム戦争が1965年のアメリカ軍の北爆から始まったとすれば10年、1945年のインドシナ戦争から数えれば30年の1975年4月30日、サイゴンが陥落してベトナム戦争は終結した。
1975年3月、南べトナム解放民族戦線は一斉に南ベトナム政府軍基地を攻撃。アメリカのフォード大統領はベトナムに再介入せずと声明を出しており、解放戦線は旧王都のフエ、中部の都市ダナンを制圧して4月26日、首都サイゴンへの攻勢を開始した。アメリカ大使館では、大使以下が海兵隊のヘリコプターで脱出した。
1975年4月30日午前、前日に就任したばかりのズオン・バン・ミン大統領が、大統領官邸から国営テレビとラジオでベトナム戦争の終結と無条件降伏を宣言。同日午前11時30分頃、ベトナム人民軍(北ベトナム軍)の戦車が大統領官邸に突入し、正午にサイゴンが陥落。南ベトナム(ベトナム共和国)という国家が崩壊し、世界を激動させたベトナム戦争が終わった。
サイゴンはホーチミン市と改称し、1976年6月24日にベトナム社会主義共和国が成立した。統一ベトナムの首都はハノイとされたが、ホーチミン市は国内最大の都市として経済の中心となった。
参照:
・サイゴン陥落(世界史の窓)
【URL】http://bit.ly/3Jdcba5
・ベトナム戦争最後の48時間、1975年4月30日サイゴン陥落まで(ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO、2015年4月30日)
【URL】http://bit.ly/3XK5nFd
(※5)前川レポート:
1986年4月,中曽根康弘首相の私的諮問機関、経済構造調整研究会が取りまとめた報告書の通称。正式名称は、国際協調のための経済構造調整研究会報告書。同研究会の座長を務めた元日本銀行総裁、前川春雄氏の名にちなんで「前川レポート」と呼ばれる。
日本をめぐる近来の国際経済の環境変化に対応し、中長期的視野から日本の今後の経済社会の構造および運営に関する政策のあり方を示した。
内需拡大、国際的に調和のとれた産業構造への転換、市場アクセスのいっそうの改善と製品輸入の促進、国際通貨価値の安定化と金融の自由化・国際化、国際協力の推進と国際的地位にふさわしい世界経済への貢献などの提言がまとめられている。
1985年のプラザ合意の後、円高が急速に進行したにもかかわらず、日本は依然として巨額の貿易黒字を計上し、欧米諸国との間で経済摩擦が生じていた。前川レポートは日本に市場開放と内需拡大を迫る米国など諸外国の外圧に対応する内容となっていたが、内需を刺激するための金融緩和策が国内のマネーサプライを急増させ、バブル経済を生む結果となった。
参照:
・前川レポート(コトバンク)
【URL】http://bit.ly/3wB4Mtm
為替介入した結果、日本国債の価格は下落、国債10年物は商い不成立! 日本の財務省は実は何もできないと市場に知れ渡っている!
田代氏は岩上安身に対し、9月12日時点で、円相場について「典型的な売りが売りを呼ぶ相場」だと指摘していた。「日本の財務省が何もできない」と市場に知れ渡っているため、「円は時間が経てばさらに安くなる」ととらえられ、「円売りドル買い」が進められているというのだ。
そこでもし金利が上がれば、日本国債は売られ始め、国債の価格は下落するという。「ここからが怖い」と岩上安身は注意を喚起する。実は、もうすでに日本国債、特に10年物などは、商いが成立しない「未達」の状態がたびたび起きていると田代氏は指摘した。「国債という、最も信用がある金融商品が、売買が成立しない」事態が起きているのである。
これを受けて、「国債はいくらでも増発できる」と言ってきた高橋洋一氏(※6)のようなMMT(現代貨幣理論)論者でさえ「財政再建」を叫び始めたという。
現在までのような、東京都心にタワーマンションが林立し続け、「完売」が続いている状況は、住宅ローンにおいても超低金利が永続するという「思い込み」による。
しかし、ゼロ金利やマイナス金利は、そもそも「異常事態」であり、「これが未来永劫に続くなら、日本は資本主義をやめるということ」だと、田代氏は、経済環境の激変に警鐘を鳴らすのである(※7)。
岩上安身(以下、岩上)「田代さん(から)9月12日時点のメール、いただきましてですね、『典型的な売りが売りを呼ぶ相場』であると。ちょっと、これも読んじゃった方がいいですか? そこに補足してもらった方がいいですかね?」

▲田代氏「典型的な売りが売りを呼ぶ相場」
田代秀敏氏(以下、田代氏)「はい」
岩上「『典型的な売りが売りを呼ぶ相場です』と、現状はね。『日本の財務省が何もできないことが市場全体に知れ渡っていますから、円は時間が経てばさらに安くなると踏んで、とにかく円を売ってドルを買っています』。
12日時点で、こういう風に言っていたことが、16日時点のあの予測につながり、そして22日時点で実際に実行して、で、失敗に終わるということを、こういう風に見ていれば、田代さんが正確に見通していたということが、おわかりになるかなと思います。
『これで金利が上がり出したら、日本国債が売られるでしょう』。ここからが怖いんですよ。
今は、円安だといいますが、それがどうも一時的なものだはと思われない。もうこれは、持続的な円安かなという。今も個人でも自分が持ってる円の貯金をですね、他の外貨に替えなきゃいけないかなと、もう、そわそわしてる人、たくさんいると思います。そういう人たちがいるだけではなく、『これで金利が上がり出したら、日本国債が売られるでしょう。日本(の景気や社会的ダメージ)に何の関心もない投資家達が円売りに狂奔しています』という話につながってくるんですね。
だから、円安だけでは止まらないと。円安が大変だっていうことは、もう言っているわけです。我々は、大変だってことは、もう本当に危険な局面に来てるっていう緊急企画、やったんですよね(※8)」
田代氏「もうすでに日本国債、特に10年物などは、今、商いが成立しないんですよね」
岩上「未達?」
田代氏「つまり、財務省がそれを、日本銀行がそれを、上限0.25%で止めてるわけですよね。その金利に対応する価格をつけて売りに出すんだけど、誰も買わない。外国の金融機関もそうだけど、日本の金融機関も買わない。
低い金利だってことは、裏返して言うと、国債価格がすごいく高いわけですよ。なぜ、そんな高いもの買わなきゃいけないんですか、となるわけですね。もうそれは、いずれ日本の長期金利も、すでにもう0.25%超えて上昇してるわけですけど、だったら、それよりももっと高い金利、つまり裏返して言うと、もっと安い国債価格でつけてください、だったら買います、と言うんだけど、それは商い成立しないと。
じゃあ、何が起きてるかというと、日本銀行の指値オペレーション(※9)、これだけで動いてるというかたちですね。だからもう、国債市場がほぼ機能してないという事態になってるわけですね」
岩上「『コクサイシジョウ』って、国債の市場ってことですよね?」
田代氏「うん。だから、日本銀行が国債ブローカーなどに注文して、で、その取引が成立してるという事態だから、これは大変なことですよね。国債という、最も信用がある金融商品が、売買が成立しないと」
岩上「これ、以前、未達が出たということが、大変なことだと(※10)。これ、長期的にはですね、国債の信用がだんだんぐらついていくだろうと。国債、いくら増刷しても大丈夫なんだと言い張るような人たちがいる中ですね、『いやいや、そういうわけにいきませんよ』ということで、『未達』が出た時に、これはニュースだとして、田代さんにインタビューした時がありました。半年くらい前だと思うんですけれどもね。それがもう、ニュースではないという状態になってるっていうことですね」
田代氏「そうですね」
岩上「MMTの人たち(※11)なんかに、あるいは、それを喜ぶ右派の人も左派の人もいるんですけれども。『絶対に大丈夫、国債はいくらでも増発できる』と言ってるような人たち、まだ言ってる人、高橋洋一みたいなの、まだ言ってるんですけれども」

