2021年6月15日(火)、午前10時10分頃より、東京都新宿区の防衛省庁舎にて、岸信夫防衛大臣の定例会見が行われた。
冒頭、岸防衛大臣より、新型コロナウイルスの感染者数について、前回(6/11)の報告以降、9名の隊員が新たに感染し、感染者は累計で、1936名となったとの報告があった。
また、岸大臣が、6月17日(木)日本時間の午後5時から、欧州議会・安全保障・防衛小委員会の招待で、委員会の公開セッションにオンラインで参加し、「日EU戦略的パートナーシップ:安全保障・防衛分野における相互協力の強化の動向と見通し」というテーマのもとで、スピーチを行う予定である旨の報告があった。日本の防衛大臣がEU議会においてスピーチを行うのは今回が初めてであるとのことである。
また、大臣は、6月16日(水)に、テレビ会議方式で開催予定の「第8回拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス:ASEAN10カ国+日米・オーストラリア・ニュージーランド・インド・韓国・中国およびロシアの合計18カ国の国防大臣が一堂に会する会議)に出席予定だ。
続いて、岸大臣と各社記者との質疑応答となった。IWJ記者は、「重要土地利用規制法案」について、以下のとおり、質問をした。
IWJ記者「6月8日に、本法案に対する抗議集会があったのですが、その場で、沖縄の風・伊波洋一参議院議員は、『この法案は立法事実はないが、アメリカの戦略はある』と述べ、『台湾有事が前提となっている』と指摘されました。
伊波議員は、また『今、日本列島にミサイル基地を1000個作れと(米国から)要求されている。法案でいう「重要土地」とは、「アメリカ軍が使う土地」であり、これは「日本全体を戦争に巻き込む法案なのです』と強調されておりました。これは事実なのでしょうか?
つまり、重要土地規制法案によって、台湾有事を理由に日本列島全土に1000ヶ所のミサイルを配備する。それは先日、質問させていただきました『スタンドオフミサイル配備構想』と結びつく、という話なのでしょうか。確認させてください」
これに対する岸防衛大臣の回答は以下のとおり。
岸防衛大臣「まず、そもそも、この法案につきましては、土地等の利用によって、安全保障上重要な施設に対する、『機能阻害行為』が行われるというリスクに対応することを目的として、取りまとめられたものであると承知している。
我が国の安全保障環境が厳しさを増す中で、各種の措置によって、安全保障上のリスクとなる『機能阻害行為』を未然に防止するという本法案の目的は明確であって、防衛関係施設の機能発揮を万全にする観点から、意義のあるものであると考えている。
また、本法案にもとづく措置については、土地等の利用状況を調査し、必要に応じて、利用規制を行う一方で、経済活動への影響を最小限にするため、取得規制といった私権制限の程度が大きい措置は導入していない。
そのため、通常の国民生活や経済活動への負担や影響は限定的であると承知をしている。『安全保障の確保』と『自由な経済活動』の両立は留意されているものと認識している」
岸防衛大臣からの冒頭報告、そして各社記者との質疑応答の一部始終は、全編動画にてご確認いただきたい。
岸大臣からは「日本列島にミサイル基地を1000個作れ」との米国からの要求が事実かどうかについての回答はなかった。