実際の感染者は発表の10倍!? 無症者の感染拡大は「検査と隔離」の徹底をするしかない!民間の大学や研究所へ要請を行い一早いPCR検査の拡充を!〜4.24 渋谷健司氏がオンライン記者ブリーフィング 2020.4.23

記事公開日:2020.5.2取材地: テキスト動画
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(取材:田上壮彌 文:IWJ編集部)

 2020年4月23日(木)に、日本外国特派員協会主催で、キングス・カレッジ・ロンドン教授でWHO上級顧問の渋谷健司氏がオンライン記者ブリーフィングを開いた。

▲渋谷健司氏(2020年4月23日・日本外国特派員協会主催オンライン記者ブリーフィング・IWJ中継画像より)

 渋谷教授は、データから読み取れる日本の感染状況と、国が公表するデータが不十分であることについて説明した。また、無症者や症状が出る前の感染者への認識と、PCR検査ついて、公共衛生の専門家と現場の医師で意見の相違があることについて、公衆衛生学の専門家として発言を行った。

 東京都が発表する感染者数や検査数は、「疫学の情報としては重要な情報を欠いている」と説明をした。保健所から上がってきた情報は毎日グラフに反映させる一方、民間医療機関から上がってきた情報はまとめて金曜日にグラフに反映される。したがって1週間ごとにジグザグとしたグラフになってしまい、感染者数の増減の実態を捉えることができない。また感染者数の情報についても、発症日ごとに感染者数がグラフ化されているのではなく、報告があがった日ごとにグラフ化されているので、正確な感染状況を捉えられないと理由を説明した。

■東京都公表の感染者数は「疫学の情報としては重要な情報を欠いている」!? 発症日ではなく報告日によるグラフ化と民間研究機関と保健所で統一性のない情報の処理では感染状況を捉えられない!1/6

 また日本は新型コロナウイルスによる死者数が少ないから、感染対策に成功していると言う一部で言われる意見に、「とても慎重にならなければいけない」と、疑問を投げかけた。インフルエンザが大きく流行したわけではないのにも関わらず、2月初旬から超過死亡が見られているとする感染研のデータを用い、「100%の確信を持って言うことはできませんが、別の感染症(新型コロナウイルス)よる超過死亡があると見ることができます」と発言した。このデータによると「(2月初旬に1週間に)20人から50人が超過死亡しており、この一部がコロナによると見ることができる」と説明した。

■2月初旬に見られる死亡超過はインフルではなくコロナによるもの!? 東京都だけで20人から50人が超過死亡した!? 2/6

 そして西浦教授が8割の接触削減を主張したグラフに関しても「このグラフのどこに現時点が当たるのかがよくわからない」と疑問を投げかけ「またこのグラフが何のデータを元にしているかが公開されていないから、詳しく調べることもできない」と発言した。

■西浦教授の8割削減数理モデル「このグラフが何のデータを元にしているかが公開されていないから、詳しく調べることもできない」!現時点がモデルのどこに対応しているか専門家から見ても疑問!3/6

 渋谷教授は、死亡超過に関する感染研のデータを問い合わせたところ「特別な用紙を記入する必要があり、数ヶ月かかる」と伝えられたと言い、「このデータは高い技術が必要なものではない、学生でもこういう分析はできるのに、この情報にアクセスできない」と説明を付け加えた。

■「学生でもこういう分析はできるのに」データの取り寄せは数ヶ月かかる!? 情報が少なすぎて「ほとんど何も導き出すことはできない」!4/6

 そしてこういう情報が少ない中では、「ほとんど何も導き出すことはできない」として、データの公開と対策を決定した根拠などの情報を共有することの重要性を主張した。

 また日本がこれまで、水際作戦とクラスター対策を中心に行ってきたことに対しても、今後は検査を拡張して、「検査と隔離」の原則を徹底する方がいいとの見解を示した。4月2日に日本感染症学会と日本感染環境学会が、軽症者にはPCR検査を推奨しないとする考え方を表明したことを挙げて、現場の医者にとっては大切なことは患者の命を救うことであるので、こういう考え方は合理的だと前置きした。

■日本政府の水際作戦とクラスター対策では無症状者を追えない!? 「検査と隔離」の原則の徹底を! 慶応病院では無症状者の6%が陽性、イタリアでは感染の43%が無症者によるもの!? 5/6

 しかしその上で、慶應大学で無症者を検査したところ6%の感染者がいたという研究結果や、イタリアの小さな街で実施された2つの検査で、感染の43%が無症者によるものであったことなどを挙げた。そして水際作戦とクラスター対策では、このような無症者の感染拡大を止めることができないとして、この感染症を終えるためには検査を拡充して隔離するという基本を徹底するべきだと主張した。

 質問では、検査を拡充した場合、感染者がどのくらい増える見込みがあるかと聞かれ、慶應大学の陽性率6%の結果を元に、信頼区画やPCRの正確性などを考えて少なく見積もっても、実際の感染者は発表されている数の10倍はいると答えた。また日韓のコロナ対策の違いについて聞かれ、「基本的に韓国のこれまでの成功の主に原因は、『検査と隔離』を徹底して行ったことにあります」と答え、日本でも大学や民間の研究室で使われるPCR検査装置を使えば、PCR検査のキャパシティは大幅に増やすことができると説明した。

■実際の感染者は発表の10倍以上!?「基本的に韓国のこれまでの成功の主に原因は、『検査と隔離』を徹底して行ったことにある」! 日本でも民間や大学のPCR検査装置を使えばキャパシティは大幅に拡大可能!6/6

※全編映像は、準備が整い次第公開いたします。しばらくお待ちください。

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