【第712号-714号】岩上安身のIWJ特報!西側政府とメディアはなぜ、マイノリティーのウクライナ国民であるロシア語話者への差別、殺戮に「沈黙」し、ロシアの介入を「いわれなき侵略」と言い続けたのか!? 2015年から2022年までドンバス戦争を現場でその目で見てきた元OSCE監視員が、ウクライナ戦争の「真実」を明らかにする! 岩上安身によるインタビュー第1209回 ゲスト 元フランス陸軍予備役将校(大尉)、元欧州安全保障協力機構(OSCE)監視員 ブノワ・パレ氏 2026.3.1

記事公開日:2026.3.1 テキスト独自
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(文・IWJ編集部)

特集 ロシア、ウクライナ侵攻!!|特集 IWJが追う ウクライナ危機
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 2015年から2022年まで、ウクライナのドンバス地域で、欧州安全保障協力機構(OSCE)(※1)の監視員を務めていたブノワ・パレ氏は、2025年5月、初めての著書『What I Saw in Ukraine 2015-2022 Diary of an International Observer(私がウクライナで見たこと2015~2022年 国際監視員の日記)』を上梓した。

▲パレ氏の著書『What I Saw in Ukraine: 2015-2022 – Diary of an International Observer』
https://bit.ly/3O5K3Kd

 同書は、パレ氏が取材したウクライナの人々の証言や、自身の見聞にもとづいて、ウクライナ戦争での嘘や隠蔽を告発しており、貴重な歴史的記録となっている。

 OSCEは、ミンスク合意(ドンバス戦争(※2)の停戦合意の文書)の履行を監視する唯一の国際機関として、ウクライナ特別監視団(OSCE SMM)を現地に派遣し、停戦・重火器撤収・人道状況などを監視して日報を出していた。

 パレ氏はそのOSCE SMMの一員として、2014年のユーロ・マイダン・クーデターの翌年からウクライナ東部のドネツク州に入り、2022年2月24日にロシアが侵攻するまで、中立な立場で情報収集や監視活動を行っていたのである。

 2025年12月12日と13日、東京都内のIWJ事務所にパレ氏をお迎えして、岩上安身によるインタビューを行った。重要で、興味深いさまざまなエピソードを語っていただき、その様子は現時点で4回に分けて動画配信している。今回のIWJ特報は、そのインタビューの1回目と2回目をテキストにまとめてお届けする。

 ロシアが侵攻するまでのウクライナ東部の状況を、長期にわたって記録していたパレ氏の話は、ウクライナ内部の分断や、構造的な問題を浮き彫りにする。それは、西側諸国が描くウクライナの物語(ナラティブ)を突き崩すものであり、そのため、パレ氏が大手メディアに登場することは、ほとんどない。著書も、今のところは英語版とフランス語版だけなので、日本の多くの人には知られていない。

 岩上安身のインタビューは、まず、パレ氏の経歴を紹介していくことから始まった。

 OSCEの監視員になる前は、フランス陸軍予備役将校(大尉)であり、フランス国防省でアナリストを務めたこともあるパレ氏は、フランスの徴兵制を経験した最後の世代だ。「1995年に兵役についてから30年間、国際関係や安全保障の分野に携わってきた」と自己紹介をした。

 陸軍時代は、外人部隊、海兵隊、空挺部隊の精鋭からなる即応行動部隊(ラピッド・アクション・フォース)として、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦に派遣された。泥沼の戦闘と悲惨な民族浄化が繰り広げられ、混迷を極めたボスニア・ヘルツェゴビナでの体験は、心に深く突き刺さったという。

 「あの場所で、私は人間の本質について多くを学び、ある意味で、人類に対する幻想を失った。同時に、そこで学んだのは、自らを『正しく、善良で、他国よりも優れている』と言い切れる国など、どこにも存在しないということでした」