▲元大蔵・財務官僚の経済学者、高橋洋一氏。(IWJ撮影)
田代氏「いや、最近、高橋洋一先生も、財政を再建しろと叫んでますよね」
岩上「え!? あのウルトラ無責任男、と言ったら失礼かもしれませんが、そんなこと言い出したんですか? これだけ、『いくら売っても大丈夫なんだ』と、『財務省、嘘ばっかりついてんだ』と」
田代氏「『週刊現代』に『ドクターZ』っていうコラムがあって、あれ、高橋洋一先生ですよね(※12)」
岩上「そうなんですか?」
田代氏「ペンネームですよね」
岩上「ペンネームで書いて。ずるいね」
田代氏「そこには、はっきりと、財政を再建しておかないと、本当に次に来る危機の時に、日本は何も対応できないまま、満貫(マンガン=麻雀でアガリの際の点数)するしかない、ということをお書きになってますよ」
岩上「ついこの間、でも、大丈夫って言ってましたよ。じゃあ、分けてるんですね」
田代氏「急に。もしかすると、安倍晋三元首相のあの惨劇で、正気を取り戻されたのか。わかんないけど、そのショックで。あの人でも、そう言ってる。
見るとですね、今、『日本経済新聞』の夕刊見てみると、日本の長期金利、つまり、10年国債の利回りが0.245%。これ、実は22日、先週の木曜日にはですね、0.230%ですね。だから、それだけ上昇してるわけですよ(※13)。(1月31日現在の引け値は0.475%)
その間に何があったかというと、……為替介入したわけでしょ。為替介入の結果っていうのは、日本国債の価格を下落させてるわけですよね」
岩上「これ、何とかしなきゃいけないと言って。(しかし為替介入は)効果ないよと言った。実際、円安を戻す効果、なかったわけですよね。けど、それが、実際そんなことをやったら、国債の方に出てしまった」
田代氏「安倍晋三内閣の時によく言われた『やってる感』」
岩上「『やってる感』ね。あの人がいる限り、やってる感が、それは通じるだろうと。人事も何も同じだし、固定だし、あの人の言うこと聞かなきゃいけないしだけど、亡くなってしまうと、(抑えこんでいた)現実があらわになっていくってことですよね。
これ、続きでね、日本売りが起きているって話に入るんですけれども、ちょっと、ひとつ聞かせてください。
長期金利が上がるとですね、多くの人に直接的に関係があるのはですね、企業運営してる人とか、そういう人ばかりではなくて、一般の人。生涯に唯一、普通の人は1回は家を買う、つまり、住宅ローンですね。住宅ローンの金利が上がるということに結び付いているという話」
田代氏「そうですね」
岩上「これが、わかってる人は、もちろんわかってるけれども、わかってない方もいらっしゃるんで。
国債の信用がだんだんと揺らいでくると、金利が上がり、その金利というものが住宅ローンの金利の、そのベースをなすと。これ、ちょっとひと言、コラム的に語っていただけないですかね?
というのは、『日本は超低金利ですよ。だから、住宅買うなら今ですよ』と。そして実際、住宅がバカ高いんですよね。まあ、バブルの時ほど面的に上がってるわけじゃないんですけど、鳩居堂前(※14)はバブルの時以上ですしね、銀座のね。とんでもなく今、高いです、本当に。
それが、東京の都心の、ほんのごくわずかでしょ、みたいなこと言われてました。タワマンが林立し始めた時期から。でももう、タワマン珍しくないレベルで増えていってますよね。
そして、東京だけじゃないんです。これは他の大都市でも増えていっている。中小都市でもタワマンがポーンと建ったりしているんですけれども、そういうことは、みんな住宅金利と関係あるわけですよね、今、金利が安いですよと。
それで、タワマンだったらば、周りの住環境がそう良くなくても、たとえば第一種っていう低層住宅地といっても、広い土地をちょっとこう囲い込みさえすれば、建蔽率を変えてもらって、ダーンと高いの建てられるんで。
眺望の良くない土地って、いくらでもあるわけですけれども、その眺望の良くない土地に、急に眺望の良い物件が現れるわけですから、いろんなマジックが急にできるわけですよね。だから、猫も杓子もみたいな感じに、今、なってます。そして、非常に高い。
ほんのちょっと前まで、日本の平均的な新築マンションの価格って4000万台でしたが、今、6000万台です。1.5倍です(※15)。これ、全部ならしての話ですから、とんでもなく高くなってるわけですけれども、それでも売れてきたわけですよね、金利が安いということで。
でも、これは、どうなるかわからない。不動産業界や金融機関の人たちと、結構、話を聞いているんですけれども、いつ、どうなるかわからないと。ポーンとはじけてしまうかもしれないと。
やっぱりそれは、当然だけど、高額物件なんていうのは、普通の日本人の所得で買えるようなもんじゃないんですよ。とんでもないものが、都心とかには高額物件が出てきてるわけです。10億ションとかができてきてるわけですね。
こんなものを買えるのは、ごくごく一握りの日本の富裕層、および外資なんですよね。外国の富裕層ということになるんですけれども、さて、どうなんでしょうかという話で」
(※6)高橋洋一:
経済学者。数量政策学者。元大蔵・財務官僚。嘉悦大学ビジネス創造学部教授。研究分野はマクロ経済学、財政政策、金融政策。
1980年に東京大学経済学部を卒業、大蔵省(現・財務省)に入省。2001年に発足した小泉内閣で、経済財政政策担当大臣の竹中平蔵氏の補佐官を務める。
2006年発足の第1次安倍内閣では首相官邸政策スタッフとして内閣参事官に就任。2008年に退官し、東洋大学経済学部の教授に就任したが、2009年、東京都内の入浴施設で無施錠のロッカーに置いてあった現金やブルガリの高級腕時計など約30万円相当を盗んだ窃盗事件によって、東洋大学を懲戒解雇された。
2007年には、財務省が隠す国民の富、すなわち「霞ヶ関埋蔵金」があると指摘、元財務官僚・内閣参事官の発言として注目を集めた。2013年にも、「日本は世界1位の政府資産大国」であり、「国民1人あたり500万円の巨大な政府資産があり、すぐ売れる金融資産だけで300兆円もある」と主張し、安倍政権が進める消費税増税に反対した。
2009年、いわゆる「リーマンショック」に端を発する世界金融危機の際には、政府紙幣の大量発行によって、景気回復をするよう提言した。
2012年の著書『借金1000兆円」に騙されるな!』では、財務省が掲げる日本の財政赤字1000兆円に騙されてはいけないと訴え、デフレ下で増税を強行する財務省は間違っているとし、国債の発行で経済成長を促すべきだと主張した。
同年の『現代ビジネス』(10月1日)では、「日銀が100兆円ほどの量的緩和をすれば株価も5000円程上昇、そうしないと日本の景気回復(デフレ脱却)とはならない。今の日銀の5兆-10兆円での量的緩和では、海外からは見劣りし周回遅れである」と、日銀を批判した。もっと日銀はお金を増刷すべきだと訴えた。
さらに5月21日には「日本の緊急事態宣言といっても、欧米から見れば、戒厳令でもなく『屁みたいな』ものでないのかな」とツイートして非難が相次いだ。
5月24日、一連のツイートについて「不適切であった」と認めて謝罪、内閣官房参与を同日付で辞任した。
参照:
・『日本は世界1位の政府資産大国』高橋洋一著
【URL】http://bit.ly/3RiWCzJ
・高橋洋一 東洋大学教授「危機打開へ政府紙幣発行も検討せよ」
【URL】http://bit.ly/3Jq3h9b
・高橋洋一(2012)『借金1000兆円」に騙されるな!』(小学館)
【URL】http://bit.ly/3kXVG7q
・徹底してディテイルにこだわるのが竹中平蔵元大臣と橋下徹大阪市長の共通点。官僚に使われない「政策の作り方」を教えます(現代ビジネス、2012年10月1日)
【URL】http://bit.ly/3WKlql3
・「(日本の感染者は)この程度の『さざ波』」、「(緊急事態宣言は)『屁みたいな』もの」などのツイートが炎上した「高橋洋一・嘉悦大教授が内閣官房参与を辞任! 菅政権の任命責任は当然重大!(IWJ、2021年5月28日)
【URL】https://bit.ly/3HbY81S
・(再掲)元財務省官僚の高橋洋一氏、窃盗事件・逮捕は財務省批判への権力による謀略か!? それとも…!? 2012年、岩上安身が高橋氏本人に直撃!! 謎に包まれた事件の真相をたぐり出す!! (IWJ、2019年12月13日)
【URL】https://bit.ly/3EDHsjp
・(再掲)「財政再建には増税ではなく、天下り先などに貯まっている資産を吐き出すべき」~岩上安身によるインタビュー 第183回 ゲスト 高橋洋一氏 (IWJ、2012年1月18日)
【URL】https://bit.ly/3IzAFbl
・高橋洋一 (経済学者)(ウィキペディア)
【URL】http://bit.ly/3WGvaNk
・“竹中元総務相のブレーン”置き引きで書類送検(産経ニュース、2009年3月30日)
【URL】https://bit.ly/3DgxP9k
・認知症の一種ピック病説まで出る 高橋教授・窃盗事件の「不可解」(J-CASTニュース、2009年4月1日)
【URL】http://bit.ly/3Y07TXD
(※7) (ゼロ金利やマイナス金利が)未来永劫に続くなら、日本は資本主義をやめるということ:
元三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフエコノミストで、日本大学国際関係学部教授(当時)である水野和夫氏は『資本主義の終焉と歴史の危機』(2014年3月、集英社新書)で、先進資本主義諸国における利子率の異様な低下に、資本主義の終焉が現れていると主張した。
水野氏は、資本主義が自己増殖の運動をやめ、その役割を終えようとしているのは、「地理的・物的空間」においてフロンティアが消滅し、その代わりとして米国の投資家が作り上げた「電子・金融空間」も、リーマン・ショックをきっかけに縮小に転じたことをあげている。
岩上安身は、2015年1月28日、「この先、資本主義はどうなるのか、その先にある経済モデルはどうあるべきなのか」を問い、水野和夫氏にインタビューを行った。
水野氏は、「資本主義とは、資本を自己増殖させるプロセスで、到達点は決まっていない。今日より明日、明日より明後日と資本を増やしていく。その尺度になるのが利子率です。日本は0.2%、ドイツは0.3~0.4%、アメリカは2%以下など、主要先進国の利子率はゼロに近い。(中略)すでに、先進国には資本主義終焉のサインが出ています」と述べている。
・機能不全に陥った資本主義 「フロンティア」なき時代、私達はどのような社会を作るべきか ~岩上安身によるインタビュー 第511回 ゲスト 日本大学国際関係学部教授 水野和夫氏 (IWJ、2015年1月28日)
【URL】http://bit.ly/3XNEErr
(※8)(円安は)もう本当に危険な局面に来てるっていう緊急企画、やったんですよね:
岩上安身は、2022年9月16日に、「急速な円安は『アベノミクス』の経済的帰結!? 通貨も株式も国債も売られる『日本売り』が起きている!」と題して、田代秀敏氏に緊急インタビューを行った。
田代氏は、9月8日に発表された国内総生産統計の2次速報について、「(政府は言及しないが)GDP(国民総生産)とGDI(国民総所得)の差が乖離するということは、国内で新たに作り出した経済的な価値は3.5%増えているのに、受け取った所得は全然増えていないということ」だと述べ、頑張って生産を増やした分が、円安などで海外に流出し、日本人は「みんな頑張って働くんだけど、『働けど働けど暮らしは楽にならず』なんですね」と指摘した。
・「頑張って働いた分が海外に流出し、働けど働けど暮らしは楽にならず」の日本はこれからどうなるのか!~岩上安身によるインタビュー第1097回 ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 (IWJ、2022年9月16日)
【URL】http://bit.ly/3wKiNVG
(※9)指値オペレーション:
指値オペレーションとは、日本銀行があらかじめ決まった利回りで金融機関から国債を無制限に買い入れる公開市場操作のこと。
2016年9月の金融政策決定会合で、金融政策の新たな手段として導入された。長短金利の操作によって急速な金利上昇を抑え、10年物国債利回りを日銀が目標とする「0%程度」に誘導することをめざす。
日銀が指値オペレーションで金利上昇を「0%〜0.25%程度」抑え込む一方、米国や欧州は2022年、インフレ抑制のために急激に金利を上げる政策を取り、日本との間に大きな金利差が生まれた。米国FRBは、やや利上げペースを緩めたとはいえ、2022年12月14日に金利を4.25~4.5%決定、日本とは4%ほどの金利差となった。
日本と米国や欧州諸国との金利差は、投機的な円売りドル買いを招き、円安は2022年10月21日に一時150円を超えた。12月にFRBの利上げペースが緩やかになったことから、円は1ドル130円台に戻したが、巨大な財政赤字を抱える日本には金利を上げることができないという構造的な問題があり、1ドル=150円が日常になるのではないかと、日経ビジネスの記者・三田敬大氏は指摘している。
・指値オペ 証券用語解説集(野村証券)
【URL】https://www.nomura.co.jp/terms/japan/si/A02938.html
・米FRB、政策金利を0.5ポイント引き上げ、2023年末に5.1%の見通し(ジェトロ、2022年12月15日)
【URL】https://bit.ly/3DpAYnw
・油断できぬ為替、1ドル=150円が日常に 日本に構造的な売り圧力(日経ビジネス、2022年12月22日)
【URL】https://bit.ly/3jmRk9z
(※10)未達が出たということが、大変なことだと:
岩上安身は、2021年10月28日にインタビューで、エコノミストの田代秀敏氏と宇都宮健児弁護士に、財務省事務次官の矢野康治氏が『文藝春秋』2021年11月号に発表した「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」の受け止めをうかがった。
田代秀敏氏は、インタビューの中で「実際、日本政府は国債を、主に銀行だけど、金融機関に売れないことがあります。『日本経済新聞』の10月4日の夕刊見てください。『日本経済新聞』の夕刊の左端には、このワールドマーケットっていうですね、市況欄があるんですね。そこを見ると、日経平均株価とか円ドル為替レートとかあって、一番下に長期金利ってのがあります。(中略)これは、新規発行10年国債の利回りと書いてあるね。この日、『取引成立せず』って書いてあるわけ」と述べ、2021年10月4日に「未達」が起きていたと指摘した。
・【第542-545号】岩上安身のIWJ特報! 現役の矢野康治財務事務次官が与野党「バラマキ」批判! 「このままでは国家財政破綻」と訴えた「矢野論文」の真価とは!? 「不都合な真実直視」を言うなら、なぜ累進課税強化を言わない!? 岩上安身による宇都宮健児弁護士、エコノミスト・田代秀敏氏インタビュー 「矢野康治財務事務次官による積極財政批判論文」検証編(IWJ、2022年3月1日)
【URL】https://iwj.co.jp/wj/fellow/archives/501890?
・<衆院選にむけての緊急インタビュー5!>争点は改憲・緊急事態条項と財政・税制! 岩上安身によるインタビュー第1058回 ゲスト 宇都宮健児弁護士、エコノミスト・田代秀敏氏 (IWJ、2021年10月28日)
【URL】https://bit.ly/40bgxVd
(※11)MMTの人たち:
現代貨幣理論の英語表記「Modern Monetary Theory」の略称。マクロ経済学理論のひとつである。
1990年代に米国の投資家、ウォーレン・モズラーらが提起していた理論だが、2018年の米下院議員選挙で、若者の貧困救済などを訴えて史上最年少(29歳)の女性下院議員となったアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員(民主党)が、財源に関してMMTに言及したことで脚光を浴びるようになった。
MMTの代表的な主張は、「自国通貨を持つ(政府が通貨発行権を有する)国は、限度なく通貨を発行できるので、財政赤字が拡大してもデフォルト(債務不履行)など起こりえない。政府は経済の安定と雇用のために、どんどん国債の増発(自国通貨での借金)を行い、積極的に財政出動すれば、国民は豊かになる」というもの。
一般的に、際限のない国債増発は猛烈なインフレや金利上昇を引き起こす危険性が指摘されているが、MMT提唱の第一人者であるステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大教授は、「日本では、巨額の財政赤字でも、インフレも金利上昇も起こっていない。日本がMMTの正しさを証明している」と反論した。
これが、グローバリズムとアベノミクスで疲弊した日本社会への福音のように注目され、日本でもMMTブームが巻き起こった。
ケルトン教授は2019年7月に来日。衆議院第一議員会館の多目的ホールで行われた講演会には多くの聴衆が詰めかけた。
これまでの主流経済学の常識では、国債の大量発行は国債の信頼性が揺らぎ、ハイパーインフレが懸念されるが、MMTによれば、国債は(国内で消化されている限り)国の借金ではなく、しかし、日本も現在MMTをバックボーンに、国債のさらなる発行を主張し、財政危機などまやかしだ、とアピールする政治家は、右にも左にもいるが、インフレが起きたら増税するから財政破綻を心配する必要はない、とMMTのセオリーを国民に説明している政治家はほとんどいない。
国債増発論者で、そのツケをどう始末するのか説明しない政治家は無責任であり、信用に値しない。国民の資産なので、ハイパーインフレは起こらず、仮にインフレが起きるほど貨幣の流通量が増えた場合は、徴税によって調整(回収)すればいいという。
つまり、MMTが有効であるためには、国家に通貨発行権の主権があること、国家に徴税権(あるいは徴税能力)があることの2つが必須条件だが、日本で通貨発行権を有するのは政府ではなく中央銀行(日本銀行)であるし、インフレに対する対応策として増税がセットであるというならば、国民は逆に反発することになる。
坂本雅子名古屋経済大学名誉教授は、「現代経済学は通貨の供給量だけに目をやり、多国籍企業の行動には目をつぶり、金融政策だけをいじろうとしている。デフレだから通貨供給量を増やせばいいという政策は間違いだ」と批判している。
参照:
・MMT(現代貨幣理論):その読解と批判(富士通総研、2019年7月1日)
【URL】https://bit.ly/3HdixDA
・【IWJ検証レポート】「不況」を「デフレ」とすり換えるMMTでは日本経済は再生できない!MMT再考~ステファニー・ケルトン教授講演録から読み解く「現代貨幣理論」の本質 2020.6.5
【URL】https://bit.ly/3wwZEa0

