2022年6月14日(火)、古川禎久法務大臣の定例会見が法務省にて10時20分頃から開催され、IWJが生中継した。
IWJ記者は、以下の質問を行った。
IWJ「先ほどの時事通信さんの質問と関連して、改めてうかがいたいのですが、昨日、可決・成立した改正刑法についてです。
法案審議過程で、野党から、『名誉毀損や侮辱をめぐる争いは、当事者間の民事手続きで解決をめざす動きが世界の主流であり、国連の自由権規約委員会も侮辱罪などを犯罪対象から外すことを提起し、刑罰を科す場合でも身体拘束するのは適切ではないとする見解を示している』といった指摘や、『拘禁刑は国連のマンデラルールに逆行する』といった指摘がありました。
法改正は可決・成立しましたが、これにより日本は、死刑制度の存続、人質司法への批判に加えて、さらに国際的に『人権感覚に問題のある国』と見られる傾向が強まるという懸念について、古川大臣のお考えをお聞かせください」
古川禎久法務大臣「今のご質問というのは、死刑制度に関してのご質問?」
IWJ「いえいえ、昨日可決した刑法改正の、拘禁刑とか、そういう全体に関してという事ですけれども」
古川大臣「すみません、ちょっとご質問の趣旨がつかめないんですが、刑法改正案に対する受け止めですか?」
IWJ「そうです、昨日の改正刑法に関して、この改正の内容が、先程申し上げた死刑制度の存続とか、人質司法への批判に加えて、さらに国際的に『人権感覚に問題のある国』と見られる傾向が強まるのではないか、というふうに懸念されているんですけれども、これに関してお考えをお聞かせいただきたいということです」
古川大臣「いやいや、あの、そのようには認識しておりません」
IWJ記者が言及した時事通信の質問とは、改正の受け止めと、拘禁刑と侮辱罪の実際の運用に向けた取り組みを聞いたものである。
これに対して古川大臣は、改正は「罪を犯した者の改善更生、再犯防止のため、施設内、社会内処遇を一層充実させる法整備、侮辱行為の抑止および悪質な侮辱行為への厳正な対処を可能とする侮辱罪の法定刑の引き上げ、という喫緊の課題に対処」と回答。
「新たな被害者を生まないために重要な意義」「審議過程でいただいた様々なご意見やご指摘は、真摯に受け止めたい」とした上で、今後は「Q&Aを法務省ホームページに公開など丁寧に説明」「捜査機関に改正の趣旨や現行犯逮捕の考え方を周知する」と述べていた。
大臣は冒頭発言で、外国人材の受け入れ・共生対策、国籍選択義務の周知、知的障害等を有する受刑者の処遇・支援の「長崎モデル事業」について報告した。
他社からは、外国人との共生施策のロードマップ、入管仮放免の外国籍の夫の在留資格(配偶者ビザ)要請などについて質問があった。
会見について、詳しくは全編動画を御覧いただきたい。