2020年7月30日、東京都医師会が、東京都医師会館で新型コロナ感染症への今後の対応について記者会見を行った。
冒頭、尾崎治夫・東京都医師会長は、新型コロナ感染症を収束に向かわせるために、「エピセンター(IWJ注:感染震源地)を徹底的に叩く」「エピセンターから周囲への拡大を防ぐ」と提言。そのためには「国が特別措置法を改正し、法的拘束力のある休業要請を休業補償とセットで、エピセンター化している地域に対し一斉に行う必要がある」と政府の対応を迫った。
また、PCR検査の必要性拡大に向けて「医療機関、保健所、衛生研究所のみならず、大学、研究機関などでも検査ができるよう、法改正も含めて早急に検討が必要だ」とした。
尾崎会長は、そのためには「今すぐに国会を召集して、法改正を検討していただきたい」「今が感染拡大を抑える最後のチャンスだ」と訴えた。
また、「良識ある国会議員のみなさん」へとして「コロナウイルスに夏休みはない、一刻も早く国会を開いて、国ができること、しなければいけないことを国民に示し、国民を安心させてください」と呼びかけた。
IWJ記者は、一刻も早く国会を開き、国ができる事、やらなければいけないことを国民に示せと国会議員に呼びかけた都医師会の決意を認めた上で、医師会は伝統的に自民党を支持しているが、現在の安倍政権下で、医師会の提案は実現が可能と考えているか、と問いただした。
これに対して尾崎会長は「私は自民党員である、基本的に政権与党を支持するのは日本医師会も、東京都医師会も変わらない」と回答。「現状のコロナ対策に不満が無いとは言わない」としながらも、「与党も野党もない、与野党が一致団結してこの国難にあたるべき」と述べた。
この回答に記者が重ねて「そのような事で安倍内閣を説得できるか」とただしたのに対し、尾崎会長は「世論がしっかり困難を乗り切ろうという気持ちになれば、安倍内閣も動いていただけると確信している」と結んだ。
長年、与党の庇護のもとに、持ちつ持たれつの関係を続けてきた医師会は、この期に及んでも、与党政治に依存し、医療従事者の指導的立場にあるにもかかわらず、政治的には自立した方針を示すことができない一面をのぞかせたと言える。