2021年2月26日、東京都千代田区の司法記者クラブで、3月1日に福島地方裁判所で判決が予定される「子ども脱被ばく裁判」について、原告と弁護団が記者会見を行った。
「子ども脱被ばく裁判」は、行政訴訟と国家賠償請求訴訟からなる。
行政訴訟は、福島県内の公立の小・中学生ら原告が、県内の市・町を相手取り、放射能被曝の観点から、土壌汚染濃度が放射線管理区域基準未満であることや、空間線量からの追加被曝が年1ミリシーベルト未満であることなどの安全基準を満たした施設で教育を実施することを求めた「こども人権裁判」。
国家賠償請求訴訟は、3.11当時福島県内に居住していた子と親らが、国と福島県に対し、不合理な施策によって子どもたちに無用な被曝をさせ、精神的苦痛を与えたことによる損害賠償(一人当たり10万円)を求めた「親子裁判」。
会見で原告代表の今野寿美雄氏は「6年半の長きにわたり審理が続いてきた」と振り返り「事故より10年となる今でも、多くの親たちが子どもたちの健康に不安を抱いている」「10年が過ぎるからといって、原発事故は終わったわけではない」と述べた。
今野氏は「県民健康調査検討委員会では、昨年6月末の集計された小児甲状腺がんの患者数が、確定者、疑いのあるものあわせて252名となっている」「患者本人及び親、家族たちの痛切な思いが察せられる」と話し、「子どもたちには、安全で安心な環境で教育を受ける権利があります」「行政はこの権利を守らなければならない」「子どもたちに安全安心な環境と未来を提供できるような判決が出る事を願っております」と訴えた。