▲2019年来日時のステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大教授(2019年7月16日、主催者提供)
(※12)『ドクターZ』っていうコラム:
「ドクターZは知っている」という『週刊現代』のコラム。
『週刊現代』2022年8月27日号のコラムで、ドクターZは、防衛費が過去最大の5兆5000億円台で調整に入っている問題に触れ、財源について、以下のように述べている。
「なかには『防衛国債』を発行すべきという主張まで上がっているが、経済学の視点から見ると賛同はできない。(中略)増税や他の歳出削減によって防衛費を捻出するならまだ理解できるが、平時に国債発行して防衛費を賄おうとするのはナンセンスな発想と言わざるを得ない。
むしろ重要なのは、有事に国債発行できるように、平時に財政を健全化しておくことだろう」
・中国、ロシア、北朝鮮から日本を守るには「財政再建」が必要だといえる「経済学的理由」(ドクターZ、週刊現代、2022年8月28日)
【URL】https://bit.ly/3HlUFOj
(※13)『日本経済新聞』の夕刊見てみると、日本の長期金利、つまり、10年国債の利回りが0.245%。これ、実は22日、先週の木曜日にはですね、0.230%ですね。だから、それだけ上昇してるわけですよ:
日本国債10年の利率は、単純移動平均(25日)で、2023年1月30日現在、0.475%(1月30日引け値)にまで上がっている。インタビューが実施された2022年9月末時点から約2倍に上がった。単純移動平均(5日)では、1月中旬には0.5%を一時超えた。
2022年12月中旬までは0.25%前後を推移していた、日本国債10年の利率は、その後上昇のペースを強め、1ヶ月半ほどで2倍になった。
日銀が12月19日と20日の金融政策決定会合で、大規模緩和を修正する方針を決め、長期金利の変動許容幅を従来の0.25%程度から0.5%程度に広げた直後から日本国債10年の利率が急上昇したのである。
・日本国債10年(楽天証券、2023年1月30日閲覧)
【URL】https://bit.ly/3Y6pWvd
・日銀、異次元緩和を転換 10年目で実質利上げ(日本経済新聞、2022年12月20日)
【URL】https://bit.ly/3Dl5ajJ
(※14)鳩居堂前:
本文で言及された「鳩居堂前」とは東京都中央区銀座5丁目の東京鳩居堂(銀座本店)の前を指す。
銀座三越、和光本館、NISSAN CROSSING(旧日産ギャラリー)、三愛ドリームセンターに囲まれた銀座4丁目交差点は日本の一等地として知られ、東京鳩居堂の前は、国税庁が毎年発表する路線価の調査対象地点。
鳩居堂前の路線価は37年連続で全国1位(2022年は1平方メートル当たり4224万円)で、日本の土地価格の観測ポイントとなっている。
参照:
・鳩居堂
【URL】http://bit.ly/3Haa8Rx
・日本一高い土地、本当はどこ?「銀座4丁目交差点」を巡る謎(毎日新聞、2022年7月1日)
【URL】http://bit.ly/3JbTRhw
・国税庁が路線価公表、全国平均2年ぶりに上昇。最高価は37年連続で銀座「鳩居堂」前(健美家、2022年7月1日)
【URL】http://bit.ly/3j76DmN
(※15)日本の平均的な新築マンションの価格って4000万台でしたが、今、6000万台です。1.5倍です:
不動産経済研究所が公開している新築マンションの平均価格の推移を『住まいモンスター』がまとめている。それによると、2001年には全国3539万円、首都圏4026万円、東京都23区4773万円であった。
『日本経済新聞』は、2023年1月26日、「不動産経済研究所(東京・新宿)が26日発表した2022年の首都圏新築マンションの平均価格は前年比微増の6288万円と、2年連続で過去最高を更新した」と報じた。低金利の中、「富裕層や高所得の共働き世帯が都心部の高額物件を積極購入し、高値圏が続く」とする。
一方で、販売戸数は伸び悩み、前年実績を下回って3万戸を割った。さらに、東京23区内は8236万円と2年連続で8000万円を超えたものの、平均価格は前年比で1%下がった。価格が高騰し、中間所得層の顧客離れの兆しが見られる、と『日本経済新聞』は分析している。
・マンション平均価格推移グラフ2022年版(住まいモンスター、2022年10月28日)
【URL】http://bit.ly/3HIqd2n
・首都圏新築マンション、最高の6288万円 22年平均価格(日本経済新聞、2023年1月26日)
【URL】http://bit.ly/3lYwPRw
都心に林立するタワーマンションは、「超低金利状態がずっと続くはず」「住宅ローン金利は変動しない」という思い込みの裏返し!
岩上「前、この話を、ちょっと振った時に、実際は買い支えられるだろうと。たとえば、円がどんどん安くなってるから、中国だけじゃない、アメリカでも、みんな投資してくるということをおっしゃってたじゃないですか。
だから、そういう億ションのような、マンションは売りやすいですからね。そういう転売がきくようなものは、まだまだ買い支えられるんじゃないか、とはおっしゃってましたけど、金利が上がってきた時には、全体としては、やっぱりそういう超高額物件のものばっかりじゃないのでね、一体どうなるのかと。
人口減だっていうのに、バブル気味になっている。この供給過剰な住宅市場っていうのは、壊れた時には、日本経済を牽引しているGDPにおける6割の個人消費、その中における、この住宅の部門っていうのはすごく大きいんで。建設も全部含めてですけれどもね。それは、GDPをものすごく冷やすことになるんじゃないかなと思うんですけれども、どうでしょうか?」
田代氏「日本は今、人口減少が起きていて、年間で60万人か70万人ぐらい人口減ってる(※16)わけですよね。島根県や鳥取県がひとつずつ消えてるような話ですよね。そんな状態で、住宅価格は、通常は下落していきますよね」
岩上「そうですね」
田代氏「ところが、東京の港区とかね、そういう限られたところに建てられた、特にタワーマンション(※17)、これには高い価格がついてるわけで、そこは需要があるという前提だけど、これも実は、超低金利の裏返しなんですよね。それがなければ、あんな建物が次々と建てられるってことは非常に難しいと思うんですよね。
だけど、それは未来永劫、日本が、国債価格はね、たとえ10年であっても0.25%だという、ものすごいですね、低い水準がずーっと維持されるっていう前提で」
岩上「そうですね。で、少なくとも低金利に入ってから、かなりの時間が経ってるから、今、まあまあ若い世代と言いますかね、ミドルぐらいまでの世代は、ずーっと低金利状態、低成長低金利状態しか知らない。だから、ずーっと永続するって感じている。
私、実際、住宅関連の仕事してる若い人たちに、取材していたんですけれども。その人たち自身が、住宅を、自分も買って、売ったりしてるんですよね。自分が住むためだけではない副収入を求めて、ということだと思うんですけれども。そして、転売した時には必ず上がってると。
僕が取材した人は、30そこそこぐらいで、もう大学の時から不動産へ行こうと。不動産が一番景気がいいと思ったんでしょうね、その世代にはね。で、トップ不動産グループに入ってます。
自分自身が住むところも、買って、売って、買って、売ってということを繰り返し、売買価格は、全部上がってると。だから、バブル崩壊で失敗した話というのは昔話のように聞くけれども、『私たちはまったく体験したことがないし、それが来るという予感がない』と言ったんですよ、プロでもね」
田代氏「人間、つい最近起きてることが、昔からそう起きてるようにも見えるし、また、それが未来永劫、そうであるような気もするわけですよ」
岩上「30歳の、その世代にとっては、ここ10年くらいの日本経済が体験のすべてですからね」
田代氏「10年って言わなくても、1年でもいいかもしれないね。それって結構、人間が人間として存立するために、重要な認知機能(※18)なのかもしれない」
岩上「忘れていくっていうこと」
田代氏「いや、忘れるんじゃなくて」
岩上「変化に対応するとか? 新しい」
田代氏「今あることが、定常状態だと思い込む。もうひとつは、それが未来に関してもずっと続いていくと思い込むことによって、社会のいろんなことが成り立ってるんだろうけれど。これは大変なことが起きるわけで。
たとえばね、リニア新幹線。あれ、国家事業じゃないですよね。あれ、JR東海がやってる」
岩上「あ、リニア」
田代氏「リニア新幹線は、あれは、なんとJR東海は、自己資金でやると言ってるわけですね」
岩上「でも、実際には国費を投入させる気ですよね、政治力で」
田代氏「だけど、あれ、2010年に発表されている計画書を見ると、あれ、ものすごい兆円単位のお金を借り入れて事業やっていって、大丈夫かというと、大丈夫と書いてあるわけです。それは、どう大丈夫かというと」
岩上「金利を安くするって、してるんですか?」
田代氏「金利想定はいくらだったかというと、一番最初を見てみると、やっぱり書いてあって、5年10年20年の利息はね、一律3%で、ずーっと続くと想定しているわけですね」
岩上「高いじゃないですか」
田代氏「ということは、これ、2010年でしょ? この後、未曽有の金融緩和が行われて、ゼロ金利になっちゃったわけですね」
岩上「そうですね」
田代氏「だったら、これ、絶対できる。だって、3%でもできるように設定してる事業なんだから」
岩上「そうですね」
田代氏「ゼロ%の金利の下で、不可能なことはないというわけで」
岩上「初期、高く買っちゃったら借り換えしちゃえばいいですよね」
田代氏「てことで、やってるんですけれど。だけど、これ、財務省のデータによると、たとえば10年金利は、財務省のね、9月1日に0.25%だったのが、22日に0.27%です。じゃあ、その5年ものはどうか。5年国債の金利は、9月1日に0.03%だったのが、9月22日には0.064%になってます。2倍になってますね」
岩上「じわじわ上がってます」
田代氏「じわじわじゃないです。たった1ヵ月経たないうちに、これだけ上昇してるわけですよ。じゃあ、このままいって、3%っていうラインを突破した時に、リニア新幹線の事業(※19)は、そこで破綻が決定するわけですね。
ということになれば、それは、おっしゃる通り、そこで巨額の国費投入を行わないと、巨大なトンネルが廃墟として残っちゃいます」
岩上「そうですよね」
田代氏「でも、その後、営業しても、そんな高い金利を払えますか、っていう問題がある」
岩上「そうすると、それを、たとえば乗車料金に転嫁すれば、とんでもない高い乗り物になるし、誰が乗るんだって話になりますしね」
田代氏「しかも、あんな近い距離でね、超高速っていうのが意味があるかっていうと、ちょうど、それは九州新幹線に似てますよね」
岩上「なるほど。九州新幹線、ガラガラですもんね」
田代氏「いや、営業をほら、新しくしたところ。武雄温泉から長崎までの」
岩上「あの短いやつですか?」
田代氏「100キロないんですよね、60何キロでしょう? そこにフル規格の新幹線、走らせるんですよね。すごいですよね」
岩上「すごいですね」
田代氏「近くのコンビニに、ランボルギーニ・カウンタックで出かけますって感じですよね」
岩上「(笑)」
田代氏「何か、エンジンかけるまでの時間の方が、うんとかかるような気がするけど」
岩上「だけど、(九州新幹線)本線の一番最初にできたやつ、もうガラガラじゃないですか」
田代氏「そうですか」
岩上「僕、何回か乗りましたけど、本当に車両に僕ひとりしかいないっていうのを味わったんで。で、中が金ピカなんですよ。何かね、キンキラキンなんですよ。すごい趣味なんですけど」
田代氏「貸し切りでいいじゃないですか」
岩上「貸切なんですよ」
田代氏「とんでもないことですね。言えるのは、だからすでに、これ、12日の時点だけど、さっき申し上げたように、たとえば10年国債の利回りは、12日は0.265だったんですよ。それが、さっき言ったように、22日には0.270でしょ。
国債ってのは、もっとも信用高いんだから、これの価格は結構動かないんですよ。それがですね、裏返しして、金利も動かないはずなのに。しかも、強力な日本銀行の金融緩和によって、上限0.25%にしてるはずですよね。でも、それも抑えきれないわけでしょ。ってことは、それは、日本国債、売られてるわけですよね。それを買い支えよう、買い支えようとしても、どうしても売り圧力の方が強いんですよ」
(※16)人口減ってるわけですよね:
日本は人口に占める高齢者の割合が増加する「高齢化」と、出生率の低下により若年者人口が減少する「少子化」が同時に進行する「少子高齢化社会」となっている。
日本の総人口は2008年の1億2808万人をピークに、2011年(1億2783万人)以降は一貫して減少が続き、2022年8月には1億2508万人となっている。同年8月の15歳未満人口(1456万3000人)と15歳~64歳人口(7426万3000人)は、ともに前年同月に比べて減少。前年同月比で増加しているのは65歳以上人口(3625万6000人)だけである。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2050年に日本の総人口が1億人を割るとのデータもある。
財務省の試算によれば、約40年後の2065年までに65歳以上の人口は横ばいで推移する一方、20歳~64歳の人口は全体の54%から48%まで大幅に減少し、高齢化率は約10%程度上昇すると見込まれている。
第二次世界大戦直後のベビーブームで1947年から1949年に生まれた「団塊の世代」が、2022年には後期高齢者(75歳以上)になってきており、医療や介護など社会保障関連費急増への対策が喫緊の課題であると同時に、若年人口が減るために需要が失われ、生産年齢人口も減るので社会の活力の低下が止まらなくなることも大きな問題となっている。
社会保障・人口問題研究所の調査(2015年)では、子どもの数を「理想は3人以上・予定は2人以上」としている夫婦で、理想通りの子どもが持てない理由として一番多かったのは、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」で69・8%(複数回答)に上る。
東京都は2023年度から0~18歳の子どもに月5000円を支給する案を固めた。子育て世代への現金給付を巡っては、国の児童手当に所得制限がかかり、2022年10月から高所得世帯への「特例給付」5000円もなくなったことが波紋を呼んでいた。
総務省が、2022年8月9日に発表した「生産年齢人口」は7496万2731人で、総人口に占める割合は6割を切る。岩上安身は、生産年齢人口が第二次大戦直後と並ぶほど落ち込んでいることに、警鐘を鳴らしてきた。さらに岩上と田代氏は、生産年齢人口が多く、高度経済成長をもたらした「人口ボーナス」期は二度と訪れない「ワンチャンスだった」とも指摘している。
参照:
・日本の少子高齢化はどのように進んでいるのか(財務省)
【URL】http://bit.ly/3DiUXnZ
・人口減少・少子高齢化(総務省統計局)
【URL】http://bit.ly/3Dg5zUs
・人口推計(2023年1月20日公表)(総務省統計局)
【URL】http://bit.ly/3R8rlzf
・「生産年齢人口」は敗戦直後と同じ落ち込み! 岩上安身は90年代から「日本人が消滅する日」等連載で少子化問題に警鐘! 2018年、岩上安身は「田代秀敏氏インタビュー」で「生産性向上」論を徹底批判!(IWJ記事、2022年2月15日)
【URL】https://bit.ly/3kQrR8V
(※17)特にタワーマンション:
全国で完成したタワーマンション(超高層マンション)の過去10年間(2013年~2022年)の棟数と戸数は下記の通り。
2013年が棟数で70棟、戸数で1万9759戸が完成し、2014年は45棟・1万1355戸、2015年は55棟・1万8821戸、2016年は34棟・1万2104戸、2017年は39棟・1万1198戸、2018年は41棟・1万5戸、2019年は63棟・1万7039戸、2020年は42棟・1万1,991戸、2021年は51棟・1万3966戸である。
2022年は、43棟・1万3184戸のタワーマンションが完成予定である。過去10年間で増減はあるが、超低金利を追い風に、おおむね年間の棟数は30棟~70棟、戸数は1万戸~2万戸のペースで建設されてきた。
長きにわたったタワマンブームが、超低金利という「追い風」を失った場合、どうなるのか。中古マンション市場も価格が高騰して資産価値が高止まりしていたが、今後、金利が上昇すると、買い控えが起こり、タワマン建設ブームは終わるのか、供給が途絶えて、既存の中古物件の資産価値は維持されるのか、それとも資産価値がバブル崩壊期のように落ちていってしまうのか、見通しは難しい。また、変動金利で住宅ローンを組んでいる人は、返済が滞ることなく、不良債権も生じないと本当にいえるのか、疑念や不安は隠せない。
参照:
・不動産経済 マンションデータ・ニュース(株式会社 不動産経済研究所、2022年4月27日)
【URL】https://bit.ly/3Y78WVP
・新規マンション・データ・ニュース(株式会社 不動産経済研究所、2014年4月30日)
【URL】https://bit.ly/3WNarHy
【IWJブログ】格差拡大の再開発バブルか 舛添氏の「ハイパービルディング(超高層ビル)」政策を斬る!(IWJ記事、2014年2月8日)
【URL】https://bit.ly/3wJsgwG
(※18)(定常状態だと思い込む)認知機能:
津波が迫る、事故、事件など、甚大な被害が予測される危機的な状況下で、「定常状態だと思い込む」人間の認知機能は、一般に「正常性(恒常性)バイアス」として知られている。
・正常性バイアス(wikipedia)
【URL】http://bit.ly/3EFWPrz
(※19)リニア新幹線の事業:
国土交通省により2011年にリニア新幹線の整備計画が策定され、JR東海(東海旅客鉄道)が事業主体となり建設・運営することが決定した。
しかし、建設はJR東海の自己負担のはずが、2016年当時の安倍政権が「財政投融資」を活用して、3兆円もの巨額の資金をJR東海に融資することを決める。
JR東海が自費で建設するとされたリニア新幹線は、財務省→機構→JR東海という融資の流れができあがり、3兆円相当の担保物件などもたないことから、JR東海は資金を「無担保」で手にすることとなった。しかもこれらJR東海への公的資金による巨額の融資は、30年間、元本の返済は猶予され、超長期融資にもかかわらず、0.6%~1%の低金利で貸し出される。
2027年の品川・名古屋間での開業を目指すJR東海は、第一期工事の建設費を5兆5000億円と見積もるが、すでにその品川・名古屋間の工事費は、難工事と地震対策などで計7兆円と増額しており、最終的に品川・大阪間を結ぶ総建設費は9兆円を超すといわれている。
JR東海の社長自らが、2027年の開業は難しいことを認めており、返済計画および事業の採算の見通しは立っていないのが現状である。
参照:
・中央新幹線(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/3wGZLzA
・JR東海、品川・名古屋間リニア総工事費1.5兆円増の7.04兆円に(ロイター、2021年4月27日)
【URL】https://bit.ly/3kRrMSr
・財投3兆円も費用増 超長期融資、リスク露呈【大井川とリニア 第7章 “国策”の採算性㊥】(あなたの静岡新聞、2021年11月20日)
【URL】https://bit.ly/3Re207b
・リニア 2027年開業困難「責任感じる」 JR東海社長(あなたの静岡新聞、2022年2月18日)
【URL】https://bit.ly/3Y5wEBK
・【特別寄稿】「何かの力が動いている」――「リニア」建設の裏側に迫る!3兆円もの財政投融資が「無担保」!?不可能だったJR東海への融資を可能にした安倍政権の手口!樫田秀樹氏寄稿(後編) (IWJ記事、2017年2月6日)
【URL】https://bit.ly/3RgdOWe
・【IWJ検証レポート】安倍総理がトランプに売り込むリニアの正体!! リニア実験線で実証された自然破壊と健康被害!! 〜IWJが超党派議員団の視察に密着!!(IWJ記事、2016年9月2日)
【URL】https://bit.ly/3HGtDS3
今のゼロ金利、マイナス金利は異常事態! これが未来永劫に続くなら、日本は資本主義をやめるということ!?
岩上安身(以下、岩上)「すみません。身近な暮らしの経済学のところに、もう一回だけ戻させていただいて、住宅ローンの話ですね。住宅ローンをこれから組みます、の人と、もう組んじゃってる人っていますよね。
で、借り換えできないかな、安くなってんだったらとか、そういう人もいますよね。あるいは、住み替えをしようとしてる人もいると思います。4人家族でやってたんだけれども、もう子どももいなくなって、2人暮らしで、夫婦ふたり暮らしのマンションにかわろうかな、とか。
そういうライフステージによって、若い人だけが住宅購入するわけじゃないので、中古も全部含めてですね、安い今のうちだったらっていうことで、すごく推されてると思うんですよ。『皆さん、今、チャンスですよ』っていうことをね。
で、その『チャンスですよ』って、結構、長い時間言われてきたんですよね。こんなに楽な、家が買える時代はないですよっていう。もう、物件は高いんですよ。物件は高くなっちゃってるから、だから焦ってきてるんですよね。
物件高くなっちゃうから、『来年買ったら大変ですよ、もう今年買わないと』っていう、そういう焦りがグワーッと押し寄せてきてて、手が届かないところに来たのかな? いやでも、これ、まだ伸びるということだったら、今年やっぱり無理して買っちゃって、そして、来年高くなったら売りさばこうと思ってる人も、そういう風に投機的に考えてる人もいるやもしれない。
いずれにしても、あんまり短期的な取引をすると、税金取られちゃうから、あれかもしれませんけれども、今がピークなのか、今がピークでないのかとか、金利と、それから住宅の価格、ここに関して見極めっていうのは、ものすごく重要なんですけど、これ、どういう風に見極めたらいいですか。もう、低金利はあてにならない、もうすでに、変動でやったらヤバいことになると思った方がいいですか?」
田代秀敏氏(以下、田代氏)「まず、住宅ローンの固定金利って、本当言うと固定じゃないですよね。あれは銀行が定める基準金利に対して、上乗せ部分が固定されてるわけでしょ。で、基準金利変えていいわけですよね、銀行も。だって、金融環境が変わった時に」
岩上「逆ザヤになるようなことは、やるわけないだろって」
田代氏「そう。今でも、銀行は存立の危機なんですよ。次々と支店は閉鎖されていて、どんどん統合されてますよね。そしたら、いつまでも銀行が基準金利を普遍に変えないという保証はどこもないどころか、上げるに決まってるわけですよね、この状況で。そうしたら、その分、固定金利の住宅ローンていうのは、基準金利への上乗せ部分が固定されてるだけなんですから、基準金利が上がれば、上がっちゃいますよね。
それを、今の超低金利というかね、ゼロ金利、あるいはマイナス金利ってのがついてる事態ってのは、これはもう、資本主義においては異常事態なわけですね。これが未来永劫、続くとしたら、それは資本主義は解体するってこと前提にしなきゃいけない。だって、資本主義である以上、お金を貯めたら、それにプラスの金利がつくわけですよね。今、つかないと言ってるんだから」
岩上「細っていっちゃうだけですね」
田代氏「この状態が、未来永劫続くんだったら、これは日本は資本主義をやめるってことですよね」
岩上「資本主義をやめるだけじゃなく、お金っていうものが膨らんでいかないんですから、どんどん縮小していくってことですよね。経済が縮小していっちゃうっていう」
田代氏「うん。それを考えると、住宅ローンって何十年払うわけでしょ。だから、すごい冒険するわけですよね。よくそんな、リスクラビングなね、ことをやるなっていう風に、私は感心するんだけど」
岩上「現状でも?」
田代氏「うん。だって、この現状が持続可能だ(と考えている)、何十年間もね、若い人にとって」
岩上「これ、今、金利の話ですよね」
田代氏「そう、金利のね。それがね、25年、30年とずーっと維持されるってね、どうして思えるのか、私にはわからない」
岩上「この数年、ぐーっと土地の価格が上がりました。不動産価格、上がりました。土地も建物もね、マンションとかも。新築もそうですが、中古も上がってます。
これもアベノミクスの効果だって言われています。金融緩和の効果。このアベノミクスの効果で、ジャブジャブになって行き着く先は、やっぱりバブルと同じだったんじゃないかと。生産的な投資よりは、結局、不動産に向かったと言われてますが、これというものは、もう限界ですか? これから下がっていく?」
田代氏「うん。限界はわかりやすく来ていて。今、鉄筋コンクリートでビルを造っても、利益出ないんです」
岩上「素材が高くなってるから。これは、世界的な現状……」
田代氏「そう。鉄筋もセメントもね、値上がりしてるから」
岩上「そうですよね」
田代氏「これで、造る時に、それは、ものすごい法外な値段払ってくれればいいけど」
岩上「日本はそれ、全部輸入ですからね」
田代氏「だったら木材で造った方がいい。すごい贅沢でしょう?」
岩上「そうです(笑)」
田代氏「すべて木材で造ったビルディング。それをね、何か、エコだなんてね。そういう問題じゃないわけ。
それでわかるように、もう要するに、住宅価格が上昇する、それはそうで、それは金かかってるわけですよ、めちゃくちゃに」
岩上「もう、輸入してるコストがどんどん高くなるから」
田代氏「うん、そう」
岩上「そういうことですよね」
田代氏「だから、アベノミクスの勝利っていうよりも、要するに、低金利がもたらした円安が、それをドライブかけてるわけですよね。だからもう、これは当然、住宅価格も現状を維持できないわけです」
岩上「なるほど」
田代氏「木造にしないといけない」
岩上「しかし、それは無理だろうと思うけれども。でも、林立する計画が山のようにあるんですよ、日本では、都心ではね。
すぐそこの森ビルもね、飯倉のところに巨大な再開発してます。それから、六本木5丁目の方に、第2六本木ヒルズも造るって言ってる。それから、三菱地所は東京駅の周りでですね、常盤橋のところにトーチタワーっていう一番高いビル。日本一高いの、一瞬、森ビルが先に造るんですけどね。アベノハルカスを上回って、もう抜いたのかな、それをすぐ、トーチタワーが抜くという。
大再開発ブームをですね、そこら中でやってるんですけれど。それに合わせて、その周辺地域も別のディベロッパーが、当然、マンションやオフィスビルを造っていくっていうようなことが行われてるし、非常にたくさんあるんですが、これらが、建築資材が思わぬ高騰っていうようなところもあって、より高くならざるを得ないですよね」
田代氏「うん。だけど、しかも、さっき言ったように、多分それも、JR東海のね、リニア新幹線事業と一緒で、ものすごい低金利が永久的に続くことを前提にしたんだろうと思うんですよ」
岩上「それはそうですね。ずーっと続いてきましたからね」
田代氏「事業計画、見てないけど、多分そうでしょう。だから、その前提が壊れた時には、さあ、どうなるんだろうか、ということですよね」
岩上「それはもう、国債は絶対大丈夫だよって言ってる、そういうことと、もうほぼ同じような信仰だったんですね」
田代氏「さっき申し上げたように、何か人間の認知、リコグニションのバイアスで、今起きてることは、昔から起きてるに違いないと」
岩上「そうですね」
田代氏「それが未来永劫、ずっと続くに違いないと思うのと、一緒なのかもしれない」
岩上「建築途中の廃墟になっちゃうのかなぁ、再開発地帯は。さあ、大変です」
ものすごい円安と物価高騰でのたうちまわる今の日本がゼロ金利政策の代償! だが、安倍政権下では禁句だった「持続不可能」
岩上「田代さん、また(9月)12日の話になりますけど、『通貨も株式も国債も売られる「日本売り」が起きている!!』と。『以前は円安が起きると株高が起きました』、これがひとつの方程式だったんだけど、『今は株価も下落しています。株式が売られたら国債が買われ、国債価格が上昇し、10年満期国債の利回りである長期金利が下落しましたが、今は、長期金利が上昇しています。つまり、国債も売られています』」

