イスラエル軍が、イランへの大規模攻撃を開始! G7も「自衛権」を認める! さらに米軍もイランの核施設を爆撃し、破壊! 核の脅威を口実にした「先制攻撃」は許されない!~岩上安身によるインタビュー第1197回ゲスト 現代イスラム研究センター 理事長 宮田律氏 第2回 2025.6.18

記事公開日:2025.6.24取材地: テキスト動画独自
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(文・IWJ編集部)

特集 中東

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 2025年6月25日、「岩上安身による現代イスラム研究センター 理事長宮田律氏インタビュー 第2回」を初配信した。

<6月13日のイスラエルによる奇襲攻撃から、6月21日の米国による攻撃まで>

 冒頭、岩上安身は、6月13日にイスラエルが、イランに先制の奇襲攻撃を仕掛け、イスラエルとイランの直接対決となった、これまでの経緯に触れた。

 6月16日に開催されたG7首脳会合は、「我々はイスラエルに自国を防衛する権利があることを確認する。イスラエルの安全保障に対する支持を改めて表明する」との声明を出した。しかし、イランの自衛権については、触れていない。

 岩上安身は、いわゆる日本を含めたG7が、一方的に「イスラエルの自衛権」だけを認め、「イランの自衛権に関しては言及しないで、逆に核開発をしているのは許せないと、このような非難を浴びせる」のは、欺瞞だと批判した。

 岩上安身は、核保有国であるイスラエルが、非核保有国であるイランに先制攻撃をかけるのは国際法違反であり、核兵器を持つ前に叩き潰すとか、核施設を破壊するなど、許せる話ではない、とも指摘した。

 そこに、トランプ大統領が、2週間以内に米国が関与するかどうか決めると述べたわずか2日後に、イランの3ヶ所の核施設、イスラエルが破壊しきれなかった核施設を破壊するという介入を行った。

 イラン側は、トランプ大統領による「無条件降伏」の求めに対して、徹底抗戦の意思を示した。

岩上「今、イントロで(これまでの経緯を)話をしたんですけれども、びっくりされたんじゃないですか?」

宮田律氏「そうですね。やはり、主権侵害ですよね。それを正々堂々とやって…本当に驚いたという感じですよね。

 さらに、アメリカがイスラエルの後を追うように、イランを攻撃したというので、さらに驚いた。

 なおかつ、アメリカのトランプが、イランを攻撃してから、『イランは我々を道路脇爆弾で殺害した』と言ったので、さらにびっくりした。道路脇爆弾で米兵を殺したのは、イラクの方であって」

 宮田氏は、「(トランプ大統領は)イランとイラク、まったく区別ができていないという、本当に驚くべきことだなという感じがしました」と述べた。

宮田氏「音は似てますけどね。イランとイラク。まったく区別ができていないという、本当に驚くべきことだなという感じがしましたけどね。

 1国の、というか、世界最大の超大国の大統領が、イランとイラクの区別もできないという、何ということかと。よっぽど、アメリカも人材不足じゃないかなということを改めて感じました」

■ハイライト

  • 日時 2025年6月23日(月)15:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

<イスラエルによるアメリカ支配と、福音派・シオニズム>

 岩上安身は、イスラエルのネタニヤフ首相が、「あからさまにアメリカを動かしているんだということがはっきりわかってきた」と指摘した。

岩上「今、(外国の独立系ネットメディアのコメント欄などで)キーワードみたいにみんなが言っているのが『イスラエル合衆国』という言葉なんですね。

 つまり、イスラエルとアメリカというのは、もう一体だなと。そして頭脳はイスラエルに取って代わられている。

 これはアメリカ人もそういうふうに言っているんですけど、俺達は自由に操られて利用されているという、そんな言い方をしている人達もいる」

 岩上安身は、米国でも日本でも、福音派に限らず、牧師らがYouTube上で、「エゼキエル書」などを引き合いに出して、聖書の預言が成就しつつある、終末戦争が近づいてきている、などと、このイラン・イスラエル戦争を評していると述べた。

 岩上安身は、福音派やシオニストの聖書への狂信とも言える信仰で、世界が動かされている、と主張した。

岩上「(ジェフリー・サックス教授は)『これは黙示録の終末だ』とか、『バイブルに書いてある預言通りになっているんだから、いいじゃないか』とか、『最終戦争によって、これで我々は最後の救いにあずかれるんだ』なんていうメールが来て、本当にこんなことでみんなが動かされていると(言っています)。

