2020年7月21日、東京千代田区の衆議院議員会館で「ヨナオシフォーラム2020」の第一回集会が開かれた。

　「ヨナオシフォーラム2020」は、金子勝・慶応大学名誉教授らが「1. 感染症の徹底的な検査・追跡・隔離・治療の体制を確立することが、経済を再生する2. 分散ニューディールを軸とする「緑の復興」3. 緊急支援・緊急雇用と、公正で未来志向の税財政の再建を目指す4. 行政・司法・政治を再構築し、公正性・透明性・参加性ある民主主義を取り戻す5. 性差別をはじめあらゆる差別をなくし、多様性を尊重する包摂型の開かれた社会を目指す」との、5つの柱を設定して、「どういう未来社会を展望するのか、そのためにどのような具体的な政策を提起するのか」を国会議員などが党派を超えて議論する場として、2020年7月に発足した。

　第一回学習会のゲスト講師として講演した、児玉龍彦・東京大学先端科学技術センターがん・代謝プロジェクトリーダーは「もはや各地域で『コロナ自警団』的に地方自治体で防波堤を作らないとだめだ」と述べ、先の国会（7月16日参院予算委員会の閉会中審査）で「来週は大変なことになる、来月は目を覆う状況になる」と発言したが、「何も手が打たれなかった」と、政府・国会の無策を批判した。

　児玉氏は、手を打たない間にコロナ禍の状況は「輸入感染症から東京エピセンター（震源地）に変わった。日本はこれまでは感染者が少なかったが、いわば『湿った薪』が燃えなかったようなもの」。「山火事になると手に負えない」と述べ「新宿、ミナミ（大阪）、中洲（福岡）などがエピセンターという山火事になりつつある」と警告した。

　そして、エピセンターの制圧には20万人以上のPCR検査が必要であるとして「一斉検診で膨大検査、集中検査をすればまだ制圧は間に合う」と訴えた。

　PCR検査が増えない理由として、児玉氏は「法律の問題がある」「受益者負担の医療行為から、安全・安心の社会を作るための、社会的な予防へ是正する必要がある」と述べた。

　国会議員から、総理でさえPCR検査を増やすと言っているのに検査が増えない理由を問われた児玉氏は、「新しいプランを立てて実施する主体がないこと」をあげて、「検査は、目的があって検査をするきちんとした主体がないと、検査を組むことができない」と指摘した。

　また、PCR検査の膨大な検査を実施するには、21世紀型の対応が必要とし、「遺伝子工学、計測・自動制御科学、ロジスティクスと情報伝達のオペレーションリサーチなどを合わせてやる」「日本産業の弱点を克服する作業だ」と述べた。

　講演後に感想を述べた飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長は「日本は検査実施割合が世界で159位だ。先進国のレベルではない」「世界で検査をしない方が良いなどというのは、日本だけ」「医者や厚労省までも堂々と言っている」と憤った。

　最後に代表世話人の金子勝氏は「ヨナオシフォーラム2020は5人の世話人が問題提起をしていく、それを国会議員の方々が国全体の問題として議論していただきたい」と述べ、集会を締めくくった。

• 日時 2020年7月21日（火） 13：00 〜 15：00
• 場所 衆議院第2議員会館（東京都千代田区） および Zoom
• 詳細 ヨナオシフォーラム2020