 ボスニアで5年間働いたパレ氏は、2001年に起きたアメリカ同時多発テロ(9.11)をきっかけに、フランス国防省でアナリスト(分析官)として勤務する。

 国防省にいた時期に、西側の政府の視点から物事を見ることを学んだパレ氏は、立場上、ジャーナリスト以上に多くの情報に触れることができたが、「同時に、口にはできない情報にも接した」と明らかにした。

 その後、陸軍の予備役将校として復帰し、コソボ、アフガニスタン、レバノンなど数多くの海外任務に参加。中でもアフガニスタンでの任務は、非常に危険なものだったという。

 2007年から再び国防省に戻り、外交電報にアクセスできる立場だったパレ氏は、在ロシア・フランス大使館からの情報で、アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権が、ウクライナとジョージアをNATOに加盟させるように、ヨーロッパに圧力をかけていることを知る。

 当時のフランス大使は、「ロシアにとって、ウクライナのNATO加盟は『レッドライン』。到底、受け入れられない」と回答しており、その最大の理由は、ロシアがクリミアの不凍港、セヴァストポリ海軍基地を手放すことはあり得ないからであった。

 このような経緯から、2014年にウクライナで事態が動き始めた時、パレ氏はロシアのクリミア併合などを完全に理解できたという。そして、ウクライナでの任務を志願して、2015年の夏から現地に派遣され、OSCEの活動に従事した。

 ユーロ・マイダン・クーデター以降、緊張が高まっていくロシアとウクライナの状況を、つぶさに観察することができたパレ氏は、2022年のロシア侵攻の翌日に現地を離れ、同年5月に契約終了となる。そこから2年間は、ウクライナで得た知見を活かしてジャーナリストとして活動し、やがて、自分の経験を本という形で語りたいと考えるようになる。

 「ウクライナについて、私が知っていたようなことを、知っている人は、わずかしかいない。しかし、政府の立場では、こんな本を書くことは許されない。私は、以前の人生に戻れないことを受け入れる覚悟をしました。自分が知っていることを、語ることの方が、あまりにも重要だと思ったからです」

 こう自らの決意を語ったパレ氏は、「私が知っていることは、世界の人々が、ウクライナ戦争をどう受け止めているかを、根本から変えうると気づいた。だからこそ、話さなければ、公にしなければならない」と訴えた。

※「ウクライナ政府がドンバス地方でロシア系住民に対するジェノサイドを行った」! ロシアの反訴を、国際司法裁判所(ICJ)が正式に受理!! ロシアによるウクライナへの軍事介入は「いわれなき侵略」ではなかったのではないか!? IWJ記者の質問に、「ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙である」と、従来の政府の立場を繰り返す茂木大臣!! ~1.20 茂木敏充 外務大臣 定例会見 2026.1.20
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/530203

※グレン・ディーセン教授の番組に、元欧州安全保障協力機構(OSCE)職員のフランス人で、ドンバス地域で監視員を務めたブノワ・パレ氏が登壇! ウクライナ紛争の始まりについての現場の見聞を初めて証言!! 「この戦争は偶発的ではなく、明確に準備され、意図的に挑発されたものであり、ウクライナ側はあらゆる手段でロシアを挑発し、ロシアに先に攻撃させることに成功した」! 2025.11.8
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529612

※東西ドイツを統合するために、ゴルバチョフソ連大統領(当時)に「NATOを1インチも東方拡大しない」と表明したベイカー米国務長官(当時)の約束を、「条約ではないから無効」だと主張する米国に、ロッタ博士が重要な指摘!「ハーグ国際司法裁判所(ICJ)の1974年の判決で、条約がなくても、口頭での約束にも法的に拘束力があると明言されている」! 岩上安身によるインタビュー第1200回ゲスト neutralitystudies.com主宰 京都大学大学院法学研究科・准教授パスカル・ロッタ博士(前編) 2025.7.16
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528365

