IWJ代表の岩上安身です。
パランティアをめぐる問題の【IWJ号外】第6回です。
■ピーター・ティール氏率いるパランティアが発表したマニフェストは「テクノ・ファシズム」!(第6回)パランティアとトランプ政権はズブズブだった! しかも、ネタニヤフ首相とイスラエル・ロビーの仕掛けによって、米軍とイスラエル軍は軍事統合を画策中! 実現すれば、米・イスラエルは文字通りの「結合双生児」に!
パランティアのマニフェストおよび『テクノロジカル・リパブリック』は、海外では各方面から手厳しい批判を浴びています。日本ではこのような批判や警戒が、あまりに欠如しています。
他方で、パランティアのCEO、アレックス・カープ氏は、3月初旬の『CNBC』とのインタビューで、こうも述べています。
「3月初旬に『CNBC』とのインタビューで、アレックス・カープは、AIが『主として民主党に投票する、高学歴で、しばしば女性である有権者』の力を『攪乱(ディスラプト)する』だろうと示唆し、その代わりに『職業訓練を受けた、労働者階級で、しばしば男性である労働者階級の有権者』に力を与えるだろうと述べた」。
この発想は、中西部の見捨てられた男性労働者の希望の星だったトランプ政権を、AIが支えるだろう、という政治的発言です。AIが政治的に「中立」ではない、という発言が、パランティアのCEO、そしてベストセラーの『テクノロジカル・リパブリック』の共著者の口から飛び出したこと自体、大問題です。
パランティア創業者のピーター・ティール氏が、第一次トランプ政権に多額の寄付を行って、政権に関与して以降、政権と経済界を行き来する「回転ドア」などを通じて、パランティアとトランプ政権は一心同体となり、パランティアは、米国とイスラエルの軍事的な監視データ解析だけでなく、どのようなデータやアルゴリズムの操作を行うのか、その手段までは判然としませんが、トランプ政権の支持基盤の強化まで視野に入れていることがわかります。
このパランティアは、国防と国境警備を担う主要企業である、アンドゥリル・インダストリーズとも深い関連があります。
そして、このパランティアとアンドゥリルの両社は、イスラエルとも、トランプ・ファミリーとも、強い結びつきがあり、両社は、ビッグテック版の新たなイスラエル・ロビーの一角として、トランプ政権を、人脈的にも、経済的にも、政治的にも、支えています。
アンドゥリル・インダストリーズは、2026年3月に米陸軍と200億ドル(約3兆円)の大型契約を結びました。
同社の主要出資者には、トランプの娘婿で、ユダヤ人のジャレッド・クシュナーの弟であり、当然ながら兄と同じくユダヤ人であり、シオニストのジョシュア・クシュナーが名を連ねています。4月17日付の『デイリー・ビースト』は、こう報じています。
「ジョシュア・クシュナーは現在40歳で、兄のジャレッドより5歳年下だ。彼は同世代で最も裕福なベンチャー・キャピタリストの一人であり、推定純資産は52億ドル(約8400億円)にのぼる。
スーパーモデルのカーリー・クロスと結婚しており、3人の子供がいる。
二人はマンハッタン、マイアミ、マリブの少なくとも3ヶ所の高級物件を共有している。
ジョシュアは、2009年に自ら創業したニューヨークのベンチャー・キャピタル『スライブ・キャピタル』を通じて、時価総額600億ドル(約9兆7000億円)超のプライベート企業であるアンドゥリルの株式を保有している。
スライブは、アンドゥリルにおける正確な保有比率を公表していないが、国防総省が今年3月に新契約を発表するわずか数日前に、40億ドル(約6460億円)の資金調達ラウンドを共同主導していた」。
さらに、アンドゥリル・インダストリーズは、軍との関係だけでなく、トランプ政権の政策の「目玉」でもあった、メキシコとの国境の壁の建設にも関与しています。
米国とメキシコの国境にハイテク監視システムを組み合わせた壁を作る「スマート・ウォール計画」の予算規模は、465億ドル(約7兆円)と言われています。
そして、ヴァンス副大統領を政治家として育て上げた、パランティア創業者のピーター・ティール氏は、このアンドゥリル・インダストリーズの筆頭投資家なのです。
ティール氏のファウンダーズ・ファンドは、2017年からアンドゥリルに投資しており、2025年6月のシリーズGラウンド(スタートアップ企業は成長段階に応じて、段階的に外部から資金を調達する。シリーズGは、第7回目の大型調達)では10億ドル(約1600億円)を投じています。これはファウンダーズ・ファンド史上最大の単独投資でした。
そればかりか、トランプ大統領の息子のドナルド・トランプ・ジュニア(ユダヤ系の女性と結婚し、子供達は全員ユダヤ人)は、アンドゥリルに出資しているVCファーム、1789キャピタルのパートナーを務めているのです。
パランティアとトランプ政権の結びつきは、2016年の米大統領選挙キャンペーンに、ピーター・ティール氏が献金した時から深まっています。
パランティアは、連邦税の徴収を司る、国税庁に相当する米国内国歳入庁(IRS)から、2018年以来、26件の契約で1億8000万ドル(約290億円)以上の支払いを受けています。
ティール氏自身は、第1次トランプ政権の移行チーム執行委員会に参加し、その過程で複数の人物を政府要職に送り込んでいます。
パランティアの初期の幹部で、アンドゥリルの共同創業者でもあるトレイ・スティーブンスは、国防総省の移行チームに参加し、その後パランティアとアンドゥリルは、国防総省から主要契約を獲得しました。
マイケル・クラツィオスは、ティール・キャピタルの幹部から、大統領技術政策担当副補佐官を経て、米国連邦政府最高技術責任者に昇格しました。