▲田代氏「通貨も株式も国債も売られる『日本売り』が起きている」!!
岩上「これを、ちゃんと言わないと、ああ、さっきのような『トリプル安』は普通の公式なのかなと思う人がいるかもしれないので。これまでの常識は、『円安=株高』の方だったんですね。
円安が起きると、いいことだらけだった。株高も起きて、それから国債価格も上昇して、つまり長期金利が下落して、低金利になった。全部、いい方向に行ったじゃないかっていう話だったんですけど、これ、すみません、基本的なことからご質問させていただきたいんですが、円安が起きると、なぜ、株価が上がるんですか。そっちにお金が移動するってことですか?」
田代氏「いや、単に、日本の金融市場っていうのは、いわゆる『ウィンブルドン現象(※20)』が起きてしまって」
岩上「なるほど。プレイヤーが外資」
田代氏「主要なプレイヤーは、外国人なんですね。つまり、外国の金融機関が、もう商いの圧倒的な部分を占めてるわけ。で、彼らは、基本的にはドルで勘定してるわけですね。実際、日本で働いていても、もらう給料はドル建てなんですよ。そうすると、株価を評価する時も、彼らは、当然日本の株価ってのは何『円』て表示されてるけど、それを、全部為替レートで変換してドル表示するわけです。
そうすると、円安が起きれば、何が起きるかというと、ドル表示されてる株価は下がりますよね。いつも申し上げてるように、プロは価格が下がった資産を買い取って、値上がりしたら売るんですよ。多くの素人は値上がりしてるものを買うから、それが下がった時に証拠金払ってくださいと言われて、損出しちゃうわけですよね。
だから、今申し上げたように、プロだったら、円安が起きれば、ドル表示されている日本株の価格は下落しますよね、自動的に。そしたらもう、自動的に買いが入るんです」
岩上「言い換えるなら、日本円表示してる株価が変わらないものだとしても」
田代氏「そうです」
岩上「実は、下がってるってことなんですよね」
田代氏「ドル表示のは下がりますよね。そうすると、もうね、人間が判断するんじゃなくて、コンピューターが自動的に買いを入れるわけです。ところが今、その機能が働かない。そりゃそうですよ、だって、ニューヨークの株価が、今、今年最安値を更新してますよね」
岩上「どうして、そんなに下がってる?」
田代氏「いや、だって、あれ、金利はもう絶対上げると。不景気になろうが株価が下落しようが、とにかくインフレーションを抑えるってことを宣言しちゃったんだから、それはもう、株売られるに決まってますよね」
岩上「これ、やっぱり金利が高くなれば、そのお金を借り入れて設備投資するとか、そういうことができなくなるとか」
田代氏「難しくなってくるし、過去の統計見ても、金利が上昇すると、だいたい2~3年のラグを置いて、企業倒産が増えてくるわけですよね。それを織り込んで、もうすでに株価は下落して、年初来、最安値になってるわけです、ニューヨークで。
そしたらどうするか。株価が下落して、損失出たんでしょ。そしたら、たとえば日本市場で持ってる日本株を売却して、ニューヨークの赤字埋めないといけない。それは怒涛のように売りますよね。その結果、日経平均も」
岩上「ドライブが、かかってるわけですね?」
田代氏「年初来、最安値ですよね」
岩上「そうですよね」
田代氏「それは、世界中そうなります。そういう仕組みで」
岩上「600円ぐらい、昨日今日、下がりました」
田代氏「日本だけじゃなくて、中国でもヨーロッパでも、どこでもこの現象が起きてるわけですね。だからそれは、アメリカ株が上昇してるっていうことを前提に、作られたマーケットだったんです。今、それが逆転して」
岩上「世界的にね。日本のマーケットもアメリカと一体化して、そして、それも実は、我々、『日経新聞』を開いてたら日本円で書いてあるけれども、実は、ドルで表示されるところを見てなきゃ意味がない、っていう話」
田代氏「今、アメリカは、不景気になって失業者が出ようと、企業倒産が起きようと、とにかくインフレーションを抑えるってことになったんだから、そのアメリカの不景気、失業、倒産を、世界中にそれが伝播してるわけ」
岩上「伝播していくわけですね。ドル一強なんていって喜んでられる話じゃないんですよ、何か、いいことみたいだけど。
いや、そして、『株式が売られたら国債が買われ、国債価格が上昇し』」
田代氏「通常、株式が売られたら、債権、買いますよね。債権の最たるものは国債ですよね。それで国債買ったら、国債価格が上昇して金利下がりますよね」
岩上「安定資産に向かうという風に言われてた。これ、黄金の公式だったみたいなもんですよね」
田代氏「ところが、今、金利が上昇してるってことは、国債価格が下がってるわけですよね。ていうことは、売り圧力が強いわけでしょ」
岩上「なぜだ、と。今までだったらば、株が売られたら国債価格が上昇してたわけで、国債の方に資金が逃避したわけですよね、安定資産として。それがもう、日本の国債が、どうして買われないのっていうことなんですけど」
田代氏「それは、だって、もう日本のゼロ金利政策、裏返して言うと、国債価格をすごく高く貼り付けてるわけですよね。それがもう持続不可能だって、誰がどう見ても、見えてるわけですよね。
だって、その代償として、ものすごい円安が起きて、それで物価が上昇して、のたうち回ってるわけじゃないですか」
岩上「日本という国がね」
田代氏「そう。だったら、それが持続不可能だっての、見えてしまえば」
岩上「日本という国の中では、ずっとアベノミクスの間、これが続いていく、しかも国内では絶対、『持続不可能』とは言えない。ひとつは、安倍政権というのは、メディアもコントロールしましたから、徹底的な人事介入によってね。メディア、作り変えられちゃいました。
だから、絶対に持続不可能だという議論は、絶対に御法度になってたんですよ。これ、もう嫌と言うほどエビデンスありますけれどもね。『持続不可能だ』と言っちゃいけないんですよ。
これが、しかし、そんな安倍政権の権力による縛りというものがない外資の方から見れば、持続不可能に決まってんだろ、っていう見方になるわけですね。
で、どっかでドカンが来るから、それまではやるけど、そのどっかで逃げるという、そういうことになる」
田代氏「うん。だから、さっき申し上げたように、じわじわと金利が上がってるってことは、明らかに国債の売り圧力の方が高まってるということですね」
岩上「ああ、ここだ、ということで」
田代氏「つまりもう、簡単に言えば、それは日本株のピークはもう過ぎたと見てるわけですよ。何度も言うように、金利を抑え込むってことは、価格を押し上げ切ってるわけですよ。でも、これが持続不可能だってことは、要するに、価格がじりじり下がってるわけですね。値下がりしてるものを、どうして今、買うんですか、って」
岩上「急いで売らないとね、っていうことになりますよね」
田代氏「そう。だったら、売ります、ってわけね。値下がりする前に売りますと。値上がりする展望がなくって、値下がりするしか展望がなければ、実際、値下がりする前に売り抜けようとしますよね」
岩上「国債についても、もう、この後、価値が維持されることはないと。しかも、非常に長期のスパンで見るわけですから、ずーっと持ってたら、その損失って大きくなるから、じゃあ、売り抜いちゃえと。
これはやっぱりね、日本国民だったら、あるいは日本の企業だったらば、日本という国を買い支えるためにも買おうみたいなね、そういう共同体意識っていうのもなくはないんですけど、外資だったらドライですよね。ある国の国債を、もう、みんなで逃げよう、みんなで買い叩こう、叩き売ろうっていう、一刻も早く、っていう風になることもあるわけじゃないですか」
田代氏「別に、儲かるためにやってるんだから、どっかの国を支えるとか、自分の国の国債買って、愛国心で満足するためにやってるわけじゃないですよね。だから、利益を出すというタイミングからすると、それはみんなが一斉に、株式も売って、通貨も売って、国債も売ってるという」
岩上「戦時中には、ほら、国債をね、事実上、税と同じように日本国民に買わせてたじゃないですか。ああいうようなことは、全体主義国家ならではのことなんですけれども、ああいうことができないと、自由に売り買いされてしまって、いよいよ売られちゃいますと。
そして、田代さん、12日の話ですけど、『財務省も日本銀行も何もしません』と、この12日の時点でおっしゃってた。『通貨も株式も国債も売られる「日本売り」が起きています』。起きますよってか、その気配を私が察知していましたよという意味なんですけど、その後、12日以降のを見ると、その通りになってるっていうことですよね」