記事目次

  • 欧州安全保障協力機構の監視員として、2015年からウクライナで現場を見てきたパレ氏。今、「ロシアのいわれなき侵略」とされている戦争の真実を明らかに!
  • 1995年、フランスの軍人としてヨーロッパ最悪の紛争地、ボスニア・ヘルツェゴビナへ。「あの場所で人類に対する幻想を失い、人間の本質について多くを学んだ」
  • フランス国防省にいた2007年、米ブッシュ政権がウクライナのNATO加盟を画策していると知る。当時の駐露フランス大使は「ロシアは到底受け入れない」と回答!
  • 2015年、ウクライナのドネツク州へ。紛争の最前線で見た現実は、西側メディアが流す「ロシアによるウクライナ侵略の物語」とは違っていた!
  • 公職を退き、母国フランスを離れ、覚悟を決めて言論活動を開始。これまでに蓄積した知識と経験を総動員し、そこで何が起きていたのかを伝えていく!
  • ウクライナで特別な情報を得られる立場だったパレ氏。「情報を持っていて、話すことを恐れていないのは自分だけ。他の人達は決して口を開かないだろう」
  • 外交官も軍人も目標のために奉仕する。だから国に都合のいい出来事は利用し、目標にそぐわない現実は無視!「そういう『ゲーム』なんだと理解していた」
  • 「勝った、勝った、ウクライナ、また勝った!」の「大本営発表」が繰り返された3年半。現地で両陣営を中立の立場で見てきたパレ氏は、現代史の生き証人!
  • 「均質なウクライナ民族のウクライナ国家」なんて存在しない! 旧ソ連が封じ込めた複数言語問題、複数民族問題が、今、噴出しているのに西側はそれを放置!
  • 戦争中の国で悪化する治安状況に対応しつつ、国際機関が活動するのは大きな挑戦。ウクライナではOSCEの車両が地雷を踏んで犠牲者を出したことも…
  • ウクライナでロシアが占領している地域は基本的にロシア語話者が住むところ。しかし「ロシア系住民の安全確保」という視点で伝えるメディアはほとんどない!
  • OSCEでは1ヶ所に長く勤務する者が多いが、パレ氏は志願して異動、多彩な経験を積む。「ルガンスクには誰も行きたがらなかった。でも、自分の目で確かめたかった」

欧州安全保障協力機構の監視員として、2015年からウクライナで現場を見てきたパレ氏。今、「ロシアのいわれなき侵略」とされている戦争の真実を明らかに!

▲西側政府とメディアはなぜ、マイノリティーのウクライナ国民であるロシア語話者への差別、殺戮に「沈黙」し、ロシアの介入を「いわれなき侵略」と言い続けたのか!?
https://bit.ly/3NHSxXZ

岩上安身(以下、岩上)「はい、皆さん。こんばんは。

 西側政府とメディアは、なぜ、マイノリティのウクライナ国民であるロシア語話者への差別、殺戮に対して沈黙し、ロシアの介入を『いわれなき侵略』、つまり『いわれなき』というのは、理由のない、侵略というようなことですよね。ロシアには、正義も何もないということを、言い続けてきました。

 2022年2月からですから、約3年ですね。いまだに、日本政府はこう言っておりますし、マスメディア、それからSNSなどでも、膨大にそういう言葉が飛び交ってます。YouTubeなんかでは、AIを使ったプロパガンダのYouTubeが流れていて、明らかに、どこかから金出ているんだろうな、というふうに思います。

 こういうことを、なぜ、言い続けてきたのか。明らかに、ドンバスその他のところで、虐殺があったわけです。

 この問題は、誰か(専門家)に明らかにしてほしいと、ずっと探していたんですけれども、うってつけの方が見つかりました。

 元フランス陸軍予備役の将校(大尉)の方です。陸軍での仕事を務めたあと、元欧州安全保障協力機構、OSCE、停戦している、非常に危険な地帯へ行って、監視員をするという仕事ですね、それをおやりになられた、ブノワ・パレさんを、本日はスタジオにお招きして、お話をうかがいたいと思います。

 パレさん、はじめまして。よろしくお願いいたします」

ブノワ・パレ氏(以下、パレ氏)「よろしくお願いします」

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