パランティアと米連邦政府との契約は、2009年の440万ドル(約7億円)から2024年には5億4120万ドル(約874億円)へと拡大し、2025年にはさらに倍増して9億7050万ドル(約1568億円)に達しました。
そして、2026年には、すでにパランティアは9億ドル(約1454億円)を超える連邦政府との契約を獲得しています。この9億ドルには、悪名高きICE(米国移民・関税執行局)との高額契約も含まれます。
パランティアは、ホワイトハウス、国防総省、CIA、議会の出身者を広範に採用しており、同時にパランティア幹部が政府の要職に就く双方向の回転ドア構造が形成されています。要するに、米政府とベッタリ「癒着」しているのです。
ティール氏は、ヴァンス副大統領の長年のメンター(精神的指導者)であり、大口の資金提供者としても支えてきました。トランプ大統領がヴァンス氏を副大統領候補に選ぶよううながした主要人物の一人がティール氏であるとも言われています。
このように、ユダヤ人、非ユダヤ人双方にまたがるシオニスト系人脈の上に成り立っているパランティアとアンドゥリル・インダストリーズと、トランプ政権・トランプ・ファミリーは、ずぶずぶの関係の「利益共同体」なのです。ピーター・ティールを「思想家」としてほめそやす薄っぺらい知識人らは、そうした現実を見ようともしていません。
実は、パランティアとトランプ政権の癒着に関して、決定的に重要な事実があります。
イスラエル軍と米軍の軍統合が、密かに、しかし半ば公然と進められているという事実です。これは、米軍と自衛隊が「垂直統合」されている日本にとっても、重要な問題です。
『日刊IWJガイド』6月19日号で紹介したように、米国の元国防次官補で、元サウジアラビア大使のチャス・フリーマン氏は、グレンディーセン教授の6月7日のインタビューで、こう述べています。
「現在、米国議会では、イスラエル軍を米軍に組み込む試みが進められています。 研究開発、兵器調達、その他あらゆる分野においてです。 つまり、米陸軍や空軍の将官、海軍提督が、イスラエルに対して情報や兵器の提供を拒否することが、事実上、違法になるような仕組みを作ろうとしているのです」。
- 世界各国のイスラエルに対する支持率が急降下!(その1)外部からの支援を失って滅びた十字軍国家の二の舞いとなるか!? (日刊IWJガイド、2026年6月19日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20260619#idx-3
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55625#idx-3
ここで、フリーマン氏が述べているのは、5月26日に公表された、下院版の2027会計年度国防権限法(NDAA)の第224条「米国・イスラエル防衛技術協力イニシアティブ」のことです。
軍事介入より外交を重視するワシントンのシンクタンク、クインシー研究所の政策雑誌『レシポンシブル・ステートクラフト』は、5月29日付で、この法案について、従来のイスラエル・ロビーの影響力を超える「並外れた米国内での影響力をイスラエルに与えることになる」と強く警告しています。
「米国民がイスラエル政府に対してかつてないほどの不信感を示している時期に、米議会は今、米国とイスラエル軍との結びつきをこれまで以上に強化する提案を行った。
火曜日(5月26日)に公表された下院版の2027会計年度国防権限法(NDAA)には、『米国・イスラエル防衛技術協力イニシアティブ』と題された第224条がひっそりと盛り込まれている。
この規定は、1948年の建国以来、イスラエルが米国から受けてきた総額2000億ドル(約32.3兆円)超(インフレ調整後)の軍事援助以上に、米軍とイスラエル軍を相互に結びつけるものになる可能性がある。
第224条は、2国間の研究開発、兵器の共同生産、共同事業、ライセンス契約、さらには米国とイスラエルの軍産複合体による、ほぼあらゆる形態の協力の基盤を築くものである。
米国とイスラエルは、すでにミサイル防衛分野で緊密に協力しているが、この規定は、その協力を大幅に拡大し、AI(人工知能)、量子技術、自律システム、指向性エネルギー兵器、サイバー技術、バイオテクノロジーなど、防衛技術のほぼすべての分野へと広げることになる。
また、この規定は『ネットワーク統合』と『データ融合』も提案している。言い換えれば、近い将来、米軍のデータは、イスラエル軍のデータにもなり得るのである。
もし完全に法制化されれば、この提案は、米国が世界のいかなる国とも持っていないほど高度な軍事・産業統合を実現することになる。
もちろん、米国は、NATO諸国と共同生産や共有サプライチェーンの分野で緊密に協力してきた。特に防衛生産行動計画がその代表例である。
また、世界最大の武器輸出国として、米国は世界中の軍隊に兵器を供給している。しかし、それは基本的に一方向の関係であり、米国が外国の購入国に兵器を供給し、それらの国が、時折その兵器の部品を製造する程度である。F-35戦闘機の国際サプライチェーンが、その一例である。
しかし、第224条は、まったく別種のものである。
それは、自律システムやサイバー分野といった、将来の戦場にとって極めて重要な複数の領域において、米国とイスラエルの防衛部門を融合させることになる。
さらに、この規定は、イスラエル・ロビーやその強力なソーシャルメディア・インフルエンサー網を通じて、すでに有しているものを超える、並外れた米国内での影響力をイスラエルに与えることになる」。

































