核兵器禁止条約発効から1年。「いまだ不参加の日本は核廃絶にどう取り組むのか?」との質問に「条約には核兵器国が参加していない。米国との信頼関係を基礎に核兵器国を関与させていく」~1.21林芳正外務大臣定例会見 2022.1.21

記事公開日:2022.1.21取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2022年1月21日午後12時10分より、東京都千代田区の外務省庁舎にて、林芳正外務大臣の定例会見が開催された。

 冒頭、林大臣より、「『核兵器不拡散条約(NPT)に関する日米共同声明』の発出」について、以下のとおり報告があった。

 「日本時間の21日朝、日本外務省および米国国務省の間で、核兵器不拡散条約(NPT)に関する日米共同声明を発出致しました。

 今回の共同声明は、新型コロナウイルス感染症の影響で、第10回NPT運用検討会議の4度目の延期が決定された中、日米で国際的な核軍縮不拡散体制の礎石である、NPTへのコミットメントを再確認する共同声明を発出することによりまして、同会議が早期に開催され、意義ある成果をおさめることを含め、『核兵器のない世界』に向けて前進するための機運を維持・強化することを目指すものであります。

 今夜、日米首脳テレビ会談が予定されているところでありますが、ひきつづき、唯一の同盟国である米国を始めとする、各国と緊密に連携をし、『核兵器のない世界』の実現に向けて、しっかりと取り組んでいきたいと思います」

 続く質疑応答では、「在日米軍のコロナ対策」、「佐渡金山の世界遺産推薦をめぐる韓国の反発」、「日米政府による外務・経済担当閣僚による協議『2+2』」、「ウクライナ情勢」、「核兵器禁止条約」について、各社から質問があった。

 中国新聞記者は「核兵器禁止条約」について、次のように質問した。

 「核兵器禁止条約の発効から明日で1年となります。冒頭の発表とも少し絡むのですが、政府はこの条約に一定の意義を認めながらも、参加をしていないということが続いております。

 意義を認めるのであれば、この条約を活かして、どのように核廃絶を進めていくかということを考えていく必要があると思いますが、この点についての大臣の考えをうかがいたいのと、3月に締約国会議がありますが、前日に『非人道性に関する国際会議』というのが予定されております。これに関して、政府として、出席する考えがあるのかどうか、この2点をお願いします」。

 これに対して林外務大臣は、次のように答えた。

 「核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への『出口』とも言える重要な条約でございます。一方で、現実を変えるためには、核兵器国の協力が必要でありますが、この条約には核兵器国が一国も参加していないということであります。

 従って、今ご指摘があったような対応よりは、日本は唯一の『戦争被爆国』として、核兵器国を関与させるように努力をしていかなければならないと考えております。

 そのためにも、まずは、『核兵器のない世界』の実現に向けて、唯一の同盟国である米国との信頼関係、これを基礎としながら、現実的な取り組みを進めて参りたいと思っております。

 そうした観点から、本日、米国との間で、NPTに関する共同声明を発出したところでございます。また、岸田総理ご自身も、今晩のバイデン大統領とのテレビ電話会談でも、核兵器のない世界へ向けて、ともに取り組んでいくことを確認したい、と述べられております。

 今ご指摘のありました『非人道性に関する国際会議』についてですが、報道は承知しておりますけれども、同会議の招待や参加要請は、現時点で受けておらないということでございます」。

 林大臣の会見後の日程のため、上記5つの質問を以て、本日の会見は終了となり、IWJ記者は質問がかなわなかった。

 詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2022年1月21日(金)12:10~
  • 場所 外務省本省 会見室(東京都千代田区)

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