感染の大蔓延が現在都市部で起こっているのではないか?との問いに加藤厚労大臣は充分に答えず!あいも変わらず「必要な検査はされている」の一点張り~4.14 加藤勝信厚生労働大臣定例記者会見 2020.4.14

記事公開日:2020.4.14取材地: テキスト動画
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(取材・文 千浦僚)

 2020年4月14日(火)8時30分より東京都千代田区の厚生労働省記者会見室にて、加藤勝信厚生労働大臣による定例記者会見が開かれた。

 冒頭、加藤厚労大臣より、新型コロナウイルスの感染拡大が進む中、様々な生活上の困難の増大が予想されることから、本日4月14日付けで「新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する厚生労働省対策推進本部」内に「『生活を守る』プロジェクトチーム」を設置するとの報告があった。同プロジェクトチームは国民生活を守るための施策が経済弱者、生活弱者、行政に対して声を上げづらい方々に対しても行き渡る情報提供と周知を目標とし、現場からのヒアリングによる現状把握に努めるという。

 この報告ののち、大臣と記者との質疑応答が行われた。

 各メディア6名の記者が9件の質問を行なった。その中の、「7都府県への緊急事態宣言から7日経ち、感染者が依然として増加傾向にあることを厚労省はどう評価するか、宣言明けの5月6日までに感染減少に向かう道筋はあるか」、との問いに加藤厚労大臣は、「患者数は倍増しており、7都府県がその73%を占める。週末要因で少し減少が見られるが一日一日の数字で判断するのは適切ではなく、中長期的に見ていく。厚労省としては医療提供態勢を構築していく。軽症者受入れ宿泊施設を25都府県で準備している。医療体制の逼迫が現れはじめている地域もある。それに備え、働きかけていく」と回答した。

■ハイライト

  • 日時 2020年4月14日(火)8:25メド~
  • 場所 厚生労働省(東京都千代田区)
  • 詳細 厚生労働省

 また、今回の新型コロナ感染症流行による休業と労働者の失業給付について、「激甚災害時の特別措置と同様に休業であっても労働者は失業給付の対象とすべきではないか」、との問いに加藤大臣は、「現在の状態は激甚災害とは違って何が直接的な被害かわからないし、雇用調整助成金を従来以上に助成率を上げ、雇用保険対象者外も含めた対応を用意しているので、そちらを活用してほしい」と答えた。

 他に、人工呼吸器などの医療機器やPPE(個人用防護具 Personal protective Equipment)の確保と供給体制についての質問には、「この先予想される重症者増加において人工呼吸器は必須である。国内の在庫、海外からの輸入などを現在かき集め、確保を図っている。加えて国内の生産基盤をつくっていく必要がある。増産を呼びかけ、異業種による製造と参入に規制があるものについてはそれを早期に承認したり、厚労省よりアプローチすることで国内生産をバックアップしていく」と回答した。

 IWJによる質問と回答の全文は以下の通り。

IWJ記者「感染者数が増加傾向にあるとのことですが、東京都に限っても一日数百件の検査で百人前後、百数十人の陽性者が判明しています。これではまだ検査数は少なく、把握しきれていない感染はもっと多く、『感染増加傾向』以上の大変な蔓延が現在都市部において起こっているのではないでしょうか。

 もうひとつ、LINEによる厚労省の健康調査が今まで三回行われましたが、一企業のアプリであるLINEを使って、その回答率が30%に満たない調査をすることの意味と、手ごたえ、効果についてのお考えをお聞かせください」

加藤勝信厚生労働大臣「東京都においても必要なPCR検査は実施をされていると思いますが、引き続きその能力を拡大すべく各自治体で努力をされていると承知しております。我々もそういった、例えば外来機能を拡充する、新たに申請する、ということに対して、設備の助成、人的な意味での助成措置もありますので、それをPRし、必要な検査能力の拡充に取り組んでいただけるよう、一緒になって我々も努力したいと思います。

 それからLINEの話でありますが、これはLINEに限ったことではなくて協力していただくということを広く募ると、LINEが手を挙げられた、ということであります。そういった中で、いろんなネット上のご協力いただけるところがあれば、それは是非お願いしたいと思っています。

 いろんな情報を収集しながら感染状況を把握していく、予測していくということは重要なことです。人々の行動パターンがどう変化したのかを把握することも大事だと思います。回答が3割、と言われましたが、数が一千万オーダーですから統計的にも意味があるんじゃないかと思っております。

 これも引き続き続行しながら、今申し上げたような実態の把握に努めていきたいと思います。ただ、申し上げたようにLINEに限っているわけではありません。広くいろんな方のご協力をいただきながらこの感染の防止、この新型コロナウイルスとの戦い、勝利に向けて、皆さんの力を是非ともお貸しいただきたいと考えています」

 LINEは韓国最大のインターネットサービス会社NAVERの子会社が提供するサービス、アプリケーションであり、情報機密性と脆弱性についての問題点がたびたび指摘されながらもその改善は充分にはなされていない。LINEによる厚労省「新型コロナ対策のための全国調査」は第一回が3月31日、第二回4月5日~6日、第三回が4月12日~13日に行われ、毎回約8300万人が対象、第一回の有効回答者数は調査を受信したユーザー中の29.6%である24539124人、第二回の有効回答者数は29.7%の24673670人であった。対象となったLINEのユーザー層の30%に満たない回答率であったこと、これほど新型コロナ感染に関する社会的注意喚起があるなかで回答率上昇が0.1%であることはおそらくこの調査の有効性の薄さ、対象者からの忌避や警戒を示している。

 また、東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」によれば4月1日から12日までの日毎の感染症検査数は最小57人から最大503人の幅のなかで実施されており、そこから判明した日毎の陽性者数は最小79人、最大197人で推移し、全体として増加傾向にある。

 しかし、もともと人口1300万都市東京においてこれは多いと言えない検査数であり、かつその検査結果を二日後につけているのか翌日につけているのかも判然としない、「データ」と呼ぶことも躊躇われる数字の発表にどれほどの信憑性と意義があるのか。その数字でさえもが朧気に示す増加傾向が意味するものは、恐るべき感染の蔓延ではないだろうか。

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