 アメリカのキリスト教原理主義者の福音派や、キリスト教シオニストという米国のシオニストが、ユダヤ教とシオニスト達と、手を結びあって、協力しあうという、そういうことが一方で起きている」

 岩上安身は、ウクライナ紛争の以前に、ウクライナ国内で行われたロシア人へのジェノサイドがネグられて(無視・黙殺)しまったように、イスラエルが行っているガザでのジェノサイドもネグられており、「同じ構造」だと指摘した。

<2024年・2025年の振り返り、トランプの「化けの皮が剥がれた」>

 岩上安身は、2025年の中東情勢を振り返った。

・1月15日 イスラエルとハマスが42日間の一時停戦に合意。

・3月18日 イスラエルがハマスに大規模空爆。パレスチナ自治区ガザ地区への攻撃継続を表明。

・4~5月 米国とイランが核協議(断続的に計5回実施)。

・6月13日 イスラエルがイランの核施設を攻撃。

 岩上安身は、イランは米国と核協議の交渉中であり、IAEAの査察も受け入れていたにもかかわらず、ネタニヤフ政権が、トランプ政権と共謀して、6月13日のイスラエルによる奇襲攻撃が実現したと説明した。

 2024年には、イスラエルによる在シリア・イラン大使館への空爆、レバノンへの空爆と地上侵攻、ヒズボラやハマス幹部の殺害事件、シリアのアサド政権転覆などがあった。

 宮田氏は、その都度イランも報復をしたが、ほとんど死者が出ないような、抑制された形で行われたと、述べた。イランの報復は、抑制的なものだった、ということである。

岩上「いったん、レバノンとかシリアを潰しておいて。

 イランとイスラエルの間は、1000キロ以上距離があるんですよね。だから地上戦というのはできない、あるいは簡単に侵攻できない。

 イラン側も(ヒズボラなどを)支援して、地上から侵攻してくることもできないような状況をつくって。イランは地形的に山脈が多くて、そう簡単に入れないようにもなっている、と」

宮田氏「(イランとイスラエルは)遠く離れていますからね。イスラエルがイランに地上兵力を送るというのは、ほとんど不可能な話ですよね。

 だから、ネタニヤフはアメリカの参戦を期待したと思うんです。

 アメリカも、イラクやアフガニスタンで失敗していますから、アメリカの世論が地上兵力を送るというのはまったく賛成しないと思うんですよね。

 だから、決定打が出ないわけです。空爆とかミサイルを撃ち込むだけではなく、戦争の決め手に欠く、ということだったと思うんですよね」

 イラクやアフガニスタンでも米国は失敗し、米兵の被害も出て、戦費が嵩み、撤退せざるを得なくなったのに、バイデン大統領はウクライナ紛争に関与していった。

 岩上安身は、「戦争をやめさせる」と公言していたトランプ大統領も、「化けの皮が剥がれた」のではないか、と指摘した。

岩上「日本でもまだ、トランプのことを信じている人達が、『グローバリストと戦ってくれる、戦争しない大統領』だとか。そんなことを言っている人がいます。

 そんな、戦争をしない、人道的な大統領だったら、パレスチナのガザ地区の土地を全部、収用して、それで彼ら(パレスチナ人)を全部追放して、そこにガザ・リゾートをつくろうと言うわけないじゃないですか。

 やっていることは、ホロコーストですから」

宮田氏「そうですよ」

<6月13日から1週間、メディアは「イスラエル優勢」と言ってきたが、実態はイスラエル側も、かなり追い詰められていたのではないか>

 岩上安身は、6月13日に起きたイスラエルの先制攻撃について、「おさらい」をした。核施設や軍事施設を狙った複数回の空爆、そしてイランの要人を暗殺する「斬首作戦」が行われた。

 それに対して、イランもイスラエルに対して、ドローンと弾道ミサイルで報復攻撃をかけた。

 安いドローンとロケット弾のような安いミサイルを大量に打ち込んで、イスラエルが誇る防空システム・アイアンドームに対して飽和攻撃をかけておき、弾道ミサイルで、アイアンドームを破って、イスラエル領内に着弾させた。

 岩上安身は、一説には、イラン側のミサイルは1発5000ドル、イスラエル側は1発5万ドルとも言われていて、イスラエルは非常にコスト・パフォーマンスの悪い戦いを強いられていると述べた。

