2022年6月17日金曜日、午後5時半頃から、「原発事故損害賠償4訴訟(千葉・群馬・生業・愛媛)最高裁判決後の報告集会」が日本教育会館一ツ橋ホールで行われた。
福島第一原発事故に伴う避難をめぐり、国と東京電力に賠償を求めた裁判は、全国で約30件ほど起きている。原告の総数は約1万2000人を超える。
今回の最高裁判決は、その中でも裁判が進んでいた福島、千葉、群馬、愛媛による統一判決だ。いずれの判決も高裁では東京電力の責任を認めていたが、国の責任については、4つのうち福島、千葉、愛媛では責任があると、群馬では責任がないと、司法判決が分かれていた。
- 「群馬の判決の仇を討ったよう! 子や孫に希望が持てる判決が出たのである意味びっくりしている!」逆転勝訴を受けた原告の声!~2.19「福島原発千葉訴訟 第一陣控訴審」判決後の報告集会 2021.2.19
今回の争点は主に2つあった。
長期評価にもとづき津波を予見できたのかという予測可能性と、国が東電に対策を取らせれば事故が防げたのかという結果回避可能性についてだ。
最高裁第2小法廷で、裁判官4人のうち、元大阪高検検事長の三浦守裁判官は国に責任があると判断したが、元大阪高裁長官の菅野博之裁判長、元弁護士の草野耕一裁判官、元消費者庁長官の岡村和美裁判官の3人が、国の責任を認めないと判断した。この結果、判決では国に賠償責任はないとする統一判断が示された。
菅野博之裁判長は、仮に対策をとっていても、試算されていた津波と現実の津波は大きさも方向も異なっていたため、仮に様々な対策を取っていたとしても、防げたとはいえない、とまとめた。
判決は2つの論点のうち、津波を予見できたか否かという予見可能性には触れておらず、争点としなかった。
今回の最高裁による統一判決は、今後控えている裁判にも影響可能性がある。
IWJ記者はいわゆる「生業訴訟」(福島原発訴訟)の弁護団事務局長を務める馬奈木厳太郎(いずたろう)弁護士と原告団団長の中島孝氏に取材を行った。