▲田代氏「財務省も日本銀行も何もしません」
岩上「『この期に及んでも財務省も日本銀行も何もしません。身動きできないからです』。実際、口先介入と、それから単独介入はやりました。で、跳ね返されました。で、金融緩和、続けますって言ってるわけです。だから、何も変わらないということですね。
『財務省が円買いドル売りの為替介入をしようとすれば』、これが、『しようとすれば』というのは、する前の話ですからね。したとすれば、『投機筋は「鴨が葱を背負ってきた」とばかりにさらに円を売り浴びせるでしょうから、藪を突くようなものです』。つまり、あの時には大儲けした奴がいたんですね」
田代氏「(笑)」
岩上「じゃあ、介入してくれるじゃん、と、それをカモネギだということで、買って売って短期的な大儲けした奴がいたんですね。
そういうことになりますよと、これ、12日の時点で予告してるんですけど。それが、ほぼその通りの、田代さん言った通りになってしまいました。
そして田代さん、こういう風におっしゃってますよ。『アベノミクスの経済的帰結!』なんです。『日本銀行が政策金利を引き上げようとすれば、投機筋は先回りして国債を売り浴びせ、長期金利は更に上昇し、国債の利払費はさらに増え、短期国債を増発しなければ』、これはもう、破綻しちゃいますね。で、『財務省も日本銀行も何もできないことが、市場関係者に見透かされています。アベノミクスの経済的帰結のひとつが顕になりました』。とうとう」

▲田代氏「アベノミクスの経済的帰結」!
岩上「で、ここからは田代さんがおっしゃったことじゃないのですけれども、私、ぜひ、皆さんに提案したい。国葬やめろって言っても、なかなかやめれませんから、だったら国葬とはですね、安倍さん個人だけではなくて、安倍さんの政策もですね、葬って弔うと。『アベノミクスによってとどめを刺された日本の金融・財政』の、お弔いの日にするということにしたらどうかと。『アベノミクスによってとどめを刺され、死に追いやられた日本の金融・財政か。その弔いの国葬なのか!?』って書いちゃってますけど、『なのか』じゃなくて、『にしましょう』と」

▲「国葬」とは、アベノミクスによってとどめを刺された日本の金融・財政か
岩上「それで、皆さんが認知して、ああ、これ、大変なことだと。安倍、ろくでもないことやってきたと。いろんな汚職とかね、そうしたものが今、ボコボコボコボコ、五輪汚職とか、わかってきてますよね。
で、これからも、いろんなことわかりますし、もっと言えば、日本の『戦後国体』そのものである自民党は、統一教会と一体だったっていう一番のスキャンダルが、これもボロボロ出てきてる。
そういう中で、第二次安倍内閣は素晴らしい時代を、戦後、最長の内閣で、景気を好転させてた、なんていうことを言ってきたんですけれども、まったくの幻想で、日本は破滅的な事態に、これから陥らなきゃいけなくなる。
ただ、アベノミクスは終わらせられるんですか、と。実はね、一応はお聞きしてるんです。『この円安が止まる可能性』はありますかと、私、ちょっとお聞きしておりましてね、9月12日の件で。
要するに、12日に取材して、いろいろ話を聞いたことをまとめながら、16日にインタビューをしてるわけです。だから12日、16日っていうことを言ってるんですけど、その後の日付を見て22日と、実際に政府、日銀は動きました。そして、わずか1日でですね、ダメだったっていうことが明らかになるわけですね(※21)。そういう日付に、ちょっと、こだわっております」
(※20)ウィンブルドン現象:
門戸を開放した結果、外来勢が優勢になり、地元勢が消沈または淘汰されること。
狭義には、市場経済において「自由競争による地元勢の淘汰」を表す用語。特に、市場開放によって自国の企業ではなく、外国の企業が市場で主要な立場を占めている状況を表す。ウィンブルドン効果とも呼ばれる。
語源はテニスの国際大会のウィンブルドン選手権。地味なローカルテニス大会であったウィンブルドン選手権が、レギュレーションを変更して成功し、世界中から強豪が集まる世界最高峰の大会となった。
一方で、開催地イギリスの選手は勝ち上がれなくなり、男子シングルスでは1936年のフレッド・ペリーの優勝から2013年のアンディ・マレーの優勝まで77年間、イギリスの優勝がなかった。女子シングルスでは1977年のバージニア・ウェードの優勝を最後に40年以上、イギリス人の優勝者は出ていない。
テニス以外のスポーツでも、日本の大相撲やプロゴルフに同様の現象が起きている。
参照:
・ウィンブルドン現象(大和証券)
【URL】http://bit.ly/3JggFN6
・ウィンブルドン現象(ウィキペディア)
【URL】http://bit.ly/3wDZ4qE
(※21)22日と、実際に政府、日銀は動きました。そして、わずか1日でですね、ダメだったっていうことが明らかになるわけですね:
2022年9月21日、FRBは、3回連続となる0.75%の利上げを決定した。
9月22日、黒田日銀総裁は会見で、政策金利について「当面引き上げることはない」と金融緩和継続を明言。
日米金利差から、円売りが進み、黒田総裁の会見中に一時、1ドル=146円に迫る24年ぶりの円安となった。
9月22日、政府・日銀は、1ドル=145円を超える円安となったことを受け、1998年6月以来、約24年ぶりとなる円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った。円は一時1ドル=142円まで上昇した。
鈴木俊一財務大臣は「投機による過度な変動が繰り返されることは決して見過ごすことができない」と語った。
しかし、翌日23日には円安に転じ、 24日0時には143.31円に戻る。
『日経』は9月23日「世界的な金融引き締めの流れのなかで日本は金融緩和を貫き、短期金利がマイナス水準に『水没』する主要国で唯一の国」と報じた。
参照:
・米連邦準備理事会(FRB)は3回目の0.75%の利上げを決定、すると円が145円に下落! 黒田東彦総裁が記者会見で金融緩和継続を表明すると、さらに1ドル146円と、約24年ぶりとなる円安水準へ突入! 政府・日銀はついに24年ぶりとなる円買い・ドル売りの為替介入に踏み切る! エコノミストの田代秀敏氏は岩上安身のインタビューで、実質実行為替レート(REER)で見れば、円の実力は1970年台まで後退していると指摘していた!(日刊IWJガイド2022.9.23号)
【URL】https://bit.ly/3DnYBNl
・政府・日銀による24年ぶりの円買い・ドル売りの単独為替介入で円は5円急騰! しかし、翌日には再び円安基調に戻り、143円へ! 岩上安身が16日インタビューしたエコノミストの田代秀敏氏は「米国が協調介入しなければ意味がない」と、日本単独の介入効果はないとバッサリ! 予測的中! 26日に岩上安身は、続編として、田代氏にこの円安問題と日本売り問題について再度インタビューする予定です! ぜひ御覧ください!(日刊IWJガイド2022.9.25号)
【URL】https://bit.ly/3JAWQA2
・円1ドル=146円に接近 黒田日銀総裁会見中に下落加速(日経新聞、2022年9月22日)
【URL】http://bit.ly/3Hix2pH
・政府・日銀、24年ぶり円買い介入 円一時140円台に上昇(日経新聞、2022年9月22日)
【URL】http://bit.ly/3WP4YjI
・介入後も消えぬ円安圧力 緩和貫く日本、唯一の金利水没(日本経済新聞、2022年9月23日)
【URL】http://bit.ly/40t1c2z
常に戦争に関わっている米国。インフレ抑制のためなら超高金利政策も! パウエルFRB議長は来年も再来年も「金利を上げる」!?

