米軍基地周辺でオミクロン株感染が急拡大!「日米地位協定を改定し米国に奪われている日本の主権を取り返そうという考えはあるか?」IWJ記者の質問に「地位協定の改正は考えていない」~1.7林芳正 外務大臣 定例会見 2022.1.7

記事公開日:2022.1.7取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2022年1月7日午前11時20分より、東京都千代田区の外務省庁舎にて、林芳正外務大臣の定例会見が開催された。

 冒頭、林大臣より、この日の会見の前に開催された「日米安全保障協議委員会(「2+2」)(日本側は、林外務大臣、岸信夫防衛大臣、米国側はブリンケン国務長官及びオースティン国防長官が出席し、バーチャル形式で開催)」について、以下のとおり、報告があった。

 林大臣「今朝、ブリンケン長官、オースティン長官、および、岸大臣と『日米2+2』をテレビ会議形式で開催し、大変充実した意見交換を行うことができました。

 日本を取り巻く戦略環境が厳しさを増す中、日米同盟は一層重要となっております。日米両政府は、それぞれ、国家安全戦略をはじめ、戦略文書の見直しを進めています。日米同盟をいかに進化させ、現在、そして将来の挑戦に効果的に対処し続けるかについて、重要な議論ができたと思っております。

 本日の『2+2』で大きく、以下の3点の成果があったと考えています。

 第1に、変化する地域の戦略環境に関する認識を丁寧にすり合わせるための突っ込んだ議論を行うことができたと考えます。特に、ルールにもとづく秩序を損なう中国の取り組みが、様々な課題を提起していることについての懸念を共有し、日米が地域における安定を損なう行動を共に抑止し、必要であれば対処することを決意致しました。

 地域の平和と安定をさらに損なう中国の東シナ海における活動に対する懸念や尖閣諸島に対する現状変更の試みや、日本の施政を損なおうとする一方的な行動に日米で引き続き結束して反対することを確認致しました。

 南シナ海における主張や活動への強い反対についても確認をし、また、新疆ウイグル自治区、および香港の人権問題に関しまして、深刻かつ、継続している懸念を表明しました。

 さらに、台湾海峡の平和と安定の重要性を、確認を致しました。

 さらに北朝鮮についても、5日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射をはじめ、北朝鮮の核・ミサイル活動について、強い懸念を共有するとともに、安保理決議にもとづく、完全な非核化、拉致問題の即時解決等について、米国と完全な意見の一致を見たところでございます。

 第2に、日米同盟の抑止力・対処力の抜本的強化に向けて、具体的な議論を進めることを確認しました。米国から、強固な拡大抑止に対する揺るぎないコミットメントや地域における体制・能力の強化への決意表明がございました。

 また日本としても、国家安全保障戦略の改定等を通じて、自身の防衛力の抜本的強化を行う旨を説明し、米国から力強い支持の表明がありました。

 さらに、宇宙・サイバー分野での協力深化、新興技術を取り込む技術協力の推進、情報保全の一層の強化等、日米同盟の優位性を将来に渡って維持するための基盤を整備し、投資を行っていくことの重要性について一致を致しました。

 第3に、日米同盟の抑止力を維持しつつ、沖縄をはじめと致します地元の負担軽減を図ることについての重要性についても一致を致しました。普天間飛行場の固定化を避けるためには、辺野古への移設が唯一の解決策であることをあらためて確認を致しました。

 また、本年は、沖縄返還50周年であり、沖縄統合計画にもとづき、嘉手納以南の土地返還の加速化に向けた連携を確認致しました。

 さらに、私と岸大臣から、在日米軍による安全な運用、事件・事故での適切な対応についても、米側にあらためて要請し、緊密な連携を確認しました。

 また、最近の在日米軍の新型コロナ感染状況を踏まえ、在日米軍・従業員を含めた、地元の不安解消に向け、総理の指示を踏まえ、『外出制限』の導入を含め、感染症拡大防止の措置の強化と徹底を米側に強く求めました。

 これに対し、ブリンケン長官から『日本側の要望は明確に理解した。国防省や統合参謀本部とともに、日本における懸念を解消するために努力をしたい』、また、オースティン長官からは、『すでに、ブリンケン長官から、昨日(1月6日)の私(林外務大臣)とのやりとり(※)の説明を受けている。地域住民と米軍兵士の安全を引き続き重視しており、軍指導部とも協議をしている。地域住民と米軍兵士の安全ほど重要なものはなく、そのために出来る限りのことをしたい』との返答がございました。

 今回の『2+2』の結果、日米同盟の今後のとりくみの方向性を示す野心的な共同発表(※)を発出を致しました。また、今回の『2+2』の機会をとらえて、先ほど、在日米軍駐留経費負担に係る特別協定、および、共同研究開発に関する枠組み交換公文に署名を行いました。

 いずれも、日米同盟の今後の強化に向けて、重要な基盤を提供するものでございます。今回の『2+2』での議論を踏まえ、岸大臣、および、ブリンケン長官、オースティン長官とともに、日米同盟のさらなる深化にとりくんで参ります」

 続いて、林大臣と各社記者との質疑応答となった。IWJ記者は、在日米軍基地周辺地域での「オミクロン株」の感染拡大について、以下のとおり質問をした。

 「現在、沖縄県をはじめ、全国各地の米軍基地周辺で『オミクロン株』の市中感染が急速に猛威をふるっており、国民の命と暮らしを脅かしています。

 林大臣は、先ほどの大臣からの報告にもありましたとおり、6日、ブリンケン国務長官に、『在日米軍の外出制限を含めた措置の強化・徹底を強く求める』と伝え、それに対し、ブリンケン氏は『地域住民の健康と安全が重要だ。日本と連携してできる限りのことをしたい』と答えたとのことです。

 ですが、これだけでは具体的な外出規制や日本側による検査・検疫の徹底などの言質が取れたことにはなりません。

 また、『在日米軍の外出制限』はもちろん重要ですが、問題の本質ではなく、問題の本質は『検疫』といういわば主権国家の免疫機構の一部が、他国の裁量に委ねられていること、言葉を変えれば日本という独立国家の主権が米国によって制約されていることこそ、問題視されるべきではないでしょうか?

 6日の電話会談、および、本日午前中に行われた『2+2』において、日米地位協定、正確には1996年に日米合同委員会で合意された『検疫の免除』の見直しについての申し入れは行われていないのでしょうか? また、今後、そのように申し入れる予定はおありでしょうか?

 あるいは、日米地位協定を改定し、『検疫』をはじめ、日本側の主権が奪われている部分を米国との交渉によって取り返そうというお考えはありますか?

 お聞かせください。よろしくお願いします」

 これに対し、林大臣は次のように回答した。

 「米軍関係者の新型コロナ感染については、先ほども申し上げましたが、日米地位協定や関連の合意を踏まえて、現地の保健当局間を含めて、米側からの協力を得ながら、やりとりを行って対応をしてきたところでありまして、『(日米)地位協定』を改正するということは考えておりません。

 昨日の『日米外相電話会談』、および、本日の『日米2+2』で、私から米側に申し入れたように、日米間での連携を一層強化して、引き続き、地元の方々の不安解消に向けて、最大限の努力を行っていきたいと考えております」

 詳細については、ぜひ全編動画で御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2022年1月7日(金)11:20メド~
  • 場所 外務省 3F 会見室(東京都文京区)

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