2020年9月25日(金)、午後6時45分から、東京都千代田区永田町の中央合同庁舎8号館1階講堂にて、西村康稔 新型コロナ対策担当大臣の記者会見が行われた。この会見の前に、同会場において、「新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会」及び「新型コロナウイルス感染症対策本部」が開催されており、その報告も兼ねた記者会見となった。
冒頭、西村大臣より、「新型コロナウイルス感染症対策本部」での討議内容等について、「菅総理から、『これまでの感染拡大対応で得られた知見を活かして、感染拡大防止と経済活動の両立を図っていくために、引き続き、全力であたるよう』指示があった」旨の報告があった。
次いで、「新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会(以後、分科会)」の討議内容・決定事項などについて、以下のとおり、報告があった。
「ワクチン接種については、9月25日に中間とりまとめを行い、秋以降に具体的な接種順位などを議論し、最終とりまとめ案についてパブリックコメントを求め、分科会にて最終とりまとめをおこなう予定とし、冬からのワクチン接種に備えたいと考えている」と述べた。
また、Go To Eat、および、GoTo 商店街などのキャンペーンについて、以下のとおり、その概要を説明した。
「全国でのGo Toトラベル事業の開始にあたって、分科会から以下のとおり、政府への提言があった。まず、地域を越えて感染を広げる可能性を規定する要素を、①人口あたりの感染者数、②感染リスクを高める行動、③旅行者の総数、の3つとした。
そして、感染リスクを高めやすい場面として、1.飲酒をともなう懇親会、2.大人数や深夜に及ぶ飲食、3.大人数やマスクなしでの会話、4.仕事後や休憩時間、5.集団生活、6.激しい呼吸を伴う運動、7.屋外での活動の前後、の7つを挙げた。
感染拡大が広がると、社会経済活動を抑制せざるを得なくなるため、感染拡大に備えて、徹底して感染拡大防止策を行っていただきたい。基本的な、3密回避、消毒、マスクは当たり前で、加えて先ほどの7つの場面に注意してほしい」
西村大臣からの報告の後、各社記者と大臣との質疑応答となった。IWJからは、以下のとおり、質問をした。
「厚労省の発表では、コロナ禍に関連する解雇や雇い止めが、23日の時点で6万439人に達しました。また、9月1日時点で完全失業者数は197万人で前年同月と比較して41万人も増加しています。こうした労働環境の悪化は、失業に起因する家庭内暴力や性暴力被害の増加など、二次的な問題を生み出して、弱者へのしわ寄せを生んでいます。
その一方で、政府が進めている『Go Toキャンペーン』が喚起しているのは富裕層の需要だけだとの指摘も聞かれます。 現状のままでは、国民の間の貧富の格差がますます拡大していくと思われますが、西村大臣のお考えを聞かせて下さい」
これに対し、西村大臣は「雇用情勢については、日々、毎日このような状況について報告を受けている」とした上で、以下のとおり返答した。
「これまでで言うと、4月に650万人が休業する中で、企業は休業することで、解雇はせずに踏ん張ってくれた。それを雇用調整助成金で支えてきている。すでに117万社に1兆4400億円の助成がなされており、それでなんとか雇用を守ってもらっている。
休業する方も、200万人くらいまで減ってきた。仕事に戻られている。残念ながら、失業者の方も18万人くらい増えている。失業率はまだ2.9%で、まだなんとか踏ん張ってくれているが、こういった雇い止めにあった方や失業された方に、しっかりと職業訓練などの支援措置を行いながら、新たな職につけるように、そしてIT関係、物流関係、農業など、必要としてる業種もあるので、そうした業種とのマッチングも進めていきたいと考えている。
そうした中で、休業中であったり、失業されたりする中で、様々な家庭内での問題が起きていることも承知している。橋本聖子・女性活躍担当大臣の下、女性や弱い立場にある方にしわ寄せが行くので、『どのような問題が起き、それにどう対処しなければならないか』ということも、検討が始まるので、私の立場からも、しっかりとそうした取り組みをサポートしていきたいと思う。
さらに、ご指摘もいただいた、『Go Toトラベル』、『Go Toイベント』、そして『Go Toイート』は誰でも使える。たとえば、『Go Toイート』は、10月1日からオンラインの事業が始まる予定になっている。ネットで予約すれば、最初に1000円で食事すれば1000ポイントが付く。そうすると、次の日その1000ポイントが使える。そしてまた予約して食事をすれば、また1000ポイント使える。本当に厳しい状態にある方も、この事業は下支えになるものだと考えている」
新型コロナによる休業、雇い止めが「失業者」を生み、その「失業者」が問題を起こしたり、問題の遠因となったりする。
一見、新型コロナとは関係のないように見える問題が他にもあるはずだ。政府は、感染に関する数値や経済の活性化だけでなく、社会の中でなかなか人の目に触れにくい問題があることを前提として、新型コロナが引き起こす可能性のある、あらゆる問題を想定し、社会全体を視野に入れ、取り組んで欲しい。