▲この円安が止まる可能性はあるのか?
岩上「田代さん、これ(9月)12日時点で言ってることですけど、『9月20日、21日のFOMC(米・連邦公開市場委員会の略、米国の金融政策を決定する会合)までは、円安は進むと思います』と。
じゃあ、もう、そういうところに差し掛かってますね。『しかし、米国の景気後退の兆候が現れています。10月にそれが顕著になると、11月の中間選挙が迫っているバイデンは慌てて、インフレーション抑制より景気浮揚を優先し、パウエルに利下げを迫るでしょう。そうなればドル高は止まり、円安にもブレーキが』掛かるのではないかと。
さて、これは12日時点の見込みでした。だから当然、予測として当たってるところと、それから修正をしなければいけないところがあるとは思うんですが、その後、実際、この予測っていうのは、どんな事態、どんな展開になったでしょうか」
田代氏「ここにあるように、景気後退の兆候はあそこに出てるわけですよ。でも、それでもね、金利を上げると、パウエルは宣言しちゃったわけですね。ただ、10月にどうするかですよ」
岩上「なるほど」
田代氏「中間選挙は11月の6日だった。でしょう?」
岩上「田代さん、でも、9月20、21のFOMCが、ひとつの境だと思うと」
田代氏「そう」
岩上「FOMCの結果は、どうだったんですか?」
田代氏「うん、だからその時に、大幅な利上げをやって、世界を震撼させると、したわけですね」
岩上「だから、バイデンの言うような景気浮揚策に乗らなかったわけですね」
田代氏「うん。で、0.75%ポイントの政策金利の上昇ってやりましたよね。あれが、実は、もしかすると、1%ポイント幅で来るんじゃないかと見てたんだけど、それは行かなかったから、わりと市場は落ち着いたんですね」
岩上「ややマイルド」
田代氏「そこまで、ちょっと踏み切れなかったってところあるんだけど、言えるのは、それを見てみると、景気後退の兆候が出ても、金利を上げていくと。だから、インフレーションが止まるまでやると。その間にどんなに失業者が出ようと、企業が倒産しようと、やるということをここで宣言しちゃってるわけですね(※22)」
岩上「ちょっと、意味は少し、変わったんですね、ここで」
田代氏「いや、えらいことで、もうパウエルは、11月の中間選挙で民主党政権が大敗北してもかまわない(※23)と、それでもやると」
岩上「バイデンが、このまま中間選挙に負けるわけにいかないから、インフレーション抑制よりも景気浮揚を優先するはずだと、パウエルに利下げを迫るだろうと、そしてパウエルは飲むだろうということを、一応は読んでたんだけれども、そうはならなかった」
田代氏「わからない。でも、それは10月だから。10月にどうするかってのは、まだわからないけど、10月には相当に景気後退の兆候が出てくるでしょうから、その時、どこまで踏みとどまるかだけど。もし、そこでもパウエルが、それでも金利はどんどん上げていくと。来年も上げると。再来年も上げると。
これ、共和党も困ってきますよね。大統領選挙で、たとえば、トランプが当選して、トランプ政権がまたできた時に、それでもまだね、金利上がっていくと。そしたらもう、多分、パウエルを解任するって話になっちゃいますよね」
岩上「解任して、だけど、何か処方箋あるんですか。アメリカも、すごく危うい状態にあるんですけど。インフレ退治をしなかったら、それはそれで、もうどうしようもないでしょ」
田代氏「さっき言ったようにね。うん。本当にもう」
岩上「と言うよりも、国民が食えないじゃないですか。フードバンク(※24)の」
田代氏「フードバンク行くしかないんだけど、本当、そのフードバンクも維持するのが大変になってるわけでしょ」
岩上「しかも、そのフードバンク行くガソリン代が、もうないんですよ」
田代氏「はい。ガソリン代払うと、食べ物が買えない」
岩上「そこまでたどり着けなくなってるわけじゃないですか」
田代氏「そう」
岩上「それから、もうひとつ、以前にインタビューした時に、サブプライムローンの問題の時にね、住宅がひとつ問題だったのはあるけれども、それと同じような爆弾が、自動車ローンと、それから教育ローンにかかってると。まあ、住宅にもまだあるんだけど。それが、いよいよ爆発しそうな可能性があるっていう風にも、おっしゃってましたね」
田代氏「うん」
岩上「これは、いろんな理由で爆発する可能性があるんでしょうけど、インフレは押しなべて人々の暮らしを苦しくします。当然、わずかな給料の中で、あらゆるものが高騰してる時に、ご飯食べなきゃいけないのに、返済に回せない、もう無理だ、自己破産だって、こういうことになる可能性高いですよね。まして、景気が悪くなってんだから、高い給料のところに転職ができるだの、そんなな甘い道はないわけですから。
そうすると、そこらあたりが、爆弾が『ある』って言ってたじゃないですか、第2のサブプライム爆弾」
田代氏「今、かろうじてアメリカが何とかなってるのは、とにかくね、働かない人が多いんです」
岩上「パーッとバラ撒いたことで、ってことですか?」
田代氏「いろんな理由があるんだろうけど、とにかく、若くても働かないってのが増えてるから、だから深刻な人手不足が起きて、その結果として、賃金は上昇してる」
岩上「働かないで、何やってんですか、路上ユーチューバー?」
田代氏「そういうわけじゃない、別に」
岩上「そういうわけじゃなくて(笑)」
田代氏「失業対策の措置があるからですけど、とにかく、働かないって人、だんだん増えてしまってるから、それで賃金上がって、失業率が下がってると。だけど、これも変な話でしょ。もつかなって感じですよね」
岩上「いや、もたないでしょう」
田代氏「だから、そうなると、そういうことが同時に露呈して、こうだけど、今のところパウエルは、もう何が起きようと金利を上げると、インフレーションを鎮めると言ってるわけだから、今、共和党が大喜びだけど、もっとやれって感じで。だけど、実は共和党も困っちゃいますよね。政権とった後にも、ずーっと金利は上げられていって」
岩上「かといって、パウエルのような、ひとつの方向性に決まってやれば、それなりの効果出るじゃないですか、インフレ退治においては。でも、これが曖昧だと、どっちもうまくいかないってこともあり得るわけでしょ。どっちにしてもダメだっていう」
田代氏「そうなると、レーガン時代のように、その、もう政策金利を20%まで上げるとかね(※25)」
岩上「20%上げるんですか(笑)」
田代氏「それで、今よりももっとすごいスーパードル高を起こして。で、インフレーションを収めると。その時には、さっき申し上げたように、なぜ、アメリカがその結果として世界最大の債務国に陥ったかというと、それは、ものすごい企業倒産が起きたわけですよね」
岩上「企業倒産」
田代氏「が起きて、大失業が起きて、という事態になって、さっき言ったように、それを何とか是正しなくちゃっていうことで、プラザ合意(※26)やったぐらいでしょ」
岩上「なったわけですよね」
田代氏「アメリカは、そこまで行かないと止まんないですよね、ドル高が」
岩上「だから、アメリカはいつも平時の国ではないから、その話をする時に、常に裏側に、戦争の話が入ってこないとわかんないですよね。さっき、75年にサイゴン陥落っていう話があった。で、何にも得られなかった。ただ、純粋な消耗があっただけだった。
で、今度は、レーガンは、冷戦ですからドンパチはしなかったんだけど、途方もなく軍備拡張しました。それで、軍拡競争で、ゴルバチョフがギブアップっていうところまでやるっていうことをやったわけじゃないですか。それで、冷戦を勝利に導いた偉大な大統領として、一部ではね、少なくともタカ派からは称賛されてるわけですけれども(※27)。他方、あまり言われないけれども、国内的には相当厳しかったんですね、レーガン時代っていうのは」
田代氏「うん。彼だけの責任じゃないけど、とにかく、あのインフレーションを何とかしなくちゃっていうので、信じられないような超高金利政策を行った」
岩上「やる時はやるんですね、アメリカは。だから、これ、やるかもしれないんですね」
田代氏「いや、今はその前が起きてるわけですよ。そういう風に、超高金利政策を取っていくっていう方に向いてるから。だけど、簡単に言えば、選挙もありますから、どこまでその不況が広がるかですよね。
ただ、さっきのように、当時のアメリカだったらプラザ合意なんていうとんでもない力技を発揮して、無理やりね、為替レートを変えさせちゃうということができたけど」
岩上「パワーのある国は数が少なくて、それらを全部、自分の子分にして、で、特に日本に無理やり言い聞かせた。だけど、あのような覇権的な力は、今のアメリカにはないわけですよね。だから、それはどうなんですか? そういう覇権的な力がないと、その荒技、レーガン時代の荒技っていうのはできないんですか?」
田代氏「うん、ちょっとまだ。ああいうのって、乗ってこなきゃいけないでしょ、みんなが」
岩上「そうですね」
田代氏「ちょっと、乗ってくる理由もないしね」
岩上「少なくとも何か、たとえば日本だったらば、匕首(あいくち)を突き付けられながら、されるようなもんじゃないですか。日米安保と引き換え、みたいな話ですからね」
田代氏「でも、難しいのは、実はプラザ合意の後の方が、日本は貿易の条件はいいんですよ。それ、後でお見せしますけど。何でも物事は、そう一直線に行かないんですね」
岩上「いずれにしても、ここのところは今、微妙だと思われるっていうことですね。どっちに出るかわからない。ただ、確実にバイデンは、今、慌てて景気浮揚策をとってるということはないわけですから、これが連続している状況にあるということですね」
(※22)景気後退の兆候が出ても、金利を上げていくと。だから、インフレーションが止まるまでやると。その間にどんなに失業者が出ようと、企業が倒産しようと、やるということをここで宣言しちゃってるわけですね:
米国連邦準備制度理事会(FRB)は2022年9月20、21日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の現状の誘導目標2.25~2.5%から0.75ポイント引き上げ、3.0~3.25%とすることを決定した。
FF金利の引き上げについて、2022年末の見通しは4.4%と前回の3.4%から大幅に上方改定され、2023年末のFF金利の見通しは4.6%と、さらに金利を引き上げる想定で、引き下げが始まるのは2024年からとされた。
ジェローム・パウエルFRB議長は、FOMC後の記者会見において、「高インフレは購買力を低下させ、特に食料、住宅、交通といった必需品のコスト上昇に対応できない人々にとって大きな苦難をもたらす」「高インフレが長引けば長引くほど、高いインフレ率への期待が定着する可能性が高まる」と述べた上で、「インフレ率の低下には、トレンドを下回る成長を持続させることが必要」として、2022年の成長率とFF金利の見通しに関する今回の大幅な変更の背景を説明した。
また、歴史は早まった政策転換の誤りを強く示している、と述べ、FF金利高止まりの長期化を示唆しつつ、「金融引き締めが厳しいものになるほど、あるいは長く続くほど、経済の軟着陸が一層困難になる。しかし、物価安定に失敗すれば、はるかに大きな痛みを伴うと考えることから、我々はインフレ率を2%に戻すことに全力を尽くす」と述べた。
さらに、金融引き締めの減速ないし停止の具体的なタイミングについての質問には、「(トレンド以下の成長率に加えて)労働市場の需給バランスの正常化を確認したい」「最終的にはインフレ率が2%に戻ることを示す明らかな証拠を得たい」と述べたが、具体的なタイミングについては言及を避けた。/現在の米国の労働市場は失業者1人に対して2件の求人がある状態で、これが賃金および物価の上昇圧力となっており、パウエル議長は「需給バランスを欠いている」と問題視している。
参照:
・米FRB、政策金利を3会合連続で0.75ポイント引き上げ、年末までに4%台半ばまで利上げの見通し(JETRO日本貿易振興機構(ジェトロ)、2022年09月22日)
【URL】http://bit.ly/3HIFTSY
(※23)11月の中間選挙で民主党政権が大敗北してもかまわない:
202211月8日に投票が行われた米中間選挙は、歴史的なインフレと、バイデン大統領の不人気という大逆風の中で、共和党の優勢が予想され、民主党の大敗も予想された。
しかし実際の結果では、「赤い波(共和党のブーム)」は来なかった。
連邦議会下院は民主党213議席、共和党222議席で共和党が勝利したものの、上院は民主党51議席、共和党49議席で、民主党が勝利した。
共和党からはドナルド・トランプ前大統領の支持を受けた候補者が多数立候補する中、民主党は共和党候補との違いを強調する方向で選挙キャンペーンを展開した。その結果、民主党は連邦上院では50議席を維持することに成功し、連邦下院では失った議席数を小幅に抑えることになった。
上院で民主党が多数派、下院では共和党が多数派と、2023年1月からの第118議会ではねじれ議会になることで、バイデン大統領は難しい政権運営を迫られる。
参照:
・【IWJ号外】軍産複合体と癒着したバイデン政権の民主党か、「アメリカ・ファースト」のトランプ共和党か、究極の選択を迫られる米国民! 2022.11.11(IWJ)
【URL】https://iwj.co.jp/wj/open/archives/512294
・アメリカ中間選挙2022 – NHK特設サイト
【URL】http://bit.ly/3Jw2cwz
・米中間選挙、民主党は上院多数派を維持、州知事選では女性候補が躍進(JETRO日本貿易振興機構(ジェトロ)、2022年12月8日)
【URL】http://bit.ly/3XS51wr
(※24)フードバンク:
安全に食べられるが、包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどの理由で販売できない食品を企業などから寄贈してもらい、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動。背景には「食品ロス問題」と「貧困問題」の2つがある。
アメリカで1967年に開始され、現在では200以上のフードバンク団体がある。フランス、カナダ、イギリス、オーストラリアなどでもフードバンク活動が行われている。
日本では2000年以降にフードバンクの活動が始まったが、食品ロス問題や貧困問題への社会の理解が十分ではなく、日本独特の自己責任論などもあり、この活動が一般的に浸透しているとは言い難い。
類似する活動に「子ども食堂」がある。子ども食堂は、子どもや保護者、地域住民に対し、無料または安価で栄養のある食事を提供する社会活動。2010年代からマスメディアで報じられたことで活発化したが、明確な定義はなく、さまざまな運営形態がある。/NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」などによると、全国の子ども食堂は7331ヵ所(2022年9月から2022年11月の調査)。
近年では、不況、物価高騰、コロナ禍などで貧困率は増加しており、貧困世帯で暮らす17歳以下の子どもは全国で280万人以上。子どもの7人に1人が貧困状態にあるといわれている。
農林水産省ではフードロス削減の観点から、フードバンク活動強化緊急対策事業を実施。⾷品供給元の確保等の課題解決に向けて、専⾨家派遣、マッチング・ネットワーク強化を⽀援している。
参照:
・フードバンクとは(全国フードバンク推進協議会)
【URL】http://bit.ly/3kGeo3n
・フードバンク(農林水産省)
【URL】http://bit.ly/3Jgl2rl
・子どもの貧困、内閣府「初の全国調査」で見えた悲痛な実態(東洋経済ONLINE、2022年2月15日)
【URL】http://bit.ly/3HB9BJO
・子ども食堂(ウィキペディア)
【URL】http://bit.ly/3Y0bxkb
(※25)レーガン時代のように、その、もう政策金利を20%まで上げるとかね:
1970年代から80年代にかけての米国は、景気停滞と物価上昇が同時に発生する「スタグフレーション」に陥っていた。
1981年1月20日に、ロナルド・レーガン氏が大統領に就任した時、米国のインフレ率は12%、失業率7.5%、金利は3カ月債権で20.2%に達していた。さらに米国は、財政赤字と、貿易赤字がそのほとんどを占める経常赤字の「双子の赤字」に悩まされていた。
レーガン政権期は「強いアメリカ」、「強いドル」を掲げ、新自由主義にもとづいた政策「レーガノミクス」を押し進めた。「レーガノミクス」の主な内容は以下の通りである。/通貨発行量を絞り、政策金利を大幅に上げて、インフレを抑制する。/個人・法人に大幅減税を行い、生産性を上昇させ、税の減収分を回収する。/民間の規制緩和を推し進め、民間の自発的な活動を促進する。/社会保障制度を後退させて、政府支出を削減し、財政赤字を解消する。
ポール・ボルカーFRB議長が政策金利を11%から20%まで引きあげ、金融引き締めをおこなった結果、10%を超えていた米国のインフレ率は3.2%まで下がり、インフレ抑制に成功した。
一方、通貨供給量を引き締め、政策金利を上げたことで企業の投資意欲が下がり、1981年から1982年にかけて景気は後退し、失業率は10%を超え、1982年の米国企業の倒産件数は2万4000件を超えた。鉄鋼業や自動車産業では、工場閉鎖や賃金カットなどを引き起こした。/この状況に対し、レーガン政権は、1982年から貨幣供給量を増やす金融緩和に方向転換し、失業率を5.5%まで減少することに成功した。
「レーガノミクス」の大きな問題は、抑制すべき目標であった「双子の赤字」をかえって拡大してしまったことである。
財政赤字は、レーガン大統領就任時には9090億4100万ドル(GDP比33.4%)であったが、8年後にジョージ・ブッシュが大統領に就任した時は、2兆6011億400万ドル(GDP比51.9%)と3倍近くに拡大した。減税分を回収できず、「強いアメリカ」をめざすレーガン大統領は軍事費を増大させ、財政赤字を悪化させた。
レーガン政権は財政赤字を、海外資金を呼び込むことで解消するために、高金利政策を進めた。その結果、ドル金利は20%まで高騰、高金利を求めて海外資金が流入し、ドル高を加速、「スーパードル高」を招いた。実質実効為替レート(上昇すればドルが強くなることを示す)は、1973年を100として、ドルは1979年に11.8ポイントも低下、1985年に121.7にまで33.5ポイント上昇し、ドル一強の「スーパードル高」となった(同年のプラザ合意によって、86年以降、ドル高は急速に修正されていく)。
米国内の産業は競争力を奪われて輸出が減少、輸入はさらに増加、貿易赤字も拡大した。レーガン政権が発足した1981年に346.4億ドルだった米国の貿易赤字は、ブッシュ政権が発足した1999年には3636.4億ドルと10倍以上に膨らんだのである。
貿易収支の赤字は、すでに1976年から常態化していたが、急速に拡大したのは、レーガン政権が発足した直後の1982年からであった。
経常収支も82年以降赤字が恒常化、85年末には対外純債務残高が1107億ドルとなって、米国は戦後初めて債務国に転落し、しかも世界最大の債務国となったのである。
・昭和54年 年次世界経済報告「エネルギー制約とスタグフレーションに挑む世界経済」(経済企画庁)
【URL】https://bit.ly/3JoOkUU
・昭和63年 世界経済白書本編「変わる資金循環と進む構造調整」(経済企画庁)
【URL】https://bit.ly/3RiWbFj
・【レーガノミクスとは】その意味・背景・結果をわかりやすく解説(リベラルアーツガイド、2020年2月20日)
【URL】https://bit.ly/3HIJQHv
・双子の赤字(コトバンク)
【URL】https://bit.ly/3wMAHqQ
・「現代アメリカ経済学 4-2. レーガノミクスの現実」(稲田義久、甲南大学)
【URL】https://bit.ly/3wMAJyY
(※26)プラザ合意:
レーガン政権がとった高金利政策のために「ドル一強」の状況が生まれ、1985年に米国ニューヨークのプラザホテルにG5(日・米・英・独・仏)の大蔵大臣(米国はジェイムズ・ベイカー財務長官)と中央銀行総裁が集まり、ドル高是正に向けた協調行動をめぐって議論し、形成された合意を、開催場所の名前をとって「プラザ合意」と呼ぶ。日本は中曽根政権期で、竹下登大蔵大臣が参加した。
米国は、ドル高が行き過ぎて輸出が伸び悩み、貿易赤字が拡大する一方であった。プラザ合意は、各国が外国為替市場に協調介入してドル高を是正し、米国の輸出競争力を高めることをめざすものであった。
特に米国の貿易赤字は、対日貿易赤字が大きなウエイトを占め、円高ドル安に誘導することが焦点であった。具体的には「基軸通貨であるドルに対して、参加各国の通貨を一律10~12%幅で切り上げ、そのための方法として参加各国は外国為替市場で協調介入をおこなう」というものであった。
発表翌日9月23日の1日で、円相場は1ドル235円から約20円下落し、翌1986年には150円台に高騰した。
・プラザ合意|証券用語解説集(野村證券)
【URL】https://bit.ly/2EYYOae
・プラザ合意(wikipedia)
【URL】https://bit.ly/3HFuHXj
(※27)(レーガンは)軍拡競争で、ゴルバチョフがギブアップっていうところまでやるっていうことをやったわけじゃないですか。それで、冷戦を勝利に導いた偉大な大統領として、一部ではね、少なくともタカ派からは称賛されてるわけですけれども:
冷戦時代、「強いアメリカ」を掲げたレーガン政権は、ソ連に軍拡競争を挑んだ。経済学者で北海道大学名誉教授の森杲(たかし)氏は、「レーガン時代の軍事支出の規模と増加テンポが平時としては史上未曽有のものであることは疑問の余地がない」として、レーガン政権期の8年間(1981年と1987年)で、国防予算は1.79倍に増加したと指摘している。/連邦総予算の伸びは1.41倍にすぎず、国防予算が突出して拡大されたことがわかる。森氏によると、この期間の連邦予算増額分の37%を国防予算が占め、「国防予算の中に含まれていない軍事関連の予算が、このほかに国防予算の3、4割の規模で存在」し、「アメリカの財政赤字累増の元凶が軍拡にあり」とする根拠になっている。
レーガン政権が、異常とも言える軍拡を進めることができた大義は「ソ連の軍事的脅威」である。森氏は、ソ連が1960年代後半から70年代前半にかけて国防費を急速に増大したことは事実のようだが、米国は60年代末から70年代中期まで「ベトナムからの撤退、アメリカ国内の荒廃、福祉的支出の増大などに対応して国防支出のかなり顕著な減退がみられる」と指摘する。ソ連が軍備増強を図る一方、米国は国防費を削減しなければならず、森氏は「70年代議半から台頭してくる危機論、ソ連脅威論は、なによりもまずこうした傾向への反動として見るべきものであろう」と分析する。
経済学者で長岡大学教授の広田秀樹氏は2011年、「レーガン政権の対ソ連外交とグローバライゼーションの地平」と題する論文の中で、レーガン政権は、デタント(緊張緩和)路線を捨てて「力による平和」を目指し、「第2次世界大戦後40年以上続いた冷戦体制を終わらせ、世界を劇的に変えた政権であった」と、レーガン政権の外交戦略を称賛する。
広田氏は、レーガンの回想録『わがアメリカンドリーム』から、レーガンの外交姿勢を示す文章を紹介している。
「わが外交政策の基盤として私は、われわれが可能な限り強力なメッセージをソ連に送り、彼らがテロリストに武器、資金を供与し、民主的諸政府の転覆に努めるのを、われわれはもはや座視することはしないと伝えねばならぬと決意した。われわれの政策は、力と現実主義に基づいたものでなければならない。私が望んだのは力を通じての平和であって、一片の紙切れを通じての平和ではなかった」(わがアメリカンドリーム、345~346p)
レーガン政権期のソ連は、国家予算の25%を国防費に費やし、ソ連経済は疲弊していた。技術力においても「1985年時点での、パソコンの普及台数は米国が3000 万台なのに対して、ソ連は5万台であった」(広田氏)と、遅れをとっていた。/レーガン政権は、経済制裁を加える事で、ソ連の弱体化を図った。1981年末の、天然ガスパイプライン等の石油・天然ガス開発関連機器の対ソ連禁輸の実施、1982年の、ココム(対共産圏輸出制限の非公式組織)の強化などである。
また、レーガン政権はソ連を「悪の帝国」とするキャンペーンも開始した。広田氏によると、レーガン大統領は、1983年3月8日、フロリダ州オーランドでの福音派キリスト教徒の全国集会で、ソ連を「悪の帝国」と呼ぶ演説を行ったという。
1980年代半ばから、ソ連政界で頭角を表しはじめたミハイル・ゴルバチョフが、1985年3月11日、54歳の若さで新書記長に選出され、経済改革や汚職の根絶、「グラスノースチ(政府活動の公開性)」を進め、検閲の廃止、移動の自由などの自由化を推進した。/1986年には、ゴルバチョフは「ペレストロイカ(再編、改革)」というスローガンを掲げた。ゴルバチョフは米国との軍拡競争などで疲弊した国内経済の改革に注力し、「新思考外交」として大幅軍縮を打ち出し、アフガニスタンからソ連軍の部分的撤退を進めた。1988年3月のゴルバチョフの「新ベオグラード宣言」は、「ブレジネフドクトリン」の撤廃と、東欧諸国の自立と民主化を促す内容であった。
1989年にブッシュ政権が発足、1990年にソ連に大統領制が導入され、ゴルバチョフが大統領に就任する。1991年にソ連共産党の一党独裁が終焉し、8月にウクライナが独立宣言、同年12月までに、ソ連邦を構成してきた共和国全てがソ連邦からの独立を宣言し、ソ連の連邦体制自体が解体され、ソ連は崩壊した。
1990年初め、ゲンシャー西独外相はミュンヘン郊外で「NATOはソ連国境に接近するような東方拡大を排除すべきである」、続いてベーカー米国務長官も「NATOの範囲を東方に1インチも拡げない」とゴルバチョフ・ソ連共産党書記長に約束した。/しかし、実際には、NATO加盟国数は1991年ソ連崩壊とウクライナ独立の時点で16カ国であったが、現在2023年時点で30カ国に拡大している。「NATO東方拡大」がロシアには脅威となり、2022年2月24日にウクライナに侵攻する大きな要因となった。2022年にはフィンランドとスウェーデンもNATOに加盟申請したが、トルコの条件付き反対によって実現していない。
・アメリカ国防予算の編成過程(森杲、『経済学研究』37-4、1998年3月、北海道大学)
【URL】https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/31790/1/37(4)_P95-125.pdf
・レーガン政権の対ソ連外交とグローバライゼーションの地平(広田秀樹、『長岡大学 研究論叢』第9号、2011年7月)
【URL】https://core.ac.uk/download/pdf/70371375.pdf
円安で「買い負け」する日本。大トロも日本酒もおいしいものは海外へ! 日本円より中国の人民幣が勝つ時代に!
※以下から、2022年10月10日の田代秀敏氏インタビュー第3弾に入る。
岩上「皆さん、こんばんは。ジャーナリストの岩上安身です。急激な円安、この円安がですね、普通であれば株が上がったりするんですけれども、株も下がる、国債も売られる、金利が上がる、いわゆる『日本売り』、トリプル安になりつつあると。
しかも、この急速な円安はですね、アベノミクスの経済的な帰結であると。だから、非常に根深いものがあるわけですね。
で、安倍さんは、この世に、もういなくなったんですけれども、安倍さんの下で一緒にアベノミクスをやってきた黒田日銀総裁は今も健在で、異次元金融緩和、低金利を続けてらっしゃるわけですけれども。任期残り半年だけれども、非常に危険水域まで円安、株安、国債売りが進んでいると。
そうした日本の出口戦略はあるんだろうか、ということで、緊急で始めたインタビューですが、緊急とはいえ、いろいろツッコミどころがありましてですね、第3弾まで来ております。本日は田代秀敏さんを、またお迎えしまして、第3弾、お話うかがってまいります。田代さん、よろしくお願いします」
田代氏「よろしくお願いします」
(中略)
岩上「これから入っていく内容の前に、今、現状どんな感じかというのを、これ、具体例をですね、田代さんからいただきました、3枚のスライドがあります。これ、ぜひ、ちょっと説明していただければと思います」
田代氏「簡単に言うとですね、どれくらい円安が進行してるかっていうのを、別の見方をすると、日本でよく見かける商品が、中国ではいくらで売られてるかってのを調べてみたんですね。で、中国の通販サイトを比べてみましたと。そうするとこれですね」
岩上「サントリーほろよい」

