2020年9月29日(火)、午後4時、東京都千代田区永田町の中央合同庁舎8号館1階会見室にて、西村康稔 新型コロナ対策担当大臣の記者会見が行われた。
冒頭、西村大臣より塩田康一・鹿児島県知事との電話会談について、以下のように報告があった。
「これまでは感染件数は非常に少なかったが、繁華街の天文館でクラスターが発生した。感染者29名。他の繁華街での感染もあり、幅広くPCR検査を実施してみてはどうかと伝え、塩田知事からは、感染防止策を徹底しているということと、無症状であっても、店舗関係者にはPCR検査を呼びかけて実施しているという報告があった。
また、大村秀章・愛知県知事とも電話で話した。ここ最近の感染者の漸増の状況についてたずねた。知事からは、クラスターが発生しているが、ほぼ落ち着いて来ている、とのことで、PCRをしっかりやり、秋から冬にかけてのインフルエンザとの同時流行に備えていきたい、とのことだった。
今後も連携して対応していければと考えている」
続いて、29日開催された、第2回のいわゆる「歓楽街のワーキング・グループ(新型コロナウイルス感染症対策分科会の下で歓楽街での感染防止策について話し合うワーキンググループ(WG))」の会合について、次のような報告があった。
「事業者の皆さんとの信頼関係を構築しながら、日頃から、相談や検査の体制を作っておくことが大事だと考えている。そうした中、今日は、ガールズバー、ホストクラブを経営されている方や商店街の方など、現場の声を聞き、新宿区でHIVに関する情報提供を行っているNPOの方からご意見をうかがった。
また、感染研の砂川富正さんから、接待をともなう飲食店の皆さんへのヒアリングなどを通じて実施した調査研究の発表をしてもらった。
様々な意見交換をおこなったが、やはりPCR検査を受けやすい環境、そして、相談できる体制を作っていくことが大事であると考える。アクリル板の設置など、国に支援策がある。各自治体でも色々なとりくみがなされており、7月8月の対策の効果を分析し、秋冬、インフルエンザとの同時流行にも備えていきたい。
その一環として、新宿と沖縄に専門家を派遣し、現に調査を実施する。私自身も明日明後日、沖縄県に出張し、専門家の皆さんと一緒に現地でヒアリングなどを行う予定である」
西村大臣からの報告終了後、各社記者と大臣との質疑応答が行われた。IWJ記者の2点質問に対する西村大臣の回答は、以下の通りである。
IWJ記者「新型コロナについて、中国の累計感染者数8万5337人に対し、日本は感染者数は8万1055人、約4400人の差ですが人口差は、日本は中国の約13分の1です。感染者数は中国は世界で44位、日本は45位ですが、この順位は少なくとも10月10日までには逆転すると予想されています。
人口が13倍も違う大国と感染者数で肩を並べてようとしている現実を西村大臣はどうお考えですか?」
西村大臣「人口あたりの感染者数について、出来ることならできるだけ少ないほうがいいに決まっているが、それぞれの国の事情に応じて、また法律などの枠組み、それぞれの国の対応・やり方によって大きく異なる。
日本の場合は、法律的に強制力をともなうような自粛措置やロックダウンなどは出来ないということで、皆さんに協力の要請や自粛のお願いをして、それを守っていただく中で、今回も前回も収束を迎えることが出来ている」
IWJ記者「予算について、予備費の10兆円のうち約1兆6000億円をコロナ対策費の充てるとのことですが、その中に、PCR検査を受検する費用が見当たらないことについて、本日午前中に開催された田村厚労大臣の定例会見にて、弊社の記者が質問し、田村大臣より『PCRの民間への支援について、予備費で43億円を措置している』との回答をいただいています。
西村大臣も同様のご認識でしょうか?また43億円で十分だとお考えでしょうか?」
西村大臣「予備費は合計するとまだ8兆円くらい残っている。
PCR検査については、田村大臣が答えられたとおりだと思うが、まだ予備費もあるので、当然色々な状況を見ながら、今後対策を考える上で必要であれば措置していくようにしたい。また、田村大臣もよく言われることだが、民間で検査を受けるときの費用を少しでも安く出来ないか、という検討も進んでおり、多くの人の安心につながる、民間での検査環境の整備も進めていければと考えている」
しかし、西村大臣からは、予備費からコロナ対策費へ充てられる具体的な金額への言及はなかった。