ロシアはインドに最新兵器を輸出する一方、ウクライナ紛争でロシアにドローンを輸出したイランには、最新兵器を渡さず、イランはロシアに不信感を持っている!? イスラエルはイランの体制転覆を望んでいるが、そんなことができるのか!? 倒した後、民主的な指導者が出てくるのか!? 岩上安身によるインタビュー第1199回ゲスト 放送大学名誉教授・高橋和夫氏(前編) 2025.7.8

記事公開日:2025.7.14取材地: テキスト動画独自
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特集 中東

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 2025年7月14日、「岩上安身によるインタビュー第1199回ゲスト 放送大学名誉教授・高橋和夫氏(前編)」を初配信した。

 2025年6月に世界を揺るがせた、イランとイスラエルとの「12日間戦争」の火種が、中東から西アジア、南アジアへと連動していけば、中東から9割のエネルギー資源を輸入している日本にとっては、大きな打撃となる。

 直近の中東情勢について、高橋氏は、次のように解説した。

 「イスラエルは2023年10月7日からのガザの戦争で、ハマスを叩き、昨年(2024年)の秋に、レバノンのヒズボラを叩いた。

 レバノンのヒズボラは、ミサイルをたくさん持っていたので、イスラエルはある意味、イランに対して動けないということだったんですけど、まんまとヒズボラのミサイルを潰すことに成功した。

 シリアを陸上部隊で支えていたのは、ヒズボラだったんですけど、それが動けなくなったので、(シリアのアサド政権が)反体制にひっくり返された。

 ですから、ハマス、ヒズボラ、シリアと、イランのお友達は、みんなやられちゃった。

 それで、去年の10月に、イスラエルがイランを爆撃しましたね。その時に、イランの防空部隊を潰しちゃったんですね。

 ですから、イスラエルの軍事専門家が言うには、『サッカーに例えると、イランチームは、もう3人(ディフェンダー役のハマス、ヒズボラ、シリア)レッドカードで退場している。ゴールキーパー(防空部隊)は負傷している。だから、今シュートしなくて、いつするんですか?』というので、『ゴール』というのが、イランの核関連施設だったんです」。

 さらに高橋氏は、イスラエルによるイランへの国際法違反の先制奇襲攻撃の裏側を、次のように明らかにした。

 「待てば、イランがまた、防空体制を立て直しますから、それまでがチャンスだということになった。

 それでもトランプ(米大統領)は、『外交(イランとの核交渉)をやるから、待て』ということで、『どのくらいか?』と(イスラエルが)言ったら、『2ヶ月』ということだったので、2ヶ月待った。

 だから、(トランプ大統領は、イランに対して、交渉での合意のための期限を60日間与えていた)61日目でしたよね。イスラエルが爆撃を始めたのは」。

 また、高橋氏は、ロシアが供給するイランの防空ミサイルが、あまり効果を発揮しなかったことについて、次のように解説した。

 「ロシアの最新の防空ミサイルはS-500ですが、イランが以前からS-400を求めているのに対して、ロシアは(旧式の)S-300しか渡していません。

 ロシアは、ウクライナ紛争で忙しいので、最新兵器を出す余裕がない、というのが一つ。

 もう一つは、やっぱりロシアは、イランが強くなることを望んでいないのだろう、というのが、2つ目の見方です。

 この見方を補強するのは、最近、ロシアがインドと契約を結んで、最新兵器をインドに出しています」。

 イランはロシアにドローンを輸出したため、ウクライナ紛争でロシアと敵対する欧州諸国との関係がダメになったのに、ロシアはイランに最新兵器を輸出してくれない。「だから、イランもロシアに対しては、不信感を持っている」「ロシアは、最後まで支えてくれなかった」と、高橋氏は述べた。

 一方、高橋氏は、「(ロシアと戦争をしている)ウクライナのゼレンスキーは、(イスラエルの)ネタニヤフ(首相)に、イスラエルの防空技術である『アイアンドームが欲しい』と言っているが、イスラエルは(ウクライナにアイアンドームを)出していない」と指摘し、「もしかしたら、ロシアとイスラエルとで、そういう話がついているのかもしれないが、それはわからない」との見方を示した。

 他方で、米軍によるイランの核施設爆撃については、イランの濃縮ウランは事前に運び出されて、破壊されていないという指摘もある。

 こうした報道に対し、「完全に破壊された」と主張するトランプ大統領の怒りを見て、「これ(破壊されていないという指摘)は、本当なんだなという印象を受けましたね」と述べた高橋氏は、「再度のイラン爆撃はあると思うか?」という岩上安身の質問に対し、次のような見方を示した。

 「もう一回やろうという、イスラエルの希望は、強いですよね。

 でも、もう一回やっても、またイランが(核開発を)やったら、もう一回ということになると、結局もう一回、もう一回なんて、いつまでもやっていられないから、『もう、(イランの)体制そのものを、ひっくり返すしかない』という議論にまで、展開するわけです」。

 ハメネイ師を最高指導者とする、現在のイランの体制の転覆について、高橋氏は、「イスラエルはそれを望んでいる」との見方を示す一方、「一つは、そんなことができるのか。もう一つは、倒した後、民主的な人が出てくるのか」と、疑問視した。

 また、高橋氏は、「イスラエルは最初から、米国を巻き込むつもりで、イランとの戦争を始めたのではないか」との考えを示している。

 この点について、高橋氏は、以下のように語った。

 「どこで、トランプが『やる』と決めたか、というのは、わからないんですけど、でも、(米国しか保有していない)バンカーバスターを使っても(イランの地下核施設を破壊できるかどうか)わからないけど、使わなければ、絶対に地下の施設を破壊できないことは、(イスラエルは)最初からわかっていて、爆撃を始めたわけですから、最初からネタニヤフは、トランプを巻き込むつもりだったと思うんですね。

 トランプが、いつ(イラン爆撃に)行くと決めたのか、最初のイスラエル側の括弧つきの『成功』を見て、勝ち馬に乗ったのか、最初からやるつもりだったのか(は、わからない)。

 ただ、『2週間以内に(軍事介入するかどうか、決断する)』と言った時には、もうやるつもりだったんでしょうね」。

■ハイライト【前編】

  • 日時 2025年7月8日(火)15:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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