▲サントリーほろよい
田代氏「(商品映像を指して)これ、『サントリーほろよい』っていうね、要するに、缶に入ったお酒ですね。これ、日本の楽天で調べてみると、1本119円でした。で、ここ見ると、1本12.8元と書いてますね」
岩上「『元』なんですね」
田代氏「前、これ、申し上げたように、『元』と書いて発音は『イエン』なんですね。だからYに横棒なんです」
岩上「Yでもいいんですか。なるほど」
田代氏「日本語の『円』と、発音一緒なんです。中国語ではイエンとね。これで見ると12.8元ですよね。あと、ここ見るとね、11.8元なんですよ、同じものが。よくあるじゃないですか、これ、通販サイト見ると、同じもので違う価格付いてる」
岩上「そうですね、ちょっと違って」
田代氏「っていうことは、11.8~12.8元の間ですから、これ、今の為替レートで計算すると、だいたい240円~260円なんですよ。日本で1本119円のものが、中国では1本240円~260円で売られてるわけ。もちろんこれ、関税も入ってるし、輸送コストも入ってるんだけど。でも、すごいプレミアが付いてるって、わかりますよね」
岩上「プレミアが付いてるんですね」
田代氏「つまり、みんな欲しいわけですよね。で、次、行ってみましょうか」
岩上「はい」