 宮田氏は、メディアはイスラエル優勢と報じているが、イスラエル側もかなり追い込まれていたために、トランプが参戦を決めたのではないか、と指摘した。

宮田氏「イランの方は、(攻撃用の)ミサイルがなくなるとか言われていますけども、イスラエルの方も、(迎撃用ミサイルが底を尽きそうで)相当苦しいという話は聞いたことはありますよね。

 第1に、イスラエルは2正面作戦をやってるわけで、ガザとイランという。結構、軍事費がかかっていることは間違いないと思います。

 特に迎撃ミサイルが相当高額で、イスラエルは対イラン戦争は2週間から4週間しか持たないということも言われていて。

 ですから、そういうこともあって、トランプが参戦したのかなという感じもするんですよね。『検討する』と言って、2日後にイランを攻撃したわけですけれども、それほど何て言うか、イスラエルの方に余裕がなくなってきたってこともあるんじゃないかなという気がするんですよね。

 何か、イスラエルの方が優勢みたいな報道のされ方をしていますけれども、本当にそうかなという感じはするんですよね」

 岩上安身も、発表されている被害は、イランの方が数十倍だが、実際は、イスラエル側も相当な被害が出ているのではないかとの見方を示した。

 宮田氏も、イスラエル側の死亡者が24名というのは信じ難い、「大本営発表をやっているんじゃないかな、という気がします」と述べた。

 岩上安身は、未確認情報だがと断った上で、「テルアビブの市長が、『なんてことだ、まるでガザじゃないか』と言ったというんですね。それは皮肉が効きすぎている」と述べた。

岩上「イスラエルは何か情報操作しようとしているようで、あんまり出すなってのは言っているんですけど。

 とは言っても、空から落ちてくるものを、誰彼なく撮って、SNSに出してしまえば、それは流れてきますから。

 かなりの勢いで、(イランの)ミサイルが着弾している様子を見ると、いわゆるアイアンドームが有効じゃないということを言われましたけれども。

 三層のミサイル防衛網があるとのことですが、それらも機能していないんじゃないか。あるいは大分やられちゃったんじゃないか? あるいはもう数が…」

宮田氏「打ち尽くしちゃった、ということもあるかもしれないですよね」

 岩上安身は、イランの極超音速ミサイルを、イスラエルは迎撃できないようだと述べた。

<イランは専制的な神権国家なのか? 自由化が進むイラン社会は、「トランプのアメリカ」よりも自由!?>

 宮田氏は、最近、イラン社会も変わってきて、街を歩く女性達の服装も変わっていると、スライドを見せながら、説明した。

宮田氏「イラン社会の変化が起きている。この女性なんか、ちょっとオヘソを出して歩いているような感じがするんですけど、スカーフをしていない女性が増えているという感じですよね。

 ずっとヒジャブというスカーフが強制着用だったんですけど、そういうものもしない女性が増えて、だいぶ自由化が進んでいるのだという」

 岩上安身も、本当にヨーロッパの街角のようだと述べた。

岩上「イスラム革命の体制と言いながら、実は民主化というか、自由化というんですかね、それはもう本当に進んでいるということですね」

宮田氏「徐々に、徐々に。やっぱり、一番わかる指標が、女性の服装ですよね。

 ハタミ政権時代(1997-2005)に、スカーフの丈が短くなったり、髪の毛を多く見せる女性が増えたりして、そういった自由化というのが、もう歯止めがきかなくなっちゃったんですよね。

 2023年に女性の服装に関する反対デモみたいなのが起こって、それからもう政府は、力でもって弾圧するということがなくなったんですよね。

 やっぱり、あまりにも強権発動すると、体制が動揺しちゃうということもあるので。自由化が進んできたという、イランも普通の国にだんだん近づいてきたのかなという感じがしますね」

岩上「こういうことって、日常的なことですけど、知っておかないと。

 イランを『ならず者国家』と呼んだのは、(米大統領の)ブッシュでしたけれども。『イラン、イラク、北朝鮮』とかを(名指しして、『ならず者国家』と)言ったわけですけれども」

宮田氏「(イランは)北朝鮮とは、全然違うと思いますね。

 かなり、イラン人の場合は自由ですし、海外渡航も自由にできますから、北朝鮮とその辺はまったく違いますよね。(中略)

 周辺の何かアラブの君主制の国に比べても、自由があるような感じがしますよね」

岩上「これを専制国家とか、『ならず者国家』となじったり、というのは、ちょっと的外れかな、と」

宮田氏「そうですね。トランプのアメリカよりも、よっぽど自由があるかもしれないですよね」

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