隠された争点「原発・経済とくらし・TPP・憲法改正・安全保障・歴史認識」の問題を徹底討論 ~IWJ選挙報道プロジェクト 参議院選挙投票日スペシャル 2013.7.21

記事公開日:2013.7.21取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

特集 TPP問題

 2013年7月21日(日)20時、東京都港区のIWJ本部において、特別番組「IWJ選挙報道プロジェクト 参議院選挙投票日スペシャル」の収録ならびにインターネット配信が行われた。

 ゲストとして孫崎享氏(元外交官僚)、醍醐聰氏(東京大学名誉教授)、宇都宮健児氏(元日弁連会長)、想田和弘氏(映画監督)、木野龍逸氏(ジャーナリスト)、渡辺美奈氏(女たちの戦争と平和資料館事務局長)を招き、司会進行を岩上安身が務めた。番組では、今回の選挙の特徴ともいえる徹底した「争点隠し」の問題と、国民的議論がなされるべきだった「真の争点」について、3時間半にわたってゲストとともに検証した。また、番組中には、開票速報や各政党が設置した開票センターからの生中継も随時実施した。

記事目次

■ハイライト

■イントロ

 冒頭、岩上は、アベノミクスなどの経済政策ばかりがメディアを通じて強調される一方で、真の争点となるはずだった、「原発」「経済とくらし」「TPP」「憲法改正」「安全保障・歴史認識」といった問題が、意図的に隠されてしまったことを強調した上で、ゲストを交えて検証を開始した。

 まず、「原発」について、日本の原発政策を推進し、福島第一原発事故の原因を作った自民党が、事故後の最初の国政選挙となった昨年暮れの衆議院選挙で圧勝したことに、想田氏は、「海外からみれば奇妙だ。民主党と自民党が仲良く一緒に没落するなら分かるが。もしかすると、日本社会は原発事故をなかったことにしたいのか」と首をかしげた。木野氏も、「原発の新規制基準は、『福島原発事故がなぜ起きたかを検証してから作る』と言っていたのに、それが終わっていない中、『土台』がないのに、色々なことを積み上げていくことに問題がある」と批判した。

 「安全保障・歴史認識」については、孫崎氏が、アメリカの外交専門誌に掲載された論文を紹介した。この中で孫崎氏は、自衛隊を海外に出動させるために、日本に対して憲法9条改憲を迫ってきたアメリカ側でさえ、安倍政権を「とんでもない政権」とみなし、「民主主義を否定するような政権が出てくることは期待していなかった」と、日本の「右傾化」に当惑している様子を詳しく解説した。加えて、安倍政権がオバマ大統領から冷遇される一方、中国や韓国を厚遇している「落差」を、ユーモアを交えながら説明した。また、渡辺氏は、「アメリカ政府は『安倍首相は静かにしろ』という立場だが、過去の反省や見直しをしないと韓国も中国も納得しない。やはり、日本政府が問題解決のために一歩踏み出さない限り、膠着状態はずっと続いていく」との見解を述べた。

 「憲法改正」については、孫崎氏が、「アメリカの保守派は中国包囲網を目指している。日米韓の軍事協力上、日韓は仲良くしてもらわないと困るのに、最近では中韓が手を結んでいる」と述べた上で、「アメリカにとっては大問題。だから、歴史認識問題で安倍政権に圧力を掛けてくるだろう」との見解を示した。また、岩上が、日本の対米隷属の姿勢について、「スネ夫(日本)はジャイアン(米国)の命令で突っ走ってきたが、ジャイアンから『お前は孤立するぞ』と言われるような状態」と皮肉を込めて語った。

 「TPP」については、醍醐氏が、TPP参加による農林水産業への都道府県別影響試算を例示した上で、「安倍政権は、『10年後に農家の所得を倍増』という計画を主張しているが、『所得倍増計画』ではなくて『所得枯渇計画』である。農産物がダメになると、川下にある加工業や流通業などの事業所得も減り、雇用にも影響が出る」と懸念を示した。

 「経済とくらし」については、宇都宮氏が、「日本の社会自体が閉塞感にとらわれ、特に貧困と格差が広がっている中で、国民は当座の生活に追われている」とし、「これからの日本を左右するような憲法問題や原発問題、TPPなどについて、明確な判断をしきれない人が多かったのではないか」との見解を述べた。その上で、「自分の一票を投じても政治は変えられないというような『あきらめ感』が出るのが怖い。むしろ、あきらめないで、これからも政治に関心を持って、何らかの運動に参加する人が多くなっていってほしい」との希望を語った。

 最後に出席者は、与党の勝利が続々と伝えられる開票状況を踏まえ、今後の日本が取るべき針路について、意見を述べた。醍醐氏は、「おそらく明日の新聞は、『自民圧勝』と書くと思う。しかし、国民にすべての信任を得たかのような、これから自民党は何をやってもOKというお札をもらったというような考えが非常に怖い」と述べた。その上で、「争点がはっきりしたところ(東京や沖縄)では違う結果が出ている。これを裏返しに、むしろ今回の選挙は投票結果が出てゴールしたのではなく、これからがスタートだということを、私たち自身も肝に命じる必要がある」と語った。

 渡辺氏は、「戦後68年経っても、日本はこのままで本当にいいのか。問題を解決し東アジアと仲良くなっていくチャンスは、あと数年しかないと思う。問題が争点化されなかったのはメディアの問題もあるが、ある意味、私たちが『自分とは関係ない』と思っていた部分もあるのではないか」と自戒の念を込めて語った。

 宇都宮氏は、「憲法改正や集団的自衛権の問題は、自民圧勝でもそう簡単には進まないのではないかと思う。進めようとすると、国内のみならず海外との矛盾が広がっていく。矛盾が広がれば、市民が問題に気付くきっかけになる」とした。その上で、「自民党の改憲草案を英訳し、前近代的な憲法改正を進める政党だということを海外に情報提供するなど、国際的な視点や交流が求められると思う。そういう動きをすれば、安倍政権は意外に脆いのではないかと思う」と今後の方向性を示した。

主要なやりとりの要約

※時系列で記述しているため、テーマと実際の内容が前後している箇所があります

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