▲獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分 DASSAI 39 720ml
田代氏「『獺祭(だっさい)』というですね、人気のお酒ありますよね。それのですね、純米大吟醸で、磨き三割九分。
これはお米をですね、周りのところを削っていくと味が良くなるんですね。ただし、あんまり削り過ぎると、お酒(の量)あんまり作れないから、通常の大吟醸ってのは、こういう風に四割以上削ると大吟醸なんですよね。だからこれ、三割九分削りましたと。磨き(精米歩合)ね。
これが1本ですね、日本の蔵元サイトを見ると、2640円です、この『獺祭』作ってる会社の。ここにお金払うと送ってくれるんですね。中国の通販サイト見ると、499元です。これは為替レート計算すると、1万135円なんです」
岩上「全然、価格が違う」
田代氏「うん。たとえ100%関税で、この2倍だったとしても、もっと、それにプレミアが付いてるわけですね。もちろん輸送費も考えたとしても」
岩上「これ、日本のものが、こんなに高く売れてるっていうことですか」
田代氏「うん。あとですね、日本産のマグロの大トロ250グラム、豊洲市場の直販サイトがあるんですね。そこ見ると4800円でした。中国の通販サイト見ると同じものがあって、ここに388元って書いてあるんですね。これ、為替レートで計算すると7881円です」

▲日本マグロ大トロ(冷凍) 250g
岩上「高いですね」
田代氏「元々、これ冷凍してるから。簡単に言えば、作ってしまえば、日本国内で流通するのも、中国に」
岩上「輸出するのも、もちろん」
田代氏「空輸便で送っても手間がかからないですね。コストはもちろんかかりますけど。でも、それ考えても、これは儲かりますね。
簡単に言うと、これぐらい日本のものが、中国ではこんなに高く売れてるってのは、もちろん、中国で人気がある。もうひとつは、やっぱり円安で、元のコストがかなり抑えられているわけですね」
岩上「じゃあ、これ、日本から中国に持っていくのが、日本の業者の場合、あるいは中国の業者の場合もあるでしょうけれども、向こうで、かなり儲かるってこと」
田代氏「むちゃくちゃ儲かりますね(※28)。他にもいろんなもの、あるんですよ。他のものもあって、エビとかあるんですけど。これちょっと、日本の方でいくらかっての、よくわかんなかったんで、はっきりわかったマグロの大トロを(事例に)使ったんですけど。
似たような状況ですね、実はいっぱいあって。こういう風に、いかに円安が起きてるかと。簡単に言えば、(おいしいものは全部海外に持っていかれて)、日本からおいしいものはなくなります」
岩上「フライトしてっちゃう。要は、もう高く売った方がいい、ってことですね」
田代氏「銀座のですね、非常に有名なバーのバーテンダーさんで、新潟出身の方にうかがったことあるんだけど、実は、新潟県ではお酒というとアルコール添加の醸造酒しか飲まないと。純米酒というのは、あれは東京・大阪出荷用だと」
岩上「なるほど。高級酒はね」
田代氏「うん。だから最初から、そういうものは地元民は飲んだことがないと」
岩上「なるほど」
田代氏「『私も東京に来て初めて飲んだ』とおっしゃったんですよね。それが今後は、日本でも『マグロの大トロなんて東京で食ったことがない。上海で食べたことあるけど』と」
岩上「なるほど」
田代氏「中国人におごってもらいました、というかたちになりますよね」
岩上「これ、中国でもインフレが進んでるってことになるのかどうか知りませんけど、為替の差なんですか、これは」
田代氏「いや、為替の差じゃなくて、要するに、どんどん日本から持ってった金額、安くなってるわけですよね。これは、その上にプレミアがかかってる、つまり、向こうで欲しいわけですよ」
岩上「そうですよね」
田代氏「日本産のマグロが欲しいというので、こんなに買ってくれると。わざわざ、売る方からすれば、日本で売って円で代金もらうよりも、中国に売って人民幣で代金もらった方がいいわけですよね。だって、円がね、どんどん円安が進めば進むほど、円建ての金額が増えるわけですよね」
岩上「買い負けしてるっていうのは、こういうことですね」
田代氏「そうです」
岩上「なるほど。これが、逆を言うと、日本では安く買えてるというのは、庶民にとってはね、先ほど消費者物価のところまで、まだギリギリ来てないと。これで消費者物価まで上がってしまって、高くなったりしたら、痛い、つらいことになるんですよね(※29)」
田代氏「うん。もちろん」
岩上「だから、今、インフレを実感していないっていうのは、そういうようなことなのかな、とは思いますけれども、ただ、この円安がギリギリのところ、企業止まりまで来てるけれども、もう次は、ちょっと危ないよっていう段階ですよね」
田代氏「うん」
(※28)むちゃくちゃ儲かりますね:
日本の最大の貿易相手国は中国である。
日本の貿易相手国の輸出入総額1位は、2007年に米国から中国に変わって以降、ずっと中国が1位。2021年は38兆3662億円で、全体の22.8%を占める。
輸出額では2020年、2021年は中国が1位である。2021年は17兆9844億円で、全体の21.6%を占める。
輸入額では、2002年に米国から中国に変わって以降、ずっと中国が1位。2021年は20兆3818億円で、全体の24.0%を占める。
2021年に日本から中国へ約18兆円を輸出し、本文にあるように、日本のものを中国へ持っていくと高値で売れる事態も発生している。
台湾有事にかこつけて、対中戦争をやると、この市場を一挙に失い、貿易立国である日本は生き残れないことになる。安全保障を米国に依存し(あるいは拘禁され)、実体経済は中国に依存している、21世紀における日本のジレンマである。
参照:
・貿易相手国上位10カ国の推移(輸出入総額:年ベース)(財務省貿易統計)
【URL】https://bit.ly/3wLbRrD
・輸出相手国上位10カ国の推移(年ベース)(財務省貿易統計)
【URL】https://bit.ly/40dyW3I
・輸入相手国上位10カ国の推移(年ベース)(財務省貿易統計)
【URL】https://bit.ly/3kUekNR
(※29)これで消費者物価まで上がってしまって、高くなったりしたら、痛い、つらいことになるんですよね:
2023年に入り、消費者物価も上昇、庶民にも非常に「痛い」状態が起きている。
東京都区部の2023年1月分(中旬速報値)の消費者物価指数(2020年基準)は、「総合指数」が、104(2020年を100として)となり、前年同月比4.4%の上昇、前月比(季節調整値)は0.7%の上昇となった。
特に「生鮮食品」の指数は115.8で前年同月比6.5%の上昇、「光熱・水道」の指数は131.4で前年同月比22.8%の上昇と、非常に大きな値を示した。食品とエネルギーが急激に上がっており、ウクライナ紛争と、それに呼応した対露制裁の強い影響を如実に示している。
参照:
・2020年基準消費者物価指数東京都区部 2023年(令和5年)1月分(中旬速報値)(総務省、2023年1月27日)
【URL】https://bit.ly/3HKIADE
日銀の「円買いドル売り介入」で無関心層までマーケットに参入、急激に売られる円!「日銀は藪を突ついてしまった」
岩上安身(以下、岩上)「さて、先ほどもう、さらっとおっしゃられちゃったんですけれども、『急速な円安を受けて政府・日銀が実施した円買い・ドル売りの為替介入』を行ったと。それが2.8兆円とおっしゃいました。約『3兆円』という、『2兆8382億円』だったわけですね。
で、『9月22日に24年ぶりに実施した円買い・ドル売り介入』。そして、これは『1日の介入額としては過去最大規模』であったということですよね」

▲急速な円安を受けて政府・日銀が実施した円買い・ドル売りの為替介入は3兆円規模だった!
岩上「そして、ここ、『外貨準備高が4.2%減! 米国債を売却する形で為替介入!?』だったということ。ちょっとここ、ご説明いただけたらありがたいんですけれども」

▲9月末の外貨準備高が4.2%減! 米国債を売却する形で為替介入!?
田代秀敏氏(以下、田代氏)「要するに、為替介入っていうのは、外国為替市場において、今、円安が進んでるってことは、円を売ってドルを買うという向きが圧倒的なわけですよね。
その時に、日本銀行は逆向きの商いをドンとやってみる。つまり、ドルを売って円を買うという操作をやって、この流れを押し戻そうということをしたわけですね。
さて、手持ちの国債を使って現金化して、ドルにして、そのドルで円を買うという操作したわけね。だから、ドルを売って円を買うということをしたわけです。そのための原資はここにあるように、外貨準備、日本の財務省が保管している、日本政府の、要するに外貨建て資産ですね。そのうち、おそらく、この米国債が一番すぐ売りやすいので」
岩上「そうですね」
田代氏「これは、マーケットがいつでも開いていて。これを使ったものだと思われますね。それで、確かに外貨準備が減ってるというわけですよね」
岩上「しかし、その結果、あっという間に元の水準に戻ってしまったという」

▲しかし、10日間で元の水準、1ドル=145円台へと再び下落!
田代氏「これは休みの直前にやって、休み明けに押し戻されたというですね、大変わかりやすい構図です。
それは当たり前で、前にもこの番組で申し上げたように、同時にアメリカ側も同じことをやってくれなければ意味がなくて。それどころか逆に、円を売りたい人たちからすれば、円を巨額にね、『買う!』と言ってる人(日銀)がいるんだから、もう、みんな、今まで円ドルの為替取引に関心のなかった人まで、やって来ちゃったわけです。だから、本当にこれは、前も申し上げたように『藪を突つく』ってこのことですね」
岩上「そうですよね。ただ、ばら撒いたようなもんですよね」
田代氏「いや、ばら撒いただけならいいんだけど、これ、藪を突ついちゃったから、面白がってどんどんですね、今までは無関心だったヘッジファンドなどがですね、みんなやって来ちゃったんですね。この辺は、あまりにもマーケットっていうのを理解してないというか」
岩上「わかってないというか」
田代氏「もっと言えば、ちょっと、マーケットを舐めてかかってるところありますよね」
岩上「そうか。そして、『日本の実質賃金がまた低下! 給与は上昇するも、物価上昇がそれを上回る!』という話なんですよね。これ、ロイター10月7日」

▲日本の実質賃金がまた低下! 給与は上昇するも、物価上昇がそれを上回る!
田代氏「つまり、名目賃金は上昇してるんですけど、それよりも物価の上昇が大きいので、結局、物価の変動分で割引いた実質賃金は下がってると。5ヶ月連続下がってる」
岩上「『1.7%低下となり5ヶ月連続の減少』となっている。だから、庶民の感覚としては、豊かになってるという感覚は、まったくないということですよね」
田代氏「うん」
岩上「そうなんですよね。だから、消費者物価指数は劇的に上がってませんよって言ってるのは、先にインフレになっているアメリカなどと比べての話であって、上がってはいる、っていうことですよね」
田代氏「うん。あと、アメリカでもヨーロッパでも、企業はすぐに価格転嫁するんですね。ところが、日本はなかなか価格転嫁できなくて。だから、インフレーションが起きてるんだけど、それは今、企業の中で着々と赤字が積み上がっていくってかたちで、隠されてるわけですね」
田代氏「他人事じゃないな」
田代氏「それで賃金上げろって言えば、それは企業からすれば、とんでもないことになりますよね。もっと言えば、企業からすれば、賃金下げさせてくれって言いたいわけですよね」
岩上「そうですね」
田代氏「実際、多くの企業はよく見てみると、企業全体での賃金の支払い額を減らすように頑張ってる。それは、たとえばスーパーマーケットで特売のチラシ、前は毎日作ったわけですね、新しいのを。それやると、ただ特売のチラシ作るだけじゃなくて、売り場の並び方も変えなきゃいけないわけですよ、特売品が前に来るように。そのための人手をかけたくないから、今ね、特売って週に1回になってますよ」
岩上「なるほどね」
田代氏「週に1回ってか、週に一度(特売品を)決めると、それをずっと1週間やって、また次の週。日替わりじゃなくなってるわけですね。そうすると、結局、今までの6分の1の人員でできるわけでしょ」
岩上「そうですね」
田代氏「そうすると、人員減らしても大丈夫なんですよ。そうすると、1人あたりの賃金を少し上げても、全体の人員数を減らせば、賃金の支払総額が減るわけですよ。そういうかたちで、今、企業は何とかして生き残りを図ってるから、実際には経済トータルで払われる賃金の金額は、おそらく減ってるんだろうと思う」
岩上「全体としては、それは各企業がそういう節制をしていけばですね、全体としてはGDPというのは小さくなっていきますよね」
田代氏「はい」
岩上「それは、影響が必ず出てくるだろうと思うんですけれども」