2020年8月7日(金)午後5時30分頃より、東京都千代田区永田町の中央合同庁舎第8号館講堂にて、内閣府 西村康稔新型コロナ対策担当大臣の会見が行なわれた。
西村大臣の会見の前に、午後4時から、尾身茂 分科会会長と平井伸治 鳥取県知事が出席し、同日の午前11時から開催された「第5回新型コロナウイルス感染症対策分科会」の内容についての記者会見が行われており、その分科会での提言・報告について、西村大臣が政府としての考え方を述べた。
西村大臣は、いつものとおり「社会経済の発展と感染防止対策の両立」の重要性を説くことから話を始め、「ウイルスは目に見えないが、どこかに潜んでいる」とし、そのウイルスと戦うため、(1)十分に制御可能なレベルに感染を抑制し、死亡者・重症者を最小化すること、そして、(2)迅速に対応し、感染レベルをなるべく早期に減少へと転じさせることが二大目標であると述べた。
次に、4月23日集計分と8月4日集計分の年令・性別ごとの症例数の分布グラフを参照しながら、前回緊急事態宣言を発した時の「大きな流行」とこのたびの「大きな流行」との違いを次のように説明した。
「前回(4/23集計)は、20代、30代、40代と若い人々もいたが、50代以上の人々が大きな割合を占めていた。その中から重症化し、亡くなる人もかなりいた。そして、今回(8/4集計)もかなりの数の流行となっているが、20代、30代と若い人が多く、60代以上の分布が少ない」
また、今後の適正な対策のための目安として、以下の3つの指標を掲げた。
・医療提供体制等の負荷(病床の逼迫具合と療養者数)
・監視体制(PC陽性率)
・感染の状況(新規報告者数、感染経路不明割合)
中でも、①が一番大事であるとし、もっとも大切なのは「命を守れるかどうか」であり、「これらの指標を目安としながら、厚労省などと連携しながら、必要な対策を講じていくことになる」と説明し、次のように述べた。
「当然、それぞれの地方自治体でも独自の指標を設けることになる」とした上で、「私が申し上げたいのは、繰り返しになるが、感染リスクをゼロにできない中で、とにかく『以前の日常』や『昔の日常』には戻さない、『新たな日常』をみんなで作っていかなくてはならない。それをやらないと、まさに『経済文化の発展と感染防止の両立』ができない。
4月の緊急事態宣言のときのように、強制的・意図的に経済を止めることで人と人の接触を止めるのではなく、『新たな日常』を作っていくことで、『経済文化の発展と感染防止の両立』を目指す。
感染者をゼロにはできないので、制御可能なレベルに抑えていくということが重要だ」
西村大臣は、このあと、「全国の疫学状況」、「今後想定される感染状況と対策」、「新型コロナウイルス感染拡大による病院の経営状況」そして、「都道府県の医療提供体制」などについて、スライドを使いながら説明した。
理想的な目標、計画、指標などについて語った西村大臣だが、政府は、経済界に目標比率70%のテレワークや時差通勤を要請する一方、「GoToトラベル」キャンペーンで旅行代金を援助するという矛盾した政策を推し進めている。政府は国民を移動させたいのか、させたくないのか。場当たり的な対策には一貫性がまるでなく、帰省も旅行もすべて、国民自身の責任で判断してやってくれと言っているに等しい。
また、8月3日の『モーニングショー』(テレビ朝日系)に、新型コロナ対策分科会メンバーである釜萢(かまやち)敏氏が出演し、PCR検査の有効性について、「PCR検査の陰性証明は医学的にはほとんど意味がない」と断言した。これが、政府に進言する分科会のメンバーとして、ふさわしい発言であるかどうかについて、西村大臣は自らの考えを公にするべきではないだろうか。