自由と制約という「原則と例外が逆」! 日本は国際社会に反抗している!~国連特別報告者及び作業部会が日本政府に対し入管法改正案が国際法に違反していることを指摘する共同書簡を公開したことを受けての共同記者会見 2021.4.6

記事公開日:2021.4.7取材地: テキスト動画
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(取材、文・木原匡康 文責・岩上安身)

 2021年4月6日、午後3時半より、参議院議員会館にて、「国連特別報告者及び作業部会が日本政府に対し入管法改正案が国際法に違反していることを指摘する共同書簡を公開したことを受けての共同記者会見」が行われ、IWJが中継を行った。

 この記者会見は、国連人権理事会の複数の特別手続の専門家が、3月31日、日本政府に対し、今国会にて審議予定の政府提出の入管法改正案が、国際人権法に違反する旨の共同書簡を送ったことを受けて開催された。同書簡は4月5日にインターネット上で公開された。

 記者会見の主催団体は、公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本、国連恣意的拘禁WG入管収容通報弁護士・研究者チーム、全国難民弁護団連絡会議、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウである。

 会見の冒頭で、エセックス大学ヒューマンライツ・センターの藤田早苗氏がZOOMで参加し、共同書簡の意義について報告した。

 藤田氏は、「特別報告者の勧告は、日本も批准し実施義務を負う人権条約などで説明される国際人権基準にもとづいたもので、個人的意見ではありません。人権条約は入管法などの一国内法に優越します。つまり、人権条約に反する国内法は改正または廃止されなければなりません」と指摘した。

 続いて会見場では、弁護士の高田俊亮氏、弁護士の浦城知子氏、ヒューマンライツ・ナウ事務局次長で弁護士の小川隆太郎氏、アムネスティ・インターナショナル日本のキャンペーンコーディネーターの樋口利紀氏、弁護士の鈴木雅子氏の5名が、詳しい説明を行った。

 共同書簡の中で特に注目されたのは、今回の入管法改正案においても、出入国管理の対象者を「収容」することが「原則」とされ、新たに設けられた「監理措置」(収容所以外の場所で、「監理人」と呼ばれる個人・団体の監督下で生活すること)は、あくまで審査官の裁量で適用される「例外」であることだ。

 書簡は「世界人権宣言9条では個人の自由が原則であり、収容および個人の自由に対する制約は例外である」と指摘しており、弁護士の小川隆太郎氏は「原則と例外措置が逆になっている」と強く批判した。

 しかも、「監理措置」を受けるには最高300万円の保証金が必要とされ、「監理人」には、対象となる人の監督、状況の届け出義務が生じ、違反すれば罰則が科せられることから、「過度に制約的であり、社会的経済的地位にもとづく差別」となることが懸念されている。

 書簡では、そのほか、「収容に司法審査がないこと」「収容期間に上限が定められていないこと」「3回目以上の難民認定申請者、日本で3年以上の懲役刑を受けた者、暴力・破壊活動に関与・助長した可能性があると疑われる者について、送還停止が解除されることは、送還後に生命や権利が脅かされる可能性があること」「子どもの収容の明確な禁止規定がないこと」が、それぞれ自由権規約に違反するとともに、拷問禁止条約や難民条約にも反する可能性を指摘している。

 なお、これら指摘を行った国連人権理事会の「特別手続」の専門家とは、①移住者の人権に関する特別報告者、②恣意的拘禁作業部会、③思想信条の自由に関する特別報告者、及び④拷問等に関する特別報告者である。

 共同書簡では、日本政府に対して、指摘に対する検討や回答を求めているが、4月6日時点で、何の回答もないとのことである。

 藤田氏は、「日本政府が国連人権勧告を真摯に受け止めていないことは、国連人権専門家の間では広く知られています」と指摘した。

その例として、2014年の自由権規約の日本報告書審査の時に、議長が「日本は何度同じ勧告を出されても従おうとしない。日本政府は国際社会に対して反抗しているように見える」と語ったことをあげている。

 日本政府は今回も同様の反抗的態度を取るつもりだろうか?

 日本は「反人権」国家であることを国内外に示し続けるという、歪んだ「国家意思」にあらわれなのだろうか?

 IWJでは、入管法改正の問題に今後も注目していく。

■全編動画

  • 日時 2021年4月6日(火)15:30~16:30
  • 場所 参議院議員会館B-106室(東京都千代田区)

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