2020年7月20日、東京千代田区の日本外国特派員協会で、東京都の小池百合子都知事が、都内の新型コロナウイルス感染クラスターの発生源として「接待をともなう飲食店」と表現したことについて、業界の窮状を一般社団法人・水商売協会代表理事の甲賀香織さんが訴えた。
甲賀さんは、一連の経緯を次のように語った。
「今年2月、3月ともに客数が激減する中、店舗それぞれで感染症対策を行い、しのいでいた矢先の3月末、小池都知事に『接待を伴う飲食店』と名指しされたことがとどめとなり、翌日からほとんどの店が休業に入った。
緊急事態宣言とともに、どの店も業態を問わず完全に休業となった。
その後、休業中の補償を巡り、十分でないと判断した店舗は耐え切れず営業を再開するところが出て来た。
緊急事態宣言から一週間で、業界独自のガイドラインを作成して、4月15日、東京都に(内容の)確認と修正を要請したが、数度の催促にもかかわらず東京都からは回答が得られなかった」。
甲賀さんは、さらに次のように続けた。
「緊急事態がゴールデンウイークを過ぎる中、六本木、銀座の売り上げはゼロ。毎月数千万円の赤字を出していて、6月に入ると耐え切れずに多くの地域で営業が再開され始めたが、行政側から示されるガイドラインはなく、我々のガイドラインを参考に対策する店舗が現れ始めた。
本来ガイドラインは緊急事態宣言と共に(行政側が)準備をし、休業要請期間中には見回りを続けるなど関心を向け続けるべきだった。
店舗の名指しにより、廃業に追い込まれる者も出て、店名公表圧力が続いたが、それは逆効果だ。
罹患者は症状を隠すことになるので、店名や個人名公表は賢明ではない」
その上で甲賀さんは、「新宿区は情報の保護を保証し、ホスト達は検査に協力するようになった」と述べた。
さらに、このような状況の中で、「国から出されたガイドラインは順守を徹底させる仕組みもなく、対策を徹底している店から、何もしていない店まで、大きな開きがあることへの配慮がない。現状からかけ離れた物であり、業態上または構造上対応できない店も出てくる」と指摘した。
甲賀さんは、自分たちが「接待をともなう飲食店」「夜の街」「歌舞伎町」「ホスト」などと呼ばれ、感染対策をしている、していないに関わらず、一括りにされて、風評被害を受けていると訴えた。それに対して、これらは本来、感染の度合いなどで分別されるべきだと主張した。
甲賀さんは最後に、「『自分達のことは自分達で努力してこの急場をしのいでいくので、頼むから邪魔をしないでくれ』というのが業界人の心中だ」と語った。