2025年11月20日、米国のトランプ大統領は、28項目からなる新たなウクライナ和平案を示した。
この和平案は、東部ドンバス地方の事実上の割譲、ウクライナがNATO加盟を断念すること、ウクライナ軍の縮小などが主なポイントになっている。
11月23日に開かれた米国とウクライナの高官協議では、ウクライナが受け入れ難い領土の割譲などが先送りされ、28項目は19項目に絞り込まれた。
米メディアは11月25日、米政府高官の話として、「トランプ大統領が提示した和平案に、ウクライナが基本合意した」と報じた。
そして、トランプ大統領は同日、ウィットコフ特使に、モスクワを訪問してプーチン大統領と協議するよう指示を出したと、自身のSNSで明かしている。
※<ウクライナ紛争の転換点(その1)>ウクライナ紛争は、大きな山場を迎える! 軍事的に追い詰められるウクライナ軍、汚職問題と最側近への解任要求で政治的に追い詰められるゼレンスキー氏、トランプ大統領は28項目からなる新ウクライナ和平計画に署名! 11月27日までと、回答期限を切る! ゼレンスキー氏は国民に「今は、私達の歴史の中で最大級に困難な瞬間」と演説!(日刊IWJガイド、2025年11月24日)
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※<ウクライナ紛争の転換点(その2)>スイスで、米国が提案する28項目の和平案について、米代表団とウクライナ代表団、そして米代表団・ウクライナ代表団・欧州諸国代表団との協議が行われる! ロシアの見解はどうなのか? 元CIAの情報分析官であるラリー・ジョンソン氏は、現状の28項目の和平案を「ロシアは受け入れないでしょう」、モスクワでは多くの人が「米国が撤退すればこの戦争は終結する」と言っていると指摘! ロシアは戦場で優位を確保しており、「ロシアは軍事的に決着をつけるでしょう」と予想! トランプ大統領は、ゼレンスキー氏が和平案を拒否するなら、ウクライナは「心臓が破れるまで戦えばいい」と宣告!(日刊IWJガイド、2025年11月25日)
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※<ウクライナ紛争の転換点(その3)> 米国が提案する28項目の和平案に対抗して、欧州が独自案を提示! ウクライナ軍を欧州最大の軍隊とし、NATO拡大の含みも持たせ、ロシア凍結資産をウクライナ復興に使い、ロシア系住民の権利・保護やネオナチの排除を軽視し、戦場の現実を見ずロシアに戦争賠償を求める欧州案! 欧州は、「ウクライナの勝利」という幻想に酔って、戦勝国気分!? 実際には、ウクライナが圧倒的に劣勢な戦況を示す両国の遺体交換比率は30対1000!! ロシア兵30人の死者に対して、ウクライナ兵の死者1000人という衝撃的な現実!!(日刊IWJガイド、2025年11月26日)
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※<ウクライナ紛争の転換点(その4)>「欧州案」を反映した新たな19項目の和平案が作られる! ロシアのラブロフ外相は、ミンスク合意でロシアを欺き、ロシアとウクライナの和平交渉を潰してきた欧州に和平交渉に介入する資格はない、「あなた達は、ただ単に『落第』したのです」と明言! アブダビでロシア交渉団と協議中のダン・ドリスコル米陸軍長官は、ウクライナ側と協議へ。米国のウィトコフ特使はプーチン大統領と協議するため、モスクワへ!(日刊IWJガイド、2025年11月27日)
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米国経済の悪化や、長引く政府閉鎖の影響などで、支持率が低迷するトランプ大統領が、1年後の中間選挙(国・地方の統一選挙)を見据えて「実績づくり」に出たとの解釈もあるが、戦闘が4年近く続くロシアとウクライナの和平に向けて、大きな展開が期待されている。
2025年8月1日、「岩上安身によるインタビュー第1200回ゲスト neutralitystudies.com主宰 京都大学大学院法学研究科・准教授パスカル・ロッタ博士(中編)」を初配信した。
10月の『岩上安身のIWJ特報!』では、このインタビューの「前編」をお届けした。

▲パスカル・ロッタ氏(2025年7月16日、IWJ撮影)https://iwj.co.jp/wj/open/wp-content/uploads/2025/10/IMG_1230.jpg
その「前編」は、サポート会員であれば、以下のURLから御覧いただける。
※東西ドイツを統合するために、ゴルバチョフソ連大統領(当時)に「NATOを1インチも東方拡大しない」と表明したベイカー米国務長官(当時)の約束を、「条約ではないから無効」だと主張する米国に、ロッタ博士が重要な指摘!「ハーグ国際司法裁判所(ICJ)の1974年の判決で、条約がなくても、口頭での約束にも法的に拘束力があると明言されている」! 岩上安身によるインタビュー第1200回ゲスト neutralitystudies.com主宰 京都大学大学院法学研究科・准教授パスカル・ロッタ博士(前編)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528365
岩上安身は、ウクライナの現状を、「マンパワーも資金も尽きた。ゾンビに注射を打ちながら戦わせている状態」と表現し、停戦について、「もう、ゼレンスキーが主体ではない。欧米の考えに大きく影響される」として、この紛争の着地点がどうなるのか、ロッタ氏の予想をたずねた。
ロッタ氏は、「ロシアも、いずれは戦闘を停止する必要があることを知っている。問題は、どのようにして止めるか」だと前置きして、こう続けた。
「アメリカは即時停戦(あとで再開するにしろ、まずは一時停止)を求め、ロシアは和平合意と軍事的終結を同時に実行することを要求していた。
ロシア側は、『安全地帯や緩衝地帯を確立しないまま、今ここで停戦すれば、ウクライナ側に再軍備する時間を与え、NATOに武器を供給する時間を与える。彼らは再び、我々を攻撃するだろう』と主張しています。
ただし、『交渉しない』とは言っていない。ロシアは繰り返し、交渉を通じて合意に達することができるのであれば、戦闘による解決よりも、そのほうがいいと表明してきた。
したがって、状況の展開次第でわかってくるでしょう」。
岩上安身は、「どちらが先に金がなくなるかの戦争、みたいになってきている。ヨーロッパも非常に景気後退しているし、アメリカは財政赤字がひどい。その財政赤字を、戦争をやめて立て直すのが、トランプ大統領の政策だったはず。戦争の力、ウォーパワーというのは、背景に国力、国の経済力があってこそ」と指摘した。
ロッタ氏は同意し、「工業基盤を維持している国々は、戦争能力において、常に一歩リードするでしょう。米国は様々なレベルで戦争を繰り広げていますが、工業面では現在、より弱い立場にあり、これはNATO全体にも当てはまります」と応じた。
その後、ロシアとウクライナの現在までの経緯や、米国やヨーロッパの動きを振り返っていく中で、ロッタ氏は、「今のヨーロッパの政治指導層は、ある特定のナラティブ(物語)に、完全に取り込まれている」と指摘した。
「彼らは、『ロシア抜きで進む』『中国に対抗する形で進む』『大西洋を挟んだトランスアトランティック(大西洋をはさむ米欧の)ネットワークの中で進む』という3つの道しかない、と感じている」とロッタ氏は語り、それは、米国がヨーロッパに対する直接的な支配力を強めるための手段ではないか、との見方を示した。

































