2021年5月20日、東京・千代田区のスぺ―スたんぽぽで、元裁判官で弁護士の井戸謙一氏による講演、「子ども脱被ばく裁判で見えたこと:福島原発事故と放射線被曝」が行われた。
井戸弁護士によると、「子ども脱被ばく裁判」とは、福島原発事故発生後の行政の責任を問う訴訟として、第一次提訴(2014年8月)から今日まで、途中「子ども人権裁判(行政訴訟)」「親子裁判(国家賠償訴訟)」の二つの訴訟を併合して足掛け7年闘われてきたものである。一審の福島地方裁判所で今年3月に判決を得たが、結果は全面棄却の敗訴となり、原告らは同月控訴した。井戸弁護士は「現在控訴理由書を書いているところだ」と経過を語った。
訴訟の意義について、井戸弁護士は「福島の事故後、たくさんの訴訟が起きたが、ほとんどは事故を起こした東電、あるいは適正な規制を行わなかった国が相手だが、この裁判は福島原発事故発生後の行政の責任を問う訴訟で極めて珍しい、意義のある裁判だ」と述べた。
また、子どもたちの被曝については「事故当時、混乱状態の中で、なかなかうまくいかなかったということは十分あると思うけれども、(行政による)意図的な被曝軽視対策、あるいは意図的な法律無視が繰り返された、それが問題なんだ、ということを主張している」と述べた。