2022年10月14日、午前10時35分より、東京都千代田区の外務省本省庁舎にて、林芳正外務大臣の定例記者会見が開催された。
冒頭の林大臣からの報告事項はなく、そのまま、林大臣と各社記者との質疑応答となった。
IWJ記者は、質問を準備して会見に臨んだが、指名されず、このたびは質問することができなかった。
他社記者による質問は、「北朝鮮によるミサイル発射と北朝鮮への制裁措置」、「10月16日に予定されている中国共産党大会」、「ウクライナ支援、ならびに、ロシアのウクライナ4州の「併合」宣言に対する国連総会決議」、また、「バイデン政権の新たな安全保障戦略」、そして、「拉致問題」について、と多岐にわたった。
10月12日、国連総会は、9月30日のロシアの一方的なウクライナ4州「併合」宣言について、「違法で無効」とする決議を、賛成43カ国、棄権35カ国、反対5カ国で、採択した。
この国連総会決議の意義、および、受けとめについて、読売新聞の記者より質問があり、林大臣は以下のように答えた。
「この決議ですが、ウクライナ国内における『住民投票』と称する行為、および、ロシアによる『併合』の違法なこころみを非難し、その無効を宣言する内容となっております。
日本としては、一カ国でも多くの国が、本総会決議案に賛成をし、ロシアに対する、国連総会としての強い意思が示されるように、私のレベルも含めて、多くの国への働きかけを行ってまいりました。
結果として、143票という賛成多数で採択されたことは、国連総会が、ロシアの暴挙に対して、国連憲章の原則と目的を守る強い意思を示したものでありまして、歓迎をいたします。
我が国は、『力による一方的な現状変更のこころみ』を決して看過できず、引き続き、G7をはじめとする国際社会と連携をいたしまして、ロシアに対し、即時に侵略を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう、あらためて強く求めていくとともに、引き続き、安保理、および国連総会の動向を、強い関心をもって注視をしていきます(後略)」
日本政府は、このウクライナ情勢について、いったいいつまで「注視」していくつもりなのだろうか?
エネルギー大国ロシアへの制裁に加わっていることで、日本国内では、エネルギー資源の高騰、急激な円安、輸入インフレが進んでいる。制裁にこのまま加わったままであれば、国益を大きく損ねてしまうのではないだろうか。
エネルギー資源を海外に頼る日本は、同盟国にやみくもに追随し、外から傍観するだけの外交では国益を追求できない。
ロシアのウクライナ侵攻を非難しつつ、対露制裁には参加していない国々は数多くあり、インドなどは格安の値段でロシアからの石油輸入を増やし、欧州などへ加工したディーゼルオイルを高値で転売して利益を得ている。
エネルギー安全保障の観点からも、米英NATO諸国とは距離をおき、独自外交を模索すべきではないだろうか?
たとえば、ロシアと米英ウクライナの双方に停戦を働きかけ、その上で、対露制裁から離脱し、ロシアからのエネルギー資源を安値で輸入する道を模索すべきではないだろうか。
定例記者会見の詳細はぜひ、全編動画を御視聴ください。