コロナの影響を受ける水商売・風俗産業の女性たち。ナイトクラブ自粛要請に「話題にすらあげられない存在、闇には葬らないで欲しい!」「給付しろって思うけど、それは誰にでも。どんな職業でも!」 2020.4.11

記事公開日:2020.4.11 テキスト
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(文・撮影 布施絵理子)

 新型コロナウイルスの影響で、経済的に大きな打撃を受けている職種が様々ある中、水商売や風俗業で働く人や外国人への、政府の差別的対応が注目を集めている。そして、この危機の中で、差別的なヘイトスピーチがあふれてきている。

 4月5日に放送されたフジテレビ系の「ワイドナショー」で、コメンテーターをしているダウンタウンの松本人志氏が「水商売のホステスさんが仕事休んだからといって、普段のホステスさんがもらっている給料を、われわれの税金で、俺はごめん、払いたくはないわ」と発言した。この明らかな差別発言に対する賛同の声として、ネット上では「税金を払わない犯罪者に税金を使いたくない」などの偏見にまみれるヘイトスピーチが飛び交った。

 このような差別と闘うためには、風俗業を可視化しないまま闇の産業とせずに、職業としての現状を働く人から聞き、その声を届けることが重要だと考え、インタビューを申し込んだ。前回はキャバクラで働く女性にインタビューを行った。

 今回は風俗業で働く女性がインタビューに応じてくれた。労働環境や賃金について、なかなか知られることがない風俗業の実態、そしてコロナウイルスの影響がどのようにあるのかを緊急取材した。

▲取材に応じてくれた、ゆめのさん

記事目次

「公的支援の対象としてふさわしくないため」という理由で国の支援からも除外される風俗業!支援策では「なかったもの」のように扱われ、あふれる匿名のヘイトスピーチ!!

 新型コロナウイルス対策の臨時休校によって、仕事を休まざるを得なくなった保護者を助成する制度から、風俗営業で働く人が除外されていることに、人権侵害や差別だとの批判が噴出している。

 厚生労働省は今までも、雇用関係で助成金を出す際には、一律して風俗営業は対象外としてきた。「公的支援の対象としてふさわしくないため」というのがその理由である。そこで働く人が可視化されず、まるで「なかったもの」のように扱われ、当初は支援制度からも除外されていた。

 差別だと怒りの声が上がる中でも「ちゃんとした仕事をしてこなかったのだから自業自得、自己責任」「楽して高い金を稼いできたのだから甘えるな」などの差別的な発言も、匿名のネット上では飛び交っている。

 厚労省の言い分は、政府が多数いる性産業に就く人々を切り捨て、差別していいと公言したようなものだ。より一層このような匿名のヘイトスピーチが増えていくのではないか?

 沢山の非難の声があがったからか、4月6日の衆院決算行政監視委員会の分科会で、 菅義偉官房長官は、休業補償の対象から風俗業で働く保護者が除外されていることについて「要領の見直しを検討したい」と述べた。しかし、政府の風俗業への差別が変わったわけではない。

コロナウイルスの影響で経済により死者が出てくることが、もう目前に迫ってきている中、風俗で働く女性に緊急取材! 一刻も早く声を届けて!!

 「風俗営業で働く人を補償したくない」、今回の政府による支援の適用除外発言には、そうした差別意識が、あまりにも露骨にむき出しとなっている。

 シングルマザーの身で風俗の仕事をしている方は、自身だけでなく子供の生活も支えなくてはいけない。政府は、風俗業で働くシングルマザーを支援から切り捨てることで、その子供たちすら切り捨てようとしているのに気がつかないのか。一刻も早く支援は行われなければ、このコロナウイルスの影響で経済苦による死者が出ることは確実である。

 東日本大震災の際に、震災による死者と震災関連死とが分けられてカウントされたが、今回はまさに、感染による直接的なコロナ死とともに、コロナ対策のために社会の活動性を一時的に急停止することで生じるコロナ関連死をカウントすべきではないだろうか。

 風俗で働いてきた女性と、その子供を、「なかったもの」とする政府の棄民政策によって、生活が維持できない状態にまで追い詰められている人々の声を届けることが必要だと考え、風俗で働くある女性に緊急取材を行った。彼女は「一刻も早く、自分たちの声を届けてほしい」と、危機感を募らせていた。

インタビュー。なぜ風俗の仕事に就いたのか?「かけもち嬢」になった理由!

 都内の喫茶店でゆめのさん(仮名)に話しを聞いた。ゆめのさんは淡々と、ほぼ言葉に詰まることなく答えてくれた。収入など一般的に応えづらい質問にも、表情を変えることなく、まっすぐにこちらの目を見て話すゆきのさんの目は、冷静に今の現状を見つめているように見えた。

──ゆめのさん、では、まずどんな仕事をしているか教えて下さい。

「わたしはいわゆる『かけもち嬢』です。昼は児童福祉、障害児福祉の仕事をしています。夜職はイメクラ(イメージクラブ)です」

──イメクラとは、どんな仕事ですか?

「イメクラはお店ごとにコンセプトがあって、制服を着ていたり、スーツを着てとか、コスプレしていたりとか。それでヘルスサービスをします」

──収入はどれくらいですか?

「今までは週のうち3、4回は昼職で、月の収入は5万いかないくらいです。働ける時間が短いんです。週1、2回は夜職で働いてきました。2つあわせて収入は月に18万くらいでした」

自分で奨学金を借りて高校から大学まで全部自分で学費を出して、その後に就いた正社員職は、客に殺されるかもしれないセックスワーク以上に、死と隣りあわせだった!

──ゆめのさんがどうして風俗、今のイメクラの仕事に就いたか、これまでどんな仕事に就いていたのか、教えてもらえますか?

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