2020年12月8日(火)午前11時頃から、東京都千代田区永田町の中央合同庁舎8号館会見室にて、西村康稔 新型コロナ対策担当大臣の定例会見が行われた。
冒頭、会見前に開催された政府与党政策懇談会、および、大阪府からの看護師派遣の要請などについて、西村大臣から報告があった。詳しくは全編動画をご確認いただきたい。
続いて、各社記者と大臣との質疑応答となった。 IWJ記者は以下のとおり質問を行った。
「12月5日、6日に共同通信社が実施した全国電話世論調査で、新型コロナウイルスへの政府対応について、『感染防止』と『経済活動』のどちらを優先すべきかとの質問に対し、『どちらかといえば』を含め『感染防止』を挙げたのは76.2%。政府のコロナ対応については、『評価しない』が55.5%で『評価する』の37.1%を上回っています。
また、先月11月18日の会見で、日本医師会の中川会長は『Go To トラベル』について『エビデンスははっきりしないが、感染者急増のきっかけになったことは間違いないと思う』という旨の発言をしています。続いて、11月20日に行われた緊急会見で、東京都医師会の尾崎会長も『GoToトラベル』を『一度中断する』よう強く訴えました。
東京都の昨日12月7日の新規感染者は299人で、都内の累計感染者数は4万4003人となっています。医療逼迫の度合いも高まり、大阪府と北海道では自衛隊への看護師派遣の打診する事態です。そんな中、国土交通省は、来年1月で期限を迎える『GoToトラベル』を来年6月末をめどに延長する方針を明らかにしました。
政府の『Go Toキャンペーン』が現状の逼迫した状況を招いている一因であることは明らかであるように思われますが、政府はなぜ『Go Toキャンペーン』を一旦中断することができないのか、その理由をお聞かせください」
これに対し、西村大臣は、「GoToトラベルについては、観光庁でしっかりと状況を把握しながら、分析などを行ってきている」とし、「いくつかの県で感染が非常に拡大し、ステージ3相当の対策が必要となっているということで、すでにGoToトラベルは、大阪、札幌、東京等については、一部停止する呼びかけ、そして、時短の要請など、対応を行っている」と述べた。
また、大臣は「新潟、石川、福岡、山梨などのデータを見ると、8月以降、急激に、大幅に観光客数が増加しているが、8月、9月、10月と感染を非常に低く抑えている。感染防止策を徹底していれば、経済活動・文化活動との両立もできる。全国の都道府県すべてにおいて感染が増えているわけではない」と述べた。
加えて、「こういった都道府県の方々からは、『GoToトラベル』によって、地域の経済、観光業、そして飲食業も含めて、この4月・5月の落ち込みからかなり回復していきている。例年並みの状況にまで戻ってきている、といった報告も頂いている」と延べ、GoToトラベルの正当性を強調した。
西村大臣は、つまり、国民に対して、「自助・共助でしっかり感染予防に取り組んで、その上で、消費者・労働者の役割もきちんと果たせ」と言っているようにしか聞こえない。
12月2日に、改正予防接種法が参院本会議で可決・成立した。厚生労働省は2020年度内の接種開始を考えているとのことである。「ワクチン」は、ここまで続いてきたコロナ禍のクライマックスとも言えると思うが、とにかく、政府与党の行う施策にはつねに監視の目を怠らないようにしなければならない。